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京都府レッドデータブック2015

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甲殻類およびその他の淡水産無脊椎動物のアイコン甲殻類およびその他の淡水産無脊椎動物
えん口目 ヒメテンコケムシ科

カンテンコケムシ

Asajirella gelatinosa
京都府カテゴリー

要注目種 

2002年版 絶滅寸前種 2002年版を参照する
環境省カテゴリー 準絶滅危惧(NT)
カンテンコケムシ

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選定理由

全国的に分布域が減少しており、府内での分布域が限定し、報告例が極めて少ないため、京都府では絶滅寸前種に指定されていた。

形態

茶褐色の個虫がならんで、透明な寒天状の外皮につつまれた群体をつくり、水草や岩石などに付着して生活する。個虫の大きさは最大5mmで、口のまわりに繊毛をもった75~106本の触手がU字型にならび、口の外側に肛門が開く。群体の大きさは1.5~3cm。休芽は暗褐色で長さ1.3mm、円形で鞍状だが、上から見ると四角くみえる。休芽の周囲に棘はない。

◎近似種との区別 群体の大きさが近縁のヒメテンコケムシより大きい。休芽の形が円形で鞍状、両端に棘がない点でヒメテンコケムシと区別できる。

分布

アジア地域固有種でインド、ビルマ、ジャワ、中国大陸、台湾、朝鮮半島に分布する。日本では関東以西の各地の湖、池沼、用水池に分布する。

◎府内の分布 桂離宮の池(1983から1985年)。

◎近似種との比較 ヒメテンコケムシは朝鮮半島、台湾、中国大陸から東南アジア、アフリカ南部、北米東部に分布し、日本では本州の池沼、用水池に分布するが、府内からの報告例はない。

生態的特性

群体は、湖沼やため池の水草や杭、人工的な壁面などに付着する。個虫は触手を伸ばし、繊毛運動で水流をおこし、プランクトンなどの有機物を口に導いて餌をとる。群体は、着底後の浮游幼生または休芽より発芽した幼少個体からつくられ、春から夏にかけて成長・増加した後、秋に多数の休芽をつくって消滅する。

生息地の現状

不明。

生存に対する脅威

全国的に分布域が減少しており、ため池などの池岸の改変、土砂や有害物質の流入による生息環境の悪化が危惧される。また水質悪化による影響も懸念される。

必要な保全対策

土木工事により、生息地に陸上部から土砂が流入しないような配慮や、農薬等の有害物質が池に直接流入しないような工夫が必要である。

改訂の理由

近隣の兵庫県で、数か所から記録されている。とくに近年、新たにビオトープ池からも発見されていおり、京都でも精査をすれば見つかる可能性がある。しかし、現状では調査機会が少ないことから情報不足と判断された。このため、一端絶滅寸前種から外し、要注目種として情報を集める対象とするのがよいと判断された。

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お問い合わせ先:京都府環境部自然環境保全課
TEL:075-414-4706 FAX:075-414-4705
E-Mail:[email protected]
〒602-8570 京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

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