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NTM症は結核とは異なり、一般的に人から人へ感染する病気ではありません。しかし患者数は増加しており、長引く咳の原因として知っておいていただきたい病気です。非結核性抗酸菌症(ひ けっかくせい こうさんきんしょう)とは、名前の通り、結核ではない抗酸菌(Nontuberculous Mycobacteria: NTM(えぬてぃーえむ))による感染症です。NTMは主に肺に感染し長引く咳の原因となります。他に皮膚や軟部組織、リンパ節等にも感染し、まれに血中に入り全身性の感染症を引き起こすこともあります。
近年、日本では患者数が増加しており、現在では肺結核よりも患者数が多いと推定されています。
NTMは現時点で約200種類以上の菌種が知られており、日本の肺NTM症の原因として最も多い菌がMAC(Mycobacterium avium complex:マック)という菌です。

NTMは土や河川、水道水、浴室のシャワーヘッドの中など環境中に広く存在する常在菌で、菌を含む細かな水しぶき(エアロゾル)を吸い込むことで肺に取り込まれると考えられています。
一般的にNTMはヒトからヒトへ感染しないと考えられています。
肺NTM症の主な症状は結核と同様、長引く咳、痰(血痰)、息切れ、発熱、体重減少、疲れやすさ、などです。
肺NTM症の特徴は、風邪のような一時的な感染ではなく、多くは年単位、長い人では10年以上かけて持続的な感染を引き起こすことです。菌の種類や個人の体調、体質により症状の出方には大きくバラつきがあります。初期には症状がほとんどないこともあり、健診等で偶発的に見つかるケースもあります。また、症状がゆっくり進行することが多く、ある程度症状が悪化していても気づきにくい場合があります。
NTM症は誰でもかかる可能性がありますが、一方で菌を吸い込んでも全員が病気を発症するわけではありません。
肺NTM症は中高年以上の女性(特に痩せ気味の方)、高齢者、気管支拡張症やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の方など肺の病気がある方、免疫機能が低下している方、などに発症しやすいことが知られています。
胸部X線検査や胸部CT検査で特徴的な影が認められると、次に痰の培養検査を行います。痰の検査で2回以上同じ菌が検出されると、本症と診断されます。痰が出ない場合は胃の検査や気管支内視鏡検査を行うこともあります。血液検査で血液中にNTMに対する抗体があるかどうかを見ることもあります。
肺NTM症と診断されると次に治療の必要性について評価されます。症状によっては定期的な検査を行いながら経過を観察することもあります。治療が必要と判断された場合には、複数の抗菌薬を長期間使用します。
この病気は、人によって経過が異なります。定期的な検査で様子を見るだけで症状がほとんど悪化しない方もいれば、薬による治療が必要となる方もいます。また、治療を完了させたとしても、再び悪化したり、再感染したりしてしまうこともあります。症状が長期間変わらなくても、風邪や他の病気をきっかけに悪化することもあります。
一方で、早期発見し適切な治療や適切な治療や定期的な検査を受けることで、日常生活を続けながら長期間安定した状態を保てる方も多くいます。
一度診断された方は、NTM症以外の肺疾患の早期発見の意味も含め、健診等で定期的に胸部X線検査を受けるよう心がけましょう。
NTMは自然環境中に広く存在するため、感染を完全に防ぐことは困難です。結核とは異なり、予防接種はありません。肺NTM症に限らずさまざまな疾患の早期発見のために胸部X線検査を1年に1回程度受けておくことが大切です。
また、特に食事制限等のきっかけがないにもかかわらず体重が減る場合は本症含め何かの病気の可能性があるため注意しましょう。
そして何より、長引く咳や痰を放置しないようにしましょう。特に血痰が出た場合は早めに医療機関を受診しましょう。
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