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令和5年12月15日定例知事記者会見

府立植物園開園100周年記念事業の実施について

1点目は京都府立植物園の開園100周年記念事業の実施についてです。

大正13年に開園した府立植物園は令和6年1月1日に100周年を迎えるということで、1年を通じて、様々なイベントを予定しています。この記念すべき年の始まりということで、1月5日から8日までの4日間、オープニングイベントを開催します。

シンガポール植物園から譲り受けた国内でも貴重なランを展示する「ラン室」のリニューアルオープンをはじめ、これまでの歴史を写真で振り返る「開園100年の歩み展」やお正月なのでジャンボ門松、100年前の制服である法被の復刻など、様々な企画を用意しています。期間中は、多くの方に御来園いただきたいと考えており、植物園の入園料と観覧温室の入室料を無料とさせていただきます。

「ラン室」がオープンする1月6日には、オープニングセレモニーを開催し、私も出席する予定です。

また、新たに「京都府立植物園サポーター制度」を設け、本日から募集を開始します。これは、開園100周年を機に、多くの皆様に府立植物園をより身近に感じていただくとともに、これまで以上に魅力的な施設を目指すものです。

具体的には、府立植物園を題材とした商品開発や企画等、様々な府立植物園の御支援の提案を募集するものであり、個人や事業者等、応募の主体は問いません。

これからも、多くの方に愛される植物園を目指していきたいと考えていますので、周知と取材について御協力をよろしくお願いします。

丹後郷土資料館のリニューアルについて

2点目は、京都府立丹後郷土資料館のリニューアルについてです。

丹後郷土資料館は、「丹後の歴史・文化の探訪と観光の拠点となる「ミュージアム」」を目指してリニューアルを行うこととしており、この度、その整備内容を固めましたので、発表させていただきます。

リニューアルのコンセプトは、「地域に受け継がれてきた丹後の歴史と未来との融合」です。

既存の建物は存置してリノベーションするとともに、現在の本館正面に、新たに「新館」を建設します。

新館については、「丹後の未来が天橋立に向かって広がっていくさま」をイメージしたデザインとしています。国宝や重要文化財を随時公開できる「公開承認施設」に対応する機能を備えたものとしたいと考えています。

新館からは天橋立を真正面に望むことができることを活かし、天橋立を芸術作品として鑑賞する雰囲気を味わえる「コミュニティラウンジ&ホール」と「カフェエリア」を整備したいと考えています。

今回のリニューアルにあたっては、ハード整備だけでなくソフト面の強化も重要と考えており、新館に設置する特別展示室や多目的室なども活用し、体験学習やワークショップを充実させたいと考えています。

それから、地域の歴史・文化から現代アートや食文化といった多彩な文化の発信、音楽会やアートイベント、マルシェなどによる活用も積極的に進め、観光面はもちろん、地域交流の場としても、人と人との交流を促します。

リニューアルの推進体制については、現在、名誉館長を佐々木 丞平先生に昨年の8月からお願いしていますが、各分野のエキスパートとして4名の方にお願いし、5名の方々に参画いただきたいと考えています。

このリニューアルによって、丹後郷土資料館に多くの方に訪れていただくとともに、来訪者の流れをこの館に留めるのではなく、エリア全体にも広げ、文化・観光、地域経済の好循環に繋げ、佐々木先生がいつも言っておられる「ハブ・ミュージアム」として、新たな地域活性化の拠点にしたいと考えております。

今後、令和6年度中には工事に着手し、令和8年度中のリニューアルオープンを目指して機運醸成等も図ってまいりますので、報道機関の皆様におかれましては、周知への御協力をよろしくお願いします。

私からは以上です。

質疑応答

記者

植物園100周年を契機に、改めて知事はどのような植物園を目指していきたいと考えているか。

知事

100周年ということで、今の植物園は多くの方に親しまれてきました。広さも24ヘクタールありますし、約1万2千種類、12万本の植物を保存、栽培、育成をしており、植物を通じて多くの府民の皆様の生涯学習に寄与するとともに、広く憩いの場としても愛されてきました。京都府としては、京都府が持っている施設の中で中核施設だと思います。

100周年を迎えるにあたりまして、昨年度には有識者の懇話会を立ち上げ、ハード・ソフト両面から検討を進め、次の100年に向けた将来ビジョンとして「京都から世界の生物多様性保全への貢献」を掲げています。その実現に向けて、これまでの技術や経験を活かして、植物の収集・保全・栽培・研究という取組を進めたいと考えています。

また、そういう植物の研究等もありますが、一方では府民の皆様が植物と触れ合う非常に貴重な場所でもありますので、癒しを感じていただき、自然を楽しく学べる場所であり続けるように、植物園全体としては守り続けていきたいです。

100年を迎えるということで、次の100年に向かって、多くの府民の方に親しんでいただける施設にしたいと考えてます。

記者

サポーター制度を新設されるということだが、サポーターにどのような期待をするのか。

知事

もちろん植物園を愛してもらいたいのですが、植物園の機能を高めていくためにいろいろな支援を期待しています。例えば植物園のリニューアルに合わせた商品企画もありますし、もちろん寄附もあります。寄附にはお金だけではなくて、例えば肥料や道具、園内の中の移動手段の提供などあります。

今までも個別の寄附では植物園にはいろいろな団体から御寄附を頂いていますが、そこにある程度恒常的に植物園に関わっていただけるような方がいれば、個人・事業者を問いませんので、是非御貢献頂きたいです。サポーター制度がどんどん広がればと考えています。

記者

サポーターにはボランティアも含むのか。

知事

もしサポーターとしてそういうお申出があれば歓迎します。

今も一部関わっていただいている方がいます。例えば「きのこ文庫」ではライオンズクラブの方が継続的に関わっておられます。いろいろな形があると思うので、カテゴリーに分けるなど工夫が要るとは思いますが、サポーターのベースが恒常的に広がれば、植物園に親しみも持ってもらえると同時に、機能強化もできると考えています。

記者

丹後郷土資料館のリニューアルに関して、このタイミングで行う理由や背景は。

知事

丹後郷土資料館は、ふるさとの文化の史跡を守って、新しい文化を創造する拠点整備を求めるという非常に強い地元の誘致がありまして、敷地の取得なども全面的に地元の協力を頂いて、昭和45年10月に天橋立が横一文字に眺望できる丹後の国分寺跡に設置しました。

ただ、50年以上経過し、施設の老朽化が著しいことから、地元からも歴史や文化、観光の拠点となるような施設として改修して欲しいという要望があり、我々もいろいろな構想を検討していた中で、昨年の8月に京都国立博物館の名誉館長でもある佐々木丞平さんに、この丹後郷土資料館の名誉館長になっていただき、いろいろなことを検討していただきました。

佐々木さんには、世界的なミュージアムは、建物の中だけではなく開かれた地域のハブとしての機能を持たせる潮流にあることから、丹後郷土資料館も丹後の歴史・文化の探訪と観光の拠点となるようなミュージアムにすべきだというコンセプトを示していただきました。

老朽化や地元の要望もあり、長い間様々な検討を行った上で、今回発表させていただきました。

記者

建設費用や来場者の想定は。

知事

お金の面については、今実施設計作業をやっていて、足元で物価や人件費も高騰しているので、いくらとは言えないです。他の似たような規模の事例を見ると、概ね30億円程度とは見込まれていますが、それはあくまで同規模というだけで、これから詰めていきますので、現段階でいくらかかるという具体的な数字はお示しできないです。

来場者については、これまでの累計で55万人、今は大体年間1万人ぐらいです。少し意欲的な目標ですが、年間10万人ぐらいは来場していただきたいという意気込みで、コンセプトも踏まえて考えています。

いろいろ地元の方ともやり取りをしていて、この館に来るだけではなく、ここをハブとして周りの観光をしていただくことや、逆にこの地域に来られる方は必ずここに立ち寄っていただくなど、エリアとしての魅力向上も併せて一緒にやっていきましょうと言っています。そういうことも含めて10万人ぐらい来ていただきたいということで想定させていただいています。

記者

京都の北部地域の観光拠点にして、そこを経由してエリアを観光していただくということか。

知事

そうです。元々天橋立という観光資源を一望できるので、ここで全体を見た上で観光していただきたいです。オープンが近づいてくれば観光商品、旅行商品の造成も当然併せてやっていかなければいけないと考えています。

記者

知事は丹後郷土資料館のイメージを見て、どういう施設になって欲しいなどの思いはどうか。

知事

それはいつも佐々木さんともよく話してますが、今回整備する展示の機能については、いわゆる「公開承認施設」ということで、国宝や重要文化財の公開にはその度に許可を得ることが必要となりますが、(「公開承認施設」として)承認されると届出で足りることになり、そういうまさに文化財の展示機能がもちろん強化されますし、コミュニティラウンジ&ホールやカフェエリアを設けることで、郷土資料館にある施設や文化財だけではなく、現代アートなどの多彩な文化の発信や、その他のイベントもできます。

皆様がここを交流の拠点としていただき、地元の人にも愛され、外から来られた方もここを拠点に丹後や「海の京都」全体の観光のハブとなるような施設を担ってもらうということを、私としては一番望んでいます。

記者

丹後郷土資料館については、2年前に収蔵庫のスペースが非常に不足していると一部で指摘されていたが、今回の計画の中にその対策は盛り込まれているのか。

知事

当然それは盛り込まれています。今回は本館を残して正面に新館を造り、新しい機能を持たせることとしていますが、収蔵スペースや収蔵のあり方についても、当然リニューアルを機に改善する方向で検討していると聞いています。そこはこれからの詳細な設計の中で明らかになっていくと考えています。

担当職員

別途、収蔵施設は建築していますので、収蔵についても配慮しています。

記者

丹後郷土資料館のリニューアルに当たって交通アクセスの改善は考えているのか。

知事

当館は国道から山のほうに少し上がったところにありますので、基本的には車で来ていただくということです。

来場者の見込みは10万人と言いましたが、比較的暖かい季節の方が人の動きが多いので、時期に応じてもし需要があれば、公共交通機関についてもいずれは検討したいです。

今は路線バスが入っていますが、バスの便数も含めて検討したいです。困るぐらいに来場者が増えて欲しいですね。

記者

丹後郷土資料館のリニューアルの推進体制には各分野のエキスパートとして錚々たるメンバーが名を連ねているが、知事はこの方々にどんな期待をしているか。

知事

まず名誉館長の佐々木丞平さんは、京都府の教育委員会時代の初仕事がこの丹後郷土資料館設置だったということもあり、ICOM(世界博物館会議)を主催された時に、世界の博物館・美術館の方と交流する中で、世界では開かれたミュージアムが主流で、その日本のモデルをここでつくりたい、しかも大都市ではなく、地方で実現したいという思いを強く持って、全体のコンセプトをまさにリードしていただいたということです。

アドバイザーの方には、これからのプロモーションや幅広い視点からのアドバイスをいただきたいと考えていまして、細川護熙さんについては、宮津城の初代当主が細川家で、元々地元の宮津とも非常に縁が深い方なので、丹後郷土資料館だけではなく、この地域全体の魅力をいろいろなところで発信をしてもらいたいです。

コシノジュンコさんは、2015年に琳派400年祭の時の呼び掛け人として琳派の世界観を全世界に普及されました。その年に「京都府あけぼの賞」を授与させていただいておりますし、発信力がある方です。そういう観点でお願いしています。

企画推進プロデューサーは、より専門性が高く、展示のデザインや特別展・企画展の企画立案など、まさに博物館、美術館の企画運営のプロフェッショナルとしてお願いしています。

前田尚武さんはリニューアルした京セラ美術館の運営をされ、一級建築士と学芸員の資格をお持ちなので、新しい建物での企画運営には適任だと考えています。

橋本麻里さんはライター&エディターで、いろいろな新聞・雑誌に寄稿されていますし、美術番組の解説や展覧会のキュレーションもやっておられまして、京都府共催で、東京で開催中の「日本の美術工芸を世界へ、特別展『ひかりの底』」のキュレーターを務めていただいています。

このお二人にはまさに美術館・博物館の企画運営のプロフェッショナルとしてのノウハウを是非活かしていただきたいと思っています。

記者

完成想像図を見ると、かなり光を取り入れて、明るくおしゃれでスタイリッシュな施設になると思うが、それに比べて「丹後郷土資料館」という名前は少し古い感じがある。これを機に名前を変える考えはあるか。

知事

私もずっと思っていましたが、そこまでまだ検討できていません。

元々教育委員会の施設なので、正式名称を変えることができるかできないかは別にしても、少なくとも愛称があった方がいいとは思っています。

記者

来場者は年間10万人ぐらいを見込んでいるとのことだが、現状はどのくらいなのか。

知事

だいたい年間1万人です。

記者

では、10倍にするということか。

知事

はい。意欲的な目標になっているとは思います。今は、あの辺りを観光される方は、この資料館にはあまり行かれていません。そこにある資料や企画展示がある時に興味がある方が行くだけです。もっと日常的に、こちらの方面に行く時は立ち寄ろうかなと思える施設になれば、10万人も決して不可能な数字ではないと考えています。

記者

観光客だけではなく、いろいろな人に来て欲しいということか。

知事

もちろん観光客だけではなく、例えば教育委員会とタイアップして団体での来場や、ワークショップを開催するなど、これはまさにソフトに関する企画運営の腕が試されるところなので、いろいろなパターンがあると思います。観光客だけではなく、当然地元の方にとっても魅力的な施設でないといけないと考えています。

記者

昨日の府議会常任委員会で今年1月の大雪の検証報告書について報告があった。帰宅困難者対策や孤立集落の解消について書かれているが、当時の被害にはどのような課題があったと考えているのか。

知事

今までは積雪深を基準に対策本部の設置などを決めていましたが、実は一気に降った場合には、現場で積雪する前にいろいろな対策を組まなければいけなかったということです。ですので積雪の前の、大雪注意報や警報が出た時に本部を設置するという、本部設置基準の見直しがあります。

特に今回の場合はJRを中心に鉄道の利用者の方に大きな影響が出たので、帰宅困難者が発生した時の鉄道事業者と現場の市町村、京都府の役割など、連携体制をもっと構築しなければいけません。

他にも孤立集落が発生しましたが、それは単に積雪だけではなく、倒木などいろいろなこともありましたので、そういう場合の連携体制や孤立した住民への支援です。

あとは、交通規制について的確に情報提供できるかどうかや、そうした場合の応援体制です。

それらいろいろな課題を一つひとつ検討して、今回、対応策をまとめさせていただいたところです。

一番重要なのは、帰宅困難者の方が出た時に、もちろんそれまでに本部が設置されてなければいけなかったということもありますが、その時の交通事業者との連携体制だと考えています。

記者

JRとの連携体制や電柱の撤去に関して電気通信事業者との連携は今までもやってきたことで、基準の見直し以外は今までやってきたことと変わらないが、その内容で次の災害にどこまで対応できるのかと思ったが、知事はどうか。

知事

連携というと、言葉としては同じかもしれませんが、今回の場合は帰宅困難者の方が現場でたくさん出ているという状況把握がすぐにできていませんでした。対策本部が設置されていなかったからということもありますが、府庁に常駐の職員はいる訳ですから、いち早く鉄道事業者から広域行政体としての京都府と現場の市町村に連絡をもらうだけでも、その状況に応じて何ができるかを考えられます。市町村に連絡できない場合も、京都府に連絡をもらえば市町村に連絡することができます。その場でどういう対応ができるのかということです。

雪の場合の帰宅困難者については、鉄道を動かすこと自体は鉄道事業者にお任せするしかないのですが、代替交通手段や食料の提供などは自治体としても考えることができます。全国で見ると、大雪の時に水や食料を道路で止まっている車両に配って歩くことなどもしています。

我々に何ができるのかを考えておかないといけないという意味もありますが、まずは連携するために早く情報を共有することが今回の教訓だと考えているので、その辺りの具体化をしていかなければいけないかもしれません。

記者

母子家庭に支給している奨学金制度について、京都府知事と京都市長との懇談会の議題には上がってはいないようだが、事務レベルでは京都市民を対象にして欲しいと京都市からも要望が挙がっている。知事はどのように考えているか。

知事

そもそも政令指定都市は、他の市町村に比べるとかなり大きな権限も財源も持っています。過去のいろいろな制度の中でも、京都市と他の市町村では扱いが異なる事例もいくつかありますが、それはだんだん減ってきています。

その中で、御指摘の母子家庭に係る奨学金制度については、京都市は対象として含まれていません。制度創設時、京都府と京都市で制度化を検討した時に、京都市で制度化が見送られたという経過があるように聞いています。それがずっとそのままになっています。

一方で、ひとり親家庭に対する施策は他にもいろいろあります。例えば、児童扶養手当や、ひとり親家庭の自立支援センターの設置、母子団体の支援などは、府と同じ権限を京都市が大都市特例で持っているので、並行して行っておられます。政令市として京都市がある程度独自の判断で行われている制度もあります。

一つひとつの制度の性格もあり、明確に政令市に権限があるものは当然政令市で行われますが、似たような施策分野について(府と市の)どちらがやるべきなのかという話についてはいろいろな議論があると考えています。財源が限られているので、結論を出すには財政負担も含めて検討しなければいけません。すぐに答えを出すのはなかなか難しいと考えています。

記者

制度自体がかなり古く、父子家庭が対象になっていない、所得制限がないなど、そもそもの課題もあるが、その点はどうか。

知事

それはその通りです。長い間見直していないので、その間の社会経済情勢の変化は当然あり、それに合わせた形で見直すべきものはあります。京都府が京都市を財政支援の対象にする話とは別にしても、京都府の制度も常に不断の見直しが必要です。ただ、お金がかかる話でもあるので、全体の財政のバランスの中で考えていかなければいけません。

記者

先日政府がまとめた「こども未来戦略」についての受け止めを伺いたい。

知事

今は案が示され、これから正式に決定されるところなので、断定的な評価はできないのですけれども、案の中身を見ると、例えば児童手当をはじめとする施策のスケジュールが明示されました。また、国に対して我々が要望してきた育児休業給付の拡充や高等教育費の負担軽減、地域の特色に応じた多様な居場所づくりなどが、完全な形ではないにせよ盛り込まれるということ、加速化プランの中の地方財源を確保する旨を明記されたということで、その辺りについて評価しています。

もう一つは、この戦略案の基本的な考え方に「社会全体でこども・子育て世帯を応援するという機運を高め」ていく必要があると書いてあります。我々も、昨年改定した総合計画の中で、我々の将来の到達点として「社会で子どもを育てる京都」を目指すと言ってきました。私の思いと軌を一にしているということで、そこも評価をしたいです。

記者

多子世帯の大学の無償化が柱となっていること、財源の一つとして支援金を活用することについての受け止めはどうか。

知事

多子世帯の大学の無償化についてはいろいろな評価もされていますけれども、我々も全体として高等教育費については「国が一律に財源も含めて施策を打つべきだ」と言っていますので、私自身はその判断を尊重したいです。

財源については、過去の記者会見でも言いましたが、まずは徹底した歳出改革をした上で、様々な財源を使って実施する場合については、その施策を国民の皆さんにきちんと納得していただくことが重要だと申していました。これから、おそらく3.6兆円の予算の財源について具体化されていくと思うので、その過程では当然、国民の皆さんが納得する形での説明が必要だと考えています。

記者

先日、府の子育て戦略を発表されたが、国の発表を受けて何か対応の考えはあるか。

知事

先程言いましたように、「社会で子どもを育てる京都」と同じ考えを国が戦略の中に示していただいたということでは評価したいですし、我々の戦略の中でも国全体で価値観や構造を変えていくべき問題をかなり指摘させていただいているので、そういう意味では今回の戦略でそれが一歩前に進んだと考えています。

逆に言えば、我々は今回戦略を示させていただいたので、今後は、令和6年度当初予算編成を含めて、それをきちんと制度化していくことにまずは注力したいと考えています。

記者

マイナンバー情報総点検本部が開かれ、来年の秋に現在の健康保険証を廃止してマイナンバーカードに移行するという考え方が改めて示されたが、これについてどう考えるか。

知事

マイナンバーカードと障害者手帳の情報連携について、全都道府県と政令指定都市に対して11月末までに点検するように依頼があり、京都府においては紐付けの誤りがなかったという点検結果を国に報告させていただいています。他の所では一部誤りが出てきたということですが、京都府ではなかったということです。

健康保険証を来年秋に廃止して、マイナ保険証に一本化するという方針については、過去の受診履歴に基づき、薬の重複処方や多剤服用の防止にもなりますし、飲み合わせが悪い薬の使用禁止など質の高い医療ができることになります。また、効率的な医療という点では、手入力に比べ事務負担が軽減されます。それから高額療養制度において限度額を超える支払いを確実に免除できるなど、きちんと運用されれば、患者や医療機関、薬局、保険者にとってメリットがあると考えています。

ただし、マイナンバーカードが病院の窓口で読み込めないなど、国民の皆さんが不安に思うようなことがいくつか報告されていますから、まずは国に責任をもって国民の不安を払拭してもらいたいと考えています。

また、移行にあたってマイナ保険証を取得していない人に対して資格確認証の発行や、しばらくは発行済の保険証と併用されるような措置も講じられるということで、国民の不安の払拭と併せて円滑な移行を目指していただきたいと考えています。

記者

マイナンバーカードの普及が重要になってくるが、府として何か考えていることはあるか。

知事

今までも府民だより等で広報を行ってきましたが、何と言っても利用シーンを増やすことがマイナンバーカードの利便性に繋がるということで様々な取組をさせていただいています。

パスポートや納税証明書の電子申請や、いろいろなオンライン講座の受講、自動車の保有関係の手続きもワンストップサービスでできるなど、行政サービスにおけるマイナカード利用シーンの拡大をすることが一番普及に繋がると考えていますので、引き続きできる限り利用シーンを拡大して、府民の皆様の利便性向上に繋げていきたいです。それが利用拡大にもつながると考えています。

記者

昨日、与党税制改正大綱が決まったが、知事の所見はどうか。

知事

今回、所得税の定額減税が一つの焦点だったと思いますので、それなりの結論が出て、明確になりました。それから、それ以外にも企業の投資促進の税制など、京都府としても競争力の強化や経済成長のために必要な税制も盛り込まれています。税制大綱ができましたので、そこについては期待をしたいです。

防衛増税の関係は、今回とりあえずは先送りされ、今後の議論だということですけれども、やはり皆さんが納得する形で税負担できるように、政府においてはきめ細かで丁寧な説明を是非ともお願いしたいです。

記者

万博の運営費がまた増えるという見通しがあるが、知事の所感はどうか。

知事

万博に限らず、資材価格や人件費、物価の上昇を反映して増えているということで、日本博覧会協会理事会によると、入場券の販売や会場内の飲食店の営業収入を運営費に充てるということです。

京都府としては負担に関わっていないのですけれども、経費は増加していますので、協会にはいろいろとあの手この手で工夫をして賄っていただくことを期待したいです。

記者

自民党の政治資金の問題で、閣僚の辞任などもあったが、改めてどのように考えるか。

知事

一連の問題で国民に様々な疑念を与えていることは残念です。しかも閣僚が交代する事態にまでなったことは極めて残念に思っています。

物価高騰等もまだまだ続いていますし、国際情勢も非常に不安定な中で、国民の皆様や事業者の皆様も厳しい状況にあります。来年度の予算編成を控えている非常に大事な時期でもありますので、新たに任命された大臣、副大臣、政務官の皆さんには、まずはその職責をきちんと果たしていただきたいです。岸田総理には国政の停滞を招かないように、国民の信頼回復に努めていただきたいと思っています。

記者

国政選挙ではないが、来年の京都市長選挙への影響についてはどう考えるか。

知事

この事案は派閥の政治資金の問題であって、京都市長選挙はこれからの京都市をどうしていきたいかという中で有権者の方がそのトップを選ばれるもので、直接関係することはないと思います。

ただし、政治に対する不信が広がって、例えばそれが投票率に影響するかどうかは私には分からないですけれども、そういう間接的な影響が出ないように、京都市長選挙については、京都市の未来をこれからどうするのかを有権者の方に御判断いただいて、選んでいただきたいと考えています。

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