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地質

はいやがわしょうじょうだんそうとせんまいがん

灰屋川衝上断層と千枚岩

京都府カテゴリー

要注意 新規

2002年版新規 リスト外
京都市右京区京北井戸町小祖父谷、京北芹生町灰屋川

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分類

構造と岩石

細分

古期断層と変成岩

時代区分

ジュラ紀新世から白亜紀古世

地域

京都市右京区京北井戸町小祖父谷、京北芹生町灰屋川

選定理由

Ⅰ型地層群とⅡ型地層群は構成される岩石、岩相、岩質、年代などが異なり、大規模な衝上断層で重なっていることが指摘(石賀 1988;井本 1989など)されて以来、丹波帯のすべての地域地質研究報告で確認されている。しかしながら、境界の大規模衝上断層を示す露頭については明瞭なものが少ない。

改訂の理由

近年、過去に調査された地層群境界を見直すなかで、衝上断層露頭の存在意義が明瞭となり、新たに指定するに至った。

分布

Ⅰ型地層群とⅡ型地層群の境界。

特徴(特異性)

灰屋川衝上断層は、丹波地帯研究グループ(1980)によって灰屋川断層として最初に記載された。灰屋川衝上断層はⅠ型地層群とⅡ型地層群の境界にあり、両地層群は岩相層序区分において明瞭に異なっている。丹波帯広域に分布する2組の地層群境界はこの灰屋川衝上断層(第1図:最小水平変位量50~70kmの順序外スラスト(OST:木村 1998))で代表され、Ⅱ型地層群がⅠ型地層群の上に衝上し丹波ナップを形成している。丹波ナップは、その後に褶曲、削剥され、シンフォーム部に上部のⅡ型が、アンチフォーム部に下部のⅠ型地層群が分布している(楠、丹波地帯研究グループ 2013)。

この灰屋川衝上断層はⅠ型地層群の内部構造を斜断していることから、両地層群は構造的にも明らかに異なっている(木村 2000)が、丹波帯に認められる地層群境界の多くの露頭は被覆されたり削剥されたりして、衝上断層として明瞭な露頭がほとんど見当たらない。本露頭は、Ⅰ型地層群の上にナップとしてⅡ型地層群が乗り上げた衝上断層であることを明瞭に示す千枚岩をともなうもので、最初の命名地点で非常に貴重な露頭である。

現状

京都市右京区の京北井戸町から京北芹生町にかけては、Ⅱ型地層群灰谷コンプレックス(井本ほか 1989)の基底をなす緑色岩とⅠ型地層群の大原コンプレックス(木村ほか 1998)の境界である灰屋川衝上断層が認められる。この灰屋川衝上断層には明瞭な大原コンプレックスの千枚岩が認められ、下位の地層群が大きな圧力と圧砕を被った典型的な衝上断層であることを示している。この灰屋川衝上断層にともなう千枚岩は、井戸祖父谷で1か所、灰屋川沿いの南に延びる谷の3か所で発見されている。

保存に対する脅威

千枚岩は崩れやすく、埋もれるか土砂崩れを起こし法面処理されることが多い。

必要な保存対策

他地域ではほとんど認められない千枚岩をともなう灰屋川衝上断層は、現世の付加体のOST(順序外衝上断層)と対応づけられる露頭で、付加体で起こる地震や津波の起因断層と関わる貴重な露頭で現状を維持する必要がある。

地質文献一覧

執筆者 楠利夫

京都市北区京北井戸町井戸祖父谷のⅠ型地層群とⅡ型地層群の境界の灰屋川衝上断層にともなって発達する大原コンプレックスの千枚岩露頭

京都市北区京北井戸町井戸祖父谷のⅠ型地層群とⅡ型地層群の境界の灰屋川衝上断層にともなって発達する大原コンプレックスの千枚岩露頭

露頭写真付近の千枚岩の拡大写真

露頭写真付近の千枚岩の拡大写真

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