ダニ媒介感染症に注意!<日本紅斑熱、SFTS>
日本紅斑熱とSFTSは、病原体を持ったマダニに刺されることでヒトに感染する感染症です。京都府でも、これらの感染症の報告が続いているので、注意が必要です。
日本紅斑熱とは
- 原因となる病原体はリケッチアの一種 リケッチア・ジャポニカ(Rickettsia japonica)で、この病原体をもつマダニに刺されることで感染します。
- 潜伏期間は2~8日で、頭痛、発熱、倦怠感を伴って発症します。また、発疹が体幹部より四肢末端部に比較的強く出現します。
- ヒトからヒトへの感染はありません。
- 治療は抗菌薬で行います(第一選択はテトラサイクリン系の抗菌薬)。
- ワクチンはありません。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは
- 原因となる病原体はSFTSウイルスで、このウイルスをもつマダニに刺されることで感染します。ネコやイヌなどの動物もSFTSを発症し、ヒトに感染させることもあります。
- 潜伏期間は6~14日で、発熱、倦怠感、頭痛などの症状で発症することが多く、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状が認められることが多いです。2013~2017年に実施された国内の調査1)によると、致命率は27%でした。
- 治療は対症療法が主体となっていますが、2024年6月に新しい抗ウイルス薬が使用可能になり、病状の進行が予期される場合には、使用が検討されます。
- ワクチンはありません。
1)Kobayashi Y, et al., Emerg Infect Dis 26:692-699, 2020
京都府内の状況は?
―日本紅斑熱―
- 京都府では、これまでに42例報告があり、近年毎年2~8件の報告があります。
- 感染地域は、京丹後市が最も多く、北部地域に集中していますが、京都市や木津川市も報告があります。
- 春から夏にかけて9月をピークに報告数が増加します。

―SFTS―
- 京都府ではこれまでに17件の報告があり、毎年0~3件の報告があります。
- 感染地域としては、宮津市が最も多く、北部地域に集中しています。
- 6月に最も報告数が多く、夏から秋にも報告があります。

気を付けることは?
- マダニに刺されないようにすることが大切です。
- 特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけては、マダニに刺される危険性が高まります。
- 草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に入る場合には、長袖・長ズボン(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツを着用する)、足を完全に覆う靴(サンダル等は避ける)、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくすることが大事です。
- マダニ類の多くは、ヒトや動物に取り付くと、長時間(数日から、長いものは10日間以上)吸血しますが、刺されたことに気がつかない場合も多いと言われています。吸血中のマダニに気が付いた際、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が残って化膿したり、マダニの体液を逆流させるおそれがあるので、医療機関(皮膚科)で処置(マダニの除去、洗浄など)をしてもらってください。また、マダニに刺された後、数週間程度は体調の変化に注意をし、発熱等の症状が認められた場合は医療機関で診察を受けて下さい。
- SFTSはイヌやネコにも感染します。2025年6月にも、国内でペットとして飼われているネコがSFTSに感染して死亡する事例が報告されています。また、SFTSを発症している動物との接触により人が感染することもありますので、犬や猫などのペットを飼っている方は注意が必要です。
関連情報