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令和5年1月6日定例知事記者会見

皆様、新年あけましておめでとうございます。

皆様には、健やかに新春を迎えられたことと、お慶び申し上げます。

旧年中は大変お世話になり、ありがとうございました。本年もよろしくお願い申し上げます。

「第41回京都府文化賞」受賞者の決定について

本日は「第41回京都府文化賞」の受賞者を発表させていただきます。

この賞は、文化芸術分野で顕著な業績を収められ、京都の文化の向上に寄与された方で、京都府にゆかりのある方を顕彰するもので、昭和57年度に創設いたしました。

今年度は、特別功労賞を5名、功労賞を8名、奨励賞を5名、計18名の方々への授賞を決定させていただきました。

順次、御紹介させていただきます。

まず、特別功労賞です。

この賞は、文化芸術活動において顕著な業績をあげられ、文化の高揚に多大な功労があった方を表彰するものです。

1人目は、日本画家の烏頭尾 精様です。

「鳥の画家」として知られ、写実の領域を超えた、非常に鋭くダイナミックに描かれた絵画作品を制作されておられます。二度にわたり、京都日本画家協会の理事長を務められるとともに、創画会会員として京都画壇の振興にも大きく御貢献いただきました。

2人目は、映画監督・脚本家の中島 貞夫様です。

日本映画発祥の地である京都を中心に、日本映画史に残る多くの作品を手掛けておられます。京都映画の屋台骨を支え、日本の映像文化の発展に大きく寄与された御功績は、高く評価されています。

3人目は、細胞生物学者・歌人の永田 和宏様です。

熱ショックタンパク質「HSP47」を世界で初めて発見されるとともに、小胞体における変性タンパク質の品質管理機能に関する新規遺伝子を次々と発見されるなど、同分野の発展に大きく御貢献されました。また、歌人としても、科学者的な世界把握に基づく独自の作品は高く評価され、京都の歌壇を牽引されています。

4人目は、霊長類学・人類学者の山極 壽一様です。

長年にわたり、アフリカ各地で野生ゴリラの社会生態学的研究を行い、ゴリラ研究の第一人者として国内外で高く評価されています。また、平成26年から令和2年まで京都大学の総長を務められ、大学を社会に開く窓と位置づける「WINDOW構想」など、京都の学術界の発展にも寄与されました。

5人目は、哲学者の鷲田 清一様です。

問題が発生している現場に出向いて他者の声を聴く「臨床哲学」の提唱者として知られており、幅広い研究が国内外で高く評価されています。また、京都市立芸術大学の学長をはじめ、京都において数々の要職を務められるとともに、京都を舞台にした著書を発表されるなど、京都の学術・文化の発展に御貢献いただきました。

以上5名の方を、特別功労賞として表彰させていただきます。

次に、功労賞でございます。

この賞は、長年の文化芸術活動を通じ、文化の向上に功労があった方を表彰するものです。

映像作家・演出家の石橋 義正様、彫刻家の江里 敏明様、写真家の甲斐 扶佐義様、千家十職竹細工・柄杓師の黒田 正玄様、俳優の佐々木 蔵之介様、現代美術家の塩田 千春様、

指揮者の広上 淳一様、日本舞踊家の若柳 吉蔵様、以上8名の方を、功労賞として表彰させていただきます。

最後に、奨励賞でございます。

この賞は、新進の芸術家等で、文化芸術活動における業績が特に顕著である方を表彰するものです。

能楽師シテ方金剛流若宗家の金剛 龍謹様、料理人の園部 晋吾様、日本画家の村山 春菜様、尺八奏者の寄田 真見乃様、陶芸家の樂 吉左衞門様、以上5名の方を 奨励賞として表彰させていただきます。

文化芸術は人々に安らぎや明日への生きる活力を与えるものですが、京都ではそれに留まらずに、地域の活性化や経済成長に繋がる、いわば、活力の源泉ともなっています。

今回は、文化庁京都移転を目前に控え、府民の皆様に、京都がいかに日本の文化を牽引してきたかを感じていただきたく、伝統文化や生活文化、新しい文化まで、京都の革新し続けている文化の担い手の方々を選ばせていただきました。

なお、授賞式は2月1日(水曜日)午前11時から、京都ブライトンホテルで執り行いますので、当日の取材についてよろしくお願いします。

私からは以上です。よろしくお願いします。

質疑応答

記者

文化庁移転などが控えている中で、今年の抱負を伺いたい。

知事

まずは、府民の皆様の命と健康を守るという点において、コロナ禍がまだ続いていますので、新型コロナウイルス感染症への対策を引き続きしっかりと進めてまいります。これについては、重症化リスクのある方をきちっとお守りすることに加え、重症化リスクのない方についても健康をフォローアップしていくという形で守っていきたいと考えています。

また、緊急的という意味では、経済情勢が不安定なままで年明けを迎えました。原油価格、エネルギー価格、物価高騰等を含めて、そうした影響を受けている府民・事業者の皆様に対する支援についても、躊躇なく実施していきたいと考えています。

その上で、昨年12月に総合計画を1年前倒しで改定しましたが、「安心」「温もり」「ゆめ実現」の3つの視点で「あたたかい京都」を作っていきたいと考えています。「あたたかい京都づくり」のスタートとなる令和5年度当初予算に、できる限り総合計画に掲げた施策を盛り込んでいくため、現在、(予算編成作業が)大詰めを迎えています。

次に、3月27日からは、いよいよ文化庁が京都で業務を開始されます。

昨年5月に岸田総理が現場視察の際に、「京都の文化の背景には、歴史の積み重ねと生活があり、京都から文化を発信すると厚みが出る。だから、京都から文化を発信することに意味がある」と仰いましたが、そういう京都から日本文化を世界に発信するということ、また、京都には地域文化や生活文化がまだまだ根付いているので、文化庁が京都に来られることによって、そうしたものを文化政策に活かし、新しい文化政策の潮流を作り、全国に波及させることによって、地方創生に繋げていきたいと考えています。我々京都府としてもできる限り協力し、また、それを京都の地域文化・生活文化の振興にも繋げていきたいと考えています。

その先に、大阪・関西万博が2025年にありますし、新名神高速道路の開通等も控えています。

これは文化庁の都倉長官も仰っていますが、文化は人々に安らぎを与えると同時に、地域の活性化や経済成長に繋がるものと考えておりますので、文化庁の移転、また、大阪・関西万博に向けて、府内各地に様々な人や投資を呼び込むことによって、京都全体の活性化、地域振興に繋げていきたい、その努力をしていく必要がある年だと思っています。

今年の干支が「癸卯(みずのと・う)」ということで、「癸」は十干の最後であり、終わりから始まりに移る時だということです。「卯」は、うさぎが飛び跳ねる姿から「飛躍」を表しています。3年続いているコロナ禍の制約からできる限り早く脱して、京都全体が「あたたかい京都」へ向けて飛躍する年にしたいと考えています。

記者

行動制限のない年末年始となったが、現在の感染状況の認識を伺いたい。また、病床使用率が6割を超えたがレベル3への移行は検討しているのか。

知事

感染状況については、本日の新規陽性者数が4,212人、7日間の移動平均は2,184.14人、7日間移動平均の前週比は0.78倍です。

まず、新規陽性者数については、年末年始の診療機関の休診もあり、全国的にも休み明けから、それまで受診されていなかった方が受診されているということで、1日当たりの新規陽性者数では傾向が判断できませんが、かなりの数になっていることは間違いありません。また、7日間移動平均についても、年末年始の休み期間を含んだ平均なのと、明日からまた3連休となりますので、どういった感染状況になっているかというのは週明けにならないとまだ状況が分かりません。ただ、かなりのレベルで感染者がおられるというのは間違いないので、引き続き注視をしていかなければならないと考えております。

それから、季節性インフルエンザは定点医療機関当たりの報告数を指標としています。全国平均が2.05人に対し、京都府は1.84人と全国平均は下回っています。「1」以上で流行となりますので、学校が始まると子どもの感染状況も分かってきますので、同時流行についても引き続き警戒が必要だと考えております。

いずれにしても年末年始の状況を踏まえて、(今後の対策を)検討していかなければならないと考えております。

記者

年末にインフルエンザの流行期に入ったが、新型コロナとインフルエンザの同時流行に関して対応をどのように考えているか。

知事

同時流行した際に一番大変になるのは発熱外来です。医療機関で(コロナとインフルエンザを)同時検査できる検査キットを用いて、いち早くコロナかインフルエンザか見分けていただき、インフルエンザについてはこれまでの対応方法がありますので、それによって早く治療に繋げていただきたいと考えています。

一番心配していたのは、年末年始や次の三連休(1月7日から1月9日)を含めて休まれる医療機関が多い時に流行することですが、年末年始は様々な工夫と努力によってなんとか乗り切ることができました。

発熱外来のひっ迫に備えて、年末に相談センターとフォローアップセンターの体制拡充をしましたので、相談件数は非常に多かったのですが、電話が繋がりにくい状況は回避できていますので、その体制を維持することで、同時流行が起こっても乗り切っていきたいと考えています。

もう一つ重要なのは、コロナの感染もできる限り抑える必要があるので、従来からお願いしていますが、ワクチンの積極的な接種の検討や、症状があれば発熱外来等で受診していただくこと。また、正しいマスクの着用や換気も含めた基本的感染防止対策の徹底、いざという時に備えた医療用の抗原検査キットや解熱鎮痛薬の備蓄については引き続き対応していただいて、感染の波を少しでも抑えることで、同時流行による発熱外来の現場の混乱を回避していきたいと考えています。

記者

北陸新幹線の新大阪延伸計画について、京都駅を通らず、別に地上駅を作ることを与党PTの西田昌司自民党政調会長代理が提起されている。

京都駅周辺の地下工事は難工事が想定されており、残土や地下水への影響も懸念されているが、この提起について知事は把握されているのか。また、受け止めはどうか。

加えて、西田氏は南丹市美山町への新駅構想も主張されているが、それについてはどのように考えているか。

知事

報道は承知していますが、京都駅近くの地上駅についても、南丹市に新駅をつくる案についても、私は承知していません。今はまだ法律に基づく環境アセスメントが行われている段階で、これが大前提であり、それを踏まえて具体的な施工の計画が作られることになると思うので、私自身は、今の話については全く承知していませんし、コメントしようがありません。

そもそも駅については、元々今の環境アセスメントに入る前提として、一定の案が示されている訳ですので、全体の計画自体を変更する話については承知していません。

受け止めについては、京都駅も含めてですが、たくさんある施工上の課題にも十分配慮した上で、慎重な調査と丁寧な地元説明、環境保全への配慮について、引き続き、鉄道運輸機構に強く求めていきたいと考えています。

記者

鴨川河川敷に設置を計画している電子看板について、京都市が景観上の理由から難色を示しており、現状は今後の方針が示されていない状況であるが、今後の方針として決まっていることがあれば教えてもらいたい。また、なぜこうした事態になっていると考えているのか。

知事

今後の方針については途中経過の報告を受けていないのでコメントできませんが、元々景観の保全と、治水の安全性や水害からの安全、身を守ることは両方とも極めて重要な公益です。公益同士の調整で両方とも重要なことなので、接点は必ずどこかにあると考えています。

このような事態になった理由については、事前の説明に若干配慮が欠けていた可能性がありますが、やろうとしていることは府民の皆様のため、また観光客のためのものですので、引き続き調整をしていきます。

作られる構造物そのものに景観上の問題があるのか、それとも看板に表示される内容に問題があるのかということもあります。近隣には飲み物の看板など色々なお店の風景もありますから、どこから見たどういう景観についてどういった配慮が必要なのかということや、我々が表示しようとしている情報板で守られるべき安心・安全等について総合的に勘案することだと考えています。

どちらか一方が折れるとかそういう話ではないですし、お互いに行政としてしっかりと調整をして一定の結論を見出すべきことだと考えています。早く接点を見出した方がいいと考えていますが、関係する方がおられるなら、当然ながらその人達に御納得いただくことは必要なプロセスだと考えています。

記者

事前の説明が足りなかったというのは、府側の説明が足りなかったということか。

知事

私も経過をつぶさに知っている訳ではありませんが、全く説明なく事業を進めることはありませんし、説明が足りなかったというよりも、時間が掛かっていますので、もう少し早い段階で根を詰めて調整したらよかったのではないかという感想は持っています。

記者

「する」「しない」で言えば、京都府の方針としては「する」方向なのか。

知事

「しない」ということでなく、どういう形で行うのが一番よいのかということだと思います。京都府としては、府民の安全を守るための事業だと考えていますが、景観を壊してまでやるべきかという意味においては、やり方を調整すべきだと考えています。単に「する」「しない」ということではないです。

記者

岸田総理が、年頭の記者会見で子ども予算を倍増する趣旨の発言をされた。知事は子育て環境日本一を掲げているが、これをどのように受け止めているか。

知事

私自身、一期目から「子育て環境日本一」を目指すと言っています。改定した総合計画でも、出会い・結婚から妊娠・出産、子育て、保育・教育、就労に至るまでの切れ目ない支援と、子育てにやさしい「風土づくり」「まちづくり」「職場づくり」を進めること、特に「社会で子どもを育てる京都」の実現を目指すこととしています。

今年4月から国において「子ども家庭庁」が創設されますし、出産についての手当が行われることに加えて、岸田総理が子育てに関する予算の倍増を表明されたことは、京都府の「子育て環境日本一」の取組を後押しするものだと考えています。

京都府としては、「骨太の方針」等の策定に向けて国の政策が検討されていくということですので、それも十分注視しながら、出来る限り国の制度を活用することで、「子育て環境日本一・京都」の実現に繋げていきたいと考えています。

記者

京都府として、来年度予算で国と一緒になって進めていこうと考えている子育て関連の事業はあるか。

知事

総理が仰っているのは、「骨太の方針」に盛り込むということなので、(具体的な事業になるのが)令和5年度になるのか、令和6年度以降になるのかは分かりません。

京都府では、12月に総合計画を改定し、その中の大きな柱として子育てがありますから、それを具体化するものとして令和5年度当初予算については、現在編成作業に精力的に取り組んでいます。もちろんその過程で国の情報等があれば盛り込みたいですが、総理が仰っているのはどうやら夏の話で、当初予算の編成後になります。子育てを巡る現在置かれている状況を踏まえたものとして最善の当初予算を編成したいと考えています。

記者

東京都の小池知事が、18歳以下全員に毎月5,000円を支給する施策を発表した。東京都は財政規模も物価も京都とは全く違うものの、この少子化対策の施策について、同じ知事の立場としてどう考えるか。

知事

他の自治体の施策について私がコメントすることは差し控えたいと思います。

国がベーシックな子育て支援をされる上で、各自治体が様々な工夫をして子育て支援をしています。それは京都府でも同じです。京都府としては、「子育て環境日本一推進戦略」や総合計画に則って全体を進めていきたいと考えています。

その中で、一人ひとりに現金を支給するという政策判断をされる自治体があることについては否定しませんが、私としては、子ども一人ひとりに支給するよりも、京都に残っている地域の絆や人と人の絆を活かして「社会で子どもを育てる京都」にしたいと考えており、そのために必要な仕組みづくりや、場合によってはインセンティブとして限られた財源を振り向けたいと考えています。

既に京都でも高校生のあんしん修学支援制度や子育て支援医療助成制度といった、様々な所で子どもに着目した形での支援をしています。医療を受けるという場面で負担がかかるということであったり、教育など政策分野で重点的にやりたいと考えています。

これも全国の自治体でそれぞれ特色ある取組をされています。小池知事の政策についてのコメントは差し控えますが、私としては、政策分野を見定めた上で財源を投入する道を選びたいと今のところは考えています。

記者

東京都は財政規模が大きく財源も豊かだが、都道府県や市町村間で財政規模の差がある中で、直接給付の有無が人口の転入・転出に影響することへの懸念はないか。

知事

5,000円を給付することが転出・転入にどのくらいの影響を与えるのかは分かりませんが、市町村単位で見ると(子育て関連の施策には)様々な差があります。例えば、高校まで医療費を全額無償にしている所もあります。

それによって人口の流動が起こっているかどうかは分かりません。小さな規模の自治体であれば、子どもを一人でも増やしたいという地域振興的な熱意を持って施策に取り組んでおられる場合もありますし、色々な立場があると思います。

東京都の施策で影響がどれだけ出るかによると思いますが、今の段階では分かりません。

それからレベル判断についてです。病床使用率が5日現在で62.8%となっており一定の水準となっていますが、高度重症病床使用率は7.8%となっており、比較的落ち着いた状況です。従来から申し上げているとおり、総合的な判断となりますので、「検討しているか」との問いに対しては、これは常に検討していますが、現段階ではレベル3に移行するということについては、考えていません。もう少し年末年始の状況を見た上で、感染状況や病床使用率も含めて、改めて検討したいと考えております。

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