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丹後の海の生き物(テングニシ)

テングニシ

 

  丹後の海にいる貝のなかで最も大きくなる巻き貝です。食用になり、市場では殻の高さが18センチ程度のものを多くみかけます。水深50メートル位までの比較的浅い砂泥底にすんでおり、舞鶴湾や宮津湾にも分布しています。
  殻は細長く、表面がうす茶色のビロード状の皮で覆われています。一方、殻の内側は黄白色地に淡いピンク色をした部分があり、エナメルの光沢がとても美しい。我が家では身を取り出した後、貝殻を部屋の置物として飾っています。
  テングニシは、「海ほうずき」と呼ばれる硬くて大きな卵のうを海底の石や固形物に並べて産み付けます。潜水調査中に、漁業者が海底に沈めた土俵や漁具に産み付けられた卵のうを見つけたことがあります。一つの卵のうの中には数千粒の卵が入っています。
  刺網などで漁獲されますが、量はあまり多くありません。内臓と表面のぬめりを取って、刺身や茹でて薄くスライスしたものを三杯酢かわさび醤油で食べます。歯触りがよくほどよい甘みがあります。


京都府立海洋センター主任研究員 和田洋藏 
(平成20年1月30日、京都新聞掲載)

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