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京都府レッドデータブック2015

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哺乳類のロゴマーク哺乳類
翼手目ヒナコウモリ科

ヤマコウモリ

Nyctalus aviator Thomas, 1911
京都府カテゴリー

絶滅寸前種

2002年版 絶滅寸前種 2002年版を参照する
環境省カテゴリー 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
ヤマコウモリ

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選定理由

樹洞を昼間の隠れ家にするコウモリであり、それが存在する大木が激減し、樹洞が消失し、隠れ家がなくなりつつあるため。

形態

日本ではヒナコウモリ科の中では最も大型であり、体毛や翼は濃い褐色、翼の形は狭く長いという特徴をもつ。

◎近似種との区別 同じ属の別種としてコヤマコウモリが日本から知られるが、本種はこれよりもはるかに大型である。

分布

北海道、本州、四国、九州。

◎府内の分布区域 京都府で隠れ家として利用する樹洞はまだ発見されていないが、京都市内に生息するようである。

生態的特性

夕方に隠れ家から飛び出して、飛翔する昆虫類を採餌する。昆虫類が飛ばない冬期には冬眠するものと思われる。初夏にコウモリ類では珍しく1回に2仔を出産する。出産と子育てはメスの集団で行われ、その時にオスは小さい集団をつくり分散する。

生息地の現状

京都市動物園にかつて救護動物として1頭が持ち込まれたことがあるという。京都市内の上賀茂神社あたりに大木があり、生息の可能性があると想像し、数回飛翔の調査を行ったが、確認できていない。ただし、京都府立植物園の近くで本種特有の鳴き声を聞いたという報告がある。市内のどこかに少数ながら生息している可能性がある。本種は原生林の中央部というよりも、むしろその周辺部や社寺に残されている大径木を好んで昼間の隠れ家として利用することが知られている。府内には大径木をもつ社寺が多くあるので、本種の隠れ家が近いうちに発見されるであろう。京都御苑をはじめとし、大径木を多く残す神社などの調査が早急に必要である。

生存に対する脅威

昼間の隠れ家、すなわち照葉樹をはじめとする大径木のある原生林の消失。

必要な保全対策

まず、本来の昼間の隠れ家である樹洞を今後一切減少させない。大径木の樹木を伐採しない、現在残されている大木を全て保存する。また多くの社寺に残されている大径木は老朽化し倒木のおそれがあるとして伐採される傾向にあるが、これをやめる。

関係法令

京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例(指定希少野生生物)

執筆者 前田喜四雄

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