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サワラは、口が大きくスマートな体形をしたサバ科の魚で、その刺身は本場の瀬戸内海では極上品扱いです。丹後の海では、秋から冬にかけて、さごしと呼ばれる小型のサワラと、体重が2キログラムを超える大型のサワラが漁獲されます。実はこれらのサワラの多くは、生まれてから2年に満たない若い魚。餌を求めて西の方からやってきたサワラは、小魚を食べて成長し、産卵できる大きさになると丹後の海から姿を消します。
京都府のサワラの漁獲量は、ここ数年間で千トンを超えるまで急増しています。丹後の海では、サワラのようにこれまで馴染みのなかった暖海性の魚が獲れています。海水温の上昇と関係があるのではと言われていますが、海の中では、私たちが気付かない変化が起こっているのかもしれません。
京都府立海洋センター主任 戸嶋孝(現、京都府水産事務所)
(平成18年3月22日、京都新聞掲載)
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