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地質

うじしづがわしゅうへんのがんみゃくぐん

宇治志津川周辺の岩脈群

京都府カテゴリー

要注意 新規

2002年版 リスト外
宇治市志津川、炭山

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分類

岩石

細分

火成岩類

時代区分

中生代白亜紀

地域

宇治市志津川、炭山

選定理由

東西性の珪長質岩脈と南北性の苦鉄質岩脈がそれぞれ断続し、かつ交差している。交差している付近で火砕岩様岩脈が認められる。

改訂の理由

本地域の苦鉄質岩脈は、志津川に沿って露頭が点在し、その分布を長距離にわたって追跡することができる。また、東西方向の珪長質岩脈と南北方向の苦鉄質岩脈の分布が、交差する地域として地質学的に貴重である。2012年の宇治市豪雨災害によって、本地域の露頭状況が大きく変化したため、今後、注意して見守っていく必要がある。

分布

苦鉄質岩脈は京都府内の丹波帯各所でも認められるほか、比叡花崗岩にも貫入している。また、花崗斑岩岩脈も類似したものが京都府内の各所で見られる。

特徴(特異性)

丹波帯東南部には各所に火成岩岩脈が分布している。本地域の苦鉄質岩脈は安山岩~玄武岩質で有色鉱物として輝石や角閃石を含む。幅は1~2mのものが多く、志津川沿いに顕著に見られ、南北方向に約7km断続する。

いっぽう、珪長質岩脈は斜長石、石英、黒雲母からなる斑状組織の顕著な花崗斑岩で、アルカリ長石の斑晶が乏しい種類である。幅は数mで東西方向に4km断続して露頭が見られる。炭山地域で、両者が交差しているが、直接の露頭はない。ただし、その付近で多量の堆積岩破片を含む火砕岩様の岩脈が認められる。本火砕岩は位置的にみて、珪長質マグマに苦鉄質岩片が取り込まれている可能性がある。一般に丹波帯では珪長質岩脈が苦鉄質岩脈よりも後に貫入している傾向がある。

なお、本地域の北部に見られる東西性の花崗斑岩は、アルカリ長石の斑晶を多量に含み、滋賀県に分布する環状の琵琶湖コールドロンに属する岩脈である。本地域の珪長質岩脈も同時期の形成の可能性がある(貴治1986、貴治、高田1994、貴治、木谷2005)。

現状

2012年の宇治市豪雨災害時の志津川の氾濫によって、林道も崩れ、以前よりも露頭が捜しにくい状況にある。崩壊によりあらたに露頭が露出している可能性もある。道路の改良工事により、火砕岩様岩脈も見つかりにくくなっている。

保存に対する脅威

志津川の氾濫や道路の拡幅によって、岩脈の露頭が失われる可能性がある。

必要な保存対策

珪長質岩脈と苦鉄質岩脈が交差する例は珍しく、周辺の地質を保存する必要がある。

特記事項

本地域の地下には京滋バイパスのトンネルが建設されている。

地質文献一覧

執筆者 貴治康夫

花崗斑岩の露頭。冷却節理が顕著。本露頭の西側に火砕岩様岩脈が認められた。

花崗斑岩の露頭。冷却節理が顕著。本露頭の西側に火砕岩様岩脈が認められた。

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