ここから本文です。

人権口コミ講座 143


コロナ禍における子どもへの影響と、できること

大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科教授 山野 則子

見えない子どもの叫び

 2020年、新型コロナウイルス感染症による子どもや家庭への影響について、子どもや保護者、公的機関に対する調査を行いました。今回の結果から、新型コロナウイルス感染症の広がりによる経済状況や不本意な在宅生活が、家庭内不和を起こす可能性が高く、それはさまざまなところに影響することが分かりました。子どもに限定すると、何らかのストレスを抱えている子どもは9割弱であり、そのうち、わずかではないストレスを抱えている割合は3割強でした。再開後学校に行きづらいと感じた子どもは3分の1を占め、声にならない子どもたちの悲痛な叫びと捉えることができます。また児童相談所では、ゲーム依存の相談、性的な問題、DVに関係する虐待相談が増えました。学校が休校になることで、さまざまに、気を付けてあげるべき子どもたちをキャッチできず、結果的には見えないところで、子どもたちのストレスが高くなっていくことを放置せざるを得なくなったものと考えることができます。

聴いてもらう権利

 保護者は、仕事の変化、生活の変化が強いられ、精神的負担を感じた人が増え、表面的には見えにくいストレスを抱えた子どもの声や行動すべてに耳を傾ける余裕がなくなりました。周りの大人が、深い話でなく、たわいもない話ができるような声掛け(例「おはよう」)から始めて、子どもたちが無意識に抱えるしんどさを出しやすい社会となることが求められます。また学校も、個人任せでなく組織として、早期の変化に気付く仕組み作りを行うことが最重要課題です。

◎令和4年1月発行の「人権口コミ講座23」の内容を加筆・修正し、再掲載しています

京都人権ナビ

人権情報ポータルサイト(外部リンク)
人権に関する相談窓口などをご案内しています

[お問い合わせ]
人権啓発推進室
TEL:075-414-4271 FAX:075-414-4268

次のページへ

お問い合わせ

知事直轄組織広報課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4075

koho@pref.kyoto.lg.jp