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第5回再生土問題に関する検証委員会議事要旨

1 日時

平成19年8月29日(水曜日) 午前10時から12時まで

2 場所

城陽市東部コミュニティセンター        

3 出席者

【委員会委員】
楠見委員、寺島委員、水野委員、森澤委員、山田委員、横山委員、山内委員、木村委員、栗栖委員 

【オブザーバー】
高山調査官(環境省近畿地方環境事務所)

坂上常務理事(財団法人城陽山砂利採取地整備公社)

4 議題

(1) 住民等からの意見聴取について

(2)産業廃棄物を搬入させないための対策について

(3)地下水への影響に係る市民の不安に対する方策について

5 審議内容

(1)住民等からの意見聴取について

(水野委員長)本日は、検証・検討の参考とするために、市民の方、関係団体の方から御意見を伺う。城陽市議会については、市議会として、どのような思いでおられるのかということを、この場で十分にお話しいただけるものと期待していたが、既に議会として決議を行っているということで、残念ながら御出席いただけなかった。

  • 事前申出者(4名)
    (富野校区自治会連合会 Aさん)

 まず、16,322台の再生土をすべて撤去すべきであるということが、地元の民意である。 人が立ち入ることのできない場所であれば、何を捨ててもいいのか。再生土に含まれる強アルカリを地下浸透させてはならないのではないか。何のために覆土を指導しているのか。その場所に持ち込んではいけないものが、持ち込まれたためである。

 城陽山砂利整備公社が設置している「土壌・地下水の保全に係る審議会」も、ヒ素の検出について、当初は岩盤からの溶出との見解であったが、再生土に含まれるアルカリが土中に含まれているヒ素を溶かしだしているものではないかと方向転換している。地層の大阪層群におけるヒ素の含有量が高いとされているが、ヒ素の溶出は、まさに大阪層群の地層なのか。現在、汲み取られている井戸は、埋戻し後であり外部から持ち込まれた物であると言わざるを得ない。

  今回の事案は、行政指導で行われたものであり、住民側の合理的な考えは、廃棄物処理法からすれば、事業者負担であり、行政側にも責任がある。有価物による堰堤補強ではなく、逆有償であり、事業者はそれなりに利益を得たわけで、撤去にいくらかかろうと元に戻すことが原理原則である。

  同じことが、加茂町や宇治市笠取であったが、これについては撤去する方向で進んでおり、既に加茂町のフェロシルトについては、撤去されている。撤去する、しないは行政判断に委ねるなどの結論ではなく、市民側に立って悪いものは悪い、よいものはよいという常識を持った原理原則の通った結論を出していただくよう切にお願いし、16,322台の完全撤去を求めるものである。

(城陽の水と土を考える会 Bさん)

 第一は、産廃の持ち込みを禁止した市民的な合意が何故守られなかったのか、このような間違った行為がどうして行われたのかである。山砂利採取地場内には、安全性を確保するために、産業廃棄物の持ち込みは禁止されており、このことは、京都府と城陽市、山砂利業者で確認されている合意事項であって、市民に約束をしてきた最低限のルールである。  

 10トンダンプ16,000台もの、再生土と偽った土砂が搬入されたにもかかわらず、京都府も城陽市も全く把握していなかった。その理由について、城陽市は、「公共残土と民間残土は市として把握しているが、それ以外はしていない」と説明している。

 城陽市は、今回の事業について、「埋立工事ではなくて、山砂利採取跡地の防災対策に必要な堰堤工事等について、建設資材として搬入されたもの」であって、再生土は、お金を払って、「建設資材を購入して使用されているということで、これについては、全く疑問の余地はない。」と市民に説明された。ところが、実際は行政の説明とは正反対で、逆有償、お金を受け取って、再生土を受け入れたという事実が明らかになった。

 第二は、行政の対応に問題がなかったのかどうかである。 今回の再生土の搬入について、城陽市は、「山砂利採取地整備公社が管理する事業でなければ、埋立条例の対象にもならない」ということで、事前に把握できないとしている。しかし、山砂利採取事業の全般について、行政が監督責任を負うのは当然のことである。

 また、山砂利採取の許認可権者は京都府であり、山砂利対策で、最低限必要なことは、山砂利採取計画の認可基準や、指導要綱・指導基準を厳格に守ることである。京都府独自の認可基準では、受入れの目的として、「砂利採取基準を指導し、砂利採取に伴う災害防止を図る」と定められている。この目的に沿って、行政指導の徹底があれば、このような問題は水際で防げたのではなかったのか。防災対策の必要性を指導したわけだから、事業計画や、その事業にどんな建設資材を使うかなど、事前のチェックはもちろんのこと、最後まで工事を見届ける必要があったのではなかったか。 

 第三は、今後、山砂利採取地場内に産業廃棄物を持ち込まないというルールが守られるのかどうかである。産廃を持ち込まないという京都府、城陽市、山砂利業者の三者合意で、三者の認識が一致しているのかどうか。今回の再生土、3,000台分については、京都府は産廃と認識している。山砂利業者の側は、産廃であることを認めているのか、その点がもうひとつ明確ではない。  

 第四は、覆土措置は、この問題の根本的な解決にはならないということである。違法行為の事実が明白であっても、産廃の撤去命令が出せないということを、今の法律で認められるとしても、産廃搬入を禁止した大原則が守られていないこと自体が、正義に反すると思う。

  第五は、再生土が地下水に悪影響を与えないかという問題である。再生土と地下水汚染の関係で、京都府は、再生土の土壌検査の結果、すべての検査で基準値以下であって、高アルカリを除いては特に問題はないという見解を示している。このまま、アルカリ性の高い土砂が跡地に放置されて、何の変化も影響もないものかどうか、また将来的に、地下水汚染につながる可能性はないと断言できるのかどうかなど、市民の疑問が取り除かれる機会は未だ来ているとは思えない。 

 市民は、環境基準値を超えたヒ素や水銀が山砂利採取場内だけでなく、それ以外からも出ているという事実について心配をしており、その原因がどこにあるのか、真相の解明を行政に切望している。これに答えることなしに、市民の不安を取り除くことはできない。特に、市民不安を拡大させているのは、長期的かつ大規模な埋め立て事業が、ずっと続けられていることであり、地下水に何の影響も、危険性もないのかどうか、これが問題である。

(NPO法人環境ヒューマンネットワーク城南 Cさん) 

 府の行政判断である3,000台分は産廃であるとの認定は、踏襲されるべきである。山砂利採取跡地は、産業廃棄物処理施設ではなく、産廃の最終処分地でも中間処理施設でもない場所である。覆土方針は、山砂利採取跡地の産業廃棄物を最終処分地としての実質的容認につながり、投棄・埋め立ての新たな誘因の根拠理由を与えることになる。

 サンガタウン城陽のグランド整備の下地材として再生土が使用されたが、府・市の指導で全面撤去されている。更に、城陽市議会で平成18年6月20日、再生土の撤去を関係者に求める決議案が全会一致で可決されている。

 城陽の山砂利採取跡地の再生土問題は、行政施策と直接関わる密接不可分な事業であり、行政の指導・監督の下に行われたもので、責任はきわめて重い。3,000台分は全面撤去すべきものであり、認定外13,322台分については、覆土ではなく、再生土を土壌改良し、アルカリ性を中和する措置を講じるべきである。 

 次に廃棄物を搬入させないための対策として、搬入車両の入口、出口を一箇所に固定し、搬入、出入り時間等の厳守については、厳しくチェックをするとともに、搬入土壌の全図を作成し、埋め立ての位置図を作り工区を管理すべきであると思う。

 また、リサイクル指針など法律上認められたものが商品化されると思うが、山砂利跡地への搬入に対し、届出制、認可制をとり、製造者の責任、受入者の責任というものを明確にしていくべきだと思う。また、搬入される土壌において下に異質物等を混入し、その上に良好な公共残土をおくケースがあると聞かされているので、抜き打ち的に土壌の品質そのものを目視検査することも必要だと思う。

(城陽市議会議員 Dさん)

 2006年6月20日に、再生土の撤去を求める決議案を城陽市議会で全会派一致で可決している。京都府が産業廃棄物と認定した3,000台分の残土と、それと同じものと思える16,322台分の撤去を求めることは、議会の総意であり、市民の願いでもある。

 京都府と城陽市は、何十年間どちらを向いて東部丘陵地対策をしていたのか、事業所に甘すぎる。何故、今回の事件で、山砂利事業所が逆有償でお金をもらいながら、罪に問われなかったのか。夜中や、早朝に規定以外の土壌が運び込まれているのではないか。山砂利跡地から出ているヒ素や水銀は、こちらに来ないと言えるのか。今の埋め立ての検査体制は弱いと思うが、大丈夫か。山砂利跡地のヒ素・水銀と奈島地区、中、芦原地区で出た水銀の原因を徹底的に調べてほしい。
 城陽市が行政だよりで配った水の安全性についてのコメントが、未だ原因をつかめず、大規模な水質調査も行われていない中で、あまりにも安全性を軽々しくアピールしすぎではないのか。まだ、山砂利跡地のヒ素・水銀、青谷の地下水の水銀等、原因も対策もつかめず、行政の努力もあまり見えない。

 私が感じる大きな問題点は二重行政における弊害である。京都府が山砂利採取の許認可権者であり、街づくりの主体者が城陽市ということにある。いつもと言っていいほど、都合が悪いところは京都府、城陽市の責任論の分散で、ここまでの状態にしてきた。今回は、街づくりの主体者の行政のナンバー2の副市長を始め、議会及び市民が、「撤去してほしい」の大合唱であり、城陽市のはっきりとした意思表示である。

会場の一般傍聴者(3名) 
(Eさん) 

 再生土が搬入されている場所、水銀が検出されている場所が、私たち城陽市民が生活用水として使い、取水している場所であるということが最も重要だと思う。5点について意見を申し上げる。

 1点目は、搬入された再生土に関して、行政庁は搬入された再生土を産業廃棄物に認定して、委託基準違反として刑事告訴、告発をした。搬入の経過等から見て、有価物として搬入したとのことだが、調べられた結果、逆有償、つまり、処分費相当額の金銭の受け渡しが明らかになった。再生土の搬入は、産業廃棄物の不法投棄、つまり京田辺市で事件となった内容と同じと思うが、なぜ、今回の東部丘陵地問題について、不法投棄、又は無許可の処分として、告発しなかったのか。

 2点目は、搬入された再生土の撤去についてどのような手法があるのかということである。廃棄物処理法では、生活環境保全上の支障が生じ、又は生じる恐れがあると認められる時のみ、原状回復の措置命令を知事の名で発出できるが、その命令に従わなかった場合は、代執行という形で撤去し、費用を徴収すると思うが、現状では措置命令を発出できないと行政指導のみとなる。

 行政指導を無視した場合、撤去に関して他に手段はないのか、産業廃棄物の処分については、最終処分としては海洋投棄と埋立のみと規定されていると思うが、覆土処分は、最終処分、適正処分となるのか、専門の先生方にお聞きしたい。

 3点目は、撤去に関して、搬入業者及び受託業者に対しての行政指導のあり方について、城陽市議会では、全量撤去の議決がなされており、重く受け止めなければならないと思っている。

 4点目は、再生土と地下水から検出される水銀・ヒ素の因果関係について、検出される水銀、ヒ素は、自然由来の現象であり、雨水が再生土を通過して、化学変化によって水銀・ヒ素が検出されるという話が今まで検証委員会の中でも出ていたと思うが、地下水から物質が検出されるには相当の年数、年月を要するのではないか。私は、昭和40年、50年代における山砂利採取地での出来事により現在、地下水から有害物質が検出されているのではないかと思っている。 

 5点目は、将来にわたり、取水される生活用水に危険性がないか、これが一番重要な問題であり、私たち市民としては、委員会の先生方に「絶対大丈夫ですよ」、「100%、120%パーセント大丈夫ですよ」ということをお聞きしたいと思っている。 

(Fさん)

 検証委員会では、覆土の妥当性のみの議論が続けられており、撤去を含めて、市民が安心・安全のための議論をしてほしいという観点が少し薄いのではないかと思う。城陽市民が安心して、おいしい水を未来にわたって飲み続けるためには、産廃と認定された3,000台分は撤去しかないというのが、議会でも決議されたように、市民の総意である。
 市民の生活環境保全確保のために、行政指導を含めて、撤去について、正面から検証していただくことを強く要望したいと思う。

 次に、事業者への対応について私が疑問に思うのは、例え、今回不起訴になったとはいえ、これだけ市民を生活不安に陥れた産廃の受入業者に、何のペナルティもないということである。山砂利採取業者としての謝罪があったのかどうかも知らされておらず、市民には道義的責任すら追求する権利はないのか。組合からの情報は全く聞こえてこない。私は、市民の最大の不安は、砂利採取業者、組合への不信とつながっていると思っている。市と市民と組合が協同していくためには、組合からの情報発信が欠かせないと確信している。

  今、宇治市でもダイオキシン処理土が問題になっている。これに関しては、産廃ではなく、環境基準値をクリアしているにもかかわらず、府は速やかに撤去の指導をされた。そして、搬出計画もすでに取り組んでおられるとか。この城陽市との差異は、一体どこにあるのか、お聞きしたいと思っている。 

(Gさん)

 私は、地下水が非常に気になって、一昨年の末あたりから城陽市内60箇所ぐらいで井戸水についての調査に参加してきた。今、アルカリが問題になっているが、山砂利採取地あたりでは、pH6.5 、それから7.0近くというか、その6.5前後の値になっており、非常に気になっている。山砂利のところが、酸性が強いのか、それともその後に埋め立てられたものが影響しているのか調べていただきたい。

 山砂利事業所のB事業所の井戸の調査で、ヒ素が検出されたことにより段階的揚水試験がされており、pHが、表面のあたりで7.1と高いが、下にいくにしたがって、pHが下がり、いちばん下の70メートル、74メートルくらいのところでは、6.52というような高い数値がでて下にいくにつれて、pHが低くなる。 

 ヒ素については下にいくと低くなり、上で非常に高い。こういう状態を見るとヒ素がどこから混入したのか、pHもヒ素の濃度も一番上の部分から汚染が進んできたと考えるのが自然ではないかと思う。すぐ近くに埋め戻し場所がある等徹底して調べていただきたいと思う。水銀については、人為的な問題がからんでいないか、周辺の埋立地について、明らかにしていただきたい。

(2)産業廃棄物を搬入させないための対策について 

  •  資料3により検証委員会における検証・検討状況(主な意見等)として、搬入された再生土に係る対策・産業廃棄物を搬入させないための対策・地下水への影響に係る市民の不安に対する方策の3点を、資料4-1により再生土が搬入された経緯について事務局(京都府)から説明。また、資料4-2により山砂利採取跡地の修復整備と土地利用について、資料4-3により条例改正検討の方向性について事務局(城陽市)から説明 
     城陽市が現在、JR以東の地域における土砂等の採取又は土地の埋立行為を市長の許可制としているが、山砂利採取地域における資材を用いた全ての行為を市長への届出制とする条例改正の検討を報告した。 

(3)地下水への影響にかかる市民の不安に対する方策について

  •  資料5により市民の不安解消のための方策措置について、山砂利採取地における方策等・青谷地域等における方策等・上水道における方策等を事務局(城陽市)から説明 
      

(委員長)

 今日は、市民の方々から、大変貴重な御意見を拝聴するという機会をいただき、大変良かったと思っている。心に響くものがあった。我々としては、こういった御意見を踏まえて、これまでの様々な科学的なデータ、その他も検証しながら、次回の委員会では、フリーのディスカッションをして、委員会としての意見の方向づけをとりまとめたいと考えている。委員の方々は、是非、これまでの資料をもう一度目を通していただいて、次回の検証委員会で全般的な議論ができるように、御準備をいただきたい。

6 参考

<会議資料> 

次第(PDF:55KB)

資料1( PDF ,14KB)(PDF:14KB)

資料2-1(PDF:76KB)

資料2-2( PDF ,312KB)(PDF:312KB)

資料2-3( PDF ,355KB)(PDF:355KB)

資料3(PDF:397KB)

資料4-1(PDF:51KB)

資料4-2(PDF:381KB)

資料4-3( PDFファイル ,1MB)(PDF:1,221KB)

資料5(PDF:208KB)

参考資料(市政だより16号)(PDF:503KB)

参考資料(市政だより17号)(PDF:454KB)

参考資料(城陽みずだより)(PDF:890KB)

参考資料(広報じょうよう)(PDF:464KB)

 

 

 

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