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京都府児童虐待防止強化対策検討会(第4回)

 

「京都府子どもを虐待から守る条例(仮称)」の骨子案及び新たな施策案について検討しました。

開催日時

令和3年11月17日(水曜日)午後3時から4時45分

場所

ルビノ京都堀川【加茂】

出席者

【委員】

  • 津崎 哲郎 NPO法人児童虐待防止協会 理事長
  • 上野 昌江 関西医科大学看護学部 教授
  • 安保 千秋 京都弁護士会
  • 早樫 一男 京都府児童福祉施設連絡協議会 会長
  • 奥村 久夫 向日市立勝山中学校 校長
  • 小林 新一 京都府警察本部生活安全部少年課 児童虐待対策官兼少年サポートセンター所長
  • 桝田 悟司 京田辺市健康福祉部 子育て支援課長
  • 和田 敬司 久御山町民生部 子育て支援課長
  • 平野 徹 京都市子ども若者はぐくみ局子ども若者未来部 子育て世代包括支援担当部長

【専門委員】

  • 河野 亘 京都府歯科医師会 理事(学校歯科担当)
  • 金村 成智 京都府立医科大学大学院(歯科口腔科学) 病院教授
  • 櫛田 恵里子 峰山乳児院 施設長
  • 浦田 雅夫 大阪成蹊大学教育学部 教授、アフターケアの会メヌエット
  • 藤井 美沙子 施設職員(社会的養護経験者)

【京都府】

健康福祉部副部長、家庭支援課長、各児童相談所長ほか

開催結果の概要

議事

条例骨子案及び新たな施策案の検討等

主な意見

条例制定の背景(前文)~関係者の責務・役割

条例骨子案について
  • 「保護者の責務」について、保護者に第一義的責任があることは承知しているが、現状を鑑みると、むしろ責務を深く認識すべきは国と地方公共団体とも言える。子どもとともに保護者を 一緒にサポートする姿が見えてこず、保護者の自己責任のみで解決できる問題に見えてしまう懸念がある。
  • 「関係機関等の役割」について、小児科医や歯科医、学校医等は健診で気になる子どもを見つけた場合は、市町村や児童相談所へ連絡するという認識を有しており、関係機関として医療機関も明示する必要がある。
  • 「関係機関等の役割」について、主体として取り組むだけでなく、連携も大切なので、「連携」という文言も入れるべきである。
  • 歯科健診において、同じ歯がずっと治療されない子どもはネグレクトを疑う。体罰や性暴力なども、最初はネグレクトから始まることもあり、そのあたりにも触れられるとよいと思う。

未然防止

条例骨子案について
  • 「予期しない妊娠に至らないため若年者に対する性教育を強化」とあるが、学校現場では、保健体育の授業で年間約3時間程度、さらに各クラスで特別授業も実施しており、これ以上増やすことは非常に難しい。例えば医療機関や地域の団体が性教育を行うなど、学校以外での実施も考慮した文言になるとよい。
新たな取組案について
  • 乳児院が、入所している子どもたちのケアを行いながら、地域で新たな役割を担い取組を進めていくのは人手が足りず厳しい。市町村がしっかりと役割を担い機能するとともに、ケアを担う施設の体制も整えなければ、システムだけ構築しても内容が伴わないことになる。実効性の高い仕組みとなるようしっかり考えていく必要がある。
  • 虐待を経験した方が、また同じように虐待を行い、死亡事例に至っているケースもある。未然防止に加え、再発防止が重要であり、見守り活動などを切れ目なく行うなど、地域における支援体制の確立が重要である。
  • 若年妊婦などに対しては、特定の人がしっかりと個別支援を続けられる仕組みが有効であり、どのように切れ目のない支援を繋いでいくかの検討が必要である。
  • 社会的養護経験者の自立支援については、施設退所とともに支援が切れ、孤立してしまうと、生活自体を成り立たせていくこともしんどくなる。都道府県が、自立に必要な支援内容等を判断し、自立まで切れ目なく支援を続けていくことはとても重要である。

早期発見・早期対応

新たな取組案について
  • 子どもに虫歯が8~10本あればネグレクトが疑われる。また、虐待を受けている子どもが学校の内科健診を休んでも、歯科健診でその疑いを発見することができる。歯科医が虐待の疑いを発見した場合の通告方法などを、行政から周知を図り、通告のパイプを太くできれば、早期発見に繋がるのではないか。
  • 歯科だけではなく、内科健診、体重の増減等、様々なことを含めて、虐待の疑いを持って対応するというのが学校現場の基本姿勢であり、教職員にも周知を図りながら取り組んでいる。すべての教職員が二の足を踏まずに通告できているかということについては少しハードルがあると感じており、引き続き周知の徹底を図っていく必要がある。
  • 児童家庭支援センターは、法的には児童養護施設以外でも設置可能。児童養護施設への設置に限定すれば、場所が限定的になってしまうため、どこに設置すればその地域をカバーできるのかという視点での検討が必要である。

虐待を受けた子どもへの支援

条例骨子案について
  • 子どもから意見を聞く機会の確保だけでは、意見を聞くだけでよいという受け止めになりかねない。意見を聞いたあとの対応についてもしっかりと取り組む必要がある。
新たな取組案について
  • 法改正が予定されており、一時保護児童だけではなく、施設への措置児童等からも意見を聞きとることになるため、弁護士だけでは人的に対応しきれないと思う。訓練を受けたアドボケイトを養成し、民間に委託する取組が必要となる。
  • 子どもは身近な大人の方が意見を言いやすいのではないか。弁護士が機械的に聞くだけではかえってマイナスになる。子どもにとって、心を許せ、話せる人が聞かなければ意味がなく、この役割を担う人材を養成する必要がある。
  • 児童相談所の第三者評価は、児童相談所の実情に沿い、よく理解した上での評価でないと意味がないため、専門機関による第三者評価を実施するのがよい。また、評価結果を府がしっかりと受け止め、対策を速やかに行うことが必要である。
  • 「虐待を受けた子ども」への対応としては、親子を分離するだけでなく、引き続き、在宅で生活することになる子どもも多くいることから、そのような場合も含めて安心して生活できる家庭環境を確保する施策が必要である。

再発防止

新たな取組案について
  • 児童養護施設や乳児院においては、要対協にあがっている家庭の子どもは、虐待の未然防止、再発防止という観点から、できるだけショートステイ(短期入所)を受けられるよう配慮している。一方で、施設のスペースや人員の確保が難しい状況であり、ショートステイ(短期入所)拡充に向けての支援があれば、ショートステイ(短期入所)をもっと活かせられるのではないか。
  • 連携する「民間団体」は、児童相談所の所管エリアよりも各保健所単位に確保できれば有効的である。
  • 府が主体的に整備してきている子ども食堂や居場所などに取り組む民間団体と、上手くタイアップして支援していけるような、京都府の強みを活かした施策を進めるべきである。
  • ショートステイ(短期入所)やデイサービス(通所支援)などの周知が足りていないように思う。広くアナウンスに務めることが必要である。

自立支援

条例骨子案について
  • パブリックコメントを実施する際は、子どもからも意見を聞き、それに対してしっかり対処していくことで、子どもにとって、意見を聞いてもらえたという体験をつくることが大事である。
新たな取組案について
  • フォスタリング機関の設置はとても大事であり、ぜひ進めてほしい。加えて、施設から里親へ移行することを考えると、外部機関だけではなく、施設の中にも相談員が必要である。里親養育をさらに充実させていくためには、各施設への里親支援専門相談員の配置も必要ではないか。
  • 社会的養護施設に配布されている既存の「子どもの権利ノート」があるが、インケアの部分だけではなく、アフターケアを見通した中身の改定、改めての職員研修が必要ではないか。
  • 現在のところ、20歳までの措置延長が終了しても、子どもの自立を保障できるような支援が必要である。

支援体制の強化

新たな取組案について
  • 親の育ちをどうしていくのか、親に対する直接的な支援をどのように考えていけばよいか、そういった面のアプローチの検討も必要である。
  • 新たな取り組みよりも、現在の児童相談所の機能強化が喫緊の課題であるとの認識が重要である。

 

お問い合わせ

健康福祉部家庭・青少年支援課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4586

kateishien@pref.kyoto.lg.jp