ここから本文です。

令和5年12月1日定例知事記者会見

1.京都府子育て環境日本一推進戦略の改定について

本日は2点ございます。

1点目は「京都府子育て環境日本一推進戦略」の改定についてです。

この度、4年ぶりに「京都府子育て環境日本一推進戦略」を改定いたしました。

お配りしている資料の1ページ目の「2.改定のポイント」に記載している通りですが、「子育て環境日本一」の京都を実現するとともに、我が国の構造的課題である少子化を食い止めるためには、京都の強みや特色を生かしながら、社会の構造や価値観を変えていく必要があるとの認識の下、新たに4つの重点戦略と20の重点プロジェクトを策定しました。

重点戦略については、従来の「風土づくり」、「まちづくり」、「職場づくり」の取組を進化させるとともに、新たに全ての子どもの幸せに着目した戦略を位置付けています。

また、重点戦略を具体化するための重点プロジェクトでは、全国でも初めての視点に立った取組や従来から実施している先進的な取組を更に進化させた取組などを中心に取りまとめています。

資料の2ページ目を御覧ください。

今回の戦略の改定に当たっては、私自身も有識者や子育て当事者、子どもさんなど、様々な方との対話を重ね、御意見を伺いました。

それらを通じて認識した様々な課題のうち、主なものを「3.主な課題」としてまとめています。

簡単に御紹介しますと、「子育て=楽しいもの」というポジティブなイメージをいかに広げていくか、固定的性別役割分担意識を解消し、誰もが活躍できる風土をいかに作るか、若者の雇用面・経済面・年齢面での不安をいかに解消するかなどの課題について私自身が痛感したところでした。

こうした問題意識を踏まえ、20の重点プロジェクトを策定しており、資料の「4.」に一覧を載せていますが、本文の方にはそれぞれの趣旨と一部具体的な内容について記載しています。

ここに掲げている取組は京都府が先駆的・モデル的に実施し、それを全国へと波及させることで、我が国全体の子育て環境の充実や少子化対策にも繋げていきたいと考えています。

「子育て環境日本一」の実現は、当然一朝一夕でできるものではありません。しかも、行政だけでなく、府民の皆様や企業、地域、関係団体などの皆様と、同じような目標に向けて一丸となって進めていく必要があると考えておりますので、本戦略の周知・広報について、御協力をよろしくお願いいたします。

2.WEラブ赤ちゃんプロジェクトとコラボしたインクルーシブ映画上映会の開催について

2点目はWEラブ赤ちゃんプロジェクトとコラボした映画上映会の開催についてです。

京都府では、子育てに優しい風土づくりの実現を目指して、「泣いてもかましまへん」という気持ちをステッカーで見える化するなどといった「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」を実施しています。

この度、障害のある子どもや医療的ケアを必要とする子どもたちが、他の同世代の子どもたちと同じような経験をする手助けをしておられるNPO法人AYAさんが、「AYAインクルーシブ映画フェスティバル」というものを12月10日(日曜日)に開催されます。

この取組は、病気や障害のある子どもさんや、医療的ケアが必要な子どもさんとそのご家族に、気兼ねなく楽しんでいただけるようにとの趣旨で開催されるもので、我々のWEラブ赤ちゃんプロジェクトの趣旨と軌を一にするものであることから、コラボさせていただくこととしました。

当日は、私も参加させていただく予定ですが、WEラブ赤ちゃんプロジェクト関連の動画も上映しますので、御取材等につきましても御高配のほどよろしくお願いいたします。

私からは以上です。

 

質疑応答

記者

推進戦略と12月議会に提案する条例との関係性はどのようなものか。

知事

この戦略は、これから進めていく様々な施策をトータルに示すものであり、条例は、条例でしか書けないような理念や社会を構成する主体の責務を明記しています。具体的なものとしては、「子育てにやさしいまちづくり推進計画」制度の創設や、不動産取得税について、これまで第三子からの軽減措置でしたが、それを第一子からに拡充するということを、条例には記載します。

条例自身が戦略を推進するためのエンジンとしての役割を果たすという観点から条例を制定したいと考えています。

戦略は全体の取組の方向性や具体的な施策、条例はそれ推進するエンジンということで、一緒になって子育て環境日本一を実現したいと考えています。

条例については12月府議会に上程し、審議いただいた上で、成立すれば来年の4月1日からの施行を予定しています。

記者

戦略が上にあって、条例が下にあるという関係ではないということか。

知事

条例という法的な形式もありますので、上下はありません。

戦略はかなり幅広く様々な施策を書いていますし、戦略の中身は現状の分析や課題の整理から始まって、書いてある重点戦略と重点プロジェクトも、色々な主体の方に取り組んでいただくというかなり幅広いものです。

そのうち、特に条例で記述することによって、より前に進めていけるということで条例を定めることとしたものであり、上下関係はないとご理解下さい。

記者

全国初の事業もあるが、主となる事業の紹介をお願いしたい。

知事

たくさんあるので全部という訳にはいきませんが、重点プロジェクトは20ありますが若干紹介しますと、最初の「子ども“ええ顔”たくさんプロジェクト」(戦略P18)です。

これは今回、今の戦略も含めてこれまでの様々な施策について御意見を賜っている時に、どうしても子育ての負担を軽減すると記述することが国の施策もそうですし、我々の施策でもたくさん書いていますが、子育てが負担だと言いすぎるのは良くないのではないかということもあります。

特に意識調査では子どもを持っている世帯の方は結構「子育てが楽しい」と言っておられますが、子どもを持つ前の若い世代は「子育ては大変そう」や「辛そう」という意見もあるので、ここにギャップがあるのではないかということもあり、子育てを楽しいと感じてもらうためにどういう風にしたらいいのかということを戦略本文に書いています。

子ども達だけで運営するようなまちづくりや商店街のようなことができないかということや、若い世代と子ども達の触れ合いなど、今は少子化なので街に出ても子どもの元気な姿を目にすることが減っているので、そういう姿をどちらかと言えば若い世代の方に感じてもらうことができればと考えています。具体的な施策はこれからの検討になりますが、これは私自身としては全体の取組としては非常にいいものと思っています。

それから「子育てにやさしいまちづくり推進計画」制度の創設(戦略P20)については、今も子育てに優しいまちづくりということで、例えばガレリア亀岡の中に保護者の方も子どもさんも一緒になって交流するような施設がありますが、このような施設はニーズも高く、特にコロナの時はなかなかイベントが少ない中でもニーズが高かったので、もう少しそれを発展させて一定の施設の中だけでなく、エリアの中でそういう触れ合いの場ができないかと考えています。

しかもハード的な設備だけではなく、子どもの世話をする方というのはおそらくボランティアの方や高齢者の方、NPOの方、それから大学のサークルも考えられます。これらをある程度まちづくりとしてシステムとして機能させて、一定のエリアでは、いろんな年代の子ども達やそれを取り巻く大人達が交流できるようなものです。

これはおそらく市町村の方のきちんとした受け皿がないとできないと思うので、我々がこの制度を作って、京都府と市町村が一緒にそういうものを作っていくというものです。

また、「隗より始めよ」ということをたくさん言われました。「日本一働きやすい京都府庁づくり宣言」(戦略P23)というのは、府庁内の子育て世代の方と意見交換して一番大変なことは何かと聞くと、子どもが熱を出した時や病気になって保育園に預けられないとなった時に、親のどちらかが休まないといけなくなるということでした。そういうことになるのは職場内では限られた人だと思うので、日頃からそういう時には休んでいいことにして、その場合の仕事のフォローする人を決めておくなど、全体的に子育てしやすい職場にするということは、結果的には働きやすい職場づくりにも繋がると思うので、具体策はこれからですが、子育てに関する施策についていろいろ意見を聞くと、その府庁でやってはどうですかという意見が圧倒的に多かったので、今回そこは力を入れてやっていきたいということです。

たくさんありますが、その三つぐらいはそんなに膨大な財政負担をせずに進められるのではないかと考えています。

記者

戦略に記載の事業ついて、基本的には計画の期間中に実施すると思うが、主立ったものは新年度予算に計上していくのか。

知事

時間のかかるものもありますし、この推進戦略自体は年限を区切っていません。

数値目標(戦略P26)についてはどこかで区切らないといけないので、2026年度で区切っていますが、全体として、いつまでに実施するということはないです。

ただ、ぐずぐずしていても仕方ないので、この中のかなりの部分について、予算化が必要なものについては令和6年度当初予算で対応したいと考えています。

記者

あんしん修学支援制度の拡充(戦略P24)について明記された狙いは何か。新年度からの開始を考えているのか。

知事

元々京都府としては「あんしん修学支援制度」という全国トップクラスの支援制度を運用してきたという中で国も制度を拡充してきたという経過があります。ただ、つぶさに制度の中身を見ると、国の制度と府の制度の中では、例えば年収要件による一定の「崖」があります。

国の制度の拡充に合わせて府でも拡充してきましたが、もう少しきめ細かく施策を見直す必要があるのではないか、また今回の大阪府の制度はキャップ制度があったり、所得制限が全くない制度なので、京都府とは異なっていますが、京都府では、兵庫県としか府県間の行き来をする生徒への支援措置がありませんので、今回改めて問題意識を持って、相手方との合意が必要ではありますが、そこに何らかの支援制度ができるのではないかといったことについて、最終的にどういう形で支援すればいいかのかを検討しているところなので、戦略ではさわりだけを書かせていただいて、具体の施策は予算編成過程などで改めて発表していきたいと考えています。

記者

一つのポイントとしては年収500万円くらいの方をどう取り扱うかということか。

知事

基本的にはそういうことです。ただそうは言っても、現場で実際に実務をされている私学の方や、制度を利用しておられる方の意見をよく聞くとともに、他府県とも話さないといけないので、その辺りは調整したいと考えています。

記者

あんしん修学支援は新年度に拡充するのか。

知事

実施時期も含めて検討しています。色々な制度構築の仕方があると思いますが、準備が整えば、なるべく早めに施策の効果を出したいと考えています。準備の状況にもよりますし、相手もある話なので、全てが新年度という訳にはいかないかもしれません。

記者

早ければ新年度ということか。

知事

はい、そうです。

記者

資料にはこれまでの戦略の達成状況(戦略P41)が掲載されているが、この間の取組を振り返って所感はどうか。

知事

数値目標については、前回の総合計画を作った直後にコロナ禍になりました。その中でも工夫して頑張った方ではありますが、思うようにいかなかった部分もあり、数値を見ると達成できたのは4つの項目に留まっています。

目標は意欲的なものにしないといけないので全てが簡単に達成できる目標ではないのですが、今回改定した推進戦略においては、できる限り目標を達成するように頑張っていきたいと考えています。

記者

先ほどの説明の中で、子育て環境日本一は一朝一夕でできるものではないというふうに話されていたが、現在子育て中の方や、周りにおられる府民の方々へ呼びかけたいことを伺いたい。

知事

まず子育て中の皆さんに対しては、特にコロナ禍を通じて孤立・孤独や、相談できないということがあって、安心して子育てができるように行政も含めていろいろなサポートの制度もありますが、ひとり親家庭の皆さんに話を聞くとそういう行政のサポートにアクセスすることさえなかなかよくわからないということがあります。社会で子どもを育てる京都を目指したいと言っていますので、周りに頼ることも含めて是非とも相談していただいて、健やかに子どもさんが育つような環境を作っていきたいです。

そういうことで今回の重点戦略に「全ての子どもの幸せづくり」と書かせていただいたのは、現に今、子育て中のお子さんたちについてそれを強調したいと考えたということです。

それからもう一つは、やはり若い世代の方に希望を聞くと子どもを持ちたいと言ってるのに、現実的にそこに踏み切れないところについては、まさにこれからお子さんを持とうとされている方も様々なサポートも含めて支援していきますし、行政だけの支援ではなく、京都というまち自体が、子どもにやさしいまちなんだということを認識してもらうことによって、積極的に子どもを持ちたいと思っている方にできる限りそれを実現するように努力したいと考えています。

記者

知事の実感として、京都府の子育て環境は国内で何位くらいに位置していると感じているか。

知事

これは、まだまだだと思っています。子育て環境と言っても非常に幅が広く、教育や医療に始まり、場合によっては、まちづくりそのものに関係していることもあります。

数値目標で唯一、今回継続したのは、「2040年に合計特殊出生率を全国平均に持っていく」ということです。これはあくまで相対的な位置なので、少しずつ全国平均には近づいていますが、数値は下がっているので、これでいいのかということもあります。

まだまだ道半ばまで行っておらず、緒に就いたばかりだと考えています。

岸田総理が「次元の異なる少子化対策」と仰って、国も様々な新たな対策に乗り出していく過程の中ですが、例えばジェンダーギャップの解消(戦略P19)について書いていますが、このジェンダーギャップの解消が最強の少子化対策だという本も出ているほど、そこの意識や価値観を変えていくことが、結局は子育て環境に繋がるということです。

そういうことは京都だけではできず、全国統一的な運動が必要です。ただ、それを我々京都府が言い始めて、問題意識やチャレンジする姿勢を示すことによって、全国を動かしていきたいと考えています。そういうふうにしていかないと、京都だけが日本一になることは多分ないのではないかと思っています。

例えば、旅券事務所と運転免許更新センター、京都中央郵便局に妊婦の方と子連れの方が並ばずに利用できる「きょうと子育て応援レーン」を作りましたが、これは、こども家庭庁がこども政策を紹介する時に一番最初に紹介していただいています。他にもいくつかありますが、個別具体に取り組んでいることについては、皆さんにいい意味で波及していることもあります。

この戦略に書いていますが、自分たちが先進的に取り組むことで、京都だけでなく全国に波及させて、それがもっと大きな社会の価値観や構造を変えるようなことに繋がれば、それもまた我々の目指す子育て環境日本一に繋がるのではないかと考えています。

記者

子育て環境日本一は行政だけでは実現できないと仰ったが、戦略の推進体制はどのように作られていくのか。

知事

元々府庁の中には私が本部長をしている本部があります。そして、これはWEラブ赤ちゃんプロジェクトを始動する時に作ったのですが、「子育て環境日本一サミット会議」に京都府内の多くの企業・団体に参画していただいており、全体の推進体制としてはこのサミット会議が機能しています。

先ほど言いました子育て応援レーンの話もそうですし、そもそも子育てにやさしい職場づくりは企業の皆さんに実践していただかないといけませんので、多くの方に参画してもらいたいと思っています。

全体としてはサミット会議がありますが、個別の施策は、その施策ごとに目的に合わせた推進体制をもう少しきめ細かく作っていきたいと考えています。

記者

こども家庭庁ができて、子ども達自身の声も大事になってきていると思うが、そうしたものを取り入れていこうという考えはあるか。

知事

8月の「子ども議会」で色々と率直な意見をいただきまして、先日も子どもの居場所作りへの協力などをしている大人たちを表彰する青少年健全育成表彰について、大人も子どもも澄んだ青空のような気持ちになれるという思いを込めて、私の座右の銘の「雲外蒼天」から取って「青空賞」にしてはどうですかという、子どもさんからの提案を受けて、この賞を「青空賞」(戦略P37)といたしました。

子どもさんの素直な思いはできる限り受け止めたいですし、戦略の中でも意識調査について紹介しています。個別の話というよりもトータルな形での意識を聞いています。また、我々のそれぞれ担当が聞く現場の声についても施策に反映していきたいと考えています。

記者

子どもの通院医療費について京都市が更なる拡充を発表した。本日の発表項目にも子育て世帯の医療費負担への不安を軽減する(戦略P24)と書かれているが、その辺りの意欲はどうか。

知事

今年の9月から通院の月額上限が200円となる対象を小学生まで広げました。かなりの拡充ですし、既に優遇している市町村には我々が支援措置を拡充することで浮いた財源について、子育て環境の充実に使って欲しいという思いで取組を進めています。拡充したばかりなので、まずはその状況をよく確認したいと考えています。

これは国にもずっと言っていますが、自治体間で競争するよりも、次元の異なる少子化対策と言われるのであれば、一定のラインまでは国できちんと面倒を見ることがまずは重要だと考えています。

府内では京都市のボリュームが一番多いので、どのように考えられるのかにもよりますが、市町村の意見もよく聞いて、次にどのようなことをすべきか具体的なことについては今後の検討となります。

記者

琵琶湖の水位が下がっているようだが、京都府への影響はどうか。

知事

どこまで水位が下がるかにもよりますが、私も30年以上前ですが琵琶湖総合開発で琵琶湖の渇水を経験しました。当然渇水になれば滋賀県自身にも影響しますが下流にも影響が出るということで、琵琶湖で取水制限が行われる状況になれば、当然京都府においても状況に応じて受水市町への給水量の制限も当然必要になりますし、協力しなければいけないということだと考えています。

ただ、既に日吉ダムの流域でも降雨が少ない状況で11月4日から上水と農業用水で20%の取水制限を行っています。全体としてそうした渇水の状況はあるので、まずは府民の皆さんには節水を呼びかけていますし、現場は今のところ農作物等への被害報告は聞いていませんが、その辺りはよくアンテナを張って、取水制限などの渇水の状況が実体の経済に影響が出ないかどうかをよく監視しておかなければいけないと考えています。

今は琵琶湖の水位はマイナス65センチで、三日月知事も水を大切に使って欲しいと我々に言われています。まずは限られた水資源を有効に使っていくことが大切だと考えています。

影響はすぐには出ないと考えています。

記者

知事は先月、ベトナムとタイに海外出張をされたが、一番の成果は何か。

知事

京都府とベトナム社会主義共和国トゥア・ティエン・フエ省とは、平成25年に親善交流の協力関係を結んでおり、今年で10年となります。これまでは主に観光人材の育成分野で協力してきましたが、留学生を含めた若い世代を中心にした両地域の人材交流を深めていきたいということで、今回、覚書を更新しました。

そういう意味で、京都の大学も参加して、ベトナムで留学説明会や文化の紹介をしました。また、両地域の学生同士の交流会も実施し、フエ省人民委員会の委員長も来られて、500人程が集まりました。着物の着付けは人気があり、また、呈茶なども行い、より親近感が高まったと思います。ベトナムでも大阪・関西万博のPRをしましたが、彼らも参加意欲を持っておられました。

フエの南にダナンという街があります。日本企業も多く進出しており、昔、ダナンブームが起こったところです。フエ省もダナンに近づけるような形で経済活性化に取り組みたいということで、確かイオンがフエに出店するそうですし、ベトナムで6つ目の国の直轄地になることを目指しているという新しい拠点でもあります。元々古い都なのでこれまでから交流してきたこともあります。教育レベルも非常に高く、日本との交流を望んでおられましたので、今回の覚書更新に留まらず、更に交流を深めていきたいです。

タイについては、関西広域連合の副連合長として観光担当という形で行かせていただきました。関西の魅力発信ということで関西観光セミナーを開きましたし、万博のPRも兼ねて日本国際博覧会協会から行っていただきました。

今回タイを選んだのは、日系の進出企業が非常に多いということと、タイから日本へ来る来訪者が多いためです。2019年は日本からタイに行く人が180万人、タイから日本に来る人が132万人であり、どちらかというと日本から行く観光地という見方でしたが、現在は、まだ2019年のレベルには達していませんが、タイから来る人の方が少し多い状況です。

タイの方は、非常に日本と京都に関心があり、所得もかなり上がってきていますので、アジアの中でタイを選んで観光セミナー等をさせていただきました。また、タイの観光庁や商務省、旅行代理店協会、JETROなど関係のところを回ってきました。

万博の知名度はもうひとつだったのですが、彼らは悲観しておらず、「タイにはもともと日本に行きたい人がたくさんいるのでどうぞご心配なく。万博の時にはたくさん行きますから。」と仰っており、その際は万博会場はもちろん、関西一円を周遊していただきたいという話をしました。

記者

昨日、万博の開催500日前となり機運醸成に取り組んでいると思うが、改めて知事の気持ちを伺いたい。

知事

昨日の11月30日で万博開催500日前でした。

京都ではオール京都で委員会を作り、今年度は基本構想を策定して、9月にアクションプランのver.1を発表し、それを更に詰めていっています。機運醸成はもちろんのこと、関西パビリオンに京都ブースを作りますので、そこをゲートウェイとして、来場予定者の2,800万人全ての方に京都に来てもらうような意気込みで取り組みたいです。

本日は開幕499日前なのですが、昨日は本家が開催500日前のイベントをされるので、我々は日程が重ならないように今日の午後に機運醸成のイベントをいたします。その中で関西パビリオンブースの基本的な考え方やロゴの発表、トークセッションも予定しています。いよいよチケット販売も始まり、京都の魅力を国内外に発信する絶好のチャンスなので、積極的に取り組んでまいります。

記者

政府の補正予算が成立したが、それに関する評価や府の対応はどうか。

知事

国の総合経済対策の裏打ちとなる13.1兆円の補正予算が成立しました。まずは、その補正予算をきちんと国全体として、できる限り早期に具体化して、早期に効果を発現すべきだと考えています。

我々地方公共団体に対しても、例えば年内に予算化を求められている事業もあり、速やかな執行が求められています。

ただ一方で、関係団体との調整に時間を要するものも含まれていますので、きちんと仕分けをして、速やかな執行が必要なものは速やかに対応していきたいと考えています。

先週発表した12月補正予算は、国の総合経済対策に先立ち、長引く物価高騰の影響を受けている中小企業への支援や、人手不足が特に顕著な3業種に絞って対応しましたが、国の補正予算成立を受けて早急に講じるべきものについては、追加で12月補正予算を提出することも想定した検討を事務当局に命じていますので、その成案が出れば、皆さんにお示ししたいと考えています。

まずは国の補正予算もかなり幅広いので、メニューや予算をどう活用するかについて精査をしているところです。

記者

ガソリン税のトリガー条項については、凍結解除の検討が進んで話題になっているが、地方にとっては税収の一部分であると思うが、所見はどうか。

知事

昨日、関係政党の協議が行われたということで国の議論の動向は注視していきたいです。もし、凍結解除されて条項が発動されると軽油引取税と地方揮発油譲与税について、追加の税率分がなくなりますので減収になります。

そうなると地方財政への影響もありますので地方財政の立場からは、そうした課題も含めた形で是非とも慎重に検討いただきたいと考えています。財政への影響は当然懸念されるところです。

私は昔、道路特定財源を担当していたのですが、様々な経緯があって一般財源化した時にも、この上乗せ部分については政府の判断として残っているので、その辺りの経緯もあると思います。

今回の動向については、地方財政への影響を最も懸念しています。

記者

先日、JR西日本で赤字路線の公表があり、府内の路線も一部入っているが、どのように対応されるか。

知事

JR西日本は基本的な考えとして、輸送密度が2,000人未満の区間は鉄道の大量輸送機関という特性が発揮できないということで、これにあてはまるところを公表しています。京都府内では関西本線の亀山-加茂間と、小浜線の敦賀-東舞鶴間が該当すると公表されています。

ただ、この2つの線区については、JR西日本と我々との間で、JR西日本も参画する法定協議会で利用促進を図り、線区の活性化に取り組むことで合意しています。

発表されている区間については、我々もJR西日本と協力して利用促進に努めていくことが必要だと考えています。直ちに鉄道運行について影響が出るということではありませんが、利用促進により努めないといけないという思いを改めて強くしているところです。

記者

昨日、前原さんが国民民主党を離党され、新党を立ち上げられると発表があったが思いがあれば伺いたい。

知事

前原衆議院議員が政治家として決断されたことなので、そのことについて私から評価などは申し上げられませんが、短期間での一連の行動ぶりも含めて驚きました。

今後どのように政党を含めて活動されるかは全く承知していませんが、京都選出の国会議員ですので、引き続き京都府の発展のために是非とも力を貸していただきたいです。

記者

前原さんは、教育無償化の実現を旗印に野党の結集を呼びかけたが、知事はどのようにお考えか。

知事

新しい政党を立ち上げる時にワンイシューというのは極めて珍しく、他の政策とのバランスを考えると難しい部分もあると思いますが、教育の無償化は前原衆議院議員が以前から仰っていることですので、その延長線上ということかと思います。

ただ、無償化といっても、所得制限をどうするかや、高等教育機関までの無償化なのかなど、色々な範囲があります。大学など高等教育はかなりの部分が国の施策ですので、そこも含めて政党として仰っているのであれば、具体の施策は私には分からないですが、かなりの財政需要が伴うとは思います。

子どもの教育にお金がかかることや、奨学金の返済があるとかなりの借金を背負って社会人としての新生活がスタートすることなど、いくつか課題があり、子育ての観点から教育に対する負担を軽減する必要性はあると思います。ただ、全部を無償化しようとしているのかは私には分からないです。

記者

昨日の前原さんの会見では、国民民主党京都府連のメンバーは国民民主党に残って欲しいと話をされていて、概ねその方向かと思う。府議会では維新との合同会派を組んでおり、前回の知事選においては国民民主党は西脇知事を支援されているが、会派の枠組みの変化をどのように見ているか。

知事

府議会の運営で言うと、6月、9月議会においても、国民民主党が参加している会派から議案については賛成いただいております。党派や会派の構成のことはありますが、我々としては施策や制度について、どの党に対しても理解を求めて、できる限り多くの方の賛同を得て施策を推進したいということであり、そこは前原さんのこととあまり関係なく、府議会の議員の方々に対しては今までと同じようにしていきたいです。

選挙の枠組みの話になりますと、政党の推薦もありますが、元々政党の推薦だけで選挙を戦っている訳ではなく、今回の京都市長選であれば京都市をどういうふうにしたいとか、京都市の未来をこうしたいといった政策選択の中で有権者の方が選ばれるものですので、その一つの大きな塊が政党であるならば影響がないとは言えませんが、国民民主党の府議会会派のこととはあまり関係ないのではないかと思います。

記者

前原さんから知事に直接の連絡はあったのか。

知事

ありませんでした。

お問い合わせ

知事直轄組織広報課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4075

koho@pref.kyoto.lg.jp