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<平成27年第17週>平成27年4月20日〜平成27年4月26日

今週のコメント

 第17週、感染性胃腸炎の報告が増加しています。中丹東で定点あたり11.40京都市内西京区13.25右京区9.40件の報告がありました。また、腸管出血性大腸菌感染症の報告も1例ありました。腸管出血性大腸菌は食中毒の原因の一つです。手洗いの徹底、嘔吐物などの適切な処理を心がけてください。
 伝染性紅斑の報告が南丹保健所管内12例あり、警報レベルに達しています。伝染性紅斑は、エリスロウイルス(ヒトパルボウイルス)B19というウイルスによる感染症です。主に小児が罹患し、りんご病とも呼ばれる所以となった特徴的な皮疹が両頬にみられ、他に四肢にも皮疹が出現します。潜伏期間は10〜20日で、症状出現後7〜10日ほどで改善します。一度かかると免疫ができますが、成人で抗体陰性が50%くらいあるといわれ、成人での感染も起こります。成人では症状がでないこともあり、また症状が出ても典型的な皮疹は出にくく関節痛の頻度が高くなることが特徴とされます。B19ウイルスに対するワクチンや抗ウイルス薬は無く、基本的に症状に応じて治療されます。免疫が低下している患者に対して免疫グロブリンを使う場合があります。妊婦の感染では、胎児水腫や流産を起こす場合があります。流行している時期には、妊娠初期や中期の方は、感冒様症状のある人に近寄らないようにしたり、手洗いを励行したりして注意してください
 その他、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、インフルエンザおよび手足口病の報告も少し増加しています。引き続きうがい・手洗いの励行をお願いします。
 レジオネラ症の報告が先週に続いて1件ありました。レジオネラは感染源となる水環境に対する衛生管理が予防に重要です。治療として、ペニシリン系やセフェム系は効果がなく、ニューキノロン系、マクロライド系、テトラサイクリン系などの抗菌薬を使用する必要があります。
 カルバペネム耐性腸内細菌感染症の報告が2件ありました。メロペネムなどのカルバペネム系薬剤及び広域β-ラクタム剤といった抗生剤に対して耐性を示す腸内細菌による感染症です。無症状で腸管等に保菌されることもありますが、多くは、肺炎などの呼吸器感染症、尿路感染症、手術部位や軟部組織の感染症、敗血症、髄膜炎、その他様々な感染症を引き起こし、しばしば、院内感染の原因となることが知られています。主に感染防御機能の低下した患者や外科手術後の患者、抗菌薬を長期にわたって使用している患者などで同感染症を起こす可能性が高くなります。また診断時年齢の報告では65歳以上の高齢者が多く占めています。
 今週も侵襲性肺炎球菌感染症の報告が2件ありました。侵襲性肺炎球菌感染症は、肺炎球菌による肺炎・髄膜炎や菌血症、敗血症といった重症の病態です。治療はペニシリン系抗菌薬が第一選択で、予防には肺炎球菌ワクチンの接種が有効です。

全数報告の感染症

分 類 報 告
1類感染症 報告がありません
2類感染症 結核が 1件 報告されました
3類感染症 腸管出血性大腸菌感染症が 1件 報告されました
4類感染症 レジオネラ症が 1件 報告されました
5類感染症 カルバペネム耐性腸内細菌感染症と侵襲性肺炎球菌感染症が それぞれ2件 報告されました

定点把握の対象となる5類感染症

■京都府及び全国での定点当りの報告数が多い上位5疾患

感染症名 定点当たりの報告数
京都府 全国
1 感染性胃腸炎 5.85 7.19
2 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 1.88 3.18
3 インフルエンザ 1.78 2.02
4 手足口病 1.12 1.06
5 伝染性紅斑 0.49 0.78

■基幹定点

マイコプラズマ肺炎が 1件、
感染性胃腸炎(ロタウイルス)が 5件 報告されました

■眼科定点

流行性角結膜炎が 3件 報告されました

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■京都府での定点当りの報告数が多い上位5疾患の推移

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今週の伝染性紅斑地図(京都府版)

地図
罹患数 定点当たり
丹後 - -
中丹西 - -
中丹東 4 0.80
南丹 12 2.40
乙訓 3 0.75
山城北 4 0.44
山城南 1 0.33
京都市 12 0.29
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