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令和5年9月1日定例知事記者会見

 

令和5年度9月補正予算案の概要について

令和5年度の9月補正予算案が概ね取りまとまりましたので、その概要を御説明いたします。

予算編成の基本方針

まずは、この度の台風により被災された方々に対し心からお見舞い申し上げますとともに、被災地の1日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

また発災直後から災害対応に当たっていただいております関係の皆様、ボランティア、NPOの方々に対しましても心から御礼申し上げます。

今回の補正予算では、台風7号被害に係る災害復旧、特に早期復旧に向けて必要な予算を緊急に編成したところでございます。

その他、長引く物価高騰への対策、京都産業の活性化など、時期を逸することなく、対策を講じることとしております。

以下、内容の御説明に入ります。

台風第7号被害に係る災害復旧等

まず、災害復旧でございます。

100年前の今日、関東大震災が発生いたしました。また、70年前、京都府内では山城水害が発生したところです。我々は過去長い年月、自然災害と戦ってまいりましたが、今後とも、国、京都府、市町村、そして地域の皆様が力を合わせて、災害に立ち向かっていかなければならないと考えています。

(1)被災者の生活再建支援

まず、被災者の生活再建支援です。

これについては今回、発災途中に多数の者が生命または身体に危害を受ける恐れがあるということで、速やかに災害救助法の適用を決定いたしました。

8月15日に決定いたしまして、同14日から適用しました福知山市、舞鶴市、綾部市の3市です。

その災害救助法に基づくものとして「緊急救助活動費」1,200万円規模ということで、避難所の設置や障害物の除去等にかかる費用です。

(資料3ページ)中央の段は、特に速やかに実施をしたいということで、既決予算で、既に(制度として)あります地域公響プロジェクト交付金によりまして、被災地で支援を行うNPO等の支援につきましては、既決予算で対応いたします。もう一つはボランティアの関係で、ボランティアセンターは既に8月18日から運営し、8月26日、27日にはボランティア派遣バスを運行していますが、これにつきましては、予備費での対応ということで、補正予算の編成を待つことなく、緊急に対応しています。

(資料3ページ)最後の段は「災害援護資金貸付事業費」ということで、300万円規模です。

(2)農業者・中小企業者の復興支援

次に、農業者・中小企業者への復興支援です。

まず(資料4ページ)上段、「農業者等営農継続支援事業費」2,300万円規模です。

これはパイプハウスの被害や、水稲等の農産物の被害、鳥獣の侵入防止柵もかなり傷んでいるということで、こうしたものの復旧・復興に対して、できる限り早期に営農が再開できるように支援をしてまいりたいと考えています。

(資料4ページ)下段は「中小企業等復興支援事業費」1,700万円規模です。

これは被災した設備の更新や機器の修繕など、早期の事業再開、また売上の回復を支援したいと考えています。

ちなみに、農業者及び中小企業者に対しまして、発災翌日の8月16日には、相談窓口を設置いたしまして、要望等を伺うということから始めさせていただいております。

(3)社会基盤・文化財等の災害復旧

次が社会基盤・文化財等についてでございますが、まずは「土木施設災害復旧事業費」です。

29億円規模ということで、(資料5ページ)上段の金河内地頭線ですが、被災により舞鶴市の桑飼上地区で孤立集落が発生しまして、また綾部市でも孤立集落が発生しました。これにつきましては応急対応ということで、既に速やかに解消を図ったところです。

被災した道路の復旧に取り組む他、特に大きな被害が発生しております宇谷川につきましても、しっかりと予算措置を講じていきたいと考えています。

南部でも、流れ橋等が流出をしており、こうしたものの復旧等に取り組んでいくということです。

それから、「農林水産施設災害復旧事業費」ということで、林道や農地の被災もありますし、水田の法面崩壊等の施設の復旧を行うものです。

(資料6ページ)中央、「災害関連緊急治山事業費」3.8億円規模ということで、被災した荒廃山地の復旧等を支援するというものです。

それから(資料6ページ)一番下、「森林防災機能強化事業費」につきましては、今回の災害の一つの特徴ですが、倒木や伐採した木材などの危険木が流出して、下の川が埋まるということがありました。まだ残ってるものもあり、次の雨に備えて、再度災害防止のための施策を実施するということで、これにつきましては京都府豊かな森を育てる府民税を活用して対応するものです。1億円規模です。

次は「文化財災害復旧事業費」、1,100万円規模です。

府指定5ヶ所、未指定7ヶ所の文化財が被災しました。伊智布西神社や旧永島家住宅等です。

(資料7ページ)下段は「自然公園等災害復旧事業費」、2,300万円規模ということで、利用者の安全確保や景観保全等のため、災害復旧事業を実施するものです。

ここまでが災害復旧です。いずれにしても、まだ出水期です。これからも台風等の被害が予想されますので、どうか府民の皆様には、災害時の避難経路や持ち出しバック、備蓄物資等につきまして、御確認をいただいて、自然災害への備えをよろしくお願いします。

今回の台風7号被害の復旧はもちろんですが、今後の災害の未然防止のためにも、しっかりと取り組んでまいりたいと考えています。

1 物価高騰への対策

次は産業関係、まず物価高騰への対策です。

(資料9ページ)上段、「中小企業経営改革支援事業費」5億円規模です。

(中小企業は)物価高騰の影響を受けていることに加え、賃金引き上げの環境整備が求められています。その生産性の向上と、高付加価値化を同時に実現するような取組に対して補助するものです。例えば、下に例を記載していますが、工作機にロボット機能を付加して、省人化・省力化と精密加工を同時に実現するなど、様々な組み合わせがあると思いますが、ハード対策からソフト対策まで幅広く支援していきたいと考えています。

それから(資料9ページ)下段は「農林水産業経営改善支援事業費」ということで、これは生産コストの削減や高付加価値化に繋がるような省エネ機器の導入を支援するものです。6月補正で3億5000万規模の予算を措置しましたが、非常に需要が高く、大規模農業だけではなく、中規模・小規模の農業者からの申請も非常に多いということで、6億円規模を追加し、合わせて9.5億円規模で実施をしたいと考えています。

次は、物価高騰対策の中での子どもの関係です。

物価高騰によって運営コストが増大している私立の保育園・幼稚園の取組を支援するということで、例を記載してますが、演奏会や子どもたちの創造力・好奇心を育むような積み木や絵本の充実など、子どもたちの豊かな感性・表現力を育む取組を支援したいと考えています。

それから(資料10ページ)下段は「きょうとこどもの城等特別支援事業費」600万円規模です。

これにつきましては夏休みのイベント支援について6月補正で措置しましたが、クリスマス会やお正月等のイベントの開催を支援するものでして、12月補正で対応する場合もありますが、準備等もあろうかと思いますので、今回9月補正で措置することといたしました。

なお、物価高騰対策につきましては、岸田首相も負担軽減策について継続する意思を表明されておられますが、現時点ではまだ具体的な取り扱いについて示されていないということで、今回の補正予算には、岸田首相が考えておられる対策についての補正予算は計上しておりません。当然ですが、詳細が明らかになれば、内容を精査の上、速やかに必要な対策は講じてまいりたいと考えています。

2 京都産業の活性化

次が京都産業の活性化です。

「産業創造リーディングゾーン加速化事業費」として、共同研究や新商品開発等の好機を活かした産業創造リーディングゾーンの推進ということで、今回は、アート&テクノロジー・ビレッジ京都が今年の10月にオープンしますので、そのオープンに伴いまして交流会等も行われます。そうした取組への支援です。

(資料11ページ)中央は、京都フードテック基本構想の推進につきまして、10月に京都フードテックエキスポ2023を開催いたしますが、それに合わせて中食向けの新商品・サービス開発等を支援するとともに、シンポジウム等の開催の経費もございます。

三つ目は太秦メディアパークの推進です。これは投資家や起業家支援ということで、スタートアップのピッチ会を太秦メディアパークにおいて開催するための経費です。

次が、「伝統産業海外販路開拓支援事業費」1,000万円規模です。

これまでから取り組んでいますが、「京友禅サリー」について、サリーの本場インドでの需要創出の支援を行います。また「HAORI」については、和装の中では様々なファッションに応用が利き、上に羽織れるということもありまして、この「HAORI」を中国やベルギーでの展示会に出展するためのPR費用です。

(資料12ページ)下段は「京ものブランド輸出拡大事業費」1,000万円規模ということで、海外における「京もの」の認知度と商材としての訴求力を向上させて、更なる輸出拡大を図るために支援するものでして、香港において「京ものフェア」を開催するための経費です。

3 文化の都・京都の実現

次が、「文化芸術体験機会創出事業費」5,000万円規模です。

子どもたちが、古典芸能を含めた様々な文化に触れ合う機会を創出するというもので、解説つきの鑑賞等を無償または安価で提供する文化団体等を支援するものです。

(資料13ページ)下段は「植物園100周年記念事業費」900万円規模ということで、来年の1月1日に植物園開園100周年を迎えるに当たりまして、各種のイベントを開催すると同時に、平成28年に協定を締結したシンガポールの植物園と連携したラン温室の展示強化のための費用です。

4 京都産水産物等の販売促進

次が、「京都産水産物等販売促進事業費」500万円規模です。

内容はいくつかございますが、まずは先日の会見でも質問が出ておりました、京都産の水産物の海外販路拡大ということで、特に輸入規制等のない国においての販売促進や商談会を開催するものです。

次が福島産水産物の消費拡大・需要喚起ということで、農林水産フェスティバルで、福島産水産物の応援販売・PRブースを設置します。時期としては11月下旬の開催を予定しています。

また福島産の水産物を使用した新商品開発等も支援したいと考えています。

また京都産・福島産共通で、水産物の消費拡大に向けたPRを実施していきたいと考えています。

予算案の規模

以上が予算案の中身でして、全体の規模としては、令和5年度の現計予算が1兆399億円、今回の補正予算が54億円台ということで、令和5年度の補正後予算額につきましては、1兆453億円台です。

令和4年度の9月補正後予算との比較で言いますと、時短協力金の変動幅が非常に大きく、予算を編成する年度が複数年度にまたがるなど比較するとかえって混乱するため、時短協力金を除いた額でございますが、令和4年度の9月補正後に比べると94.7%です。

私からの説明は以上です。

質疑応答

記者

今回の補正予算全体の狙いや特徴はどうか。

知事

今回は台風7号の被害があり、しかも災害対応というのは非常に緊急性を要するということで、焦点としては何といっても台風7号の災害への対応です。

それからもう一つは、やはり物価高騰対策です。これについては政府の方がまた新しいパッケージを示される可能性が高いんですけれども、いつも我々はできる限り地域特性を踏まえたきめ細かな対応をできる限り速やかに発信していこうという思いもありましたので、物価高騰の対策はきちっと打ち出していくということです。

それに加えて、年度が始まってからの間に起こった状況の変化や、新しい要素が出てきたことについては、特に産業政策では、年度内に対応した方がいいことが明らかなものについては、予算措置をして対応していこうということです。

記者

改めて、今回の台風7号の復旧費に関し、今回の被害の特徴と、どういうところに目配せしたのか。また、予算規模54億円のうち災害関連費はいくらになるのか。

知事

今回の災害の特徴については、いろいろ分析していかないといけないと考えていますが、一つは降雨の時期について、8月15日未明に潮岬に上陸する前の晩から、特に北部の方で、記録的短時間大雨情報が発表されました。全国的に、台風が来る前に、台風の所在地と違うところで降雨がたくさんあったというのが一つの特徴です。

例えば福知山市では、これまでは由良川の本川や由良川に注ぐ支川の内水氾濫があったのですが、今回は山の方で降ったということで、土砂の流出等がありました。

また、立木だけでなく、元々倒木していたものや間伐材を積んでいたところが流れ出て、川を埋めて水が溢れたり、道路に土砂がたまったり、また農業被害にも影響したというようなことです。

短時間にかなりの雨が降ったことによる被害が多かったというのが一つの特徴かなと思っています。

一方で、人に対する被害が比較的少なかったということについては、避難行動タイムラインの作成等を通じて日頃から話し合えているところについては自主的な避難が早かったというようなこともあります。そうしたことも効果があったと思います。

ただちょうどこれから稲刈りに入る水田や農作物等農林関係のところもかなり被害が出ています。そうしたことについてはきめ細かく対応していかなければいけないと考えています。

それから予算規模については、災害復旧関連が38.6億円規模で、それ以外が15.9億円規模ということです。全体の規模感としては、災害が起こるか起こらないかによって違うのと、昨年の9月補正はコロナ対策で経常的に必要な経費を積んでおり、それがかなりのボリュームを占めていましたので単純には比較できませんが、私としては、災害復旧にとりあえず緊急に必要な予算と、物価高騰をはじめとする産業関連の対応についても、今後の施策の芽といったところはきめ細かく予算措置ができたのではないかと思っています。

記者

家屋の被害は全壊が8棟、半壊が8棟であり、そういった所に対する手当はあるのか。被災者生活再建支援法の対象外となるのか。

知事

まず、被災者生活再建支援法については国の基準が明確になっています。京都府独自の支援の場合も、京都府だけでなくて、近隣の府県が適用する場合にそれに合わせて支援をしていますが、今のところの被害状況を見れば、被災者生活再建支援法の適用基準には達していないので、その仕組みを使うことは難しいと考えています。

ただ一方で、冒頭説明しましたように地域交響プロジェクトによる被災地支援ということで、土砂の除去など、きめ細かく被災者の方に対応できる予算がございますので、そうしたもので支援をします。

それから、災害救助法を適用しますと、費用は国と都道府県で2分の1ずつ負担するということで、その分の市町村の負担が軽減されるので、かなりきめ細かなところはその財源も活用しながら市町村と京都府で役割分担をして対応していこうと考えています。

直接、被災者生活再建支援法に基づく予算措置は計上していません。

記者

市町村は財源の浮いた分で対応するということか。

知事

浮いた分とは言いませんが、そうした財源も市町村には生まれるということです。

記者

農業被害については、損失補償のような仕組みも今回、含まれているのか。

知事

(4ページに)追加施肥としていますが、生産を回復するための措置が主なものだと考えています。それから、谷大臣も現地視察の際に言われておりましたが、刈り入れ前に泥が入った水田について、昔は災害復旧査定のために被害状況を残しておいてくれということがありましたが、今は簡略化しており、写真を撮るなどして報告をすればいいことになっています。できる限り営農に影響が出ないような形になっていますが、直接の補償は予算上の仕組みにはありません。

ただ共済制度がかなり充実しているので、収入減については、その制度でほとんど対応できます。

記者

災害復旧費用の38.6億円というは、台風7号の被害に係る災害復旧費用ということか。

知事

そうです。

記者

京都産業の活性化や、文化の都・京都の実現については、当初予算ではなくこのタイミングでの編成になったのはなぜか。

知事

個別の理由はそれぞれありますが、一言で言えば、年度当初ではまだ具体化していなかったりした部分について、年度当初から5ヶ月経ち、予算編成から言えば半年以上経ちます。特に商業・産業活動は年度と関係なく進展してまいりますので、その間に熟度が高まったり、新しい動きが出てきますので、それに合わせた形で措置するということです。

物価高騰のような話はそれに影響を受けている産業や国民生活に対する支援ですが、産業活性化という意味においては、新しい状況・背景が年度途中に生まれてきたことに対して、速やかに対応することが施策の効果を上げるのに有効だという観点で計上させていただいています。

記者

物価高騰対策における中小企業の経営改革支援については、中小企業が生産性向上に関する設備投資などをする場合の支援ということか。

知事

色々なパターンがあり、中小企業に対する支援メニューはかなりありますが、今回新規と言っているのは、生産性向上と高付加価値化を同時に実現する取組として、例としては製品に説明動画を付加して販売員の代替と利便性の向上を同時に実現するというようなことを挙げています。

設備投資というかは分かりませんが、これまでは口頭で説明していたものが、説明動画を作成することで、販売員の方が要らなくなり、省力化もでき、更に内容によっては消費者の心を打つということもあります。資料(P4)にもいくつか例示していますが、必ずしも設備投資だけではなく、テスト販売による本格的な市場調査などはソフトの取組です。ソフトだけハードだけというのではなく、組み合わせてもいいことになっていて、幅広く支援しています。ただ、この予算の趣旨としては生産性の向上と高付加価値化を同時に実現するような取組を是非とも支援していきたいということです。

京都府の中小企業対策の特徴として、その時の経営が大変なので支援するということも少しはありますがそれだけではなく、その後の足腰を強くするものや、経営の改革に繋がるものに支援をさせていただきたいと考えています。

今回は、生産性向上と高付加価値化に焦点を当てて新しい予算を組んだということです。

記者

これは府としては物価高騰対策の一連として行うものか。

知事

そうです。物価高騰対策は幅広くあり、全体のエネルギー価格を下げることなどもありますが、これはまさに中小企業の経営改革を支援するという観点で予算化したものです。

記者

福島県産の水産物の消費拡大について、他府県では県庁の食堂で消費をするなどの取組をすると言っている知事もいるが、様々なやり方がある中で、今回の中身になった理由は何か。

知事

それぞれの食堂により調理の事情があり、必ずしも全ての都道府県で庁舎の食堂で、調理できる訳ではありません。

必要なのは、福島産の水産物の消費拡大ということであり、消費と言えば、我々の消費もありますが、圧倒的に一般の方の消費拡大が重要です。農林水産フェスティバルには、いつもかなりの方が来られていまして、公的機関が運営しているフェスティバルとしてはかなりの集客力があるので、ここで応援販売をすることや、PRブースを設置することが最も効果が高いと考えましたので、それに必要な予算を措置するということです。

私としてはそれだけでなくて、今回、全国的に福島産の水産物がかなりフォーカスされたということで、全国的に消費者の関心が非常に高まっていると聞いていますので、私自身も消費喚起のPRをしたいと思いますが、予算上措置をしたというのは、我々の関係する事業の中で最も影響力が強いフェスティバルで是非ともPRさせていただきたいということです。そのために必要な予算を計上したということです。

記者

知事の思いとしては風評被害に対しての対応ということか。

知事

風評被害と一言で言いましても、まずは、実際は安全だという正確で丁寧な情報発信で風評をなくすことと外交努力が重要です。

それから風評被害で消費が低迷することや、価格に影響することに対しては、私も復興庁におりましたが、消費を拡大すること、購入していただくことが最も実効性のある復興の支援だと考えています。

今回、特に福島産をPRするということについては、まさに風評被害が出ている可能性がある福島産の水産物を応援したいという趣旨です。

記者

京都産の水産物についても海外販路拡大の支援をするというのは、どういった思いか。

知事

海外での水産物の輸入規制については、直接の規制もあるかもしれませんが、東日本大震災の時にも起きましたが、被災地だけではなく、日本産全体に対する風評被害も起こりうるので、京都産の水産物についてもそうした可能性は否定できないためです。

前回の会見で中国以外の輸出先の販路もあるのでそれほど影響はないと言っていましたが、長期化すると色々な懸念も出て来ますので、京都産の水産物に対しても、海外販路等を制限されたり、直接制限されなくても売り上げが落ちる場合に備えて、できる限り販路を拡大し販売促進をしたいということで、京都産のものも支援するということです。

記者

先週よりも問題が長期化しそうになったということか。

知事

この1週間でそうしたことはありませんし、国の外交努力もあって沈静化している方向の部分もありますので状況は分かりませんが、これから旬を迎えるものも出てきますので、そういうことも考えるとある程度の期間で対応した方が良いと考えました。

記者

販路の拡大について、今、具体的に考えていることはあるか。

知事

輸入規制のない国において販売促進会をすることや、BtoBの場合だと商談会の開催を考えています。国としては、シンガポールやタイを想定しており、事業実施主体は京都府漁業協同組合になると思います。

そうした国で販売促進や商談会を行うことで、もし中国向けの輸出が落ち込んだとしても、そうした所の販路を拡大すればカバーできるということです。

記者

岸田総理から発言のあった9月7日にガソリン価格の高騰対策が政府で示されれば、追加で9月補正予算を組む考えがあるという理解でいいか。

知事

ガソリン価格の高騰対策については、地方公共団体に対する役割や対応はありませんが、例えば電気・ガス料金の対策は、交付金の交付と合わせてLPガスの対応を推奨するという形で国から示されました。

施策の内容もありますが、都道府県・市町村がそれぞれ担う役割や、その財源についても示されていません。9月7日に限ったことではなく、国における物価高騰対策が明らかになった段階で、当然、速やかに対応したいと考えています。

記者

先日、大阪府が高校授業料の無償化を正式に決定をしたが、知事の受け止めはどうか。また今後、府としてどのように対応するか。

知事

大阪府からはいずれ京都府に対して説明がある予定だと聞いていますし、当然、京都府の私学団体への説明も今後調整されると聞いています。大阪府の生徒が通学する他府県の私学にも大阪府の制度が適用されるのであれば、当然影響があります。京都府の私学団体が大阪府の案に対して、例えば「キャップ制」を導入すれば私学の負担が新たに発生することや、大阪府から来られている方の授業料がより抑えられて、京都府内から通う方に比べてアンバランスが生じること、また、授業料が一律に抑えられるとなると、京都府の私学は建学の精神に基づいて非常に質の高い、特色ある教育をされていますが、それが維持できなくなるのでないかという懸念があり、そうしたことは十分理解できます。

我々は大阪府から御説明があれば、私学側が抱いている懸念も含めて意見交換をすることが必要だと考えています。どちらにしても府県を越えて通学する生徒はこれまでからもおられる訳ですから、両者が納得できるような支援のあり方について意見交換していきたいと考えています。

記者

意見交換の日取りや予定は決まっているのか。

知事

それはまだ具体的には決めていません。まずは実務的に制度の説明から開始されるのではないかと想定しています。

記者

昨日、岸田総理が万博の会議において「準備を加速する」と決意を示された。万博の開催には懸念の声もあるが、その辺りの意見を伺いたい。

知事

万博は元々日本政府として責任をもって進められる事業であり、それは今回のことで急に決まった訳ではありません。大阪府と大阪市は開催地として、地元としての大きな役割を果たされていますが、国の事業として行われています。ただ総理の思いとしては様々な課題が出てきていますので、改めて関係閣僚と関係者の方に日本政府としての意思を明確にして進めていこうということであり、今までも基本的な考え方は変わっていないと思いますが、改めて、より開催に向けて力を合わせてくためにということで発言されたもので、私としては、当然ですが予定通りきちんと、しかも皆様に喜ばれる万博として開催されることを期待しています。

記者

今のコロナの感染状況をどう受け止めているか。

知事

京都府の定点観測の速報値は14.04人で、前週は15.10人、その前は14.44人であり、波はありますが、ほぼ横ばいからやや減少の傾向となっています。

ただ、全国を見れば感染がやや拡大している所もあるので、注視していかなければいけません。医療機関は外来診療や入院受入に関して聞き取りを行っていますが、全体としてはひっ迫している状況にはないと認識しています。ただ、きちんと注意して警戒感を持って対応していかなければいけません。

記者

報道では厚生労働省が10月以降は、病床確保に対する補助金を一定の感染規模以上でなければ支給しないとか、治療薬の自己負担額のあり方を見直すという話もある。全国知事会でも提言をまとめているとのことだが、京都府としての考えはどうか。

知事

一昨日、全国知事会のコロナ対策本部の役員会議が開かれて私もオンラインで出席し、全国知事会としての提言をまとめておりますので、これから厚生労働省に説明していくことになります。

私が発言したことは、病床確保料を残すのであれば、都道府県によっても状況が違うので柔軟に対応して欲しいということや、感染状況に合わせて段階的に考えていくのであれば、あまり複雑な制度にすると手間もかかるので、分かりやすい制度にして欲しいということをお願いしました。

また高額な薬剤費の補助については残して欲しいということや、相談体制をどうするかなどのいくつか論点がありますし、高齢者施設でクラスターが発生した際の医師の派遣等に掛かり増した経費は、今でも国からの財源で支援をしていますので、その辺りについては継続して欲しいと言っています。

最終的には、提言に出したものが全国知事会としての国に対する考えなので、それに沿って措置して欲しいということを10月に向けて訴えていきます。おそらく知事会長やコロナ対策本部長が動かれると思いますが、意見としては一つの形に集約しています。

記者

全国知事会としての意見はわかるが、京都府としては病床確保を感染状況に応じてどのようにして欲しいのか。

知事

元々9月までは移行期間で10月からは新しい対応に入ります。病床確保料については、今後も病床を確保するかしないかという議論がありましたが、いずれにしても入院患者は今でも出ていますし、今まで受け入れをしてきた病院以外の病院でも一定程度、受け入れが始まっています。ただ、重症や中等症の患者用の病床を残そうとすると、感染拡大していけば、一定ベッドを空けておいていただく必要があり、そこには空床補償がいるという議論がずっと行われています。

都道府県によって少しずつ考え方が違いますが、我々はどちらにしても入院体制を確保しないといけないので、どれくらいの感染状況によってどれくらいの空床を確保しないといけないかについて、いずれ厚生労働省が考えを示してくると思います。

私としては一定程度の病床を確保することになれば、その分コストが生じますので、どれくらいの補償レベルにするのかは別としても、空床補償は必要だと考えています。

入院体制は地域的なこともあり、軽症・中等症・重症の違いもあるので、厚生労働省には早めに考え方を示していただき、我々としてはどういうところで準備をしておくかということがあります。考え方としては一定ベッドを確保するようにということであれば、一定程度の空床補償が必要だと考えています。

記者

北陸新幹線の金沢-敦賀間が来年3月16日に開業することが決まった。そのことについて知事の受け止めはどうか。

知事

JR西日本が発表された内容については承知しております。

敦賀開業ということで、敦賀駅での乗り継ぎが発生しますが、乗り継ぎ時間を含めても大阪―金沢間は約22分短縮されます。しかも現在のサンダーバードと同等の便数で北陸新幹線の接続が確保されると言われています。更にJR西日本は敦賀から若狭や京都府北部を通って城崎温泉までを結ぶような観光列車の運行を来年の秋に予定していると言われているので、我々としては北陸新幹線の敦賀開業と合わせて京都府北部地域の魅力をより多くの方に知ってもらう機会が増えることは間違いないと考えており、その効果をできる限り地域振興等に生かしていく努力をしてまいりたいと考えています。

記者

一方で、新大阪までの延伸については京都府内で環境影響調査で遅れが出ているが、新大阪までの延伸に対する所見を改めて伺いたい。

知事

敦賀開業と敦賀-新大阪間の話は別だと思いますが、従来から申し上げているとおり、敦賀-新大阪間は鉄道運輸機構で環境アセスメントを実施中です。これは、地下水をはじめとする施工上の課題や環境保全などの課題について適切な対応をしていただき、地元の理解を得ることが最も早期整備に繋がると考えていますので、引き続き国や鉄道運輸機構に対して、慎重な調査、丁寧な地元説明、また環境保全に対する適切な対応を求めてまいりたいと考えています。

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