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令和5年7月14日定例知事記者会見

府庁旧本館におけるカフェの開設について

本日の発表項目は、京都府庁旧本館におけるカフェの設置についてです。

旧本館は、「府民に開かれた府庁のシンボル」として、春の「観桜祭」、秋の「観芸祭」といったイベントや、一般公開など様々な取組を実施してきたところですが、更なる利活用の推進を図るために、この度カフェをオープンいたします。

オープンは7月26日(水曜日)午前8時、場所は旧本館の1階南東角、旧人事委員会室です。営業時間は平日の午前8時から午後5時まで。設置運営者は、京都文化博物館や二条城でカフェを運営されている有限会社前田珈琲さんです。

店舗名称は、旧本館の竣工年である西暦1904年から「salon de 1904(サロン ド イチキュウゼロヨン)」と名付けられました。

内装や家具は旧本館との調和を図り、食器などに京都の伝統工芸品を使用するほか、地元産の食材を使用した京都らしいメニューが提供され、重要文化財のゆったりとした雰囲気の中で、文化的価値と魅力を味わえる空間となっています。府庁や文化庁を訪れた方々の「憩い」と「やすらぎ」の場となり、地域のにぎわいづくりの核となることを期待しています。できる限り多くの方にお越しいただけるよう、広く周知していただきますようお願いします。

また、報道機関の皆様向けに7月19日(水曜日)に内覧会を午後2時30分から実施しますので、取材につきましてもご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

私からは以上です。

質疑応答

記者

旧本館のカフェについて、府庁一帯の賑わいづくりがねらいということであるが、改めて知事の期待を伺いたい。

知事

府庁の敷地内に文化庁が移転してきましたが、旧本館は120年の歴史を持つ重要文化財で、「文化の都・京都」にふさわしい施設に再整備し、更なる利活用を図るということで、これまでから前庭の整備や建物全体の美装化に取り組んできました。文化庁が来たことを契機として、文化庁や府庁へ訪れる方に憩いや安らぎの場を提供したいという思いから、平成19年に策定した旧本館の保存活用計画にも位置付けられていますが、カフェを設置することとしました。

府庁旧本館でコーヒーなどを楽しんでいただいた後に、旧本館が持っている文化的価値や魅力を再発見いただくとともに、旧本館だけにとどまらず近隣の御所など府庁界隈の賑わいづくりにも繋げていきたいと考えています。いずれにしても文化庁移転ということもありましたのでカフェを活用しながら地域全体の賑わいづくりにも繋げていきたいと考えています。

記者

旧本館、旧知事公舎で使用していた家具の活用とは、具体的にはどういうものか。

知事

テーブルや椅子などを、食事を提供する客席において主に活用させていただきたいと考えています。

記者

マイナンバーカードについて様々なトラブルが生じおり、府内でも自主返納の動きも出ているが、その辺りについて把握していることはあるか。

知事

マイナンバーについては様々な論点がありますが、一つは国が総点検を行うということについて、これは、マイナンバーカードに対する国民の信頼を確保することが大前提(として必要だ)ということでの動きだと認識しています。

今、個別に各省庁からそれぞれの制度について点検の依頼が来ています。まず第一段階として、これまでの紐付け方法について7月中に確認し、国へ報告することとなっています。

その第一段階の点検を踏まえて、全ての個別データを総点検することが必要なケースが整理されれば、点検の第二段階ということで、そのケースについて総点検を実施することとなっています。全体の作業量がどのくらいになるかについては、今のところ見通せませんが、特に市町村の作業が大変になってくると思いますので、できる限り支援していきたいと考えています。

返納については、京都でも自主返納が181件あったと報道されました。様々な理由があると思いますし、全てかどうかは別として、この間発生している様々なトラブルが影響して、マイナンバー制度そのものへの不信感が、返納の行動につながっているように思います。

制度への信頼回復なしには、カードを安心して利用いただけなくなります。だからこそ、国において総点検に取り組んでおられると思いますので、まずはカードへの信頼を回復するということが行政としての責務と考えています。

記者

新型コロナの感染状況について、先々週、先週、今週の定点当たりの報告者数が、4.92、6.02、8.32となり、かなり急な角度で増加しているが、知事は現状をどのように認識しているか。府民へ呼び掛けることがあれば伺いたい。

知事

絶対数が多くないため急かどうかは分かりませんが、6週連続で増加が継続していることは間違いないので、増加傾向にあるとは考えています。ただし、私自身は急激な感染拡大が起こっている状況ではないと考えています。過去の5類になる前の増え方に比べても急激ではないと考えています。

医療機関の状況も聞き取り調査を行っていますが、もちろん患者は少しずつ増加していますが、ひっ迫している状況ではないと伺っていますので、それほど窮迫している状況ではありません。

ただし、第5波の時も第7波の時も夏場に感染拡大が生じていますし、全国的に見れば拡大傾向のところもあるので、しっかりと注視していきたいと考えています。

府民の皆様には、基本的な感染防止対策と、体調が悪ければ休んだりマスクを着用するということ、また医療機関や高齢者施設に行く時にはマスクを着用するということもお願いしています。そうした感染防止対策の基本はしっかりと守っていただきたいと考えています。

記者

大阪府が5月に素案を示した高校授業料の完全無償化について伺いたい。大阪府が近畿1府4県の私立高校へ参画を呼びかけており、8月に最終案を示されるとのことである。仮に私立高校が参画すれば、大阪府から京都府の私立高校に通う生徒の学費が無償になる一方で、60万円を上回る授業料を設定している学校では、学校からの持ち出しが発生する可能性もある。一義的には学校側の判断になると思うが、京都府としての現時点の受け止めを聞きたい。

知事

記者の皆様も御承知かもしれませんが、大阪府の素案に対しては近畿2府4県の私学の団体が反対をされています。おそらくこれは私立高校の一部に負担が発生することへの懸念からだと認識しています。

大阪府が独自の施策として制度を構築される分について、我々はコメントする立場にありませんが、やはり京都府にも影響があるということと、どういう形の制度になるのかまだ詰まっていないとも思っていますので、我々としては京都府の私学の団体の御意見もよく聞いて、今後の大阪府の提案を踏まえて検討していきたいと考えています。

ただ過去から「お互い様」の所がありまして、大阪府から京都府に来られている人も、京都府の人で京都府以外の私学に通っておられる人もいますので、そういう場合、どういう扱いにするのかなど、かなりいろいろな論点があると考えています。

最終的に個別の学校の判断になるということで本当に良いのかどうかについても、論点の1つではあると考えています。

大阪府が制度の詳細を示す段階は、これからだと考えています。

記者

「お互い様」という話では、平成22年度にあんしん修学支援制度ができた時に、京都府から大阪府へ相互支援の呼びかけをしたが、その当時は大阪府から断られた経緯がある。今になって大阪府から逆にこういった提案を受けた点については、どのように受け止めているか。

知事

過去の呼びかけは、個別の学校にということではなく、我々の方でそういった制度を作るので、京都府から大阪府に通う生徒に対して同等の支援をされるということであれば、お互い制度が乗り入れができることになるがどうですかと提案したものです。その後も毎年、事務的には問いかけをしていますが、それはできないという話だったと理解しています。一方的に制度に乗るか乗らないかを学校に聞くのではなく、お互いの制度の話です。

経済的理由で勉学の機会がなくなることがないようにしようという趣旨は全く同じですが、制度の詳細については詰めていかないといけないと考えています。

我々は元々呼びかけていましたので、一定程度の相互の乗り入れについて、基本的に拒否するものではないのですが、制度次第だと考えています。

記者

毎年呼びかけていたということか。

知事

一度提示しましたので、その後は京都府の制度が少しずつ変わる度に呼びかけたというだけではなく、事務的に(毎年)呼びかけていたと認識しています。

記者

個別の学校の判断でいいのかという論点について、今の知事の考えとしては、京都は1つにまとまるべきであるということか。

知事

そこまでは言っていません。いずれにしても、私学の団体が、それぞれの学校の意向も踏まえた上で、今は反対だという意志表示を出されている訳ですから、まずは私学の団体からお話を聞かせていただくことになると考えています。

記者

授業料を60万円未満に抑えている学校なら生徒を獲得するチャンスにもなるので、1校が参画すれば、競争が激化する可能性もあると思うが、どう考えているか。

知事

競争激化の前に、60万円キャップ制を導入すると、それを超える部分は学校の持ち出しになりますし、所得制限を撤廃するか緩和するかにしても、その範囲が広がれば、当然持ち出しの部分が増えます。

今、大阪はキャップ制を敷いていますが、京都にはその制度がない訳ですから、それを入れるということは、当然経営に対する影響もあると考えています。競争が激化するというよりも、まずはキャップ制が京都に馴染むかどうかということもあると考えています。

記者

知事はキャップ制自体に懐疑的ということか。

知事

経営に対しては完全に負荷をかけることになります。それに、経営判断もありますが、ある程度、教育水準によって、かけている経費が違うということもあります。逆に言えば、私立はそれぞれの建学の精神や教育の特徴を持って教育に取り組んでおられます。そうした中でキャップ制をはめると、そうした特徴がどうなるのかという懸念がありますし、様々な影響について、我々もですが、学校や私学の団体が考えなければいけないことは沢山あると思いますし、まずは、そこからだと考えています。

記者

相互乗り入れの話では、京都府在住で大阪府の私立高校に行っている生徒は、現状、大阪府の支援の対象外ということか。

知事

はい、そうです。

記者

大阪府の生徒を支援するなら、その逆もあり得るかと思うが、今、そこは支援対象から外れているということか。

知事

逆に言うと、今まで大阪府に対して提案してきたのは、京都府から大阪府に行っている人にも(大阪府が)一定のレベルの支援をしていただけるのであれば、大阪府から来られた人にも(京都府が)同等の支援をするということです。現に兵庫県との間では、少しレベルは違いますが制度化していますので、もちろんそういうことが大前提です。片方だけということは、なかなかできないと考えています。

記者

その時は大阪の私立高校の協力も必要になってくるということか。

知事

協力というよりも、我々の方はキャップ制がなければ、学校側としてはそうした生徒たちの負担が減るという影響だけかもしれないので、それは制度設計次第だと考えています。そのようなことはまだ詰めて議論していないと思います。

記者

今後を注視するということか。

知事

はい、そうです。

記者

大阪府が目指している高校授業料の無償化に関して、私学団体が反発していることに対する受け止めがあれば教えて欲しい。

知事

内容の受け止めというよりも、キャップ制を入れることが前提になれば、私学の経営に影響が大きいと思いますので、私学の団体がそれについて一定の見解を持たれるのは当然ではないかと思います。

私学の団体には大阪府の団体も入っていますが、今もキャップ制を敷いている大阪でその範囲が広がることによる影響と、今まで全くキャップ制を敷いていない所が新しく導入するのとでは、段階は少し違うかもしれませんが、経営への影響の懸念からの反発だということは理解できます。良い悪いではなくて、私学団体が反対を表明されたのはそうした理由ではないかと理解しているということです。

記者

18日で京アニの事件から4年になるが、知事の所見を伺いたい。また、京アニの遺族、被害者の有志で作る団体が、宇治市内に事件を伝える碑を建立する考えがあるということだが、それについての考えを聞きたい。

知事

今月の18日で事件発生から4年が経過いたします。被害者の方、御家族、御遺族の苦しみ、悲しみは今も消えることなく続いていると思いますと、非常に胸が痛む思いです。特にお亡くなりになられた方につきましては、心から御冥福をお祈りいたします。

私も事件直後、かなり早い段階で現場に行きまして、献花をしました。もちろん建物の中には入れなかったですが、外から現場の惨状を見せていただいて、この場で無念な思いで亡くなられた方がおられるのかと、本当に強い憤りと深い悲しみを覚えたことを明確に覚えています。4年経ったといっても、まだまだ被害に遭われた方や御遺族の悲しみは癒えるものではないと思っています。

当時、私どもは、国内外から寄せられた義援金を配分する仕事をさせていただき、突然理不尽な犯罪被害に遭われた方の苦しみや思いに触れましたので、被害者支援の大切さを感じました。この時の経験を踏まえて犯罪被害者支援に特化した条例を制定し、4月1日より施行しています。京アニ事件と全く同じとは言えませんが、犯罪被害者の方への寄り添った支援の重要性を非常に痛切に感じたところでした。

記念碑については、最初の頃から様々な議論がありまして、私も東日本大震災の時に経験しましたが、「記憶に残したい」という思いもあれば、「そうした悲しみをあまり思い出したくない」という思いもあるので、当事者の方がきちんと合意されるということが一番重要だと考えています。

今構想されている記念碑については、被害者、御家族、御遺族、それから義援金を寄せられた皆様など多くの方の思いや願い、また本事件や亡くなられた方の存在を長く記憶に留めたいということで構想されていると聞いています。

そうした形で皆様がある程度合意されていくということであれば、我々に何ができるか分かりませんが、できる限り協力をしたいと考えています。当事者の方の思いがどのように結集していくのかということによりますが、基本的には協力をしていきたいと考えています。

記者

保津川下りの再開は、来週中の見通しとされている。以前、知事からも安全対策を徹底してほしいと発言され、国の調査結果が出ていない中での再開になると思うが、安全対策の確認についてどう考えているのか伺いたい。

知事

まずは、お亡くなりになられた方に心から御冥福をお祈りいたします。また、遺族の方にもお悔やみを申し上げます。もう一つは、再開に向けて関係者の方がここまで様々な努力をされてきたことにも敬意を表したいと思っています。

事業再開に向けては、再発防止対策と安全対策に万全を期していただくというのは当然のことですし、再開した時に、安心して御利用いただけるよう万全の対応を期していただきたいと考えています。

近畿運輸局からは、事業再開に向けては組合独自の再発防止対策や安全対策を、専門家や関係機関とも検証した上で、(組合が)再開時期を判断すれば良いという話をされています。もちろん国の調査はきちんと結果を出されると思いますが、その前にも万全の対策を打った上で再開時期を判断すれば良いと言っておられるので、組合の今回の再開時期の判断については、そうしたことを前提に妥当だと考えています。

資金繰り支援等も必要になってくると思いますので、これは金融機関や保証機関と連携しながら、我々もできる支援を行いたいと考えています。

記者

大阪・関西万博において、海外パビリオンの建設申請がなかなか思うように進んでいないという状況に対してどう考えているか。

知事

独自にパビリオンの建設を予定されている海外の公式の国や地域は約50と聞いています。資材高騰や人手不足によって国内の建設業者との契約がなかなか進まないことや、建築確認など必要な申請が大阪市に出ていないことは、報道としてはもちろん知っていますが、

私は直接データを持っている訳ではないです。

また博覧会協会が、そうした国や地域に代わってパビリオンを建てて建設費を払ってもらう案も検討されていると承知していますが、直接責任ある立場の人から現在の動きを聞いてはいないです。

一般論で言えば、やはり資材高騰がありますし、海外の方から建設の発注を受けようとすると、請け負う側も意思疎通など大変な部分もあるので、今のこの時期に、限られた期間の中でやろうと思うと、従来の方法だけではなくて様々な工夫をしないと駄目だということだと思います。

今日も官房長官が記者会見で「万博の開幕までにパビリオンを完成させることが最優先」と仰っています。当たり前と言えば当たり前なのですが、開幕までにまず建設を完了させると政府としても言っておられますから、おそらく様々な動きが出てくるのではないかと考えています。

いずれにしても、万博なので、やはり国を挙げて様々な主体が努力をして、このパビリオンの問題はきちんと解決していくべきだと考えています。

記者

京都府として何か支援を考えていないのか。

知事

それは考えていません。ただ万博とは関係なく、やはり資材高騰や人手不足は様々な建設現場に影響する可能性があるため、その辺りは一般論として注視しておいた方がいいと考えています。

記者

先日、経済産業省の性同一性障害の職員に(職場の女性用)トイレの使用を制限することは不当であるという最高裁の判決が出たが、これを受けて府として対応の考えはあるか。

知事

個別の判決の中身については、司法のことなので、コメントは差し控えさせていただきますが、やはりトランスジェンダーの方にとっては、職場でどのトイレを使用するかというのは、まさに日常的に生きづらさを感じる非常に大きな要因であると思います。

今回の判決では、トランスジェンダーである職員の方の不利益、他の職員への配慮、この間の経済産業省の対応等について言及されており、そうしたことを考慮された中身だと考えています。

いずれにしても、トランスジェンダーの方が働きやすい職場環境をどのように整えていくかというのが全体としての課題と考えています。

裁判官からも個別に補足意見が沢山出ており、全員が補足意見を出すのは異例だと言われていますが、それだけ論点が多岐に渡るということだと考えています。この課題はなかなか一律には解決が難しいですし、職場環境にもそれぞれの固有の事情がありますので、それに応じた最適な解決策を関係者全員で探っていくことが必要なのではないかと考えています。

我々も、この最高裁判決を踏まえて、まずは府民の皆様にトランスジェンダーについて理解してもらうために府民の方に対して普及啓発をしていくのは当然です。

府庁の職場について、今のところトイレ利用に関して同様の事案があるという報告は受けていませんが、一人ひとりがお互いの多様性を尊重しながら安心して働ける環境を作っていくという立場に立って、もしこのような観点で改善の要望があれば、きちんと対応していきたいと考えています。

ちなみに、府庁内に性別を問わず利用できる多目的トイレは15か所設置していますので、そういうことも分かりやすく表示をしておく必要があるのではないかと考えています。

記者

ゼロゼロ融資の返済が今年度からスタートし、それに伴う倒産も増えているようであるが、府内における影響や対策があれば伺いたい。

知事

ゼロゼロ融資の元本返済開始の影響による倒産件数については、申し訳ないのですが、我々も数字として把握していません。

今年の1月~6月の倒産件数は、民間の調査会社によると142件です。コロナ前の10年間の平均が160件程度だったので、その時よりも少ない状況です。ただ、昨年の1月~6月の倒産件数が116件だったので、それと比べると今は増加傾向にあるということです。

倒産件数の把握はともかく、ゼロゼロ融資の無利子期間の終了と、元本返済の開始は今年度がピークだということはずっと言っています。だからこそ、ゼロゼロ融資の後継の融資制度として、伴走支援型の経営改善応援資金を令和3年度から施行しています。併せて、京都府の特徴である金融経営一体型支援ということで、金融支援だけではなくて経営改善を支援する取組もしています。

更に、コロナの影響だけではなく、物価高騰による中小企業への影響も非常に大きくなっているということで、本年1月から応援資金制度を拡充し、6月補正予算でも金融経営一体型支援等について予算の拡充をしています。ゼロゼロ融資の元本返済の始まりのピークによって中小企業の経営が圧迫されないように、できる限りの支援をしていきたいと考えています。

記者

クロマグロ漁業は漁獲枠の厳しい制限があり、府内の漁業者も獲ったものの中からかなりの数を放流されているという実態がある。資源も比較的回復してきた中で、漁獲枠を増やして欲しいという声もあるが、それについてどう考えるか。

知事

クロマグロの漁獲量については国際約束が全体としてあり、その中で、日本の漁獲枠を国が年度ごとに都道府県別に配分しているのですが、その配分量が漁業者の求める量とかなり開きがあることは間違いありません。

一方、漁業者の方には漁獲枠を厳格に守っていただいています。京都府内の漁業者間のルールとして、大型マグロは1経営体について1日5本又は500キロまで、小型マグロについては、4月から11月は全量放流し、値段が比較的高くなる12月から3月の間の漁獲量を確保する、ということを決めていただいています。

小型マグロについては、漁船1隻当たりで多い時には約20キロのマグロを40本近く網からすくい上げて放流するということです。漁業者にとってもかなりの身体的負担になっていますし、本来ならば、漁獲枠があれば、収益に繋がるものを放流しているので、経営意欲の減退に繋がるのではないかという指摘もあって、この放流問題についてはとにかく早期に解決すべきだという認識は当然持っています。

国際機関によるクロマグロの評価では、元々2024年に設定していた資源の回復の目標が5年前倒しで2019年に達成されたということです。我々は、回復状況が前倒しになっているという科学的知見に基づいて漁獲枠の早期拡大を国際会議の場できちんと要求するように国に要望しています。これは引き続ききちんと要望していきたいと考えています。

それから放流作業については、国の支援事業を活用し、作業費用の一部に対して一定の補助はさせていただいています。また、定置網の状況を毎日確認するのも大変だということで、ICTを使った作業の効率化や、放流作業の省力化の技術開発等も国にお願いしています。

これは漁獲枠が広がれば要らなくなりますが、必ず一定の漁獲枠が資源保護の観点から求められるので、作業の省力化支援と、漁獲枠の拡大を国に継続して要望していく必要があると考えています。

記者

マグロ以外にも、国内で漁獲量が多いサワラやブリなどにも制限をかけようという動きもあるが、それについてはどう考えているか。

知事

資源保護については全体的な国際的な枠組みがありますし、漁業者にとっても魚を取り尽くすということはできない訳ですので、一定の枠組みが必要だと思いますが、それによる放流で過度な負担がかかるといったことがないように、枠を決める時には漁業者の実態などもよく声を聞いていただいて、守るべき形を整えた上で決めてもらうのがいいと考えています。

全部枠を設けては困るという話でもないとは思いますが、なるべく漁業者の負担にならないような形でのルール設定をお願いしていく必要があると考えています。

記者

昨日締結した看護学校の基本協定については、まずは地元に建設を任せて、府が買い取るという形であった。地元の熱意を尊重し、スピード感を重視するという趣旨は分かるが、通常のケースでは、何かを建設する際は、議会に諮って、府が責任を持って建設していく形が通常の形だと思う。基本協定がある中で、どのようにして透明感のある適正な価格での買い取りに結び付けていくのか。議会軽視に繋がらないのか。

知事

財政がかなり豊かで、しかもスピード感を持ってできるのであれば、仰ったように、通常の形で府立の施設として作るという選択肢はもちろんあります。ただ、今回の対応は、比較的スピード感をもって対応できるということと、初期負担を軽減し、負担を平準化できるということがあります。

議会については、当然このような基本協定を結ぶことについて御相談も申し上げ、意思疎通した上で行っています。ただ最終的には、きちんとした議決を得なければなりませんので、そこは御指摘のような議会軽視にならないように細心の注意を払ってやっていきたいと考えています。

契約の透明性についても同じことで、費用は当然かかるので、透明性をもって必要な負担をしていくということです。通常の形での予算執行と同様の透明性を確保するのは当然のことだと思っているので、御指摘を踏まえて対応したいと考えています。

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