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京都府人権教育・啓発推進計画(第2次:改定版)令和5年度実施方針

第1 策定の趣旨

京都府では、人権という普遍的文化を構築することを目標に、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成12年法律第147号)に基づき、2016年(平成28年)1月に「京都府人権教育・啓発推進計画(第2次)(以下、「第2次推進計画」という。)」を策定した。その後、新型コロナウイルス感染症の拡大により、憶測によるデマや誤った情報の拡散、大学や個人への誹謗中傷、インターネット上での心ない書き込みなど、さまざまな事象が社会問題化したことから、2022年(令和3年)3月に「第2次推進計画」を改定したところである。

本実施方針は、人権に関する法律における地方公共団体の責務を踏まえ、第2次推進計画(改定版)に基づき、2023年度(令和5年度)の人権教育・啓発の取組を推進する上での重点事項を明らかにするため策定するものである。

第2 2022年(令和4年度)における人権をめぐる状況

2022年度(令和4年度)における国内外の制度規範等の動きを概観すると、2020年(令和2年)1月から続いている新型コロナウイルスの感染症の感染拡大に加え、2022年(令和4年)2月から続いているロシアによるウクライナ侵攻の影響により、全世界を瞬く間に社会・経済・人権・人道というあらゆる側面に大打撃を与える「人類の危機」に発展し、収束しない状況にある。そのような中で国連は、7月に『持続可能な開発目標(SDGs)報告2022』を発表した。報告では、この感染症や紛争により、さらなる貧困の増加、世界経済の悪化や難民の増加、また、特に若者や女性の間での世界の不安症・うつ病の罹患率の増加等、よりレジリエント(強靱)で平和的かつ公平な社会に向けた青写真であるSDGsのすべての目標達成が厳しいものになったとされている。

2022年(令和4年)には、国連総会にて「清潔で健康的かつ持続可能な環境への権利」を「人権」と認める決議が採択されたが、SDGs達成の歩みを軌道に戻すには、各国政府、都市、ビジネスと産業がパンデミックからの復興を利用することにより、炭素の排出を削減し、天然資源を保護し、より良い雇用を創出し、ジェンダー平等を推進し、拡大する不平等に対処する、低炭素でレジリエントかつ包摂的な発展の道を選ぶ必要があるとされている。

また、2022年(令和4年)12月には、国連総会で18年連続18回目となる北朝鮮人権状況決議が採択され、拉致問題を含む北朝鮮の組織的かつ広範で深刻な人権侵害を非難し、その終結が北朝鮮に強く要求されている。

国内においては、2020年(令和2年)10月に「ビジネスと人権に関する行動計画」が策定され、この行動計画の実施及び見直しのため関係府省庁間の連携を図る仕組みとして設置された関係府省庁連絡会議において、「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」(2022年(令和4年)9月 経済産業省策定)を日本政府のガイドラインとすることが決定された。

また、SNSの普及などにより、問題となっているインターネット上の誹謗中傷など重大な人権侵害に対して、被害者救済を図るための法律であるプロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律  平成13年法律第137号)が改正され、2022年(令和4年)10月に施行された。これにより、発信者を特定するための手続きの煩雑が緩和されるなど、発信者情報の開示が前進することとなった。

さらに、刑法の改正が2022年(令和4年)7月に施行、侮辱罪の法定刑が引上げられ、インターネット上の誹謗中傷に厳正に対処するとの法的評価が示された。

一方、人権をめぐる状況をみると、同和問題(部落差別)や女性、子ども、高齢者、障害のある人、外国人等の様々な人権問題が依然として存在している。更に、インターネット上での人権侵害、長時間労働・過労死など働き方や労働環境に関わる問題、自然災害が頻発する中で、災害弱者への情報保障を含む配慮や感染症対策を講じた避難所運営のあり方、LGBT等性的少数者が直面する困難などの新たな人権課題も顕在化している。

また、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中、これら社会的に立場の弱い人々への影響が懸念される。

こうした中で、下表のとおり、人権に関わる多くの法律が成立又は施行されている。こうした法律に基づき、人権が尊重される社会の実現が一層図られるとともに、改めて、一人ひとりの尊厳と人権の大切さを、社会全体で共有していくことが強く求められている。

2022年度(令和4年度)に成立・施行された法律

法律の名称 主な内容 備考

児童福祉法の一部を改正する法律

市町村におけるこども家庭センターの設置

R4.6.15公布

R6.4.1施行(予定)

民法の一部を改正する法律

成人となる年齢を18歳に引き下げ

H30年6月20日公布

R4.4.1施行

こども家庭庁設置法

内閣府の外局として、こども家庭庁を設置

R4.6.22公布

R5.4.1施行(予定)

こども基本法

支援の総合的・一体的提供の体制整備

・こども政策推進会議の設置

R4.6.22公布

R5.4.1施行(予定)

 

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の一部を改正する法律

女性の活躍に関する情報公表項目を追加

R4.7.8公布

公布日施行

困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(議員立法)

女性相談支援センターの設置

多様な支援を包括的に提供する体制を整備

R4.5.25公布

R6.4.1施行(予定)

障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律

(議員立法)

国や地方公共団体に対し、障害者からの相談対応に当たっての配慮

・障害者に対し、障害の種類・程度に応じて情報提供することを配慮 等

R4.5.25公布

公布日施行

刑法の一部を改正する法律

拘禁刑の創設

刑の執行猶予制度の拡充

・侮辱罪の法定刑の引上げ

R4.6.17公布

R4.7.7施行

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律

 

・開示請求の範囲の見直し

・新たな裁判手続き(非訟手続き)の創設

 

R3.4.28公布

R4.10.1施行

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律の一部を改正する法律

パワハラ防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることの事業主の義務化(R4.4より中小企業へ適用)

R元.6.5公布

R4.4.1施行

個人情報保護法の一部を改正する法律

・個人データについて、利用停止や消去等を請求する場合の対象要件が緩和

・第三者提供記録についての開示請求が可能

R2.6.12公布

R4.4.1施行

 

京都府では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や国際情勢の大きな変化など、歴史的とも言える社会の大きな転換点を迎えている中で、2022年(令和4年)12月に府政運営の指針である「京都府総合計画」を1年前倒しで改定し、20年後に実現したい京都府の将来像の一つとして「人と地域の絆を大切にする共生の京都府」を掲げ、一人ひとりの尊厳と人権が尊重され、性別にかかわらず、子どもも高齢者も障害のある人も、外国人も、全ての人が地域で「守られている」「包み込まれている」と感じ、誰もが持つ能力を発揮し、生涯現役で活躍することのできる共生の社会づくりの実現に向け、いわゆる人権三法(障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消法、部落差別解消法)等や「第2次推進計画(改定版)」に基づき、国内外の状況も踏まえながら、関係機関や関係団体等とも連携して、人権問題の解決に向けた施策を推進することとしている。

また、社会全体で全ての子ども達を虐待から守るため、2022年(令和4年)4月に「京都府子どもを虐待から守る条例」を施行し、条例を起点にして、行政、府民、関係機関等が一体となって、虐待の未然防止、早期発見・早期対応、再発防止、自立支援の取組を推進している。

さらに、2023年(令和5年)3月には「京都府犯罪被害者等支援条例」を制定し、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営む助けとなるよう、社会全体で犯罪被害者等を支え、ともに寄り添うきめ細やかな支援の充実を図ることとしている。

そのほか、2022年(令和4年)4月には「京都府ヤングケアラー総合支援センター」を設置し、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話までを日常的に行っているヤングケアラーへの相談支援等を行っている。

同和問題(部落差別)や障害のある人、外国人などの各種人権問題に係る府民啓発の取組としては、新聞、ラジオ等の広報媒体や府政広報誌「きょうと府民だより」を通じた取組を進めた他、感染症対策を講じつつ、「京都ヒューマンフェスタ」では、「認め合う、あなたとわたしの大切さ。」をテーマに性の多様性に関するパネルディスカッションを実施したほか、国や人権擁護機関等、人権問題に取り組むNPOの活動紹介などを実施した。人権フォーラムにおいては、「ジェンダーギャップはなぜ起こるのか」をテーマにトークショー及びパネルディスカッションを実施し、ラジオ中継放送を活用して、「持続可能な開発目標(SDGs)」に掲げられた「ジェンダー平等」について府内全域に情報を発信した。このような様々な啓発の取組を実施し、府民が人権問題を「自分のこと」として捉え、主体的な行動につなげる機会としたところである。

さらに、同和問題(部落差別)など様々な人権問題をテーマとした動画を作成、人権ナビに研修用動画として掲載し、府・市町村・教育委員会職員や関係団体などに幅広く活用いただき、人権について考えるきっかけを得られるよう取り組んでいる。

第3 2023年度(令和5年度)実施方針

京都府では、「一人ひとりの尊厳と人権が尊重され、だれもが自分らしく生き、参画することのできる社会」の実現に向けて、人権という普遍的文化を構築するため、一人ひとりがお互いの個性や価値観の違いを認め、支え合い、だれもがいきいきと地域で生活できる「共生社会」を実現するための施策を推進している。

一方で、今日、少子高齢化や情報化、国際化が進み、家族の形態も含め社会の多様化が進展する中で、地域の力が低下していることや、様々な格差の問題、孤立社会といわれる無関心時代の到来も指摘されている。また、差別や貧困などの困難に直面している人々に対して、そうした困難への直面が本人の責任であり、また、その解消に向けた施策についても優遇であり不公平であるとするなど、他人を排斥する不寛容な言説が目立つ時代になってきている。

人権教育・啓発を進める上では、府民一人ひとりが人権尊重の理念に関する理解を深めることによって、自分の人権とともに他人の人権を守るという意識を身につけ、社会的に弱い立場におかれた当事者が、自身の権利を学び、権利の実現を要求する力を高めていくという視点と、誰もが差別・排除の対象とされることなく社会参加ができるようにしていくという視点が重要である。令和5年度の人権教育・啓発を行うに当たってはこの点をしっかりと認識し、様々な人権課題について、一人ひとりが自分の問題と認識していけるようにするとともに、異なる文化や価値観を認め合う意識を醸成していけるよう、創意工夫した教育・啓発に取り組む。

また、国や市町村などの関係機関や、NPO等民間団体と連携を図り、人権問題が複雑・多様化し、その要因が複合化している状況はもとより、学校、地域社会といった現場の状況、様々に手法を変えながら差別を助長・拡散させる書込等が見られるインターネットの状況等をしっかりと踏まえ、偏見や差別等による深刻な権利侵害はもとより、生きづらさを抱えた人々に係る様々な人権問題に対応していく。「京都府総合計画」においても触れている、様々な人権問題の解決に向けた取組の着実な推進を図り、府民が人権について学び、交流できる機会の拡充や相談体制の充実、ユニバーサルデザインによるまちづくり等を推進する。

なお、府民調査の結果から、「人権三法」に関わる領域への関心度は、「障害のある人」「外国人」「被差別部落出身者」の順に9割~7割程度と関心が高かったものの、「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消法」いずれも、一部でも法律の内容など知っていると答えた割合は2割前後に留まっており、「人権三法」の周知をより一層図るとともに、引き続き、相談体制の充実と、府民が人権について学び、交流できる機会の拡充を推進する他、公務員、教職員等の人権に特に関係する職業従事者の研修に取り組む。

さらに、新型コロナウイルス感染症については、3年に及ぶ闘いが日常生活に近づく大きな転換点を迎えているが、児童虐待や自殺の増加、DV、非正規雇用女性の就労問題など、社会的に弱い立場の方への影響が深刻化している状況に対して支援の充実を図る。

1 各人権問題に係る取組

同和問題

  • 部落差別解消法の理念を踏まえ、同和問題(部落差別)に対する正しい理解と認識を深めることによって偏見や差別意識を解消することができるよう、今一度、学校、家庭、地域社会等における人権教育・啓発の充実や、住民相互の交流を通じた地域づくりを推進するとともに、国や市町村とも連携を図って相談体制を充実
  • 隣保館が福祉の向上や人権教育・啓発の住民交流の拠点や災害時の避難所として頼られ、活用されるよう、市町村、地元NPO等との連携やSNSの活用などによる、一層利用しやすい相談体制等の整備・充実を支援するとともに、各地域のニーズを的確に把握して取組を推進

女性

  • 「マザーズジョブカフェ」における働きながら子育てをする女性やひとり親家庭の方などのニーズに応じた就業・保育支援、「輝く女性応援京都会議」における経済団体等と連携した積極的な人材育成や登用、「働き方改革」を推進するとともに、女性リーダーの育成など地域で女性が活躍できる環境整備を推進
  • DV、ストーカー、性暴力等、女性に対するあらゆる暴力の根絶に向けた取組、適切な被害者支援を実施するとともに、被害者支援の一環としてDV加害者を対象とした更生のための取組を実施
  • 企業の管理職等への研修などを通したハラスメント防止、相談や被害者支援を推進
  • 男女共同参画社会の推進に向けた取組として、コロナ禍により複合化する女性の困難や課題に対応するため、「京都ウィメンズベース」「マザーズジョブカフェ」「京都府男女共同参画センター」の3拠点を京都テルサに集約し、女性へのワンストップ支援を強化
  • 災害等非常時において、女性と男性が災害から受ける影響の違いなどが十分に配慮され、女性が抱える課題や困難等に対応できるように、男女共同参画の視点による避難所運営等が可能となる避難所設営体験講座や防災教材を活用したワークショップを開催する等地域におけるネットワークづくりを推進

子ども

  • 虐待の未然防止、被虐待児童の保護、心理的ケア等、子どもが安心・安全に暮らすための取組を強化
  • いじめ、暴力行為、ヤングケアラー(※)、児童ポルノ等について、未然防止及び支援・相談・指導体制を強化するとともに、学校・家庭・地域社会・関係機関が連携して取組を推進。また、不登校の子ども一人ひとりの多様な課題に対応した切れ目のない組織的な支援の推進

ヤングケアラー:家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子ども

  • 学校と福祉関係機関等が連携・協働し、「第2次京都府子どもの貧困対策推進計画」に基づく総合的な取組を推進
  • 子どもが保護の対象であると同時に権利行使の主体であるという視点に立った取組を推進
  • ヤングケアラーについて、認知度向上に向けた当事者や社会全体への広報啓発や、相談を支援につなげるための仕組みづくりを推進

高齢者

  • 医療、介護、介護予防、住まい及び日常生活の支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」を一層推進
  • 虐待を受けた高齢者の保護、判断能力が不十分な高齢者の権利擁護及び擁護者支援
  • 家族介護者への支援や介護負担の軽減等の取組を推進
  • 雇用・就業機会の確保など、意欲や経験・能力を持った高齢者の社会参加を支援
  • 誰もが安心して暮らせるユニバーサルデザインによるまちづくりの推進

障害のある人

  • 「京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例」に基づき、障害のある人が社会・経済・文化の各分野で平等に参加、活動できる社会を実現するため、社会的障壁の除去のための合理的な配慮の実践、雇用及び就労の促進、文化芸術・スポーツの振興等を推進
  • 精神障害のある人が地域で暮らせる環境を整備するため、精神障害にも対応した「地域包括ケアシステム」の構築を推進
  • 虐待を受けた人の保護・自立支援、養護者・家族介護者への支援、介護負担軽減等の取組を推進
  • 障害及び障害のある人に対する理解の促進、ふれあいや交流の場づくり、住宅の確保に向けた取組等、「共生社会」の一員として、障害のある人の社会参加に向けた取組を推進
  • 「言語としての手話の普及を進めるとともに聞こえに障害のある人とない人とが支え合う社会づくり条例」に基づき、手話を言語として広めるとともに、障害の特性に応じたコミュニケーション方法を選択できる環境づくりを推進
  • 誰もが安心して暮らせるユニバーサルデザインによるまちづくりの推進
  • 旧優生保護法に基づく優生手術を受けた方が、着実に一時金の支給を受けられるよう、周知・支援を実施

外国人

  • ヘイトスピーチ解消法の理念を踏まえ、多文化共生社会の実現に向け、特に、人を排斥し、誹謗中傷するような行為は許されないという人権意識や、外国籍府民等への正しい理解と認識の浸透を図るため、学校、家庭、地域社会等における人権教育・啓発を推進するとともに、国や市町村とも連携を図って相談体制を充実
  • 外国籍府民を対象とした生活相談窓口の充実、日本語教育の体制強化
  • 各種懇談会への参加等、地域づくりに係る取組への外国籍府民等の参画等を促進
  • (公財)京都府国際センターと関係機関の連携による災害時支援体制の構築を推進
  • 学校において、国籍を問わず、文化的言語的に多様な背景をもつ児童生徒の個々の状況に応じた指導や支援等を実施

ハンセン病・エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)・HIV感染症・難病患者等

  • 患者が適切な医療を受けられるよう、療養環境の整備や、公的な相談体制の整備等を通じた医療機関等との信頼関係の構築や回復を図るための取組を推進
  • ハンセン病問題基本法や2019年(令和元年)の熊本地裁のハンセン病家族訴訟の判決に基づき、ハンセン病元患者やその家族に対する偏見や差別を一刻も早く解消するための啓発を推進
  • HIV感染者に対する偏見や差別の解消や、不当な扱いを受けないための啓発を推進
  • 難病に対する誤解や偏見から生じる人権侵害を防止するための正しい知識の普及・啓発を推進

犯罪被害者等

  • 犯罪等発生直後の直接支援、精神的被害の軽減や早期回復支援等の初期的支援の充実
  • 新たに制定した「京都府犯罪被害者等支援条例」及び国の第4次犯罪被害者等基本計画を踏まえながら、行政、警察、関係機関、民間支援団体が一体となって支援を実施する体制の構築と犯罪被害者の状況に応じたきめ細やかなで途切れのない支援の実施
  • 民間支援団体への援助と連携の推進
  • 犯罪被害者等が置かれた状況や支援について府民理解の促進や被害を受けた方が支援の求めをしやすい環境を醸成するための広報啓発

さまざまな人権問題

  • ホームレスが自立した生活ができるよう、法に基づく自立支援等に関する施策を総合的に推進
  • LGBT等性的少数者の人々がSOGI(性的指向と性自認)を理由に生活の中で抱える困難や生きづらさへの理解と認識を広げるための教育・啓発等の推進及び児童生徒に対するきめ細かな対応の実施並びに相談体制の充実
  • 刑を終えて出所した人が孤立することなく、府民の理解と協力を得て、再び社会を構成する一員となることができるよう、啓発等の再犯防止施策を推進
  • アイヌの人々、婚外子、識字問題に対する啓発等を推進
  • 北朝鮮当局による拉致問題への府民の関心と認識を深めるため、国や市町村と連携して啓発等を推進

社会情勢の変化等により顕在化している人権にかかわる課題

  • コロナ禍の影響がなお残る中、児童虐待や自殺の増加、DV、非正規雇用女性の就労問題など、社会的に弱い立場の方への影響が深刻化している状況に対する支援の充実
  • 情報モラルとメディアリテラシー(流通する情報を活用する能力)の向上、個人の名誉等の人権に関する正しい理解と認識を広め、府民が安心してインターネットを利用できるよう教育・啓発を推進。人権を侵害する悪質な情報の流布・発信等に対しては、大学等との連携による自動検出システム及び目視チェックによるインターネットモニタリングの取組強化と市町村内で日々起こる様々な出来事に関連して発生する人権上問題のある書き込みについて、市町村がその時々にモニタリングできるよう支援及び市町村と連携した法務局等への削除要請体制の強化。要請によっても削除に至らないケースについては、より効果的な対応を検討
  • 国が行う個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づく個人情報保護制度の啓発などに協力するほか、同法の適正な運用による個人の権利利益の保護を図るとともにマイナンバー制度運用に当たっての厳格な取扱を実施。また、個人情報(とりわけセンシティブ情報(※))を収集し、又は利用し、若しくは提供する場合における法令上の制限や責任・モラルについて府職員に対する研修を実施し、教育・啓発を推進

センシティブ情報:思想、信条及び信教に関する個人情報、個人の特質を規定する身体に関する個人情報並びに社会的差別の原因となるおそれのある個人情報

  • 身元調査の問題に対する啓発を推進。また、「本人通知制度」の周知、登録者の拡大に向けた市町村への支援
  • ワ―ク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現に向けた働き方の見直しや育児・介護との両立支援、働きやすい職場環境の推進
  • 職場でのハラスメント防止のための意識啓発、職場環境の改善に向けた支援
  • 長時間・過重労働など違法な働き方を強いる企業に対するコンプライアンス(法令遵守)の徹底、労働教育の充実と労働関係法の周知・啓発
  • 「京都府自殺対策に関する条例」に基づく総合的な自殺対策の推進
  • ゲートキーパー(※)などの人材の確保・養成、府民の理解促進、自殺予防の取組の推進、相談・支援体制の充実、自殺未遂者や自殺者の親族等に対する適切な支援の実施

ゲートキーパー:死にたいほど深刻な悩みを抱えている人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る人

  • 災害弱者(外国籍府民や障害のある方、高齢者等)への情報保障やWITHコロナ社会における避難所の分散化や環境整備、多様な視点に立った運営の取組

2 人権教育・啓発に係る取組

あらゆる場を通じた人権教育・啓発の推進

(1)保育所・幼稚園・認定こども園
  • 家庭や地域と連携して、乳幼児が健全な心身の発達を図り、人権尊重の精神の芽生えをはぐくむことができるよう、保育・教育活動を推進
  • 研修を通した職員の認識の深化、指導力の向上
(2)学校
  • 児童生徒の実態を的確に把握して、基礎学力の定着と希望進路の実現を図り、一人ひとりを大切にした教育を推進
  • 教職員がスクールカウンセラーやまなび・生活アドバイザー等と協働し、子どもの人権を巡る実態に適切に対応
  • 時代の変化に的確に対応した教材を作成し、さまざまな人権問題に対する児童生徒の理解と認識を深めるとともに、小学校・中学校・高等学校を見通した体系的な人権学習を充実
  • 学校での研究実践成果の波及、優れた実践の学校間での共有
  • 児童生徒が主体的に活動する機会や、自己有用感を高めるための多様な体験活動の充実
  • いじめの未然防止・早期発見・早期対応、体罰根絶に向けた取組により、人権尊重の精神に立った学校づくりを推進
  • 新型コロナウイルス感染症に関する適切な知識を基に、感染症に係る偏見、いじめ、差別等、特にマスク着用の有無によるものが生じないように、児童生徒の発達段階に応じて適切に指導
(3)地域社会
  • 公民館、隣保館等を拠点とした多様な学習機会の提供を支援
  • 社会教育関係指導者の資質向上を図る研修の充実
  • 生涯学習の視点に立った人権学習の充実のための視聴覚ライブラリーや参加型学習を取り入れた学習資料の活用
  • 学校教育と連携した多様な体験活動の機会の充実
  • 社会情勢の変化等により顕在化している人権にかかわる課題に対する意識の向上につなげる研修の実施
(4)家庭
  • 社会教育関係職員等への研修等による資質向上
  • 保護者自身が学ぶための学習機会の充実・情報の提供、交流・相談できるネットワークづくりによる家庭教育の支援
  • 家庭支援総合センターや児童相談所等の専門性を生かした学校や市町村等との連携の強化による相談活動機能の充実
(5)企業・職場
  • 「ビジネスと人権」に関する国内行動計画を踏まえ、人権が尊重される企業づくりや就労環境の整備、個人情報の適正な管理、人権に配慮した企業活動など、企業の社会的責任を果たす取組が推進されるよう人権教育・啓発を充実
  • 企業・職場での人権侵害防止、能力・適性のみを基準とした公正な採用選考の徹底、企業内人権啓発推進員の設置促進、企業・職場における人権意識高揚の取組を支援

人権に特に関係する職業従事者に対する研修等の推進

 

(1)教職員・社会教育関係職員

〔教職員〕

  • 「人権教育に関する教職員の意識調査」の結果を踏まえ、自ら研究と修養に努めるとともに、各学校や京都府総合教育センター等における研修を活用し、「京都府教員等の資質能力の向上に関する指標」中の観点「人権」に示された資質・能力を確実に習得するよう取組を推進
  • 同和教育の中で積み上げられてきた成果と手法への評価を踏まえ、その継承と発展を図るとともに、同和問題(部落差別)を人権問題の重要な柱として、人権尊重の意識・態度・実践力を育成
  • いじめの未然防止・早期発見・早期対応や体罰根絶のための認識の深化、組織的に教育活動に取り組む研修の充実及び実践
  • 児童虐待やヤングケアラーの早期発見と関係機関との情報共有等の対応を組織的に行うことができる研修の充実及び実践
  • まなび・生活アドバイザー等の専門家との協働等による教職員の資質向上
  • 私立学校や大学等の教職員に対し、同和問題をはじめとする人権についてのさらなる意識高揚の要請や、人権教育などの研修等の実施

〔社会教育関係職員〕

  • 地域社会における人権教育に関する認識の深化と、専門性を備えた指導者として資質向上を図るための研修等の実施
(2)医療関係者
  • 医療従事者を養成する学校等や医療関係団体に対し、人権教育・啓発の充実の指導・要請
  • 京都府医療安全支援センターによる人権に配慮した対応の指導等の実施
(3)保健福祉関係者
  • 施設等での虐待事案の状況等も踏まえた人権研修の実施。また、市町村や関係団体等における人権研修の充実を支援
  • 保健福祉関係職員を育成する学校等や研修機関に対する人権教育・研修の充実の働きかけの実施
(4)消防職員
  • 府立消防学校の課程における人権に関する講義を通じた正しい知識の修得
  • 被災者や患者の人権尊重、プライバシーの保護等、人権意識高揚に向けた教育の充実
(5)警察職員
  • 職場や警察学校における各種教養などの機会に人権意識を高めるための教育を充実
  • 被疑者、被留置者、被害者等の人権への配意に重点をおいた教育訓練の充実
(6)公務員

〔府職員〕

  • 府民啓発の主体者として、人権尊重に配慮した諸施策が実施されるよう、職務に応じた人権研修を推進するとともに、職場研修や自己啓発を支援

〔市町村職員〕

  • 指導者養成研修会等の実施、各種情報提供等により、人権意識の高揚を支援
(7)メディア関係者等
  • 府民に対して人権尊重の働きかけを積極的に行うよう、メディア関係者や情報発信者への要請に努め、常に人権に配慮した報道や情報発信等が行われるよう促す

指導者の養成

  • 指導者養成の研修を創意工夫し、また、継続的な情報提供等によりその活動を支援

人権教育・啓発資料等の整備

  • 専門的な研究や、実践的な学習活動の成果を踏まえ、対象者の習熟度や発達の段階に応じた効果的な啓発資料・学習教材等を開発

効果的な手法による人権教育・啓発の実施

  • 幼児から高齢者まで、生涯学習の視点に立ち、対象者に合わせた教育・啓発の実施
  • 発達の段階や地域の実情等に応じて学校教育と社会教育が連携
  • 憲法週間(5月)、人権強調月間(8月)、人権週間(12月)の取組等による社会的気運の醸成
  • 身近なテーマ設定や幅広い層が主体的に参加できるコンクール等、手法を工夫した人権啓発の実施
  • 人権情報ポータルサイト「京都人権ナビ」において、WITHコロナ社会におけるリモート研修等に活用できる人権研修用動画や資料の提供
  • 人権啓発イメージソングや「京都人権ナビ」を活用した動画コンテンツを人権教育・啓発に触れる機会の少ない府民に対する多様な教育・啓発を推進

調査・研究成果の活用

  • (公財)世界人権問題研究センター等による最新の調査・研究成果を活用し、質の高い、最新の知識の普及
  • 人権尊重の理念を現実社会で実践していくための方法論等の研究が推進されるよう研究機関に要請

相談機関相互の連携・充実

  • 府民が身近に相談でき、迅速・的確な対応から救済につながるよう、様々な相談機関等によるネットワークを強化し、連携強化や情報交換、相談機能の向上等を目的とした研修等を充実
  • 様々なメディアを活用した相談機関等の一層の周知

お問い合わせ

文化生活部人権啓発推進室

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4268

jinken@pref.kyoto.lg.jp