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地質

ふなおかこうざんのこうしょうおよびにじこうぶつ

船岡鉱山の鉱床および二次鉱物

京都府カテゴリー

消滅寸前

2002年版 消滅寸前 2002年版を参照する
南丹市園部町船岡

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分類

鉱物

細分

炭酸塩鉱物、水酸化鉱物、酸化鉱物

時代区分

古生代石炭紀

地域

南丹市園部町船岡

選定理由

府内唯一の海洋底塩基性火山活動にともなう海底火山噴気鉱床である。また、初生の金属鉱物にともなって多種類の二次鉱物が産する。

分布

国内では同様な鉱床として東北日本のグリーンタフ地域に見られる新生代の黒鉱鉱床がよく知られている。

特徴(特異性)

本鉱山はかつて大和谷鉱山と呼ばれ、明治末期~大正初期にかけて稼行されていたらしい。鉱床は丹波帯Ⅱ型地層群新水戸ユニット基部に発達する緑色岩類の内部、または上位に胚胎しているものと考えられる。緑色岩層の地質時代を示す化石の証拠はないが、本層の東方への延長部に相当する緑色岩からSm-Nd年代として334~339Maの値が報告されている(Sano et al. 1987)。

付近には赤白珪石の鉱床がいくつかあり、成因的には関連しているものと考えられる。鉱石は黄銅鉱、閃亜鉛鉱、黄鉄鉱からなる緻密な集合体で、脈石鉱物として重晶石の細脈をともなう。地表付近の「ヤケ」の部分に褐鉄鉱、孔雀石、珪孔雀石、水亜鉛鉱、赤銅鉱、藍銅鉱、ブロシャン銅鉱、緑鉛鉱、異極鉱、水亜鉛土などの銅、鉛、亜鉛の二次鉱物が多産する。また、少量の二酸化マンガン鉱も見られる(松尾 1968)。

現状

本鉱山は山中の谷にあり、いくつかの坑口とズリが認められる。ズリには鉱石が多い。

保存に対する脅威

現在、閉山しており、また今後も再開される見込みはない。地中に鉱脈は続くものと考えられるが、マニアによってわずかな地表の露頭が採取し尽くされる可能性がある。

必要な保存対策

中・古生代の黒鉱鉱床としては珍しいものであり、観察路などを設けて坑道を整備保存する必要がある。

地質文献一覧

執筆者 貴治康夫

船岡鉱山のブロシャン銅鉱(益富地学会館標本)

船岡鉱山のブロシャン銅鉱(益富地学会館標本)

南丹市園部町船岡鉱山の鉱物 ブロシャン銅鉱(写真は高田雅介氏提供)

南丹市園部町船岡鉱山の鉱物 ブロシャン銅鉱(写真は高田雅介氏提供)

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