今述べましたように、ヒラメの耳石の不透明帯と透明帯の出現状況により、耳石は年齢形質として使えることが明らかになりました。また、ヒラメの成長とともに耳石も大きくなり、周年におけるヒラメの成長リズムにあわせて、耳石上に不透明帯と透明帯が形成されていることもわかりました。ヒラメが成長しますと、その耳石には周期的に不透明帯が形成されて年輪となり、高齢魚ほど多くの年輪を耳石上に持つことになります。そこで、大型のヒラメから小型のヒラメまでの耳石を集めて、各耳石上に形成される年輪の径(図2)を測って整理しました。
ー)」の成長式というのが最も頻繁に使用されます。この「Bertalanffy(バータランフィー)」の式を求めるには、上述しましたヒラメの耳石上に形成された年輪の径と全長との関係を調べたり、幾つかの手順を踏む必要がありますが、その手順についてはここでは省かせていただきます。なお、ヒラメは一般的には、雌雄で成長が違うことが知られていますので、成長式も雌雄別に求める必要があります。京都府沿岸海域におけるヒラメの年齢と全長の関係を表す「Bertalanffy(バータランフィー)」の式は、次のとおりです。
この式を使って、満年齢時におけるヒラメの全長について計算してみますと、表1の上段のとおりです。満1歳時の全長は、雌で264mm、雄で254mmと雌雄で成長差はありませんが、満2歳になると、雌で387mm、雄で343mmとなり、雌雄で成長に差のあることがわかりました。そして、その成長差は、ヒラメの年齢が増すごとに大きくなり、満5歳を超えると雌が雄より100mm以上も大きくなります。また、雄では、満5歳で全長が500mmを超えると成長は次第にゆるやかになり、計算上では700mmまでで成長が頭打ちになります。つまり、全長700mmを超えるヒラメはほとんどが雌だと考えられます。また、雌は計算上では全長900mm近くで成長が止まることになりますが、京都府沿岸海域においては、中には全長が700mmを超える雄や、1,000mm近い雌も確認されています。なお、ヒラメの寿命については、全国的に情報が少なく明らかではありませんが、今回調査した中で最高齢のヒラメは、雌で13歳、雄で15歳でした。Copyright (C) Kyoto Prefecture. All Rights Reserved.