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1.ホンダワラの分布と生態

 日本にはおよそ1400種類の海藻が分布しています。沿岸を南北に暖流(黒潮、対馬暖流)と寒流(親潮)が流れ、世界中で最も多様な種類の海藻が分布する場所となっています。海藻は、光合成色素の違いよって、緑藻、褐藻、紅藻の3つに大きく分けられています。ホンダワラは褐藻類のホンダワラ科に属する海藻の一種です。ホンダワラ科の海藻には多くの種類があり、京都府沿岸だけでも20種類が分布しています。これらの種類は、群生して大きく生長するので、沿岸で「海の森」=藻場(もば)を形成しています。このうち食用とされているものは、ホンダワラのほか、アカモク、ヒジキなどです。

(1)分布
日本周辺におけるホンダワラの分布域
図1 日本周辺におけるホンダワラの分布域
 ホンダワラは、三陸沿岸を除いた本州および九州北部と四国北部の沿岸の岩礁域に分布しています(図1)。京都府沿岸では丹後半島北部にホンダワラが多く分布しています。沖からの波がある程度遮(さえぎ)られた、水深1〜3mの岩盤や転石上に多く見られます。丹後地方では、大きく生長したホンダワラは「ジンバ」と呼ばれ、食用にされています。一方、沖からの波が直接あたる場所の潮間帯に生えている丈の短いホンダワラは「モンバ」と呼ばれ、食用に適さないものとされています。
 日本海沿岸では青森県から山口県までのほんとんどの府県で食用とされていますが、日本海沿岸以外の地域では食べられていません。食用にしている府県ではそれぞれの地方名で呼ぶことが多く、秋田県では「ジバサ」、「ギバソ」、山形県では「ギバサ」、「ギバソ」、新潟県では「ギンバソウ」、「ギバサ」、石川県では「ジンバソウ」、「ジンバサ」、「ギンバソウ」、「ギンバサ」、「ギバソ」、京都府、兵庫県、鳥取県では「ジンバ」、島根県では「ジンバソウ」、「ジンバ」と呼ばれています。
 京都府ではアカモクを食べる習慣はありませんが、秋田県から石川県ではよく食べられています。ホンダワラの地方名である「ギバサ」「ギバソ」などは、地域によってはアカモクの呼び名にも用いられていて、両種が混同されることがあります。


(2)形態
 アオサなどの海藻は体の仕組みが単純で、葉と付
図2 ホンダワラ類の部位(ノコギリモク 村瀬 2001を改変)
図2 ホンダワラ類の部位
(ノコギリモク 村瀬 2001を改変)
着器に分かれているだけですが、ホンダワラ類は、海藻の中で最も複雑な形態(体の仕組み)をしています。体は、岩などに固着している部位から上に、付着器、茎、主枝(しゅし)、葉、気胞(きほう)などに分化しています(図2)。陸上植物の根には、体を支える役目のほか、水分や養分を地中から吸い上げるはたらきがあります。ところが、海藻の場合、体全体で養分を吸収するので、根に相当する部位は仮根(かこん)または付着器と呼ばれ、岩盤や石などに固着するためだけの器官になっています。ホンダワラでは付着器が他のホンダワラ類に比べて小さく、岩に固着する力が弱いので、波当たりの強い場所では流されることが多いようです。
 ホンダワラ類の特徴は、気胞と呼ばれる浮き袋を持っていることです。気胞の浮力によって体を直立させることができるので、陸上植物の様に体を支える丈夫な幹(みき)を持つ必要がないのです。気胞を持ったホンダワラ類は、岩などから離れると、流れ藻になって海面を漂い、遠くへ運ばれます。流れ藻は、サンマやサヨリ、トビウオなどが卵を産み付けたり、ブリの稚魚(モジャコ)やメバルの稚魚が生活したりする場所として重要な役割を果たしています。

(3)生態
 ホンダワラの生活史を図3に示しました。ホンダワラは、春に受精卵が発芽してから1年半の間は生長が遅く、数センチ程度にしかなりません。2年目の秋以降急速に生長し、大きいものでは3m以上に伸長します。2年目の終わりから3年目の春に成熟し、成熟後は上部が枯れて付着器と茎部だけが残ります。一部の個体では3年目以降も茎から新しい主枝を伸長させて翌年の春にまた成熟します。ホンダワラは雌雄異株で、春の成熟期になると雌性株は生殖器床(せいしょくきしょう)の中に卵を作ります。
 なお、ホンダワラ類の中でもアカモクやヤツマタモクなどは、発芽から1年で生長、成熟します。アカモクは寿命が1年で、成熟が終われば枯れてしまいます。その他の多くのホンダワラ類では成熟後、上部の主枝は枯れますが付着器や茎は残り、茎から再び新しい主枝が伸びます。この様に主枝が毎年生え替わり、ノコギリモクの様に5年以上の寿命を持つ種もあります。
図3 ホンダワラの生活史

図3 ホンダワラの生活史



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