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はじめに
 
 我が国の沿岸漁業振興のため、つくり育てる漁業、栽培漁業の推進が叫ばれて久しく感じられます。京都府においても、昭和56年(1981年)に京都府栽培漁業センターが開所し、当初マダイとクロアワビの種苗生産が実施されました。その後順次サザエ、ヒラメの種苗生産が開始され、大量の生産種苗が毎年府内沿岸域へ放流されています。

 このうち、クロアワビは受益者負担の原則のもと、最も早くから種苗の有償化が図られた魚種ですが、栽培漁業センターにおいては生産の過程で重大な問題が発生していました。「水温上昇期の稚貝の大量死」といわれる現象が、京都府ばかりでなく、クロアワビを生産する多くの県の栽培漁業センターで1970年代末頃から1980年代頃にかけて順次発生していたのです。この現象が発生した府県では稚貝の生残率は平均約50%、すなわち半数が死亡するという事態になり、中には95%が死亡したという事例まででてきました。当時大量死の原因は不明で、クロアワビを生産している栽培漁業センターでは大きな問題となっておりました。

 そこで、京都府立海洋センターでは、この大量死の問題解決のための研究を昭和62年度(1987年)にスタートさせ、平成11年度までの計12年に亘って研究を行ってきました。一連の研究の結果、クロアワビ稚貝の「水温上昇期の大量死」が筋萎縮症という伝染性の病気によるものであることが判り、その防除法を確立することができました。そして、平成12年(2000年)夏には府栽培漁業センターにおいてこの病気にかかっていないクロアワビの種苗(無病種苗)を量産することができるまでに、成果を挙げることができました。

 本冊子では、今後のクロアワビ栽培漁業の推進に多少なりとも役立てばと考え、これまで当センターで取り組んできた筋萎縮症防除のための研究と成果について簡単に紹介します。
 

 
1.クロアワビの種苗生産、中間育成における難題
 
 先ず、クロアワビの種苗生産、中間育成から放流までの流れの概略を説明しておきましょう(図1:種苗生産、中間育成の概略フロー図)。
  
 採卵用の親貝には、通常天然で漁獲された成貝を栽培漁業センターの親貝専用水槽に収容し、乾燥コンブやワカメを与えて育成したものを用います。
 生殖腺が成熟してくる10月下旬から11月にかけて、雌雄の親貝を別々の水槽に収容し、強い照射量の紫外線照射海水をかけ流します。
 約1時間後には雄が白色の精液を呼水孔(アワビの貝殻に突起状に並んだ穴)から放出します。その30分間から1時間後には雌が薄緑色の卵を呼水孔から放出し始めます。卵を目合いの細かな柔らかい網で集め、汚れを軽く洗った後、海水で薄めた精液を加えて受精させます。

 余分の精子を洗い流した受精卵を孵化水槽に収容して孵化させます。翌朝、孵化水槽の上層に浮遊している孵化幼生を吸い取り、幼生飼育水槽に収容します。

 付着期幼生に変態する頃、予め付着珪藻を繁茂させた塩化ビニール製波板をセットしておいた稚貝飼育水槽に幼生を移して、波板に幼生を付着させます。この作業工程を採苗と言います。

 採苗した幼生は、付着珪藻を食べて稚貝に成長し、翌年3〜4月に殻長が5〜7mmになった頃順次波板から剥がします。この作業を剥離作業といいます。

 剥離した稚貝は、別の稚貝飼育水槽で網カゴに収容して、放流サイズになるまでの期間飼育します。網カゴの中には通常黒色の塩ビ製波板をシェルターとしていれておきます。この間の餌は、市販のアワビ用配合飼料を主体に天然海藻や乾燥コンブを用います。

 京都府では、剥離以降放流サイズまで育成する期間を中間育成と言っています。そして、通常殻長25〜30 mmサイズを放流適サイズとしています。

 約1年間の中間育成期を経た剥離翌年の5月に、アワビ用人工魚礁や水深の浅い所にある天然岩礁域に放流しています。
 


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