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京都府レッドデータブック2015

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タカ目 タカ科

イヌワシ

Aquila chrysaetos
京都府カテゴリー

絶滅寸前種

2002年版 絶滅寸前種 2002年版を参照する
環境省カテゴリー 絶滅危惧ⅠB類(EN)
イヌワシ

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選定理由

留鳥として年中府内に生息する。個体数は極めて少なく、近年減少している。

形態

全長オス81cm、メス89cm。翼開長170~213cm。日本のワシタカ類の中でも最も黒っぽく見える。体は黒褐色で後頸が金褐色。幼鳥は成鳥より黒色味が強く、風切羽の基部と尾の基部が白くて飛翔中によく目立つ。

◎近似種との区別 オジロワシは尾は短くてくさび形。オオワシの尾は長めのくさび形である。

分布

ユーラシア大陸からアフリカ大陸北部、北アメリカ大陸にかけて広く分布する。北海道から九州にかけて生息、繁殖する。府内では滋賀県境、福井県境付近で観察される。通過中と思われる個体が観察されることもある。

◎府内の分布区域 中部地域(南丹市美山町)、南部地域(京都市)。

生態的特性

国内では、生物の豊富な落葉広葉樹林が広がり、狩り場となる自然草地や低灌木林が伴う山岳地帯に生息する。イヌワシの主な獲物はノウサギ、ヤマドリ、大型のヘビであり、飛行しながら地上の獲物を見つけ急降下して捕獲するか、獲物が現れるのを待ち伏せする。急峻な岩棚や、時には大きな樹木に営巣する。産卵期は1~2月。一腹卵数はほとんどの場合は2卵で、抱卵期間は約42日。最初にふ化した雛は遅れてふ化する雛をつつきはじめ、2番目の雛は親から餌をもらえずほとんどは死亡する。ふ化後70~80日で巣立つ。つがいの行動圏は約40~100k㎡だが、隣接つがいの営巣地が遠く離れているところでは、これよりかなり広いこともある。1994年に北海道を除く全国で確認されているつがい数は138にすぎず、繁殖成功率は1986年以降急激に悪化し、近年30%を下回っている。

生息地の現状

滋賀県や福井県で繁殖している個体が、府内にも行動圏の一部を持っており、滋賀県や福井県境界付近の南丹市美山町や京都市北部で観察される。全国的に個体数や繁殖成功率が減少している。滋賀県や福井県でもつがいの行動圏が消滅したり、繁殖成功率の低下が起こっており、府内からイヌワシが姿を消すおそれは高い。

生存に対する脅威

繁殖成功率の低下は、営巣地付近における開発行為や、広大な人工林の植林による餌動物の減少などが要因として考えられる。さらに1986年以降、卵がふ化しない例が報告されるようになり、残留性の高い環境負荷物質の影響が心配されている。

必要な保全対策

福井県や滋賀県の関係者と連携して、府内に生息するつがいの行動圏を調査し、高頻度で利用される地域の厳重な保全策を考える必要がある。営巣場所となっている岩棚などが崩落しているような場合は補修などの対策を検討する必要もある。また、卵が未ふ化や雛が成育途中で死亡した場合は、環境負荷物質の影響がないかを分析する必要がある。

関係法令

文化財保護法(天然記念物「地域定めず」)
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(国内希少野生動植物種)

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