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令和5年1月23日定例知事記者会見

はじめに

発表項目に先立ち、大雪に関して一言申し上げます。

京都地方気象台によると、24日から25日頃にかけて強い冬型の気圧配置となり、北部を中心に大雪となる見込みです。また、南部の平地でも積雪となる恐れがあります。

府民の皆様におかれましては、今後の気象情報や道路情報に十分御注意いただき、大雪が予想される場合には、不要不急の外出は避けていただき、やむを得ず車を運転される場合には、冬用タイヤの装着などしっかりと雪対策をしていただきますようよろしくお願い申し上げます。

それでは発表項目に移らせていただきます。

令和5年度当初予算案の概要等について

令和5年度の当初予算案が概ねまとまりましたので、その概要を御説明させていただきます。

なお、昨年成立した国の令和4年度補正予算と合わせて、対応する京都府の令和4年度2月補正予算を令和5年度当初予算と同時に府議会に提案することとしており、昨年度に引き続き14ヵ月予算として編成を行っております。

府議会との関係では、2月2日の2月定例会開会日に提案をさせていただく予定です。

予算編成の基本方針

予算編成の基本方針ですが、京都府総合計画の1年前倒しでの改定を踏まえ、「あたたかい京都づくり」を府民の皆様に実感いただく第一歩として「安心」「温もり」「ゆめ実現」の3つの視点に基づく施策を力強く発進させるために必要となる予算を編成しております。

各施策の推進にあたっては、府民の皆様との信頼関係のもとで、地域、企業、大学等との連携を一層深めるとともに、府域の均衡ある発展に向けて現地・現場主義を徹底し、諸課題の解決を図っていきます。

併せて、物価高騰等を踏まえた緊急対策にも引き続き取り組んでまいります。

予算の施策体系

施策体系上は、「物価高騰・新型コロナ等克服対策」と「あたたかい京都づくりの発進」として、二つに分けております。

Ⅰ物価高騰・新型コロナ等克服対策

まず、「金融・経営一体型支援体制強化事業費」が、二月補正として、5億円規模です。

コロナの収束が長引いていることに加え、物価高騰等がございますので、中小企業の皆様は

将来への不安があること、それから、ゼロゼロ融資の返済開始が令和5年度から本格化すること、インボイス制度導入への対応が必要なことを踏まえ、府市協調で対応していくために

ゼロゼロ融資の後継制度を拡充するとともに、信用保証料負担を軽減し、更にチャレンジ補助金を活用した経営改善やビジネスモデル転換等を後押しします。インボイス制度についても移行に係る経営相談窓口を設置するものです。

具体的には、伴走支援型経営改善おうえん資金による経営改善への支援です。これは先日金融機関の皆様と記者会見をさせていただきました。それから、「WITHコロナ・POSTコロナチャレンジ補助金」、インボイス対応経営相談窓口の設置です。

次に、農林水産業については、価格転嫁が難しいという状況もございますので、生産コスト削減や販売力強化につながる取組について支援するための予算として、2月補正で「農林水産業経営強化緊急支援事業費」3千万円規模です。

それから、「物価高騰対策緊急生活支援事業費」が、2月補正で8千万円規模です。

また、社会福祉協議会等を通じた(食料品や生活必需品の)支援についても引き続き行ってまいります。

それから、「新型コロナウイルス感染症対策費」388.9億円規模です。

国の制度がどのようになるか若干分からない中ですので、令和5年度当初予算については、当面の間ということで、4月から7月の4ヶ月分について、現状の医療提供体制や支援体制を継続するために必要な予算を計上しています。

Ⅱあたたかい京都づくりの発進

ここからは、「あたたかい京都づくりの発進」についてです。「安心」「温もり」「ゆめ実現」という三つのパートに分けて説明いたします。

全ての営みの土台となる「安心」

「安心」では、「安心できる健康・医療・福祉」と、「災害・犯罪等からの安心・安全」という二つございます。

(1)安心できる健康・医療・福祉

まずは、「安心できる健康・医療・福祉」について御説明いたします。

「地域共生社会実現サポート事業費」1.7億円規模です。

社会福祉法人による世代間交流などの地域貢献活動を促進するため制度を拡充するものです。支援制度の拡充については、これまでの支援上限額を引き上げる部分がございます。様々な取組がございますので、それぞれの所で知恵を絞っていただきますが、例えば、園児の生活発表会に地域の高齢者をお招きするとか、学童等に通えない児童に保育所等を放課後に一定時間解放して、保育所と地域の学生が見守りを実施するなど、様々な地域貢献活動に対して支援を行ってまいります。

次に、「保育環境等向上支援事業費」8千万円規模です。

保育の質の向上を重点化しながら、ニーズの高い保育士の研修環境整備も合わせて実施します。遊具や園舎・園庭の整備に加え、保育所の多機能化ということで、保育士の研修環境の整備や発達障害児の受入支援等を私立保育所、幼保連携型認定こども園等に対して支援するものです。

次に、「児童虐待総合対策事業費」1.6億円規模です。

丹後地域に「児童家庭支援センター」を新設する経費などです。

次に、「循環器病対策事業費」1千万円規模です。

昨年12月に京都府循環器病対策推進計画を策定しました。それに基づく対応として、京大病院、府立医大病院に脳卒中・心臓病等総合支援センターを設置するのに必要な経費で、ワーキングチームを設置し、今後の役割分担や患者情報の共有化について検討したいと考えております。

次に、「医科大学施設整備推進費」3千万円規模です。

感染症への対応を含めて医療を取り巻く環境変化が変化しております。それに対応した施設整備計画の策定に必要な経費です。

次に、「北部医療センター基本構想策定費」9百万円規模で、基本構想を策定してまいりたいと考えております。

最後に、「府立看護学校整備検討費」1百万円規模です。

北部地域の看護師確保に向けた看護学校の機能拡充や整備等を検討してまいります。

以上が、「安心できる医療・健康・福祉」についてです。

(2)災害・犯罪等からの安心・安全

次は、「災害・犯罪等からの安心・安全」についてです。

まずは、「危機管理センター整備費」3.8億円規模です。

令和5年度中に一部稼働することとしており、令和6年度から本格的に稼働する予定ですので、それに必要な経費でございます。

次に、「きょうと防災力向上事業費」3千万円規模です。

一つは、大規模地震発生時の災害対応力強化ということで、花折断層帯地震をモデルとして、被害想定の調査や発災から応急復旧までのシナリオを作成します。それから、地域防災のリーダーとなる防災士を養成するため、資格取得に必要な研修を実施します。

次に、「犯罪被害者等支援総合対策事業費」1千万円規模です。

後ほど、条例について御説明いたしますが、京都府犯罪被害者等支援条例の制定に伴い、犯罪被害者等への支援の充実強化を図るものです。様々な支援の局面がありますが、関係機関が一体となったワンストップ支援調整の会議を設置や、コーディネーターとして社会福祉士の配置等を行います。また、支援制度の中では、カウンセリングや一時避難、弁護士委任に係る費用への支援の拡充を考えております。

次に、犯罪からの安心として、「サイバーレジリエンス強化対策事業費」3千万円規模です。

新たに「京都府警察サイバーセンター」を設置することに伴い、サイバー空間における脅威への対処能力を強化するものです。解析能力の習得や高性能解析資機材の導入、医療機関や中小企業へ専門家を派遣して情報セキュリティ対策を行うため支援するものです。

次に、「南丹警察署建設計画費」1百万円規模です。

本館は府内で最も古い警察署で老朽化していますので、建替の検討に入りたいと考えております。

子どもたちを育み、絆を守る「温もり」

ここからは、「温もり」についてです。「子育て環境日本一・京都」「誰もが活躍できる生涯現役・共生の京都」「共生による環境先進地・京都」について順次、御説明いたします。

(3)子育て環境日本一・京都

「子育て環境日本一・京都」についてです。

まず、「京都子育て支援医療助成費」24.2億円規模で、制度を拡充するものです。

現行との比較では、入院については変更しませんが、通院について、0から2歳児が上限月200円、3歳から中学校卒業までは上限1,500円としているものを、小学校卒業まで上限月200円、中学生は引き続き月1,500円ということで拡充いたします。様々な準備がございますので、予算が認められれば、今年の秋頃から開始を予定しております。なお、既に我々が行う水準の支援を独自に行っている市町村については、今回の拡充で財政負担が軽減されるので、軽減分を活用して子育て支援策の充実に充てていただきたいと考えております。

次に、「子どもの教育のための総合交付金」3億円規模です。

地域と学校との連携が言われていますが、市町村によっては学校教育現場で様々な特色ある取組が既に行われている所もありますので、府としては他の市町村のモデルとなるような取組を支援するため、府独自の交付金を創設いたします。取組としては様々なものがあるということですが、例えば、給食への支援、個々の力を伸ばす学校独自の取組、不登校対策、医療的ケア児に対する独自人材の配置、特別な支援を要する児童生徒の増加への対応など、それぞれの特色に合わせたものを色々と考えていただければ、それに対して支援をしてまいります。

次に、「きょうと婚活応援センター強化事業費」1千万円規模です。

結婚支援のコンシェルジュや、令和4年度に一部開始いたしますが、AIマッチングによる婚活支援の充実などを行います。

次に、「出産・子育て応援交付金事業費」13.3億円規模です。

これは国の方で制度化されている、妊娠・出生届を行った場合の計10万円相当の経済的支援を実施するものです。それと合わせて、国の方でも示していますが、寄り沿い支援を行っていきますので、その充実も合わせて行います。

次に、「府立学校教育環境整備事業費」20億円規模です。

府立高校等の空調設備が耐用年数13年となっていますが、これを超過して老朽化しておりますので、これを3年間で更新していきたいと考えております。特に児童・生徒が利用する普通教室や特別強室を優先的に更新してまいります。

次に、「子育てにやさしい風土づくり事業費」3千万円規模です。

現行の取組を更に進めてまいりたいと考えております。特に行動事例のコンテストや優良事例を横展開するための発信事業を実施します。また、使用済みおむつ回収機の設置支援は既に始めておりますが、そういった支援策を充実いたします。京都子育て応援パスポート協賛店舗等への登録の呼びかけ等も行ってまいります。

次に、「子育てにやさしいまちづくり事業費」1億円規模です。

こちらも従来から行っておりますが、令和5年度は、単体の子育て施設の整備に留まらず、(地域内にある)様々な拠点の連携や集積させるなど、エリアが一体となったまちづくりを支援したいと考えております。

次に、「子育てに優しい職場づくり事業費」9千万円規模です。

皆様の努力によって徐々に進んでまいりましたが、令和5年度については、「多様な働き方推進事業費補助金」の中に、ニーズが高い病児保育や育児休業取得促進のコースを設定し、より子育てしやすい職場環境づくりに努めてまいりたいと考えています。

合わせて、「子育て環境日本一推進戦略策定事業費」2百万円規模です。

京都府総合計画でも、子育てについて深化させるとしており、現行の戦略は総合計画と抱き合わせて作っていましたが、国の動きも出てきましたので、そういった事を受け、新しい流れに沿った形で、今年秋頃までにの策定を目指し、そのための必要経費を計上しています。

(4)誰もが活躍できる生涯現役・共生の京都

それから、「誰もが活躍できる生涯現役・共生の京都」です。

まず、「誰もが社会で輝く人材確保・育成総合支援事業費」10.6億円規模です。

一昨年8月に設置した、京都府生涯現役クリエイティブセンターを中心に初めはミドル・シニア世代を対象としておりましたが、徐々に女性や若い世代に支援対象を拡大していく必要があると考えており、そうした支援体制の拡充、転職の最終的なマッチング支援、またリカレント教育推進機構を設置しましたので「京都リカレント研修センター」を設置し、リカレント教育の機運を更に醸成してまいりたいと考えております。

次に、「女性活躍総合支援事業費」1.5億円規模です。

男女共同参画センター、京都ウィメンズベース、マザーズジョブカフェの3つの女性活躍拠点の連携を今年度から開始しておりますが、その連携を一層強化してまいります。

次に、「医療的ケア児支援強化事業費」5千万円規模です。

医療的ケア児やその家族の負担をできる限り軽減するため、医療関係者への研修や支援センターにおける看護職による相談対応等を充実させたいと考えております。

次に、「ヤングケアラー支援体制強化事業費」、一部2月補正を含みますが、3千万円規模です。

2月補正では子どもの居場所における学習支援をモデル的に実施し、令和5年度当初予算では、認知度向上のための広報、研修、コーディネーターの配置等を進めてまいります。

(5)共生による環境先進地・京都

次は、「きょうと生物多様性センター(仮称)事業費」1千万円規模です。

生物多様性の保全を進めるため、府市協調でセンターを設置いたします。センターの本部については、府立植物園に設置する予定です。企業、研究機関、団体、府民のオール京都で推進していきたいと考えております。様々な活動の支援や生物多様性保全に資するようなビジネスができないかの可能性調査等も行いたいと考えております。

次に、「京都耕畜連携システム構築事業費」で、2月補正として1千万円規模です。

いわゆる農家と畜産農家を繋げる取組で、作物をつくっている所と堆肥が出る所の循環を作っていくというもので、肥料や飼料が高騰しており、見通しが立たない中で、できる限り持続可能な農業を推進していこうとするものです。農家と畜産農家のマッチングや開発実証、保管経費・輸送経費の支援により、持続可能な農業を目指すものです。

次に、「ZET-valley推進事業費」1千万円規模です。

「脱炭素のまちづくり」のための技術融合を図る交流拠点整備に向けた検討を行う経費です。

夢や希望、魅力や活力の源泉となる「ゆめ実現」

次からは、「ゆめ実現」ということで、「未来を拓く京都産業」「文化の力で世界に貢献する京都」「交流と連携による活力ある京都」です。

(6)未来を拓く京都産業

まず、産業につきましては、「産業創造リーディングゾーン推進事業費」として、全体として3.7億円規模です。以下記載しています事業費については、その内訳になります。

まずは、「産業創造リーディングゾーン総合推進費」1千万円規模です。

様々なゾーンを形成していく訳ですが、全体として総合的力を発揮させるために、企業の誘致や、各ゾーンにおいて行う新技術の実証実験等を支援するための経費です。

個別のゾーンについて申し上げますと、「伝統産業産地振興拠点創出事業費」1億円規模です。

従来から、西陣織・友禅・丹後織物の三産地連携に取り組んでいますが、特に国内外のデザイナー、アーティスト、美大生等を産地に招聘いたしまして、アーティスト・イン・レジデンス方式によって新たな商品開発の推進や、海外マーケットへの展開等を支援するものです。

(資料28ページ)下段の「ZET-valley推進事業費」は再掲で、環境の部分で申し上げた通りです。

次に、「太秦メディアパーク共創拡大事業費」6百万円規模です。

これはクリエーターの育成や、新産業・新市場の創出に繋げたいということで、国際的なオープンイノベーション拠点を形成するための経費です。

次に、「京都フードテック推進事業費」1.9億円規模です。

京都ならではのフードテックによる府内の農林水産業・食品産業の振興を図っていくもので、「京都フードテック研究連絡会議」の設置・運営や、課題の掘り起こし、京都フードテックエキスポ2023の開催や、フードテックを活用した商品開発・サービス実用化等を支援するものです。

次に、「アート&テクノロジー・ヴィレッジ推進事業費」3千万円規模です。

これにつきましては、今年の10月に施設の開設を予定しておりますので、建物はできていますけれども、オープンに向けた内部の備品の整備等も必要ですし、施設において、海外の企業・大学等との相互交流・連携の促進や商品サービスの開発を促進するための経費です。

ここまでが「産業創造リーディングゾーン」です。

次が、スタートアップ関係です。

令和元年の12月に京都スタートアップ・エコシステム推進協議会を設置していまして、その後もスタートアップの支援を行ってまいりました。

令和2年から令和3年にかけまして約100社のスタートアップ企業を創出しています。

更にユニコーン企業を一社でも作りたいと考えており、そのためには長期滞在型のプログラムによる海外人材の誘致等が必要になると考えています。

また、アジア最大級の国際スタートアップイベントを今年の6月に開催する予定で、それに必要な経費等です。

(7)文化の力で世界に貢献する京都

次からは、文化です。

まずは、「『文化の都・京都』プロジェクト連携事業費」1.8億円規模です。

文化庁京都移転を契機として、新たな文化施策の展開ということで、これは京都府だけではなく、京都市やその他の市町村、経済団体等のオール京都でプラットフォームを立ち上げていますので、そこを中心に、様々な取組を集中的に展開したいと考えています。当然民間が独自に行われるプロジェクトもありますが、京都府として予算計上しているものにつきましては、音楽イベントやステージパフォーマンス、食文化の魅力発信など、過去2回行った「Art Collaboration Kyoto」等の文化芸術を発信する取組と合わせて、こうした取組を進めていきたいと考えています。

今のは文化庁京都移転を盛り上げるためのイベントですが、もっと大きな視点で文化芸術活動への総合的な支援や、場合によっては国際音楽祭などといった、新たな文化施策を検討するための経費として、「『文化の都・京都』推進検討費」2百万円を計上しています。

次に、「旧本館ルネサンス事業費」1千万円規模です。

旧本館は耐震補強等を行う必要が出てきていますが、専門検討会議を設置して議論いたしまして、工法を決定していくということと、

平成19年に策定した保存活用計画で、カフェの設置を謳っていますが、そうしたものに向けての準備を始めたいと考えています。

次に、「丹後郷土資料館整備推進費」4千万円規模です。

令和5年度には設計等に着手しまして、令和8年度のリニューアルオープンを目指して、取組を前に進めたいと考えています。

次に、「北山エリア整備関連事業費」3千万円規模です。

幅広く周知・理解促進を図るための必要な調査検討を実施したいと考えています。

従来から進めていますが、各施設の整備内容や事業手法の調査・検討と、令和6年に植物園の開園100周年になりますので、それに向けた、博物館機能や植物の多様性保全に関する研究機能等の強化についての検討、またエリア全体の整備内容についての周知理解促進等のために必要な経費です。

次に、「旧総合資料館敷地暫定活用事業費」3.6億円規模です。

古い建物がそのまま残っていますので、(旧総合資料館の跡地の)本格的な活用がいずれ必要になる訳ですが、それまでの間、民間の創意工夫を活かして、既存建物の解体撤去と敷地の暫定的な活用も一体的に実施したいと考えていまして、令和5年と令和6年の2カ年での実施を考えています。

(8)交流と連携による活力ある京都

最後の8番目、「交流と連携による活力ある京都」です。

「学生とともにのばす京都プロジェクト事業費」3千万円規模です。

従来から、京都は「大学・学生のまち」と言われ、様々な活動や取組に学生の皆さんの力が発揮されている訳ですが、もっと総合的に発揮していただきたいということと、学生の府内への定着が2割未満ということで、そうしたことに対して設置しております「京都府地域共創大学連携会議」で、もう少し根本的な施策の方向性を協議したいと考えています。

合わせて、今でも商店街振興、観光、子育て、防災、防犯等様々な活動に学生の力がありますけれども、そうした学生の活躍が期待される分野において、京都府と大学等で共同事業を進め、それを活かして更に大学の中で取組を広げていただきたいということです。

次に、「京都府総合計画推進費」1千万円規模です。

計画の進捗管理も必要ですし、特に「広域連携プロジェクト」推進に向けた施策立案のための会議の設置や、私自ら各地域に訪問して、現地・現場主義の徹底による施策の企画立案も併せて、やりたいと考えています。

次に、「大阪・関西万博きょうとの魅力発進事業費」2千万円規模です。

これは(府の)基本構想を決定するということと、気運醸成や府内への誘客促進ということで、イベントを開催いたします。またゲートウェイとなる関西パビリオンの展示設計に要する費用です。

次に、「向日町競輪場基本構想策定費」1百万円規模です。

向日町競輪場の機能を検討していくということで、施設整備の内容を検討していくための経費です。

次に、「『食の京都』推進事業費」で、府市協調事業で6千万円規模です。

令和2年度当初予算で、京都市とも連携していこうということでしたが、その直後にコロナの感染が始まりまして、なかなか思うように進められなかったということで、リスタートとして事業を再始動させていただきます。これまでの取組は当然継続する訳ですが、例えば中央卸売市場第一市場におけるPR拠点の整備や、食ということで、府内全体の周遊観光にも繋げられるのではないかと考えています。

次に、「京のむらづくり推進事業費」1.2億円規模です。

中山間地における地域活動の合理化による持続可能なむらづくりを目指して、地域共同活動の「選択と集中」のために必要な交付金を交付するものでございます。

人・物・情報・日々の基盤づくり

ここからは、全体を支える基盤づくりということで、「道路整備等の公共事業」593億円規模です。(資料39頁に)箇所例を記載していますが、全体の計画の推進のための基盤となるものでございます。

次に、「山陰近畿自動車道整備促進事業費」7千万円規模です。この経費は(前述の)公共事業の内数です。

ルートが未確定な区間の都市計画決定に必要な調査を実施するものです。動植物の生息環境や大気・水質への影響等の調査を実施するものです。

次に、「地域交通総合対策費」13億円規模です。

中身は様々なものがございますが、地域交通の維持・確保に向けた取組ということで、今もイベント列車や鉄道車両の改装、駅舎等の利用環境の整備と改善、生活交通バスの路線維持費等です。

それから、鉄道輸送の完全・安定性確保ということで、バリアフリー化や耐震化事業、安全性向上のための設備整備等の事業です。

デジタルトランスフォーメーションについては、総合計画を改定しましたので、京都府スマート社会推進計画をそれに合わせて改定する必要があると考えており、全体として一層推進してまいりたいと考えております。

行財政改革の取組については、人件費の削減、府民ニーズに即した事業の見直し、歳入確保の取組を合わせ、約92億円の行財政改革になります。その他にも、国庫支出金の獲得や有利な府債の活用等により、府民サービスに必要な財源を確保してまいります。

予算案の規模

予算案の規模については、令和4年度2月補正予算案が25億円台で、令和5年度当初予算案が10,302億円台ということで、合計では10,327億円台です。当初予算ベースの比較で申し上げますと、前年度比97.1%でございます。

なお、令和5年度末の府債残高見込みについては、令和4年度末よりもやや減少していますが、ほぼ横ばいと考えていただければと思います。

予算案については以上です。

令和5年2月定例会提案予定の主な条例の概要

条例について、2点申し上げます。

1点目は、京都府犯罪被害者等支援条例案の概要についてです。

これは社会全体で犯罪被害者を支え、共に寄り添うきめ細やかな支援の充実を図り、誰もが安心して暮らせる社会の実現を目指すことを狙いとし、基本理念と具体的な施策を規定したもので、推進体制を構築するものです。全国で40程度の都道府県で既に制定済みで、府内市町村でも制定が進んでおりますので、(府においても)今回制定させていただきます。

支援調整会議を設置したワンストップでの対応や重大事案、インターネットを通じた二次被害への支援、学校における必要な配慮などが、他の都道府県の支援条例と比べて特徴になります。

先程説明しました予算と合わせて、犯罪被害者の支援に努めてまいりたいと考えております。

2点目は、京都府部制設置条例の一部を改正する条例案の概要についてです。

4月から新しい総合計画がスタートしますので、それを着実に実行することと、複雑・多様化する課題に迅速かつ的確に対応するため、執行体制を強化いたします。

一つは、「府民環境部」の府民生活部門と「文化スポーツ部」を再編し、「文化生活部」を設置いたします。

そして、政策立案部門の総合調整機能の強化ということで、「府民環境部」にある環境部門と「文化スポーツ部」の大学部門を「政策企画部」に加えます。名称は「総合政策環境部」とさせていただきます。部内横断的な課題が多く、それぞれの担当部でも連携強化や、縦割り排除を私も申し上げてまいりましたので、より総合調整の機能を明確化するために今回改変いたします。

もう一つは、「府民環境部」にある公営企業部門を「建設交通部」で一体的に所管するため、上下水道に関する公営企業部門を一体的に所管し、効果的・効率的な運用を推進いたします。

私からは以上です。よろしくお願いします。

質疑応答

記者

新年度予算はどういったところに重点を置いて編成されたのか。また、予算規模が3年連続で1兆円超えとなったことへの認識はどうか。行財政改革の話もあったが、今の財政状況の認識について伺いたい。

知事

今回は何といっても、京都府総合計画を1年前倒しで改定し、12月に御議決いただきました。その中で、この計画を踏まえて「あたたかい京都づくり」を府民の皆様に実感していただく第一歩ということで、「安心」と「温もり」と「ゆめ実現」の3つの視点に基づく施策を力強く発信するために必要となる予算として編成させていただきました。

各施策の推進に当たりましては、府民の皆様との信頼関係を築き、地域や企業、大学など様々な主体との連携を一層強化するということと、府域の均衡ある発展に向けて現地・現場主義を徹底することにより、諸課題の解決を図っていくという、まさにこの(予算編成の)基本方針に書かせていただいた通りです。

ただ、足元のコロナの状況については、少しずつウィズコロナに向けた新しい段階になってきていますが、社会経済情勢は年が明けてもそれほど変わっていませんので、そうした緊急的な対策につきましては、今回の予算でも対応いたしますが、今後も臨機応変に対応していく必要があると考えています。

特に気を配った点というのは、予算の中の項目で言いますと、例えば子育て支援医療助成費と、子どもの教育のための総合交付金です。子育て環境日本一に向けて取組を深化させると言っておりましたし、当然今後の国の動きは睨んでいかなければいけないのですが、令和5年度当初予算としては、この2点につきましては、子育ての関係では特に必要な予算として組ませていただきました。

それから「安心」のところでは、危機管理センターを設置することは既に決まっていたのですが、冒頭大雪の話もしましたが、自然災害もありますし、地震のこともあるのですが、やはり危機が生じた時に、いかに迅速に初期対応ができるかという点で危機管理センターは非常に重要ですので、それはきちっと仕上げて令和5年度から稼働させたいということです。

それから犯罪被害者については、特に京都アニメーションの事件で非常に多くの寄附が集まり、それは社長の意向で被害者の方に配布させていただきましたが、犯罪被害者の方は非常に大変ですし、ああいう義援金が集まるのは極めてまれなケースですので、条例設置と合わせて、その支援のための予算措置をするということも重要と考えています。

また、産業関係では、日本の産業の国際競争力を高めていくためには、世界から非常に優秀な人材とか資金を入れてこなければいけません。となれば、ゾーン毎に特色のある産業集積が必要だということで、従来から申し上げていますが、産業創造リーディングゾーンについて、着実に進めるために予算として裏打ちをしていくということです。それぞれのゾーン毎に熟度にばらつきはありますが、熟度に合わせて全てのゾーンを少しでも前に進めていくという観点で予算を計上させていただきました。

それから文化の関係は、コロナ禍ということもあり、文化庁京都移転の前に、それほどたくさんのイベントとか気運醸成ができていないのですが、いよいよ来られますので、それに合わせて気運醸成もしていかなければいけません。検討費を計上しているのは、文化庁が京都に来るということについて、これは京都だけの仕事でなく国全体の仕事ではありますが、もっと日本文化全体の振興に繋げていくために、どういう取組が必要なのかということをなかなか検討することができていませんでしたので、是非とも検討して、これは京都が主体というよりも、まさにオール京都というよりオールジャパンで取り組むものとして考えているということです。

いずれも予算の重要性に変わりはありませんが、そういうことを加味して編成させていただきました。

予算の規模については比較しにくいところがありまして、例えばコロナ対策費については、昨年は確か半年分計上したのが、今回は4ヶ月分ということがあります。また、昨年は文化庁や教育委員会が入ります新行政棟の建設とか、JR奈良線の複線化等の臨時的な投資的経費があったのですが、それが無くなるため、当初予算同士の比較では若干減っていますが、そういう特殊要因を除けばほぼ前年度同額の規模となっています。非常に大きく膨らんでいるとは思っていますが、必要な予算を計上した結果ということで御理解いただきたいと考えています。

財政状況については非常に厳しいことは間違いありません。足元の税収は、京都のものづくり企業の業績等も踏まえて、落ち込んでいるということはではありませんが、社会保障関係費も含めて財政需要の方が一定の伸びがありますので、非常に厳しいことは間違いありません。今回の当初予算編成における(行財政改革の)取組は約92億円ですが、これも不断の見直しを行って、できる限り効率的に使っていきますし、国の有利な制度はできる限り活用していきます。必要な府民サービスについては、なかなか削りにくいところもたくさんありますので、引き続き行財政改革について努力していきたいと考えています。

記者

子どもの通院医療費への助成について、拡充のねらいと、小学6年までとした理由を伺いたい。

知事

元々この子育て医療支援助成制度は、京都府と市町村が一体となって作り上げた制度です。平成5年に制度を創設して以降も、対象年齢(の拡大)ですとか、通院と入院を合わせて自己負担上限額の引き下げを行うなど、制度の拡充を図ってきました。

今回の拡充については昨年9月にあり方検討会議を設置し、そこでの議論や市町村からの意見などを踏まえて検討を重ねてきた結果として、今回、小学生まで月200円ということでの拡充をさせていただいたものです。

「社会で子どもを育てる」と私も申し上げていますが、所得制限がない制度としてこれをやっているのは全国でもかなり少なく、そこは全国トップクラスの制度だと思っておりますが、子どもを社会全体で育てるのであれば、医療費ぐらいはできる限り負担を軽減していこうということです。

ただ一方では財政状況もあります。負担が少なければ少ないほどいいというのは当然ですが、今回、一定の判断としてここまでということです。小学生までの理由としては、大体10歳ごろまでは医療費が特に高く、特に歯科の医療費が高いということがあります。また、#8000の相談状況を見ても、小学生までの小さい子の方が相談件数も多いことから、その辺にニーズがあるということで、制度ですからどこかで線を引かないといけないということです。

今回この制度でやりますと、今、市町村において行われている足元の制度では、京都市と福知山市が制度としては拡充されるということになります。ただ、先程も言いましたが、既にこのレベルまで支援を拡充してるところも、この制度ができますと、当然、財源負担が軽減されますので、その分については是非とも子育て施策の充実に使っていただきたいと思っておりまして、全体として子育て施策の充実に繋げることができるのではないかと考えています。

記者

先日の検討会議では、中学3年生までを対象とするように求める声が多かったが、財政状況を鑑みて小学6年生までと判断したということか

知事

そうです。(保護者の)負担が軽い方が良い事は理解していますが、財政状況に一定の制約があることと、特に小学生までのお子さんの医療費が高いことを踏まえて、このように判断しました。

記者

子どもの医療費助成について、これまでからも拡充の要望はあったと思うが、来年度から始められる理由は何か。

知事

総合計画を作る中で幅広く検討している分野の中でも、私は「子育て環境日本一」を申し上げていました。社会で子どもを育てることを最終ターゲットにしたいという中、計画を前倒ししてスタートするのであれば、主要な柱である子育て環境日本一に向けた取組についても計画の当初年度からスタートさせたいということで、今回の予算計上に踏み切りました。

記者

負担が減ることは喜ばれると思うが、一方で、子どもの医療費助成制度は全国の市町村で競争のように増えているが、それがあるからといってその自治体に住もうという決定的な動機付けにならないと思う。子どもの医療費助成が子育て世代に与える重要度・インパクトについて、どのように考えるか。

知事

医療費だけでなく、人口減少対策も含めてですが、限られたパイの中で人を奪うようなことはすべきではないと思っています。

医療費助成については、医療が子どもの健康に直接関わるものなので、経済的負担のためにそのサービスが受けられないという状況をなくしたいというベースの部分で、子どものためにという思いがあります。それによって人が移住してくるというのは、この施策の観点ではないと考えています。

医療費助成については、ある程度ナショナルミニマムとしてやるべきだという議論が色々な所で行われています。私自身も競争になるより、そうなることが一番いいと考えています。

一方で、個別の市町村を見ると、例えば非常に子どもが少ない所で、僅かな財政負担で支援できる場合に、(国や府の制度への)上乗せして実施されることを殊更否定するのも、地方自治の観点から不適切なのではないかと思います。ベースはある程度国が支えて、その上で地方の特色に合わせて工夫をする形がいいのではないかと私自身は考えています。

今回の予算は総合計画のスタートの年度ですし、これまでから拡充する方向を表明していました。更に、昨年夏の京都市との府市懇談会でも(拡充を)検討すると申し上げてきたように、従来の方針に沿った中身で、今回、具体的に決めさせていただいたということです。

記者

行財政改革の部分で「府民ニーズに即した事業の見直し」とあるが、具体的にどんなところが見直されているのか。府民サービスへの影響はないのか。

知事

例えば、警察情報システム共通基盤化推進事業で、システムの改修内容を見直すことによって1.5億円削減したとか、流域下水道事業会計補助金では資本費に係る市町村負担の見直しで1.3億円削減したといった細かい項目の積み重ねです。

事務事業の見直しということについては、そういうものの積み重ねで少しずつ生み出していると考えていただければ結構です。

記者

府民サービスを削るということにはならないということか。

知事

府民の皆さんのところに行くサービスを落とすということではなく、同じサービス水準を維持しながら、中身で工夫をするということです。

記者

知事選の際に、京都版CDC(疾病予防管理センター)を公約に掲げられていたが、それに関する予算はあるか。

知事

予算の計上はしていません。これは次の新興感染症に向けた取組でもありますので、いずれ構想を検討する経費が必要になると思いますが、今のコロナウイルスが収まらないとなかなかその段階まで行けないということで、今回の令和5年度当初予算では予算を計上していません。ただ、日本版CDCの動きもありますので、予算はなくても、情報収集を含め、検討は進めていきたいと考えています。

記者

「子育て環境日本一推進戦略」を改定するとのことだが、国は「異次元の少子化対策」を打ち出している。府として、国と連携して実施することを考えているものはあるか。

知事

連携というよりも、私は就任当初から、日本の最大の構造的課題は人口減少だと思っていまして、少子化対策とは銘打っていませんが、「子育て環境日本一」を目指して「子育て環境日本一推進戦略」も作りました。今回総合計画の改定を行いましたので、戦略も改定したいという思いがありました。

国の施策がどのようなものになるかまだ分かりませんが、先日政府から例示があった、児童手当など、お子さんがいる方に対する様々な支援の拡充です。これも子どもを持とうという動機付けになるかもしれませんが、例えばその一歩前の結婚の段階からといった観点のものは今のところ示されていません。

3月に示される骨格的なものや骨太の方針に向けてどのようなものになるか分からないですが、その動きについては当然取り入れたいと考えています。ただ、それを受けた改定というよりも、戦略そのものは今の状況に合わせて改定したいと考えています。その中で国の施策の内容が判明すれば、その中身を戦略に加味していくことになります。

記者

北山エリアについて、調査や検討は現状行っていると思うが、植物園の再整備や共同体育館に係る整備費の令和5年度予算への計上は見送ったのか。旧総合資料館は一旦解体して暫定利用するということだが、シアターコンプレックスの建設までは難しい状況なのか。

知事

令和5年度の当初予算の中身としては、必要な調査・検討を行うということで、整備費は計上していません。

元々令和5年度に整備費を計上する予定であれば、それは「見送った」ということになるのですが、我々としては施設毎の検討を深めながら、全体の調和を図り、出来る限り幅広く意見を伺った上で、整備内容を決めるものと考えていますので、そこは従来の方針と大きく変わりはありません。

ただ、府立植物園は令和6年に開園100周年を迎えます。施設別の検討会も設けていますが、元々100周年に向けた検討も従来から行っています。植物園については今回の予算の中で、機能強化についての検討を具体的に進めていきたいと考えています。

記者

北陸新幹線に関して、府として何かしらの予算計上はないのか。

知事

府としての計上はありません。

 

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