ここから本文です。

令和4年11月1日臨時知事記者会見

令和4年度9月補正予算案(追加提案)の概要について

令和4年度9月補正予算案の追加提案分がまとまりましたので、その概要を御説明させていただきます。

予算編成の基本方針

予算編成の基本方針ですが、原油価格・物価高騰等の影響が長引く現状を踏まえ、価格転嫁が困難な小規模事業者等への支援や年末に向けた府民生活への支援、コロナ禍で落ち込んだ観光需要を回復させるための全国旅行支援への対応に必要な予算を追加計上するものです。

柱は三本ございます。順次説明させていただきます。

Ⅰ,事業者へのエネルギー価格高騰対策

一点目は、事業者へのエネルギー価格高騰対策です。

「原油価格・物価高騰等小規模事業緊急支援事業費」は6月補正予算で創設した事業ですが、厳しい状況にある小規模事業者の取組を強力に後押しするために、ハード対策では省エネ機器やシステムの導入に対する支援、ソフト対策ではセミナーやオンライン相談、専門家による経営相談を行うものです。現在募集期間中ですが、想定よりも多くの交付申請が来ていますので、それを踏まえまして30億円規模で追加をするものです。

次に「医療機関・社会福祉施設等光熱費緊急支援事業費」14.5億円規模です。

医療機関や社会福祉施設は法令等で診療報酬や介護報酬が決まっているので、なかなか急な物価高騰等に対応できないということで、そうした機関・施設に対して支援金を支給するものです。

(資料)下段の「共同生産・管理事業エネルギー価格高騰緊急対策費」9千万円規模です。

伝統産業等でその生産工程がなくなると産業全体が成り立たなくなる事業を行っておられる産地組合や、中小企業者の生産や加工工程を担う中小企業組合があります。それがなくなりますと、産業全体に非常に大きな影響が出ます。

例を申し上げますと、京友禅の「蒸し水洗」と呼ばれる、染めたものを高温で処理することによって染料を定着させる加工や、染織の過程で付着した糊を洗い落とす加工があります。以前は複数の会社がありましたが、現在は7社で最近も2社が廃業するということで、その事業者がないと京友禅全体が成り立ちません。そのような産業を支えるために必要な産地組合や中小企業組合等の燃料費の負担を軽減するもので、昨年に比べて燃料費が高騰している部分について支援するもので、全体として燃料費負担を軽減するものです。

Ⅱ,年末に向けた府民生活支援

二点目は、年末に向けた府民生活支援「年末年始緊急生活支援事業費」2.2千万円規模です。

一つは、食料品や生活必需品の配布等による生活支援で、こどもの居場所等を通じて食料品や生活必需品等を配布することや、子ども食堂やこどもの居場所におけるクリスマス会やお正月イベントを実施する場合の支援を行うものです。

また、年末年始には様々な相談窓口が閉まるので、年末年始においても切れ目のない相談体制を確保します。就労や生活相談など様々な支援窓口を開設するための予算です。

いずれも昨年の年末年始においても対応させていただいたものです。

Ⅲ,全国旅行支援への対応

三点目は、全国旅行支援への対応「きょうと魅力再発見旅全国展開事業費」46.8億円規模です。

元々国の財源で全国旅行支援を実施しておりますが、国の方から(予算の)追加の内示がございましたので、それに合わせて全国旅行支援について追加をするものです。割引の内容や利用条件等については現在実施しているものと同様のものです。今回(計上した予算)については、一部機動的に対応するために留保しておく予備の部分や、(事業)全体の増に伴いクーポン(の費用)は必然的に付いてきますが、それを除くものについては、基本的に旅行会社に配分したいと考えております。

46.8億円規模というのは、事業全体で見込んでいる規模には達していないのですが、これは国の全体の配分の中で(の金額)ということもありますので、我々としては追加配分していただいたことは非常にありがたいのですが、引き続き需要に見合った支援になるように国の方に声を届けていきたいと考えています。

予算案の規模

全体の現計予算が1兆1,269億円で、今回の追加提案分が92億円台、合わせますと令和4年度補正後予算額が1兆1,361億円台です。時短協力金が年度を跨いで措置されるなどで、額が非常に高くなっていますが、時短協力金を除いた額で比較すると、令和4年度9月補正後予算額は、令和3年度9月補正後予算額と比べて100.5%で、0.5%の増となります。

私からは以上です。よろしくお願いします。

質疑応答

記者

今回の補正予算で、特に気を配った点、目配りした点は何か。

知事

先週、国が総合経済対策を発表されて、それに必要な補正予算案はこの臨時国会中に審議されるということですが、9月の消費者物価指数を見ても、消費増税の影響を除くと1991年8月以来の3.0%増と、足元で非常に物価高騰が続いています。それが様々な所に影響していることから、国の経済対策は当然活用いたしますが、それを待つことなく、特に緊急的に必要な原油価格・物価高騰の対策を講じるということです。

一つは、事業者へのエネルギー価格高等への支援です。医療機関や社会福祉施設については、長期的に見れば診療報酬改定等で物価高騰等の影響も反映される訳ですが、それには一定の時間がかかることから、緊急的にやらせていただくということです。

また、小規模事業者については、(6月補正予算で措置した補助事業への)需要が非常に高かったので、予算の追加をさせていただくということです。

産地組合や事業協同組合への支援については、国の経済対策の物価対策の効果が出てくるのが年明けからと予想されますので、それまでの間も足元では非常に厳しい状況がありますので、緊急的に支援を行うということです。

年末に向けた府民生活支援については、これは昨年も実施したのですが、昨年は特にコロナを意識していましたが、今回はそれに加えて物価高騰のこともありますので、できる限り、そういった所でお困りの方への支援を行いたいということです。

最後の全国旅行支援は、これは元々全体の需要に比べて、支援額がなかなか行き届かない状況ですが、国の追加配分の内示がありましたことから、これをできる限り速やかに執行したいということで、今回、ぎりぎりのタイミングでしたが、9月補正予算で対応させていただくということです。

全体としては、現下の原油価格・物価高騰への緊急支援と位置付けています。

記者

全国旅行支援について、現状の予算枠では旅行会社への配分額が埋まって受付停止しているので追加配分されるということだが、46億円という規模感についての認識はどうか。

知事

国の全体の予算額の中で、京都は旅行需要が非常に旺盛だということを加味した上で配分いただいていますので、その点は感謝していますが、全体としては、旅行会社が想定されている年末までの旅行需要と比べますと、この額は若干少ないと考えています。今後だんだんと実績が積み重なっていきますので、(必要となる額が)どれくらいなのか分かってくると思います。ただ、国全体の予算の話なので京都だけでの問題ではないと考えています。

記者

(宿泊施設の)直販分は一定予算は残っているとのことだが、一般の人から(の申し込み)は旅行会社に殺到しているようで、全体のスキームが伝わっていないように思うが、どのように考えているか。

知事

元々修学旅行と直販分については、あくまで予測ですがほぼ実績に見合う形での推測に基づいて(予算を)配分しています。また、直販分は泊まられた時に初めてお金が発生しますが、旅行会社は事前にパッケージで売っておられます。配分額よりも販売しすぎると(旅行会社の)持ち出しになりますので、配分額に合わせて発売されていますが、そういった実際の旅行需要が生じるまでにはタイムラグが出るということが(一因として)あります。

ただ、一般の方も、旅行会社で(全国旅行支援の対象となる旅行商品の予約が)取れなくても、直販であれば旅行商品を購入できると報道で周知されています。我々としてはPRというよりも、元々予算の全体額が旅行需要を完全に満たしている訳ではないので、その中でどれだけ合理的な配分にするかという形で今の配分を決めています。元々これは需要喚起の支援なので、予算の範囲内でやるしかないという点は御理解いただきたいと思います。

記者

都道府県によっては独自に上乗せするケースもあるが、京都府では想定しているか。

知事

独自に上乗せする所もあると聞いていますが、それをするには何らかの財源が必要です。他にも様々な行政ニーズがありますので、全体の配分の考え方としては、この旅行支援の国費を最大限活かすということで、京都府として追加支援を独自に講じる考えは今のところありません。

記者

本日「風流踊」について、ユネスコの評価機関がユネスコの無形文化遺産への登録勧告を行い、京都は東京都と並んで最多の三つの踊りが含まれるが、ユネスコの無形文化遺産に登録される見通しとなったことについて、知事の感想、コメントをお願いしたい。

知事

今回、ユネスコの評価機関において、24道府県で41件の「風流踊」について無形文化遺産への登録勧告が行われました。京都府では、「京都の六歳念仏」、「やすらい花」、「久田の花笠踊」の三つが含まれています。

京都はこれから文化庁を迎えますが、文化庁が移転する趣旨も地域文化などにより焦点を当てて、全国の地方創生に繋げていくというものですので、我々としてはそうしたものが組み込まれて、尚且つ、ユネスコの無形文化遺産に登録されるということは極めて歓迎すべき状況であると考えています。

元々、風流踊の華やかな衣装や様々な踊りで、例えば厄災払いや先祖の供養など様々な意味を持って行われているという意味においては、まさに地域の歴史、文化を伝承するものになっていますので非常に重要なものではありますが、一方で少子高齢化や過疎化で、踊り手を含めて継承が非常に厳しい状況もありますので、こうしてユネスコ登録によって改めてこうしたものに焦点が当たって、継承等にもよりプラスになるのではないかと考えています。

いずれにしても私としては歓迎すべきことで、非常に喜んでいます。また、勧告通り登録されることを期待いたします。

記者

文化庁の移転について、宗務課など一部機能の移転が遅れる可能性があるということだが、文化庁側からどのような説明を受けているのか。それによってどのような影響が出そうか。

知事

文化庁移転は地域文化や生活文化に焦点を当てて新しい文化政策を京都で行い、それを全国の文化政策の推進を通じて地方創生に繋げていこうとするものです。文化庁移転の本質の部分について、今回の宗務課の件はそれほど大きな影響はないと思っています。ただ、宗務課も移転をする組織の一つとして想定されています。しかも今、世の中から注目されている仕事なので、私としては文化庁に与えられた責務をきちっと果たしていただかなければいけないと考えています。

元々、国会対応業務や他の中央省庁との調整業務、団体との対応等、東京で対応しなければいけない業務については移転しないことが前提でした。一定程度国会対応業務はありますし、業務はその時々の社会経済情勢の背景によってボリュームが変わってきます。今回は現時点において宗務課の業務が大変だということで、増員等もされると聞いておりますので、ここはしっかり対応していただいて、いずれ宗務課全体が京都に来られることは間違いないので、その時に改めて京都で機能を発揮していただきたいです。

ただ、全面移転は来年5月中旬ですので、具体的に事務としてどうなるかは話を伺っていません。文化庁移転の全体の大きな流れには影響はないと聞いています。

記者

建物自体の完成は12月末となっているが、3月27日の移転までに府民の方や関係者向けに京都府でツアーを開催するなどの考えはあるか。

知事

選択肢としてはありますが、迎える側としては予定通り12月に建物を完成させて、しかも中の設備工事等、文化庁で行わなければいけない準備も当然ありますので、まずは円滑に3月27日の業務開始を迎えることを考えています。

仰るように、それに伴って機運情勢や府民の理解促進等、様々な取組をしなければいけません。それが3月までに必要かどうか等については文化庁側と十分に話したいです。今は建物を予定通り完成しなければいけないので、それに全力を傾けたいと考えています。

お問い合わせ

知事直轄組織広報課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4075

koho@pref.kyoto.lg.jp