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令和2年度京都府高齢者サービス総合調整推進会議(令和2年11月13日開催)の開催概要

1.開催日時

令和2年11月13日(金曜日)午後2時~4時

2.場所

京都経済センター6階会議室6-C・6-D

3.出席者

出席委員(23名)・オブザーバー

西村 周三 会長(京都先端科学大学 経済経営学部経済学科 経済経営学部長 教授)
空閑 浩人 会長代理(同志社大学 社会学部社会福祉学科教授)
山脇 正永 委員(京都府立医科大学 大学院医学研究科 総合医療・医学教育学教授)
北川  靖 委員(一般社団法人京都府医師会副会長)
北村 泰子 委員(一般社団法人京都府歯科医師会常務理事)
楠本 正明  委員(一般社団法人京都府薬剤師会副会長)
中島 すま子 委員(公益社団法人京都府看護協会会長)
井上 基 委員(公益社団法人京都府介護支援専門員会会長)
荻野 修一 委員(一般社団法人京都府老人福祉施設協議会会長)
宇都宮 将征 委員(一般社団法人京都府介護老人保健施設協会理事)
清水  紘 委員(京都府慢性期医療協会会長)
藤田 一彦 委員(社会福祉法人京都府社会福祉協議会副会長)
久野 成人 委員(一般社団法人京都私立病院協会副会長)
齋藤 嘉子 委員(一般社団法人京都府作業療法士会事務局福利部制度対策委員会委員)
木村  奈緒 委員(一般社団法人京都府言語聴覚士会副会長)
内山 貴美子 委員(公益財団法人京都SKYセンター高齢者情報相談センター所長)
西村 惠美子 委員(京都府連合婦人会事務局長)
大西 幹子 委員(日本労働組合総連合会京都府連合会支部女性委員会事務局次長)
内藤 雅子 委員(一般社団法人京都ボランティア協会事務局長)
荒牧 敦子 委員(公益社団法人認知症の人と家族の会京都府支部代表)
田村 雅之 委員(京都府市長会(福知山市福祉保健部長))
北 広光 委員(京都府町村会(和束町福祉課長))
渡辺 隆 委員(京都府後期高齢者医療広域連合副広域連合長 事務局長事務取扱)
田中 超 オブザーバー(京都市保健福祉局健康長寿のまち・京都推進室介護ケア推進課長)

欠席委員(3名)
麻田 博之 委員(一般社団法人京都府理学療法士会会長)
福本 淳子 委員(一般財団法人京都府老人クラブ連合会副会長)
髙城 順一 委員(京都府国民健康保険団体連合会副理事長兼常務理事)

4.内容

(1)報告事項

1.第2回会議議事録

2.京都府保健医療計画の見直しの状況

(2)協議事項

1.第9次京都府高齢者健康福祉計画中間案

<質疑・意見交換>

◆協議事項

1.第9次京都府高齢者健康福祉計画中間案

○計画全体の中にコロナという言葉が出てこないが、これは高齢者の計画であり、新型コロナ感染症は高齢者に非常に影響を与えている。各論でそれぞれ書くのはかなり難しいため、例えば計画の趣旨の部分や、基本的な政策目標と重点課題、改定にあたっての視点のところあたりに、コロナ感染症の捉え方、地域包括ケアへ与える影響、そういう視点を総論的に少し問題点として捉えている、あるいは考えていく、ということを入れるべきではないか。保健医療計画でコロナ対策についてうたわれているが、その計画との連携という視点や表現の仕方はどうか。

○最初の「基本的な政策目標」に「安心して暮らせる社会」という言葉がある。こういった計画策定は、「安心」という観点も大事で、当時者・ご家族・介護の仕事をされている方々がいろいろな不安がある中、府としてコロナをちゃんと視野に入れながら計画を策定し、推進していくという方針を示してもらえると安心かと思うので、今のご意見に賛成。

○私もご意見に非常に賛成で、COVIDあるいはコロナに関しては言及が必要と考える。タイムラインからすると、計画は2021年度からになるので、2020年度中にどこまでコロナ、ポストコロナがみえてくるかという課題もあり、コロナの後遺症という問題も出てくるかもしれない。また、今後新たな感染症が出てくる可能性があるので、新興感染症という表現で包括できるのではないか。

(事務局)各委員からご意見を頂戴したとおり、新型コロナウイルスの影響は医療、介護、福祉において大変大きなものがあり、また、今後来るかもしれない新興感染症に備えるという意味でも感染症対策は重要になってくるので、書きぶり等については事務局で案を検討し、お諮りさせていただきたい。政策目標と重点事項の部分で書き込んでまいりたい。

○第6章「認知症総合対策の推進」で、認知症サポーターやキャラバンメイトという言葉もずいぶん前から出てきて、京都府でもかなりの人数が養成されていると思うが、その方たちがどのように活動しているのかが今になっても見えてこない。力を入れて取り組んでおられる自治体は京都府下にもたくさんあると思うが、そのような先進的な取組を1つの事例として出しながら、そういった取組を京都府全体に広げたらいい、ということも具体的にわかるように書いてほしい。また、認知症本人による相談や支え合い活動、ピアサポートという言葉もあるが、現在のコロナ禍において、顔を合わせて活動することがかなり困難な状況がある。これから先、どの時点で以前の活動に戻していいのかという判断を自分たちだけでしていかないといけないというのが、すごく難しいので、再開にあたっての指針のようなことを書いていただけないか。

(事務局)認知症サポーターについて、認知症への理解を深めていただくということで、すでに講座を受講していただいた方は府内で約28万人おられる。ただし、理解はしていただいていても、実際にサポート活動に参加をしていただくという点でみると、まだまだ取組が進んでいない状況。府内の事例で言うと、認知症の当事者の方に茶摘み体験をしていただき、そういった野外の活動にサポーターの方も一緒に参加していただくなど、それぞれの地域で工夫して取り組んでいただいている事例があるので、そういうものを共有・普及しながら活動を進めていきたいと考えている。また、国の施策になるが、「チームオレンジ」という名称で、サポーターの方にさらに研修を受けていただき、同行支援や身近な生活のサポートといったことに携わっていただく方を増やしていこうという取組も立ち上げられており、そういった取組についても今後進めてまいりたい。認知症カフェにとどまらず、例えば体操の場などの集いの場についても、もしお互いに感染させてしまったらという懸念から、再開に二の足を踏んでおられるところはまだまだ多いとお聞きしている。試行的に、タブレットを使ってリモートで認知症カフェを開催された例もお聞きしており、ご家族の方々やご本人もコミュニケーションがとれてよかったと聞いているので、こういった事例も参考にしながら、今後取組を進めてまいりたい。

○第7章「総合リハビリテーションの推進」について2点質問。1つ目が、訪問リハビリテーション事業所の整備促進という点。今の介護保険でリハビリができるサービスがなかなか少なく、デイサービスでも最近はいろいろなリハビリの機械を入れておられるが、どういった施設やサービスを想定しておられるのか。もう1点が、先進的リハ治療・機器の普及促進について。例えば訪問リハビリテーションでの導入は、訪問という形態は利用者の家に行くので難しく、どういう形で拡充する予定か。こういう機械をどういう施設にどう取り入れていくのか、何か具体的な考えがあれば教えていただきたい。

(事務局)1点目のご質問ですが、やはりデイサービスでは対応していないので、施設関係のほうで整備をしようと対応させていただいている。先進的リハビリテーションですが、今現在としては、普及啓発に努めているという段階で、具体的な検討までは至っておらず、機器の紹介は研修を通じて普及啓発している段階。

○機械の場合はやはりそれなりのものになってくるので、リハビリができる病院や介護施設、老健というところに今後紹介するというようなイメージになってくるのか。

(事務局)こちらで考えているのは、ロボット等の介護機器も含めて広い意味で考えており、いろいろなものを紹介できればと考えている。

○計画にも反映されるのか。例えば、例として写真みたいなものが入っているとわかりやすい。

(事務局)初めての方が見てもわかるようにイラストや写真も含め、表現は考えさせていただきたい。

○認知症のところで、家族・介護者等への支援の強化というのがある。ケアマネジャーは、認知症の方に限らず、介護者や家族への支援というのは普段から心がけているつもりだが、本人支援はもちろん、家族支援というのは非常に難しい。ケアマネジャーもそういった教育を特別に受けてきたわけではないので、家族に向けた支援をどう展開していくか、ケアマネジャーの研修の中でも非常に苦労しているところ。特に最近は、8050問題等も課題となっており、家族を含めたアセスメントのやり方や支援の方向を、何らかの形でバックアップするような視点を入れてもらえるとありがたい。(認知症)サポーターの活動が見えにくいという話があったが、認知症のリンクワーカーの動きも表にまだまだ出てきてないと思っている。せっかく京都府独自で制度を作り、養成をしておられるので、もう少し活動が表に出るように工夫してもらったらいいのではないか。

○同居家族については当然だと考えるが、別居家族についても何か支援ができるといい。

(事務局)家族支援については、ご意見いただいたとおり、介護保険法に基づくサービスは、もともと本人支援が前提となっている。まずはご家族の介護負担を軽減するために、必要な介護サービスを提供していくことが必要。その上で、デイサービスやショートステイを活用し、長く介護を続けていただくために息抜きをしていただくというレスパイトという支援が中心となっている。介護保険外での支援策については、我々も課題に感じているところ。認知症については、診断後の不安も大きく、どのように認知症と向き合って暮らしていけばいいのかなど、受容していくことは難しい。そのため、診断後の初期の方を対象に本人・家族教室という取組を進めており、本人・ご家族が互いに良好な関係を築いていただくことが、ひいてはご本人への支援にも繋がると考えている。良い施策や支援策等がありましたら、是非ご意見として頂戴したい。

○今話を伺っていると、府の方も一生懸命やっておられるのがよくわかるが、最終的に計画になると出てこないので、是非工夫をしていただけたらと。

(事務局)なるべく具体的に書き込めるように、表現については検討させていただきたい。リンクワーカーについても、認知症の方の初期の寄り添い支援をしていく専門職ということで京都府独自の取組を進めており、主に地域包括支援センターの職員、ケアマネジャー、介護職員の方、幅広い職種の方に研修を受けていただき、それぞれの立場や職務の中で、寄り添い支援を実施していただいているところ。なかなか広報や周知がなされていない状況なので、広報、周知、またリンクワーカーの活用等について今後工夫してまいりたい。

○以前は京都府の(認知症介護)実践者研修という専門職向けの研修の中で、私たち家族の気持ちをお伝えする機会があったが、専門職の方たちは、介護保険上は本人支援なので、その背後にいる家族という視点はやはり抜け落ちがちだと感じる。そのため、計画にしっかりと書き込んでいただいて、介護する家族の気持ちを知っていただくことが大事だと思う。本人を孤立させないことはもちろんだが、家族の心理状態や、家族を孤立させないことなど、専門職として必ず知っておくべき知識を得る機会を、研修の中に入れていただくようにしてもらいたいというのは強く要望したい。計画にどう記載するかは、適切に検討いただいたら良い。

(事務局)今ご意見を頂戴したとおり、いろいろな研修で行政が説明するよりも、ご本人やご家族の方からお伝えいただくことが、何より認知症の正しい理解に繋がると思うので、計画への記載と実際の取組については今後検討させていただくが、実施にあたってはご協力をお願いしたい。

○第7章の「総合リハビリテーションの推進」のところで2点あります。1点目ですが、今後の取組の3つ目に、高等学校などにリハビリテーション専門職の紹介をしているというのがあるが、加えて、リハビリテーションの専門学生が京都府に定着してもらうというのが非常に大事だと思っており、そういった学校にも宣伝・啓発してもらうことで、京都府に定着してもらうスタッフがいるのではないかと考える。もう一点は、コロナの影響があり、来年度は今年度に実習を経験していない新人の職員が就職してくることになる。現場を経験しないスタッフが就職してくるというのは、仕事しながら教育する大変さもあるので、そういう方たちに向けての新たな研修や制度というものも提案してもらいたい。

(事務局)高校に対しては京都府から、京都府内の全高等学校に案内のパンフレットを送らせていただいている。養成校には、計画にも記載のとおり、人材確保・育成ということで、修学資金の貸与を案内しているが、ご意見いただいたようにもう少し周知について考えていきたい。貸与についても、京都府に残り、府内に勤務すること、また、他府県の学校でも京都府に来て働いてもらう方を対象にしているので、引き続きそういうルートを使って啓発を進めていきたい。もう1点の今年度の卒業生の件ですが、ご指摘いただいたようにコロナ禍ということで、なかなか実習に行けなかったが、現在は実習が徐々に再開されているということで、実習に行かれる場合に検査を受けていただくような支援を考えている。また、リハビリテーションをしていただくセラピスト以外にも看護師、医師も含めて、養成校での実習がなかなか行えていない中で、実際4月からは施設等で勤務いただくことになる。この計画とは別に、施設でのOJTなど、府としても実習が十分出来なかった方々への支援を考えていきたいと思っている。

○医療者の教育機関では必ず実習を行うが、今年度はほとんどできない状態で、医療者教育の面で非常に大問題。実践能力は必要であり、卒業の実力をどのように担保するか。そこに関しては様々なシミュレーターを使ってある程度代替しているが、やはり一番は患者さんやご家族に対応する力が懸念される。

○看取りについて。病院での死亡数と割合が出ているが、在宅での看取りが昔に比べると増えているということだが、いずれにしても病院で亡くなる方が7割を超えている。他にも特養や老健等があるが、そちらでの死亡数は少ないと考えられる。医師からすると、患者さんは助けるものであるという教育を私の時代には受けた。亡くなるということについて、直接関係する医療関係者の教育というものが極めて重要。その教育がないと、ACPがあってもなかなか死にゆく人たちをそのまま何もしない、というのは正直つらいものがある。もう1つは、亡くなる方が希望を伝えておられ、それに基づいてお見送りをしようと考えているところに、今まで来なかった家族が何十年かぶりに突然現れて、「すぐに急性期の病院に連れて行くべきだ。」というようなことが結構あり、対応に苦慮する。そうなると、患者さんご本人の意志が全く無視されるということにもなりかねない。こういうことを避けるためにも、医療関係者への教育や周知は非常に重要ではないかと思う。

(事務局)府の看取り対策ビジョンは「『さいごまで自分らしく生きる』を支える京都ビジョン・京都アクション」という計画名を付している。その趣旨は、いわゆる療養や最期の場所(病院・施設・ご自宅)、終末期に受けていただくケアや医療の内容などについて、何かひとつの在り方のみを推奨するということではなく、ご本人やご家族の状況やご希望に応じて、柔軟に選択していただけるような在り方が望ましいのではないか、という考え方によるもの。そのために現在、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の普及啓発に取り組んでいるが、委員からご指摘いただいた、医療、介護の従事者への教育や研修についても、今後どのような内容や在り方が望ましいのか、関係団体の皆様とご相談をしながら検討させていただきたい。

○我々としては法的な裏付けというのがやっぱり必要で、法で罰せられるのではないかという気持ちがどこかに残っているので、そこを払拭していただければ非常にやりやすい。また、独居の認知症の方への意思の確認が本当に困るので、今後の課題としてお願いしたい。

○看取りについて。亡くなる方をどう送るか、家族が納得するやりとりを施設、病院などいろいろな場面でできるように考えてもらいたい。本人や家族だけでは判断は難しく、そこを医療、介護の専門職の方と話ができる場面が必要と考える。もう一つ、一人暮らしの高齢者を孤立させない環境作りというのがあるが、一人暮らしで認知症の症状がみられる方が地域におられ、そこを共助でと言われても、介護保険制度が始まって以来、地域力が低下してきている中では、非常に難しい。そこを何の資格もない専門職でもない人が地域だからと言って、なかなかこの頃は口出ししにくい。その辺をどうしていくかということも皆で考えられるような場作りを、書きぶりは京都府に任せるが、計画に入れてほしい。

○厚労省が「人生会議」という名称を広報しているが、あるいは独自に考えられるか。何らかの記載ができないか。

(事務局)ご本人の意思決定の部分ですが、特に認知症の症状が進んでいる方については、ご本人の意思を推察するというのはなかなか難しい問題。認知症の場合は特に、早期に診断を受けていただいて、比較的元気な間に話し合えるような環境作りが必要だと考えている。自助・互助・共助の話については、いろいろなことを自助や自己責任という形で捉えてしまうのは、社会全体で支え合うという介護保険の理念にも反することなので、正しい理解をしていただけるよう、内容が伝わるような形で表現ができないか、事務局で検討させていただきたい。

○看取り体制のところで、やはり病院で亡くなる方がまだまだ多い中で、P.110に「病院における多職種チームと在宅等のチームによる継ぎ目のない移行が必要」、P.111に「施設との連携強化を推進します」とあるが、病院と特に訪問看護ステーションなど在宅との連携がうまくいってないという実態がある。病院はぎりぎりまで患者を看ておられ、最期は自宅に帰られる。しかし、病院の医師は「何かあったらまた来たらいいよ」ということを患者に伝えていたりすると、訪問看護ステーションで一旦受け入れて、看取りの期間をケアしようと思った矢先に、病状が急変したらまた病院へ帰ってしまうという現状があるのも確か。訪問看護ステーションとしては、病院側から、「こういうカンファレンスがあるから入ってきてください」という声がないとなかなか入っていけない部分もある。診療報酬上では、多職種連携というのがあるが、その辺の連携を強化・促進していくためには、どういう仕組みをどう作っていったらいいのかということを、もう一歩具体的に出していかないと、現状の中ではなかなかできないのではないかと感じており、そこが在宅の看取りのところで今ネックになっているのではないか。

○(看取りは)医療の話が中心で難しく、最期は家で看ようとしても、よくわからないから結果的に(本人が)望んでいなかった場所で(亡くなる)、というケースも結構ある。大変重要な問題提起をしていただいた。そのあたりも今回検討してもらいたい。

(事務局)どういった情報共有ルールもしくはツールが必要なのかも含めて、京都地域包括ケア推進機構で、多職種による在宅療養支援プロジェクトを設置し、関係団体の皆様にもご意見を聞きながら徐々に検討を進めているところ。今後も関係団体の皆様からのご意見を頂戴しながら、望ましい在り方について検討してまいりたい。

○退院支援の現場で、入院から在宅にいく時の話し合いやカンファレンスは、病院チームと在宅チームとの意思疎通がとても大切で、その対応が、その後のその方の人生をある程度左右する。地域単位や病院単位だとできているところはあると思うが、京都府全体として、最低限やるべきことを形にすることによって、全体として底上げされていくことが大事なことだと思う。

○施設の看取りについては、数年前に京都地域包括ケア推進機構にプロジェクトが設置され、府老協と市老協が合同で、毎年基礎研修と専門研修を実施している。施設では、基本的には入所時に、お亡くなりになる時の話をしてもらうようにしている。入所時に決めたことが最期まで続くのではなく、ケアプランの見直しの度に話をし、ターミナルケアについても、配置医から話を聞き、ある一定の方向を家族で決める。それでも間際になるとやはり病院へ行きたいとか、今まで来なかったご親族がきて早く病院へ入れてほしい、という話は施設でもある。(このようなことができるだけ起こらないよう、あらかじめ)キーパーソンのご家族に、「ご親族でいろいろな考えを持っておられる方にきちんと事前にお話をしてください。ただ、途中で変更することは構いませんので、その時はまた遠慮無く言ってください。」ということを入所時にお願いをしている。それぞれの施設や配置医の思いや考えなどもあり、全ての施設でターミナルケアを受けるところまではまだできていないが、施設側も、そういう様々な形の看取りを選択できるよう努力をしている。

○2点要望がある。1つは第10章の「高齢になっても生きがいを持って活躍できる地域づくり」のところで、各市町村の社協でも地域づくり・地域福祉はがんばって取り組んでいるつもりだが、なかなか全ての方が活躍できる場というのは、本当に難しいと実感している。例えば、総合事業が始まって、社会参加に結びつけるためにいろいろな取組をしても、女性はたくさん来られるが男性はなかなか来られない。シルバー人材センターやSKYセンターについては書いてあるが、それだけで、2040年を迎えるにあたって本当に大丈夫なのかなと実感として持っている。京都府が中核となってプロジェクト的なものを立ち上げていただいて、(社協やSKY、関係団体との)情報交換の場を持つとか、連携を強化する契機を作っていただけないか。2つ目は第11章の権利擁護について、(成年後見制度の)利用が必要な方はたくさんおられるが、制度の認知度が低く、市の調査でも(知っている人は)半数に満たない。また、特に日本の場合、世話をしていただくという認識が残っていて、福祉サービス利用援助事業も、介護サービスも、契約なので正々堂々と契約した手続きに基づいてやればいいが、そういう文化はまだ育っていない。普及啓発について、本来は市町村が積極的にやらないといけないが、府でも率先して取り組んでもらえないか。

(事務局)男性の参加を促す工夫も含めて、活躍の場の創出や社会参加について、今後どのような取組ができるのか、市町村で取り組んでいただいている皆様と一緒に考えてまいりたい。また、SKYセンターでもいろいろな啓発事業や、退職前の高齢者向けのセミナー等も実施をしていただいているところだが、地域展開が課題になっているで、そのあたりも含めてどのような連携が可能かについて今後ご相談させていただきたい。成年後見制度についても、制度の周知も然り、福祉サービス利用援助制度によって生活上のサポートができる方も多くおられると思うので、今後、周知や体制の充実に向けて、市町村の皆様と一緒に取組を進めてまいりたい。

○第12章の「地域、分野偏在の解消」について、北部には薬剤師が非常に少なく、病院でも薬剤師の数が足りない。丹後地方では薬局の数も足りない。在宅医療にも関わっていきたいが、特に北部地域では人材が不足している。その辺の現状をまず、現状と課題に少し加えてもらえないか。現在、在宅でも多くの薬を飲んでいる患者がたくさんおられ、ポリファーマシー(薬の飲み過ぎ)という社会的な問題も起こっている。そういう現状も加えてもらい、その解消に向けて、支援を考えてもらいたい。

(事務局)医療系の人材については、保健医療計画の方に、医師、歯科医師、薬剤師、看護師も含めて記載しており、必要な部分のエッセンスをこちらの計画にも書き加えるなど、計画間の整合を図りたい。

○「この項目のポイント」のところに記載いただきたい。

○第10章の「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な推進」では、今年度から高齢者の保健事業と介護予防を市町村で一体的に実施していくという取組が法的に成立し、進められている。この事業は、保健師、管理栄養士等の医療専門職の配置がまず前提となっており、国からも資金が出ているが、市町村からは、人材の確保ができないのでこの事業ができない、とよくお聞きする。今後の取組の部分では、人材定着や実施方法等の話は出てきているが、それ以前の問題として人材をどう確保していくか、というところがないと進まないので、府が関わっていくのはなかなか難しい部分もあるかと思うが、何らか府が関わりを持っていただくような書きぶりをお願いしたい。

(事務局)中間案のこの部分は、この間に十分に書き込みができておらず、図などもない中、新たな制度についてわかりにくい表記になっているかと思う。まだ作業途中ということでご理解をいただきたい。一体的実施については、これまでの介護保険はハイリスクアプローチだったが、通いの場を活用したポピュレーションアプローチへの考え方の転換が図られているもの。府内に多数ある通いの場に、専門職に関与いただいて一体的に支援していこうという取組。そのためには、専門職の確保が重要な課題になっており、今年度は年度当初から専門職向けの研修をスタートさせたいと考えていたが、コロナの影響もあり、この間取組が滞っている。今後、職能団体の方と研修事業の在り方等を検討させていただく中で、例えば潜在有資格者の活用等、人材確保の取組についてもご相談をさせていただきたい。また、計画の書き方についても事務局で検討させていただきたい。

○今年の夏は猛暑とコロナ感染症が重なったとことで、5月ぐらいまでは杖で歩けて診察室に入ってこられた方が、秋になると、お呼び出しをしてから立ち上がって診察室に来るまでが精一杯だという方が増えておられるように感じる。コロナ感染症にかからないようにするのはもちろんだが、コロナ感染症によってフレイルやロコモティブシンドロームが起こるということや、フレイルが起こっていることを早く発見してあげないといけないという意識が、ご家族や周りの方々にも乏しく、ご本人にもリハビリテーションを勧めても断られるケースもあり、そういう認識が少ない方が多い。フレイル等に気付くことが大事、また、リハビリテーションが非常に大事だということを、もっと知っていただくことが大事。京都私立病院協会でも、リハビリテーション啓発事業に取り組んでいるが、普及啓発をお願いしたい。

(事務局)コロナの影響や、猛暑による熱中症の恐れから、ご自宅にとどまっていただいたことで、外出量が少なくなり、廃用症候群、体力の低下、場合によっては認知症の進行というのは、我々も大変懸念をしているところ。既に要介護認定等を受けておられる方については、定期的に専門職の方と接していただく中で気付いていただけるが、そうでない方々への周知も大変課題で、府民の方々にいかにわかりやすく広報していけるか。例えば、老人クラブ連合会など、そういった団体を通じて、コロナを恐れすぎないで適度に外出等もしていただくようなことができるか、今後も検討してまいりたい。

○歯科医師会でのアンケートからも、コロナによって口腔内環境が非常に変化しているとはっきりとわかってきている。今一番危惧しているのは、フレイルの前段階であるプレフレイルに、皆さんが早期に到達しそうな雰囲気にあること。75歳の方に後期高齢者歯科健診をさせていただいているが、残念ながら京都府下全部で実施できておらず、公平に皆さんに受けていただける状態にはなっていない。後期高齢者歯科健診は、受診者の中からプレフレイルの状態の方を調べ出し、フレイルに移行しないように、健診を受けた方にいろいろな活動を紹介するというもので、うまく活用してもらいたい。また、歯科衛生士が関わっている様々な健診についても、活用を検討いただきたい。残念ながら府内市町村には、常勤の歯科衛生士があまりいないので、少しずつでもいいので増やしていただいて、北部・南部で対応できるように検討いただきたい。昨年綾部市で、多職種連携ということで、口腔サポートセンターと障害者支援センターで研修した際は、北部にこんなところがあったんだという気づきも得ていただけて、非常に利用が増えている。多職種がいろいろなかたちで研修等を行っているので、縦割りではなくまとめてやっていけるように京都府で音頭をとっていただけるとありがたい。

 

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