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陸産貝類概要



 陸産貝類概要

1.京都府の陸産貝類相
 京都府産の陸産貝類の種リストの作成にあたっては、まず、過去の文献資料において京都府から記録されてい
る種を選定した。このなかには、後に再検討や分類体系の変更により同定結果に変更が必要となるものがいくつ
かあり、それらについては古い種名を計数から除外した。次に、環境庁「第4回種の多様性調査」(1988〜1992
年)の結果のうち、種レベルの同定が比較的容易で誤同定の可能性が少ないと考えられる種で、京都府周辺の地
理的分布状況から府内に生息する可能性が高いと考えられるものについては、この調査で確認された種を追加し
た。そして、これらに執筆者とその協力者らによる調査等で得られた情報を加えた。その結果、これまでに京都
府から記録のある陸産貝類は,いわゆる前鰓類9科16種と有肺類17科95種の計26科111種となった。
京都は古くからわが国の貝類学を主導してきた研究者たちの一大拠点であったこともあり、基準産地を京都府内
として記載された種も多く、キョウトギセルガイやミヤコムシオイガイなど「キョウト」や「ミヤコ」を名に冠
するものを含め、少なくとも16種を数える。また、外来種とされる種は7 種で、すべて市街地や耕作地など人為
的影響の強い開けた環境に生息する種である。
 この作業で明らかになったことは、「京都(市)が貝類研究の先達たちの拠点であったにも関わらず、京都府
における陸産貝類の分布情報が非常に乏しい」現状であった。そのなかにあって、京都府の中南部地域の分布情
報を詳細に記録した多那瀬・垂井(1972)は特筆に値する。だが、この文献の発表からすでに30 年が経過し、
生息地の環境も大きく変容していることが予想され、現況把握のための調査がぜひとも必要である。また、この
文献で対象地域に含まれない京都府北部の貝類相に関しては、若狭湾の冠島(丹後大島)や福井県境の青葉山
(舞鶴市)など、舞鶴市周辺のごく限られた生息地以外の情報はほとんど存在せず、分布情報の空白地帯が広が
っている状態である。
 京都府の陸産貝類相の特徴としては、京都府内に地理的分布域の辺縁を持つ種が注目に値する。京都府を分布
域の西南限とするものは、コシタカコベソマイマイ、ツルガマイマイ、ミヤマヒダリマキマイマイ、ミノマイマ
イなどの大型種に代表され、前3者は琵琶湖の北側の「地峡」部を経由して京都府内まで分布域を拡大している
種で、府内の分布域も北東部に限定される。一方、ミノマイマイは木津川水系で確認されており、上流域の伊賀
地方から川沿いに分布を拡大した可能性がある。また、日本海沿いの分布域を持つニクイロシブキツボ、クリイ
ロキセルガイモドキは、分布域の南縁が府内を横切っている。一方、京都府を東北限とするものは、シリオレト
ノサマギセルガイ、カスガコギセルガイ、クチマガリマイマイ、ヒロクチコギセルガイ、トサビロウドマイマイ
などがある。カスガコギセルガイとクチマガリマイマイは山地棲、低地棲の違いはあれ、ともに環瀬戸内海的な
分布域を持ち、京都府の南部にのみ生息するのに対し、ヒロクチコギセルガイとトサビロウドマイマイは若狭湾
沿岸部にのみ分布し、少なくともヒロクチコギセルガイに関しては、海浜棲のヘソカドガイと同様、暖流の対馬
海流によって分布を拡大したことが推定される。
 陸産貝類相の多様性や固有性を決定する要因のひとつは、大規模な石灰岩地の存在であるが、京都府内のまと
まった石灰岩地は、瑞穂町質志(しずし)にある鍾乳洞周辺のみで、規模もそれほど大きくない。それ以外に、
京都市街の北部から西部を取り囲む山地にも、レンズ状石灰岩を産出する場所が存在したが、すでに採掘された
り造林されたりし、陸産貝類にとって好適な環境が残されているのは、京都市左京区の鞍馬山の山中くらいであ
ろう。鞍馬山から貴船にかけての一帯は、良好な広葉樹林が残されていることもあり、府内でももっとも陸産貝
類相の豊かな地域である。


2.種の選定
 種の選定にあたっては、淡水産貝類と同様、
1)府内の生息地が限られる、
2)生息密度が非常に低い、
3)最近の減少傾向が顕著、
4)全国的に見て特異な分布を示す、
5)京都府内を基準産地とする、
6)情報が不足している、
7)在来生態系に影響を与えるおそれがある、
という7つの条件に配慮した。京都府のカテゴリー定義に従い、2000 年4月に発表された環境省によるレッド
データの見直し結果や、近隣府県で近年刊行されたレッドデータブックの結果(兵庫県:兵庫県(1995、1997)、
福井県:長谷川(1998)、滋賀県:中井ほか(2000)、大阪府:松村(2001))を参考に、府内での記録が少な
く、近年現認されていない種を「絶滅寸前種」、生息地が限られ、生息密度が低いか減少している種を「絶滅危
惧種」または「準絶滅危惧種」、府内を基準産地とするか情報不足の種、または影響の懸念される外来種を「要
注目種」とする方針をとった。なお今回は原則として湊・増田(1998)の分類体系に従い、総合的な文献である
東(1992)、湊(1988)、環境庁自然保護局(1993)を全般的に参考とした。これらの文献は個々の種の文献と
しては取り上げていない。

3.選定種の概要
 府内で確認された111種から、絶滅寸前種1種、絶滅危惧種10種、準絶滅危惧種9種、要注目種22種・亜種の、
計42 種・亜種を選定した。
 絶滅寸前種として唯一選定されたカスガコギセルガイは、もともと存続基盤が脆弱で、近年、現認できておら
ず、環境省レッドデータでも絶滅危惧I 類として扱われている。
 絶滅危惧種と準絶滅危惧種に関しては、そのどちらに選定するかの判断が難しく、府内の情報が非常に限定さ
れているなか、環境省や隣接府県での取り扱いを参考にする程度が高かった。
 絶滅危惧種のうち、ナガオカモノアラガイとクチマガリマイマイは平野部(および後者は低山も)を主な生息
地とし、人為的環境改変により急速に減少しつつあるが、前者は市街から離れた水田地帯、後者は社寺林等での
存続を期待する。ホラアナゴマオカチグサガイは石灰洞(鍾乳洞)内部という特殊環境に生息し、京都府では環
境そのものが1ヶ所しかなく、その観光洞化の影響が懸念される。残る7 種はどれも離散的かつ低密度ながら自
然度の高い森林環境(もしくはそれに付随する微環境)に生息し、即座に危機的状況に陥る可能性は低いかもし
れないが、すでに顕著な減少傾向が認められるものもあり、生息環境の現状維持が危ぶまれると決定的打撃を受
けかねない。
 準絶滅危惧種は、府外では普通に確認される種が含まれる。ツルガマイマイを除き、自然度の高い森林環境に
依存する種であるが、府内では分布域あるいは生息地が限定される傾向があり、生息密度も高くない。ツルガマ
イマイは平地棲の種であるが、分布域の中丹地域東部では生息環境の改変の程度が府南部ほど急激ではないため
に、このカテゴリーに分類した。
 要注目種には22種が含まれる。京都府内を基準産地とする種のうち、広い地理的分布域を持ち府内に普通なナ
ミコギセルガイ、オカチョウジガイ、ナミヒメベッコウは選定から除外し、残る13種のうち絶滅危惧種の3種
(キョウトギセルガイ、ココロマイマイ、クチマガリマイマイ)以外の10種を含めた。このうちキョウトキビガ
イ、キョウトシタラガイ、ミヤコベッコウは分布情報がほとんどなく、マルニッポンマイマイ、コオオベソマイ
マイ、ミヤコオトメマイマイとともに近縁の類似種を含めた分類的な再検討が求められる。また、ヤマクルマガ
イ、ナタネキバサナギガイ、ヒメコギセルガイ、ミノマイマイは環境庁調査もしくは古い生息情報のみであり、
現状確認が必要である。外来種は在来種への深刻な生態的影響が現時点では認められず、選定しなかった。

                                執筆者 中井 克樹

	
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