選定理由 | 春秋の渡りの時期に旅鳥として府内に滞在する。滞在する個体数は少なく、近年減少している。 |
---|---|
形態 | 全長15cm。夏羽で頭上から体の上面は茶褐色で黒い軸斑があり、背にV字形の白線が見える。嘴は細くて黒く、足は黄緑色。飛翔中は翼に細い白線が出る。冬羽では茶褐色味が少なくなる。 ◎近似種との区別 トウネンは足が黒色。 |
分布 | シベリア東部で繁殖し、東南アジアで越冬し、一部はオーストラリアへも渡る。旅鳥として日本全国へ渡来する。沖縄では越冬する。府内では春秋の渡り期に少数が滞在する。 ◎府内の分布区域 南部地域。 |
生態的特性 | 渡りの時期には、やや内陸の淡水湿地や水田に多く滞在する。昆虫、甲殻類、貝を採食する。山地のツンドラや低地の湿原・草地で6月上旬から造巣し、一腹4卵を産む。 |
生息地の現状 | 府内では春より秋の観察例が多く、巨椋干拓地では少数ながら毎年観察されている。泥質の多い河川の中流域、代かき中や田植え直後の水田、休耕田に出現する。時にはトウネンの群れに混ざっている。 |
生存に対する脅威 | 水田の圃場整備などによる餌の減少や、国内の干潟減少の影響などが、府内の渡来数の減少に関係しているものと思われる。 |
必要な保全対策 | 生息環境のモニタリングを進め保全課題を明らかにする必要がある。 |
文献 日高(監)(1996)、京都府(1993)、真木、大西(2000)、高野(1982)
執筆者 須川恒、和田岳