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人権口コミ講座 142


職場におけるハラスメント防止のための事業主の措置義務

同志社大学法学部教授 上田 達子

事業主の措置義務

 令和元年5月29日、ハラスメント防止対策の強化を図るために労働施策総合推進法が改正されました。この改正法では、パワー・ハラスメント(パワハラ)について、セクシュアル・ハラスメントや妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメントと同様に、事業主に対して相談体制の整備など雇用管理上の措置義務を課すとともに(30条の2第1項)、国、事業主および労働者の責務(30条の3)などを定めました(令和2年6月1日施行。措置義務に関して、中小事業主は令和4年3月31日までは努力義務)。具体的な内容は、パワハラ防止指針によることになります。

パワハラ防止指針と働きやすい職場環境の整備

 パワハラ防止指針(令和2年1月15日厚生労働省告示第5号)では、職場におけるパワハラは、職場において行われる(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、この3つの要素をすべて満たすものをいうと定義し、代表的な言動として6類型と典型例を列挙しています。また措置義務の内容として、事業主のパワハラ防止方針の明確化と周知・啓発、相談・苦情への適切な対応体制の整備、事実関係の迅速かつ正確な確認および適切な対応を定め、併せて相談者・行為者などのプライバシー保護および相談などを理由とした不利益取り扱いの禁止を求めています。さらに、自社の労働者が他社の労働者や労働者以外の者に対して行う言動や、自社の労働者が取引先や顧客などから受ける著しい迷惑行為に関する相談対応なども事業主が行うことが望ましい取り組みとするとともに、性的少数者に対する侮辱的な言動や、性的少数者であることを労働者本人の了解を得ずに他の労働者に暴露することは、パワハラに該当することを明示しています。事業主は、以上のことに留意をして、誰もが働きやすい職場環境を整備することが求められています。

◎令和3年3月発行の「人権口コミ講座22」の内容を加筆・修正し、再掲載しています

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