第1回「配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護・自立支援に関する計画」(改定版)検討委員会開催結果について(報告)
1 日時
平成20年6月6日(金曜日)午後1時~午後3時
2 場所
京都府庁1号館 第1会議室
3 出席委員
中村委員、桐野委員、石神委員、井上委員、大島委員、岡本委員、芹澤委員、西村委員、平井委員、藤田委員、宮井委員
4 議事
(1)報告
- 「配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護・自立支援に関する計画」に係る取組状況について
- 京都府におけるDV相談等の現状について
- 改正DV法及び国基本方針について
- 「配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護・自立支援に関する計画」(改定版)の検討について
(2)質疑応答、意見交換(各委員主な意見等)
- 男性からの相談や家族間DVが増えている。中高年の息子から被害を受けた母親からの相談について、婦人相談所は65歳までという年齢制限や所得制限があって受け入れてもらえない。かといって高齢者施設でも引き受けてもらえない。また、妻から被害を受けた男性からの相談や妻が出ていって子どもの養育に支障をきたしているような父子家庭についても配慮が必要ではないか。
- 婦人相談所の入所に年齢制限や所得制限は設けていない。息子から暴力を受けた母親となると高齢の方が多くなるが、身体的な機能や共同生活が可能かどうかという観点から判断。また、施設が古いため、高齢、身障者の方の入居については難しい部分もある。
- DV相談に関しては配偶者間の暴力に着目しており、女性に限定はしていない。一時保護については男性を保護するまでいっていない。
- 世代間連鎖の問題をなんとかしなければならない。暴力を振るう夫や振るわれている妻が、小さい頃DV家庭で育ったなどの例が多い。DV被害を受けてPTSDを発症しているこどものセラピー等を継続してやっていかないと連鎖は止められない。DVの目撃が児童虐待だというところからも児童相談所と連携してユニークな取り組みができればよい。
- 一時保護の退所先で「帰宅」の率がいちばん多いが、DV夫の所に戻ったということか。本人の意思尊重というがカウンセラーから見ると、自己決定を2週間~1ヶ月ですること自体が無理。家に戻ってもまた出る人が多く、入退所を繰り返すほど心理的なダメージが大きい。きちんと自己決定ができるようなシステムを作っていくべき。
- 計画に予防・啓発、被害者支援はあるが、加害者に対する対策がないのはなぜか。父母の離婚後、子どもがいれば、養育費や子への面会などにより、DV加害者と被害者との関係は継続する。加害者が暴力を自覚していない限り、子どもにもDV加害者に会わせられない。加害者が立ち直るための支援はできないのか。
- 両親や義父から家庭内暴力を受けている女性が婦人相談所の入所を断られ、シェルターに入っているが、婦相は家庭内暴力の人はいれてもらえないのか。
- シェルターの運営については行政からの支援も必要ではないか。
- 相談に来る人の自立に対する考え方として、自立する気持ちがなく行き詰まり、相談に来る人、自立したいがDVなどによりできない人の二通りがある。自立することを教えることが必要なのか、自立したい気持ちを支援するのか、自分の答えが聞けそうな相談先が選択できればよい。また、北部・南部の地域性についても、南部はけっこうオープンだが、北部ではそうではない。できるだけ人に知られないようにしたいという思いがある。
- 京都府の取組でレディース110番の件数が少ないのは知られていないからか。また、グループワークは、府がやっているカウンセリングが1件、2件ということか。
- レディース110番は主として性犯罪の被害の方のための相談電話。強姦などの被害に遭われた方の相談件数はあるが、DVに関してはこの件数。
- 国の法律がかわり、基本計画の策定と支援センターの設置が市町村の努力義務となり、財政的に余裕がない中、府と市の役割分担が必要。国の基本方針では都道府県の役割としては広域的な施策となっている。1.他の自治体から入ってこられた被害者2.土・日・祝日・夜間等の対応3.男性被害者に対する対応などを視野に入れていただきたい。
- 自立支援の観点からいうと、婦人相談所一時保護退所後の生活の建て直しの場として、婦人保護施設もあるので、母子生活支援施設と併せて検討していただきたい。
- 改定にあたりDV被害者の自立支援の充実は検討されたい。
- DVの問題は、たとえば「児童虐待とDV」など、家庭内の問題、ファミリーバイオレンス (FV)としてとらえる必要がある。家庭支援総合センターのような方向はすばらしい。総合的に取り組める窓口を作るなど、今後模索していけるようなプランができたらよい。
- 母子生活支援施設の入所者は減少している。もう少し入所できる方法が増えれば、被害者がゆっくり考える時間ができる。母子生活支援施設全体の入所相談の件数も減ってきているが、その背景には都道府県、市町村の財政上の問題もある。
- 虐待の加害者に対するプログラムとDV加害者に対するプログラムは似てくると思うので、児童虐待ともっとリンクして連携しなければいけない。
- DV以外にも一時保護委託ができるので基準をもっと明確にする必要がある。財源的裏付けが必要だが、必要な人が必要な保護を受けられるよう、民間シェルターや母子生活支援施設が機能を委託されるとやりやすくなる。
- 正確な情報を府民や市民にどう伝えていくかが大事。
- 被害者にあまり自立を強いるのはゆがんだ結果になる。支援者がもってしまいがちな誤りだが、自立指導になってはいけない。
- 自立支援のプログラムで、公ができること、民間ネットワークができることを整理すべき。
- 被害に遭われた方の立ち直りのプロセスから、そこに心理的、経済的、法的などどんな支援が効果的か検証しないといけない。一時保護が毎年120前後あるが、DVはいろいろな背景があり、多様な被害のあり方をするので、速報値だけでは見えてこない。もう少し現状把握も必要。「DV」「虐待」といっても多様であるが、あるパターンをもっている。相談件数が毎年データとして蓄積されているので、そこを類型化すれば、どんな自立の援助が必要なのか、虐待との連鎖などいろいろ見えてくるものが多いと思う。婦人相談所のデータを効果的にフィードバックしてもらえれば、新たに調査をしなくてもよい。ケーススタディとして、多面的にやりたい。
- 加害者対策については前回も議論はしたが、自治体レベルで何ができるのか、どの自治体の基本計画でも論点になっており、現計画には明記していない。今回も議論すればよい。世代間連鎖等つながりの中で、論点として柱だてしておいてもらいたい。
- 大阪市の児童相談所と一緒に「子どものための家族再統合支援事業」の中で、虐待親面談、加害親指導をしており、そんなことも計画に入れられればと思う。
計画期間について
- 平成21年度から5年間ということで一旦仮説的において議論。必要があれば見直すということでどうか。
- 家庭支援総合センターが22年度に開設、23年度でまた見直しとなると厳しいと思うので5年間でいいのでは。