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令和5年11月17日定例知事記者会見

1.令和5年度12月補正予算案等の概要について

まず1点目は、令和5年度の12月補正予算案が概ね取りまとまりましたので、その概要を御説明いたします。なお、詳細につきましては、追って総務部長の方から説明させていただきますのでよろしくお願いします。

12月補正予算案の編成方針について

まず全体の編成方針(資料1頁)です。

6月補正と9月補正で中小企業者や農林水産業者をはじめ、事業者の経営改善、それから府民生活を支援する施策を実施いたしまして、今回につきましては、国の総合経済対策に先立ちまして、長期化する物価高騰の影響を特に受けている業種への支援と人手不足対策ということで、当面、必要な施策について実施をするものでして、念のために書いていますが、今後につきましては、国の総合経済政策を踏まえた施策については、早期に効果が発現できるように検討を実施中です。

いずれ、それに向けての対応も必要になってくると考えています。今回は、国の総合経済対策の先立ちということで編成をさせていただきました。

12月補正予算案の概要

まず1点目(資料2頁)が、和装需要喚起支援事業費、2.5億円規模です。

原材料費や燃料もそうですが、物価高騰を受けて非常に厳しい状況にありますので、和装産業の需要を喚起することによって、支援をしていこうというものでして、ポイントは製造の支援と流通の支援ということで、川下の方を支援すれば、それが全体の支援に繋がるということで、両方を支援するものです。

それから下は、地域公共交通の関係で、2.2億円規模です。

これにつきましては、燃料費の支援と省エネ設備への転換等の支援を行うものです。

それから(資料3頁)、生産性向上・人手不足対策事業については、これは特に人手不足について緊急的な対応が必要だと思われる宿泊と旅客運送と建設業の3つの業種に対して、3.1億円規模ということで、宿泊では自動チェックインや予約管理システム、配膳や清掃のロボットの導入支援です。

旅客運送については、運転士の免許取得の費用等や人材確保のための広報の支援です。

建設業は、ウェアラブルカメラやドローンの導入支援でございます。

それから(資料4頁)、きょうと魅力再発見旅(プロジェクト)は12月の閑散期対策ということで発表していますが、1月も同様に閑散期ですので、引き続き12月に引き続いて、1月に実施するものが5.6億円規模です。

それから、農林水産業の関係は、6月、9月と補正をしておりました。6月の時には非常に人気が高いということで、9月にもしたのですが、9月補正の時の申込みに間に合わなかった人達も結構おられまして、そうした経営の改革の意欲が冷めないうちにということで、これにつきましても、5億円規模ということです。

それから、一番下の府立看護学校の関係は、債務負担行為の設定で、今地元と連携をして府立看護学校の整備に着手していますが、それについては37億円規模ですが、債務負担行為を設定するものでして、これは既にいくつか中身を発表していますが、定数を増やすことや機能の向上なども含めた、看護学校の整備です。

予算案の規模

今回の12月補正は18億円台ということで、合計いたしますと、1兆471億円台ということです。(資料5頁)

過去の去年の12月補正後の数字との比較で言いますと、これはいつも時間協力金を除いていますが92.4%となります。

令和5年12月定例会提案予定の主な条例の概要

もう1点(資料6、7頁)、12月定例会に提案する議案の中で、「子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組の推進に関する条例」案を提案しようということで準備をしています。

これは、元々二つの条例があったものを統合する形で新たな条例を制定するということで、内容的には基本理念を定め、それから社会を構成する各主体の責務・役割を規定した上で、特に具体の施策に繋がるところでは、「子育てにやさしいまちづくり」として、これは今まで市町村への取組を支援していましたが、それをより総合的に、しかもハード・ソフトも含めた支援をしていこうということで、市町村の子育てにやさしいまちづくりを進めるための計画を府が認定して支援していくというものです。

それから今の少子化対策条例にもありますが、「不動産取得税の軽減措置」について、現在は第3子からを対象としていましたが、今回それを第1子からに拡充するということです。

毎月の19日の育児の日につきましては、今も定めていますが、引き続き同様の日で、定めるということです。

子育ての推進戦略(の策定)については、今大詰めを迎えていますが、特に条例については条例で制定をしないと実現できないようなもの、特にこの二つの施策、それから理念や責務・役割につきましては条例で示す必要があるということで、戦略よりもやや先行的ですが条例化して、今回の12月議会に提案するものです。

1点目の補正予算と条例については以上です。

2.京都府青少年健全育成功労者等知事表彰(青空賞)の受賞者の決定について

もう1点は、令和5年度「青空賞」についてです。

これは8月に開催いたしましたこども議会で、子ども議員の皆さんから、子どもの居場所づくり等に協力した方へ、子どもも大人も青く澄んだ空のような気持ちになれるようにという思いを込めて、私の座右の銘であります「雲外蒼天」からイメージして、「青空賞」というのにしてはどうかという御提案をいただきました。非常にいい提案だと思い、その議会の場でも私から、現在行っている表彰の中に取り入れていくという答弁をさせていただきました。

京都府では、「青少年健全育成功労者等知事表彰制度」を設けており、こどもの居場所づくりも含めて、青少年の健全な育成に貢献した方の個人、団体、また他の模範となるような行動を行った青少年や団体に対して顕彰を行っており、今回その名称を「青空賞」とすることにさせていただきました。

11月29日に京都府公館で表彰式を開催いたします。受賞者の方も含めて、青少年の健全育成に関する取組を行っている方、御協力いただいている方の皆様の更なる活躍も期待したいということで、活動に対する府民の皆様の関心も高めていただきたいと思いますので、周知のほど、御協力をよろしくお願いします。

私からは以上です。

質疑応答

記者

補正予算に関して、物価高対策として和装産業と地域公共交通を支援するとのことだが、幅広い業種が影響を受けている中で、この2つの業種を選定された理由を教えて欲しい。特に和装の方はかなりピンポイントかと思うがどうか。

知事

元々、和装産業の生産量はピーク時に比べると90数パーセント落ちており、長期的にも売上げが減少しています。従業員の高齢化や担い手不足もあり、全体として非常に厳しい状況にあった中で、最近、原材料である生糸の価格が非常に高騰しており、加工費用も上昇しているということで、足元の厳しさがより増しているということもあり、今回特に厳しい状況にあると考えたためです。

もう1つの流通支援を行うというのは、経営に対する支援もありますが、やはり最終的には売上げが増えていかないと持続可能な支援にはならないということで、貸衣装やレンタル着物店に対する支援も行うことで、需要喚起も合わせて図るという趣旨でさせていただきました。

基本的には、厳しい状況にある中で、我々の財源も限られているので、特に厳しいと考えるものを選ばせていただいたということです。

記者

旅客運送業における人手不足対策として、運転士の二種免許の取得経費や広報などの支援ということで、先日の国への要望にも入れていたが、国の方ではなかなか実現しない中で、京都府として独自にやっていきたいという考えか。

知事

そこまで大げさなものではないです。

タクシーもバスもトラックも、運転手不足を根本的に解決しようと思うと、かなり大きな仕組みが必要で、国が乗り出していかないと駄目だと考えているので、国土交通大臣にその旨を申し上げました。

ですので、これで運転手不足を全て解決するということではありません。

ただ、そうは言いながらも、そうした大がかりな仕組みがすぐにできるかどうかも分からないので、とりあえずできることからということで、二種免許取得のための教習経費の支援であれば、我々のレベルでもできるし、大きな枠組みを変えなくても支援になります。

もちろん支援をして欲しいというニーズがあることは大前提ですが、そうした形でさせていただくことにしました。

やはり地域公共交通全体の維持のための枠組みというのは、特に運転手不足については、国がある程度乗り出していかないといけないと考えています。

今週の全国知事会でもそうした声がかなり大きく、やはり声を上げていこうということになりました。

もう少しオールジャパンで取組をしていく必要があって、地域の独自性というよりも、かなり構造的な課題だと考えています。

ただ、やれることから少しでも姿勢を示そうということです。

記者

きょうと魅力再発見旅プロジェクトついては、12月に行うと先日発表され、追加で1月も行うということだが、まとめて発表しなかったのは予算の関係か。

知事

元々、財源上のこともありましたし、足元の動向として、例えば国内観光客の動向を見ていても、インバウンドのほうはかなり戻ってきていますが、完全にコロナ前には戻っていません。

その辺りの足元の観光の推移も若干見ていたのですが、基本的には財源(予算)の関係ということです。

12月、1月の閑散期における観光客の具合はそれほど変わらないと考えており、1月にやっても加熱させることにはならないという判断で、1月まで延ばさせていただいたということです。

記者

今回の補正予算のねらいは。

知事

12月補正というのは、9月補正からの間隔が短いので、元々災害や経済対策を除けば、大掛かりな政策補正はしていないのですが、今回はあくまで国の総合経済対策の受け皿としてやることが、今後出てくるという前提なので、まさにそれに先立って緊急的に必要なことに手をつけたという形です。

それから、国の総合経済対策に基づく予算については、すぐやるように言われているものもあれば、すごい時間があるものまでいろいろばらつきがあるので、とりあえず急ぐものについて、計上させていただいたという考え方です。

ですので、トータルでくくる概念というのはないのですけれど、要するに物価高騰等で影響を受けているところについて緊急的に対応したというふうに考えていただいたらいいと考えています。

記者

補正予算の人手不足対策事業費について、宿泊と道路旅客運送業と建設業の3業種に限って支援するという理解でいいのか。

知事

そうです。あくまで3業種に限ります。

記者

それはなぜか。

知事

どこで区切るかというのはありますが、中小企業一般に対する経営改善の支援というは、人手不足対策だけに限らず、ここのところかなり行なってきました。ただ、日本国内全体において、接客や工事など現場業務が多いところほど、現在の人手不足による影響が大きいということがあります。人がいないとそもそも成り立たないサービスだということもあります。そうした観点で見ると、特に京都では宿泊の需要が大きいですが、人手不足による事業内容への影響が最もストレートに出やすい業種ということで選ばせていただきました。他のところも人手不足という意味においては同じです。

もう1つは、機器導入などによる効果が比較的高いところなど、施策の実効性や効果も考えて、非常に厳しい財源の中だったので、この3業種に絞らせていただいたということです。

記者

3業種はいずれも観光需要が増えると、人手不足の影響を最も受ける業種にも見えるが、今後の観光需要が更に増えていくことを意識して、この3業種を選んだのか。

知事

旅客運送は生活の足でもあるし、建設業も観光需要だけによるものではありません。観光需要の回復を見越してだけの選択ではないです。

需要という意味では、観光需要の回復も一部ありますが、やはり根本的には現場に人がいないということです。特定の業種だけであれば、経営が悪いとか不況だからというのもありますが、全体的に大変な状況です。

ということは、人をやりくりするよりも、できる限り人が関わらなくても業務が進むように、

特に宿泊と建設業などは、人を持ってくるよりも、人がいなくてもより効率的に仕事ができるという観点でのことです。

旅客運送についても、二種免許などはまさにそうですが、これはどちらかというと二種免許はなかなか規制が厳しいので、そこに支援をしていこうということです。

基本は現場業務(を対象にした)ということです。

記者

府が把握されている中で、一番人が足りていないと思われる業種を3つ選び、そこを重点的に支援するということか。

知事

そうです。

付け加えると、働き方改革が求められているということもあり、建設業については働き方改革も併せて行う場合は補助率を4分の3にして、働き方改革を伴わない場合は2分の1にしました。

支援の程度に差をつけることによって、より労働者の処遇改善や働き方改革にも繋げていこうということで入れさせていただきました。

記者

和装需要喚起支援事業費について、ピークから90パーセント減となっている和装を支援する意味は何か。

知事

和装はかなり危機的な状況にあるということと、一旦生産ができなくなってしまうと元に戻れないということがあります。一方で、世界的に見ると、シルクテキスタイルの産地としては、今は圧倒的な存在感があるので、そこを何とか守っていかなければいけないという思いが強いです。

また、単に和装と言っていますが、お茶、お花、歌舞伎、能、宗教活動も全部、和装がベースになって、京都の文化を支えているところがあります。

売上げはピークから下がっていますが、一定の技術やノウハウや生産を維持していくという意味において、より危機感が強いですし、和装が果たしている役割はかなり広いので、そこを支えていくということで、是非とも支援させていただきたいということです。

記者

京都の地で和装を守ることに大きな意義があるということか。

知事

そうです。本当は全国で守るべきだと思いますが、やはり京都は圧倒的な産地としてまだ残っているということです。

需要喚起についてはどこでも需要をつくればいいので、貸衣装やレンタルは使っていただけるということであればどこでも支援したいと思っています。あくまできちんとした和装産業を守っていかなければいけないという思いです。

記者

今後の見通しについて、国の経済対策が明らかになってきた段階で補正予算を追加していくのか。

知事

国の方は、できる限り効果を早期に発現するようにということを言っています。

ただ、国の総合経済対策に盛り込まれている中で、我々地方公共団体が実施の役割を担う部分について、制度設計に結構時間かかる場合ですと12月補正には間に合わないですが、即執行できるようなものであれば、それは当然12月補正での追加提案ということになります。

今日発表したのは、当然12月定例会の冒頭で提案することを前提に御説明していますが、それには間に合わないけれども来年度の当初予算よりも先に必要になれば、2月定例会に提案する2月補正に盛り込むということもありますし、そこは総合経済対策踏まえた国の補正予算で、どういう事業をどういうメニューで、それが我々の方に活用できるかということも合わせて検討しなければいけないと考えています。

いろいろなパターンがあると思いますので、最速であれば当然12月定例会で補正予算の追加を提案しなければいけないということは想定しています。

記者

補正予算の中で、府立看護学校整備に債務負担行為として37億円計上しているが、これは基本的には地元から上がってきた内容を元に計上しているのか。

知事

地元の方で考えられた中身について、我々も見させていただき、適正なものだという判断をしたので、今回、債務負担行為として上げさせていただいたということです。

元々地元と一緒にやった方が、合意形成にあたりはるかに時間や手間が短縮できるという思いがあり、いち早く地元の方でそういう体制を取っていただいた上で示していただいたので、それを我々も見て、債務負担行為をすることによって我々の意思もはっきりします。

もちろん議会で認めていただくことが大前提ですが、我々が中身を見て判断させていただいたということです。

記者

いざ府がお金を出して買い取る時に、ここから負担額がかなり膨らむという可能性はないのか。

知事

最終的に買い取る時にはもう完成している訳で、それにかかった費用で買い取りますので、基本的にはここから増額するという前提にはしていません。

記者

子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組の推進に関する条例について、市町村の計画を認定し補助金を出すということだが、現状でも市町村連携交付金に子育て関係の項目はあるが、より子育てに特化した補助金を作るということだと思う。その財源の規模はどうか。

知事

条例ですので、まだそこまで進んでいません。

ただ、1つ言えることは、今まで子育てに優しいまちづくりということで市町村が取り組んできたもので、例えばガレリアかめおかの中にある子どもの遊びの施設などは、非常にニーズが高く、大人も子どもも一緒に利用できるものですが、あくまで一つの箱物に終わっており、基本的にはそうしたハード整備が中心でした。

色々な話を聞いていると、もっとまちの中で、子どもを世話する人なども参加して、子どもが集まるようなところができないかという話もありました。

今後どういう知恵を出していただけるかということもありますが、これまでまちづくりに関して一定のノウハウも蓄積してきたので、私としてはできる限りハードとソフトを組み合わせたもので、一定のエリアの中で子育てに優しいまちとして、それが最終的には市町村域全体に広がればいいなと考え、条例に書かせていただきました。

これを受けて、どのように成長していくのかは、予算編成過程と市町村からの知恵次第だと考えています。

記者

ソフトの部分について、何かイメージはあるか。

知事

例えば、団地の中には子どもを世話したいという近所の高齢者の方もおられたりします。そういう人も計画の中に組み入れて、僕らが子どもの頃はそうでしたが、そうした近所の方が見守りをしてくれることで、保護者の負担も減ります。そういうことができれば一番いいと思っていますが、これからアイデアを募集したいと考えています。

記者

不動産取得税の軽減措置について、全国初というのは対象世帯の要件を1子以上にするというのが初ということか。

知事

1子以上については全国初です。

若い人が欲しいと思う子どもの数や実際にイメージとしてどれくらい子どもを持つかの人数は、この何年間でどんどん減ってきています。以前は2人から3人のところがひとつの壁になっていましたので、3人持つことを決断してもらうために「3子から」としたのですが、もう少し手前からの支援ということで、子どもを持たれるということに着目して、「1子から」でいいのではないかと考えました。

これは税のことなので、条例化しないとできないということです。

記者

子育て世帯の住宅取得を後押しするというねらいか。

知事

はい、そうです。

記者

条例の施行は来年の4月か。

知事

来年の4月1日です。

記者

補助金による支援も来年からスタートするのか。

知事

これは条例であり、考え方を示すものなので、これを実際の予算に落とし込んでいかなければいけません。令和6年度当初予算から執行するという前提に立てば、当初予算編成の段階で我々が提案して、議会で御承認をいただかなければいけません。

一番早ければ、令和6年度当初からということになります。

記者

アリーナ整備については、11月10日にあり方懇話会がまた開かれ、2つの候補地に関して様々な意見が出ている状況が続いている。以前に知事は「スピード感を持って進める」と発言していたが、なかなか結論が見えないが、決定のプロセスや時期についてどう考えるか。

知事

まさに、様々な御意見をいただくために懇話会をやっていますので、なかなか結論が見えないと思っている訳ではありません。

京都ブランドを考えると府立大学がいいとか、周辺環境を考えると向日町がいいとか、後は交通の便など、色々な意見が出ていますが、我々がお示しした施設像については概ね皆さんから評価をいただいたということなので、徐々にではありますが、議論は進んでいると考えています。

ただ、懇話会でも、やはり事業費などの財政面や技術面など専門的な検討の必要性もあるのではないかという御意見もありましたし、当然、最終的にはそういうことも含めた形で、場所を決めていくことが必要になってくると考えています。その辺りは候補地ごとにメリット、課題、それぞれありますので、最終的には総合的に判断したいと考えています。

記者

判断の時期はいつか。

知事

それはまだ言える段階ではないです。

記者

まだしばらくは、あり方懇話会を開催するということか。

知事

もうそれほどは開催しません。

記者

先日、国民健康保険の運営協議会で保険料の統一の方針が見送られ、議論が先送りという形になった。値上げを懸念されている市町村の意向をくんだ形で引き続き議論を行うということであるが、議論を先送りした理由は何か。

知事

元々保険料水準の統一というのは、理論的に言えば、同じ所得の人であれば府内どこにいても保険料が同じということなので、分かりやすくはなると思います。

一方で、医療機関が多いところと少ないところがあって、受けられる医療サービスの水準もかなり差があるということと、現状で払っている価格から統一しようと思うと、値上げになる人も下がる人もいて、そうした公平性の観点もあります。

そういう意味では、非常に難しい案件であり、最終的に近づけていく必要はあると考えていますが、今回、協議会がそういう判断に立たれたので、それについて我々はとやかくは言いません。

我々としても、最前線で住民と接して保健事業や保険料徴収をやっている市町村の意見を一番尊重しなければいけません。国保の運営には色々な課題があるのですが、ここはもう一度十分に協議をした上で、この統一の問題にも引き続き取り組んでいくしかないと考えています。

記者

市町村の意見を尊重しないといけないというのはこれまでからの姿勢だが、一方で市町村がどう考えているかが全く見えないまま、結論だけが示されている。賛成の自治体もあれば、反対の自治体もあると思うが、そこをオープンにした上で考えないと議論が深まらないと思うが、どうか。

知事

それは、運営協議会での議論について、協議会で一からやるのか、もう少し粗ごなしをした上でやるのかなど、協議会での議論の仕方だと思います。最終的にはこの協議会で決めなければいけないのですが、そこに至るまでの過程では、担当レベルでも相当議論はしているはずです。そこが見えないと仰っているのだと思いますが、放っておいたら安い市町村は当然嫌だということになりますので、統一するかどうかは別にしても、協議して、その方向に向かっていく必要性があるのであれば、京都府としての役割があると考えています。

他の料金にも結構同じような問題があります。やはりどうしても状況が違うので、あまり医療費がかかっていないところと、医療費が凄くかかっているところを、一緒にしますとなったら、それは不公平だとなります。

その辺りのことも含めて議論しないといけないというのは仰るとおりで、統一に向かっていく過程においてどうしたらいいのかは、仰っていることも踏まえて、私自身も、もう少し担当によく聞いてみます。

記者

最近、大阪・関西万博において設置される350億円かかる屋根のことがかなり話題になっており、自見万博担当大臣は「日よけ」、吉村知事は「万博の理念」と言っている。また、維新の馬場代表は「再利用する」と言っている。建設費が約2倍に膨れが上がった中で、350億円かかる屋根が必要なのかという批判も起こっているが、知事は是非を含めてどう考えているか。

知事

今、万博の全体の建設費が多くかかっていると言われていますが、個別に、これが無駄だとか、あれが無駄となっている訳ではありません。また、そもそもあのリングを万博会場のデザインとすることが既に決まっている訳です。なので、それが必要だということであれば、全体としての費用が増えている中で、それにかかる費用も増えるのではと考えています。

日よけかどうかは分かりませんが、前回の大阪万博でいう太陽の塔のあった広場に代わるような、万博会場を象徴する施設として造るということと、周りは海で、確か内径が600メートル程で、低いほうが10メートル、外側は20メートルなので、多分上に上がれば眺望が良いと思います。そうした機能も全部込みでのことです。しかも、京都との関わりで言えば、会場デザインをされた藤本プロデューサーが言っておられますが、下の土台は清水の舞台を造る際の手法を使った骨組みであり、しかもその土台は木でできており、そういう意味では、我々にも親和性があります。

そういうものが必要だと判断すれば、あとはそのための経費がどれくらいかかるかは全体の会場建設費の中で議論されるべきです。それだけを取り上げると、色々な論点が沢山出てくると考えています。

私自身はデザインや機能で言えば、なかなかいいものだなと思います。

関西パビリオンの起工式の時に会場に行きまして、一部建設が始まっていたのですが、近くに行くと、図面で見るよりもはるかに大きいと感じました。なかなか迫力のある建造物ができるのではないかなと期待しています。

記者

関西広域連合のパビリオンの建設費は1億4,500万円増額される見通しであるが、京都府の負担はどのくらい増えるのか。

知事

今、手元に資料はありませんが、基本的には関西パビリオンにブースを持つ構成府県、確か、関西広域連合にはオブザーバー参加の福井と三重も入っていています。それぞれのブースについて、どれぐらいの広さが必要かを考え、最初に面積案分をしています。

一方で、奈良は最初は参加していなかったので、ブースは持っていませんが、真ん中にある円形の共通催事スペースを使用することになっています。

共通催事スペースについては、元々ブースを持っているところも共通経費として分担していますが、基本は出展するブースの面積をベースに、それぞれが負担をすることになっています。

記者

決まってはいるのか。

知事

先日、建設費全体の増額による負担増については、構成府県で了承しました。

後はどういう形でそれぞれが負担するかですが、基本はブースの面積に応じてです。

ただ、それはあくまで全体の建設費なので、それぞれがパビリオンの中でどういう展示をするかは、それは他のパビリオンも同じですが、そこに出展する人達がどう考えるかということもある訳ですので、それはまた別の話です。

記者

今回の増額については、一定やむを得ないということか。

知事

全体的な物価高騰もしていますし、やむを得ないと考えています。

ただ、最初から設計施工一括で契約したので、施工する人がいないという状況はもうないということです。だからこそ、起工式もできています。

記者

地方制度調査会で、改めて国の指示権に関する答申案が出されたが、それに関しての見解はどうか。

知事

あの答申案の中で、個別法で想定されていない事態が生じた場合に、地方自治法を直接の根拠として、国が地方公共団体に対して必要な指示を行うようにすべきだという記載があります。しかも、その場合には国と地方公共団体の関係の特例として執行されるので、閣議決定を経て行うのが適当と書いてあります。

以前にも言いましたが、こうした仕組みを導入する場合も、地方の自主性や自立性を十分尊重していただくことが大前提だと考えており、国が地方自治体に対して一方的に指示するのではなく、双方向でコミュニケーションを取って、それぞれが理解し合って、国と地方公共団体が補完し合うような制度とすべきだと考えています。

地方制度調査会で地方6団体のヒアリングがあった時にも、全国知事会長は私が今言ったようなことを発言していますので、これは京都府がというよりも、全国の都道府県知事が一つの方向性として同じ主張だと考えています。

記者

人事委員会勧告の関係で、職員の給与の対応について知事の考えはどうか。

知事

人事委員会から勧告をいただいていますので、基本的にはその仕組みを尊重するというのが基本的姿勢ですが、財政状況もありますし、社会経済状況もあるので、それを合わせて最終的には総合的に判断したいと考えています。

記者

特別職についても同じか。

知事

これまで特別職については主に国の指定職の扱いに準拠して扱っています。その上で、我々がそれぞれ個別にどう判断するかということは、もう1段階ありますが、元々我々も減額をしていますので、今のところ特別な対応をすることは考えていませんが、それは今後の話だと考えています。

記者

先日、八幡市で最年少の女性市長が誕生したことについて、受け止めはどうか。

知事

最年少ということもありますが、女性の市長は府内の首長では宇治市長に次いで2人目ということです。

日本の今年のジェンダーギャップ指数は146か国中125位で、過去最も低い順位です。

しかも、教育と健康と経済と政治の4項目のうち、教育と健康はトップクラスですが、経済と政治が極めて低いことから125位になっているので、そうしたジェンダーギャップの解消という意味からも、女性市長が誕生したことは非常に喜ばしいと思います。

年齢については当然若いということなので、これからの八幡市のまちづくりについて、その若さがどう政策の立案に繋がっていくのかということを大きな期待を持って見守っていきたいです。

記者

例えば子育て政策など、何か特定の分野における連携などの考えはどうか。

知事

八幡市は新名神高速道路の全線開通を控えており、企業等からも立地要望が非常に強いのですが、その受け皿となる産業エリアがありませんでした。それを堀口前市長が都市計画マスタープランの中で思い切って産業エリアをつくっていくことを始められました。

そうした企業のニーズもありますし、これから八幡市を活性化していくということであれば、堀口前市長が歩みを始められたまちづくりや活性化については、色々な農業諸制度などもあり、かなり大変だとは思いますが、ぶれることなく、是非継承していただきたいと考えています。

それと、新市長も子育て施策などを公約の中で仰っていて、それはまさに私どもがやろうとしている施策と一致するところも多いので、一緒になってやっていきたいです。

私としては、より新しい発想や彼女ならではの施策提案などがあれば、逆にそうしたものを横展開していくという意味においても、そうしたフレッシュな施策提案を期待しています。

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