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令和4年12月26日定例知事記者会見

2022年を振り返って

本日は、年末の恒例の話題として、今年1年の振り返りでございます。

お配りしている資料は、優先順位を付けている訳ではなく、所管部局の建制順に並べたものですが、この中から私が印象に残っている項目について、いくつか申し上げます。

はじめに、重大ニュースとさせていただきました、WITHコロナに向けた新たな段階への移行です。

コロナウイルスとの闘いは3年にも及んでいますが、今年は第6波、第7波と大きな波が押し寄せる中、府民の皆様、事業者の皆様、そして医療関係者や高齢者施設の皆様、全ての皆様の御協力により、その大きな波を乗り越えてきました。現在、第8波を迎えていますが、基本的な感染防止対策の徹底と、ワクチン接種の推進などにより、WITHコロナに向けた新たな段階へと慎重に歩みを進めています。

感染拡大防止と社会経済活動の両立に心血を注いだ1年だったと思っています。

次に、ダイジェストから申し上げますが、まずは、西脇府政2期目スタートについてです。

春に知事選挙があり、府民の皆様の御信託を賜り、2期目をスタートいたしました。2期目の当選は、私への評価ということではなく、府職員の仕事への評価と、それを支えていただいた府民の皆様のおかげだと思っています。改めて感謝申し上げます。

今後とも、「安心」「温もり」「ゆめ実現」を3つの柱とした、誰もが未来に夢や希望を持てる「あたたかい京都づくり」に取り組んでまいります。

次に、京都府総合計画の改定についてです。

この間、新型コロナウイルス感染症の感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻を契機とする国際情勢の不安定化など、歴史的とも言える社会の大きな変化に速やかに対応するために、府政運営の羅針盤となる「京都府総合計画」を1年前倒しで改定しました。「一人ひとりの夢や希望が全ての地域で実現できる京都府をめざして」、今後は、計画に基づく施策にを令和5年度当初予算に盛り込んでいきたいと考えています。

次に、「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」のオール京都での展開です。

「子育て環境日本一」については、就任以来、最も力を入れて取り組んできましたが、その実現に向け、公共交通機関や企業、プロスポーツと連携した「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」の活動をオール京都で展開してきました。今後、社会で子どもを育てる京都の実現に向け、京都の強みである人と地域との絆を活かし、「子育て環境日本一」の取組を更に進化させていきます。

次に、資料とは順番が前後しますが、新行政棟・文化庁移転施設の竣工についてです。

いよいよ明治以来初となる中央省庁移転が実現します。この間、整備を進めてまいりました、教育委員会等が入る新行政棟及び文化庁移転施設が年内に竣工します。文化庁が京都に移転して良かったと全国の方に感じてもらえるよう、国と地方が連携し、ここ京都を舞台に世界に向けて日本文化を発信してまいります。

この他、番外編としまして、2点印象に残ったものをあげさせていただきました。

3年ぶりに実施された山鉾巡行など、この間、多くの皆様が色々なイベントが復活することを非常に待ち望んでおられたことを実感しています。また、伝統行事を次代に受け継いでいくためにも、今年の開催には非常に大きな意味があったと考えています。

最後に、この1年を振り返って、私自身が考える今年の漢字を発表させていただきます。

今年の漢字は、「温」です。

「あたたかい」という意味ですが、4月には「安心、温もり、ゆめ実現」の3つを訴えてきましたが、その「温もり」です。また、今年1年、あたたかい京都づくりに取り組んでまいりました。そうした意味を込めて「温(あたたかい)」としました。

コロナ禍では、テレワークも含めバーチャルな世界が我々の想像を超えて進展しましたが、WITHコロナに向け、少しずつ日常生活を取り戻す中で、改めて人と人との触れ合いや絆、地域の繋がりの大切さを学びました。そして温もりをそうした所に感じることを込めて、この言葉を選びました。

温故知新とも言われますが、過去に学び、新たな時代に向け邁進してまいりたいと考えています。

発表項目は以上となります。

最後に

本年最後の記者会見でございますので、府民の皆様に、御挨拶申し上げます。

1つ目は、大雪に対する備えについてです。

毎年、大規模な車の立ち往生や除雪時の事故が発生しています。今年も既に二度寒波が訪れました。気象情報や道路情報に十分注意いただき、大雪が予想される場合には、外出を控えるなどの対策をお願いします。

2つ目は、コロナ対策についてです。

冒頭も申し上げましたが、3年に及ぶコロナとの戦いですが、府民の皆様、事業者の皆様に御協力をいただいておりますことに、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。

今年の年末は、昨年と比べ、多くの新規陽性者が発生している中で迎えることとなります。自らの健康を守るため、そして大切な方を守るため、是非とも、基本的な感染防止対策の御協力をお願いします。

また、医療従事者の皆様には、年末年始も大変な御苦労をお掛けすることとなります。改めまして感謝を申し上げます。ありがとうございます。引き続き御協力賜りますよう、心からお願い申し上げます。

最後になりますが、府民の皆様におかれましては、健やかに新年を迎えられますことを心から願っております。

私からは以上です。よろしくお願いします。

質疑応答

記者

文化庁移転施設について、年内竣工ということだが具体的な日程は決まっているのか。一度工期の延期があったが、今回は遅れる事はないのか。

知事

地中に構造物が出てきたことへの対応と耐震補強等もあり、今年夏の竣工予定が年末になりました。12月28日に竣工し、施工者から京都府に引き渡しが行われる予定です。

引き続き、文化庁において引っ越しに向けた準備作業を開始されると聞いています。一度延期にはなりましたが、年末の工期には間に合ったということで、多くの関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。

記者

12月28日に京都府に建物が引き渡されるということだが、年明けも含めてお披露目のようなものをする予定はあるのか。

知事

文化庁の施設になりますので、京都府だけでは決められません。文化庁において内覧等については検討されると思いますが、具体的なことは聞いていません。

業務開始は今年度中の3月27日ですので、それまでには何らかの節目となるセレモニーが行われるとは思います。事前の内覧もあるかもしれませんが、文化庁も内装等の準備作業もありますので、その辺りは改めて文化庁からお知らせがあると思います。

記者

宗務課の移転が難しいという方針を文部科学省が示されたが、その後、京都府に対して移転のスケジュールなどについて説明はあったのか。

知事

我々はそれ以降新しいことを聞かされている訳ではありませんが、方針が示されてから時間が経ちましたので、文化庁でより具体的な検討を進められていると思います。

旧統一教会問題に関する業務の進捗とも関わるので、我々としては完全には分かりませんが、宗務課は元々移転する組織の中に入っていますので、できる限り早期に来てもらいたいと思っています。

ただ、宗務課の移転時期によって、文化庁全体の移転に影響するということではありません。文化庁が移転してくる中で、宗務課が全部でなくても一部(先行して)移転するのか、もしくは全部が少し遅れて移転するのかという選択肢があるとは聞いています。そこは検討されているのではと考えています。

記者

文化庁移転について、改めてどのようなことを期待しているか。

知事

文化庁は国の役所なので、京都に移転して新たな文化政策を推進し、その成果を全国に波及させることで新しい文化政策の潮流を起こし、それを地方創生に繋げることが目的だと考えています。地元京都も勿論ですが、全国の文化政策の推進、それによる地方創生を期待しています。

京都の文化は、元々生活に根付いています。社寺等の文化財ではそこで営みが行われていますし、華道や茶道も単なるお稽古事ではなく祭りや催事に欠かせないものです。暮らしの中に和食や和装のような伝統が息付いています。また、地域文化では地蔵盆といったようなものが脈々と受け継がれています。

京都に移転することで、文化庁が改めてそうした生活文化・地域文化に焦点を当てた新しい文化政策の立案の糧としてもらいたいと考えています。京都はそうした地域文化や生活文化が比較的残っていますし、全国にもありますから、そうしたものに新たにスポットが当たることを期待しています。

もう一つは、岸田総理が5月21日に京都に来られた時に、「京都の文化にはその背景に歴史の積み重ねと生活がある。京都から文化を発信すると、そこに厚みが出る」と仰いました。これは世界を対象とした日本文化の発信ということですが、京都を舞台にして日本の文化を世界に発信していくことで、世界における日本文化の位置付けも非常に高まりますし、更に京都、日本に世界から注目が集まるのではないかと大きな期待をしています。

また、既に関連のイベントも始まっていますが、それを契機に様々な取組が行われることも期待しています。2025年の大阪・関西万博も近いですから、そこをターゲットイヤーとして、国内外から来られる方に京都の文化により多く触れてもらう機会を提供できると期待しています。そのために、地元としての準備や様々な取組を文化庁と連携して進めていくことが重要だと考えています。

記者

地元の関係者などから期待の声はあるか。

知事

文化庁京都移転プラットフォームを作っていますが、その関係団体から、移転を記念して行事やイベントをやりたいという声は聞いています。それは行政が実施するものもあれば、民間団体や企業が独自にやられるものもあると思います。

文化庁が来られたら、従来から京都でやっていることにタイアップしてもらいたい、国にも入ってもらいたいという声も聞いています。

記者

移転を進めるにあたって見えてきた課題はあるか。

知事

コロナ禍ということもあって、なかなか事前にPRできなかったことがあります。文化庁が京都に来ることが府民の皆さんに完全に浸透している訳ではなく、気運醸成が課題です。

プレイベント等もあまりできませんでしたので、急ぐ必要はないと思いますが、大阪・関西万博をターゲットイヤーにしながら、そういったことをこれから色々取り組んでいくことも課題だと考えています。

文化庁には全国の地域文化・生活文化に光を当てて欲しいと申し上げました。これは文化庁の仕事になるのもしれませんが、様々な施策の中に、まずは関西からかもしれませんが、京都府以外の地域に対する観点を入れ込んでいくことも大きな課題だと考えています。

記者

文化庁の移転にあたり、知事は「文化の都・京都」を掲げている。改めて知事がイメージする「文化の都」はどういったものなのか。来年はその「文化の都」に向けたスタートの年になるが、一年目の取組をどのように今後に繋げていくのか。

知事

例えば京都で国際会議や学会を開催すると非常に参加者が多いと言われています。世界的に見れば京都には非常に魅力があるということです。京都から日本文化を発信することで、より注目度が高くなると考えています。

世界の街を見ても、千年以上にわたって同じ場所でずっと生活が営まれて、文化が連続して積み重なった上に現在の生活がある所はなかなかないので、まさに生活に根付いた文化がある京都から日本文化を世界に発信するということは、「文化の都」にふさわしいことではないかと考えています。また、「文化の都」というのは、文化庁が来ることが一つの象徴ですが、京都において国の文化政策が企画・立案されて実行され、発信されていくことがまさにそういうことです。

すぐにそれが実を結ぶかどうかは別にしても、文化庁はこれからずっと京都に居ていただけます。元々京都は(文化の)舞台としての効果は非常に高いので、そこに文化庁が来ることで、文化政策に様々な良い効果を与えていくことが「文化の都・京都」なのだと思います。具体的には様々なイベント・施策を通じて、それが実現していくのではないかと考えています。

記者

知事の今年の漢字である「温」について、知事は4月の選挙戦で「あたたかい京都づくり」を掲げておられたが、具体的にはどのようなことをイメージしているのか。また、2期目の1年目を振り返ってどの程度施策を推進できたと考えているのか。

知事

「温もり」については、コロナで人と人との接触が制約されて、今まであった日常、例えば会って大きな声で談笑することや握手といった、人と人の触れ合いの大切さに改めて気付かされました。また、ロシアによるウクライナ侵攻が続いていますが、平和の尊さを改めて感じています。そうしたことから、人と人との「温もり」を感じるような京都にしたいという思いで選挙戦を戦いました。それを具体的な計画に落とし込む形で、一年前倒しで総合計画を改定しました。

一番基本にあることは人と人の触れ合いや絆、そして地域との繋がりです。そういうものを大事にしようという思いで計画にしましたから、来年以降これを具体化していきます。ただ、計画はあくまでスタートであり、まだまだこれからです。

今年一年、「あたたかい」という意味では「子育て環境日本一」に取り組みました。子どもを社会で育てる京都の実現を目的として、世代を越えて全ての皆さんが子どもや子育て世代を温かく見守っていくという機運醸成として重要だったと考えています。

その他にも格差や貧困などについては、コロナでひとり親家庭など社会的に立場の弱い人がしわ寄せを受けている状況がありました。例えば、医療的ケア児の支援センターやヤングケアラーの総合支援センター、女性からのチャット相談もまさに「あたたかい京都」を目指して創設したものです。

井手町の京都府立やまぶき支援学校の開校や、全ての土台となっている「安心」の分野でも、いろは吞流トンネルは水害からの安心・安全を目指したものですし、府民の安心や共生社会の実現について今年も意を用いてきたつもりです。

そうして全体として「あたたかい京都」を作っていきたいと考えていますし、今後は総合計画に基づいてそれを具現化させていきます。

記者

府政の最重要課題とそれに向けた来年の抱負を伺いたい。

知事

総合計画を改定しましたが、これはあくまでスタートです。これを具現化するために令和5年度当初予算に施策の実現を盛り込んでいきますが、まずはそれが府政の重要課題です。

一方で、コロナの感染がまだ収束していないので、府民の皆様の命と健康を守ること。また、足下で原油価格や物価の高騰、円安など非常に厳しい経済環境や、暮らしも厳しい状況があるので、緊急的な課題としてしっかり向き合って施策を打っていくことが必要です。それに合わせて、将来に向かって計画推進のバランスを取って進めていくことが新しい年の課題だと考えています。やらないといけないことはたくさんあります。

2022年は、後から見て、歴史的な転換点と言われるかもしれないくらい、様々な情勢変化がありました。そこをよく見極めて、そうした中でも安心・安全な京都であり、未来に夢や希望を持てる京都にしていくために全力を尽くしていきます。

記者

国の方で、電力不足もあって原子力発電所を活用していくという大きな政策転換があった。これについて知事の考えはどうか。

知事

原発を含めたエネルギー問題全体については国全体で考えるものだと考えていますが、いかなる状況であろうと原子力発電所の運転は安全性最優先という、我々の基本的認識は全く変わりません。

原発政策のどういう部分が変わろうとしても、そこは全く変わるものではないというのが基本的な認識です。京都は原発立地県ではありませんが、原発の半径5キロ圏が含まれていますし、半径30キロ圏にあたるUPZ(緊急防護措置を準備する区域)内には多くの府民が住んでおられ、原発が立地する福井県の(UPZ内)人口よりも多いです。

万が一に備えて、避難も含めた訓練等を重ねていくということはありますが、その前に、制度が変わろうとも、安全最優先で規制し審査することは強く求めていきたいですし、府民の安心・安全を守ることが何よりも優先されることですので、その線に沿って対応していきたいと考えています。

具体的にどう変わるのか全てが明らかになっている訳ではないので、注視していきたいです。

記者

稼働期間が60年を超える原発も再稼働を認める方向になるようだが、それについて知事の考えはどうか。

知事

これも同じことですが、原子力規制委員会の委員長も、安全に万全を期す形で審査すると言われていますので、そこは守っていただきたいです。

再稼働に向けた審査のために稼働が止まっていた期間を算入するかとどうかという議論もありますが、そうした制度も含めて安全性を担保する仕組みを作っていただき、国民・京都府民に理解してもらえるようにしていただかなければなりません。そこは我々もしっかりと対応したいと考えています。

記者

出生数が過去最低のペースで推移し、80万人を切るのではないかとも言われている。今回「子育て環境日本一」を取り上げられたが、知事としてこのような状況をどう評価し、どのように対策に取り組んでいくのか。

知事

出生数は10月までの統計が出ていて、京都府と国の前年同月比はともに▲4.8%でほとんど同様の傾向となり、非常に厳しい状況です。出生数が減っているのはコロナ禍による一時的な現象なのか、これが続いていくのかは分かりませんが、少なくともこの3年間で、過去に出た社会保障人口問題研究所の推定よりも少子化の傾向がより顕著になっており、深刻な状況だと認識しています。

我が国が抱える最大の構造的課題は、少子高齢化と人口減少だと考えています。だからこそすぐに少子化対応ということではありませんが、「子育て環境日本一」に向けた取組を粘り強く続けたいと考えています。

アンケートを取れば、子どもを持ちたいという若者が一定数おられますから、そうした方の希望が叶えられるように環境整備を進めていきますし、京都府だけでなく、まさに国を挙げて対応しなければならないことです。国も子育てに関する様々な施策の充実を訴えられていますので、我々も注力していきます。

記者

デジタル田園都市国家構想を国が発表された。京都府も移住人口を増やすことを掲げているが、これについてはどのように考えているか。

知事

移住について、京都府はかなり先進的に進めてきたつもりですし、移住条例を全面改正して、移住ニーズとして想定していた産業について、これまでは農林水産業が中心だったものを全ての産業に広げています。

特にコロナ禍では、テレワークが広まりましたし、人口密集地で最初のコロナ感染が拡大したこともあって、地方での生活への若者の興味が高まっています。京都府としても移住は重要な施策の柱だと考えています。

単なる移住だけでなく、比較的、地縁や血縁がある方をターゲットにした方がより移住が実現する可能性が高いと考えていますので、Uターンも含めて総合的に推進していく必要があると考えています。

移住される方の生活を見ても、移住によってより豊かで安心な生活ができるということがあります。その観点に立って、また地域振興の観点からも移住政策には引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えています。

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