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京都府レッドデータブック2015

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コイ目 コイ科

カワヒガイ

Sarcocheilichthys variegatus variegatus (Temminck and Schlegel)
京都府カテゴリー

絶滅危惧種

2002年版 絶滅危惧種 2002年版を参照する
環境省カテゴリー 準絶滅危惧(NT)
京都方言 ヒガイ(ビワヒガイとの混称)
カワヒガイ

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選定理由

もともと数が少ない上に、生息環境が悪化している。

形態

体長7~13cm。体形はやや側扁した紡錘形。頭は短く(頭長は体長の23.2~26.7%)、丸い。口は亜端位(やや下向き)で、目は大きい。体色は鰭も含め濃い黄褐色で、体側には雲状斑が密に分布する。胸鰭基底の上方には半月形の暗色斑がある。幼魚とメス成魚には背鰭に黒色帯がある。幼魚は体側に1本の黒色縦帯を備える。メスは成熟すると1cm程度の産卵管が伸長する。

◎近似種との区別 カワヒガイは日本産ヒガイ属魚類の中で最も小型で、頭長が短く、尾柄が太い。京都府内の淡水域では、ビワヒガイ、モツゴ、ムギツクとの識別が問題になる。同種別亜種のビワヒガイは体が大きく、頭も大きい。モツゴは口が上向きでムギツクは端位である。

分布

太平洋側は愛知県豊川、日本海側は京都府由良川以西の本州、九州北西部、および壱岐の島に分布する。

◎府内の分布区域 桂川、木津川、宇治川、由良川。

◎近似種との比較 琵琶湖の止水環境に適応したビワヒガイが、迷魚として琵琶湖疏水や鴨川水系で採集される。

生態的特性

河川の下流域から中流域、灌漑用水路の流れの緩やかな砂礫底に生息する。動物食性。産卵期は3~7月、メスは産卵管を使って二枚貝の外套腔内に産卵する。稚魚は2~3尾で行動する。

生息地の現状

採集記録は途切れていないが、情報は乏しい。

生存に対する脅威

河川改修や圃場整備に伴う生息環境の人工化。すなわち、河川では産卵場となるワンドの消滅、灌漑用水路では三面コンクリート護岸。さらにそれらに伴う産卵用二枚貝の絶滅なども二次的に影響する。また、オオクチバス、ブルーギルの食害も見逃せない。特に稚魚は単独行動をするので狙われやすい。

必要な保全対策

河川の蛇行やワンドなどを保全するとともに、二枚貝保護のため土砂が流入しないような配慮が必要である。また、オオクチバス、ブルーギルの駆除は不可欠である。

特記事項

宇治川水系のカワヒガイ個体群はほかの水系の個体群にくらべて大型である。ビワヒガイとの交雑個体群である可能性がある。

その他

日本固有亜種

文献 Hosoya(1982a)、細谷(1982b、1997a)

執筆者 細谷和海

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