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令和6年1月5日定例知事記者会見

まずは、府政記者クラブの皆様に新年の御挨拶を申し上げます。旧年中は大変お世話になりました。また、本年もよろしくお願い申し上げます。

本年になって早々の1月1日午後4時6分頃に発生しました令和6年能登半島地震につきましては、石川県におきまして最大震度7を記録いたしまして、本日の午前7時30分時点ですが、84名の方がお亡くなりになられました。謹んでお悔やみを申し上げます。

また、安否不明の方もかなりおられるということで、非常に急を要しています。

現在も3万人以上の方々が避難生活を余儀なくされています。

被災されたすべての方々に、心からお見舞いを申し上げます。

さらに、1月2日に羽田空港で海上保安庁機と日本航空機の事故があり、地震の支援物資を輸送しようとしていた海上保安庁機の隊員5名の方が亡くなられました。

お悔やみ申し上げるとともに、負傷された方々にも心からお見舞い申し上げます。

令和6年能登半島地震に係る支援について

日の発表項目の2点のうち、1点目は令和6年能登半島地震への対応についてです。

発災直後から京都府では、災害警戒本部を設置して情報収集に当たりますとともに、津波注意報解除後は被災地支援に備えた体制を取ってきているところです。

また昨日には災害支援対策本部を立ち上げ、全庁を挙げた支援体制としております。

具体的な支援内容について申し上げますと、物的支援については、1月2日に海上自衛隊舞鶴地方総監部から、石川方面に多用途支援艦「ひうち」が出動するため、支援物資の搭載も可能であるとの提案があり、京都府及び舞鶴市から、飲料水や毛布などの物資を現地に輸送しました。

ただ、港湾が被災して接岸できないため、海上自衛隊のヘリにより輪島市内の中学校及び空自の分屯地に輸送されたと聞いております。

人的支援につきましては、災害派遣医療チームDMATの派遣とともに、昨日、関西広域連合の調整により、カウンターパート支援を行う自治体が、石川県七尾市に決定いたしましたので、本日からリエゾン職員2名を派遣したところです。

また、日本赤十字社が本日から義援金の受付を開始しましたので、京都府も本日から窓口を開設いたします。具体的な窓口については別途お知らせいたします。

それから、住宅の確保に困窮されている方々を支援するため、20戸の府営住宅を一定期間無償で使用していただくこととし、本日から申込みを受け付けいたします。

府内市町村からの支援につきましては、京都市、舞鶴市、亀岡市、京丹後市から、飲料水などの生活用品が輸送されたほか、京都市から応急給水活動として給水車1台、職員12名が派遣されております。

その他関係機関からの支援としましては、府警本部から広域緊急援助隊として1月1日から97名が石川県内で捜索活動を行うとともに、本日から追加で12名が派遣されています。

府内各消防本部で組織する緊急消防援助隊の京都府大隊については、同じく1日に第1次派遣部隊として39隊144名が、昨日朝に第2次派遣部隊として43隊150名が出発したところであり、さらに1月7日からは第3次の派遣も予定されております。

現地は非常に厳しい状況と認識しておりまして、被災された方々が一日も早く日常を取り戻していただけますよう、今後とも支援に全力で取り組んでまいりたいと考えています。

皆様の御支援、御協力もよろしくお願いします。

「第42回京都府文化賞」の受賞者の決定について

2点目は「第42回京都府文化賞」の受賞者についてです。

この賞は、文化芸術分野で顕著な業績をおさめられ、京都の文化の向上に寄与された方で、京都府にゆかりのある方を顕彰するもので、昭和57年度に創設いたしました。

今年度は、特別功労賞を5名、功労賞を8名、奨励賞を6名、計19名の方々への授賞を決定しました。順に御紹介させていただきます。

まず、特別功労賞です。この賞は、文化芸術活動において顕著な業績をあげられ、文化の高揚に多大の功労があった方を表彰するものです。

1人目は、染織家の小名木 陽一様です。鮮烈な色彩で織物の可能性を最大限に活かし、平面から立体まで幅広い作品づくりを、京都を拠点に行ってこられました。特に従来の美術織物とは一線を画す大胆で巨大な立体作品は、伝統に縛られない自由な作風として海外でも高く評価されています。

2人目は、数学者の柏原 正樹様です。代数解析学の構築に決定的な役割を果たした「D加群理論」を確立し、数学界最大の懸案の一つである「リーマン—ヒルベルト問題」を高次元化することに成功されました。これらの功績により、数学界最高峰とされる「チャーン賞」を日本人で初めて受賞するなど、京都の学術界の発展に寄与されました。

3人目は、造園家・桜守の十六代 佐野 藤右衛門様です。桂離宮や修学院離宮、京都迎賓館といった国内の名園にとどまらず、パリ・ユネスコ本部日本庭園をはじめ国外でも数々の庭園を作り上げ、高く評価されています。また、「桜守」として、桜の調査や研究を重ね、全国各地の名桜を守り継ぐなど、幅広く活躍されております。

4人目は、歴史学者の田端 泰子様です。歴史の舞台に赴き、そこに暮らす女性の声に耳を傾けることを重視し、話し手の言葉を記録する「聞き書き」という手法でしか残せない史実を丹念に拾い上げることで、各社会で女性が果たしてきた役割をあぶり出して見せられました。また、京都橘大学の学長を務めるなど、後進の育成にも尽力されました。

5人目は、やきもの作家の三代 宮永 東山様です。土が持つ可能性と深く向き合い、土が持つ様々な表情を作品として見せるための素材研究を続け、ジャンルの枠にとらわれない作品は、国内外で高く評価され、京都の美術工芸の振興に大きく御貢献いただきました。

以上、5名の方を、特別功労賞として表彰させていただきます。

次に、功労賞でございます。この賞は、長年の文化芸術活動を通じ、文化の向上に功労があった方を表彰するものです。

現代美術家の今村 源様、指揮者の小泉 和裕様、表千家15代家元の千 宗左様、ヴァイオリン・ヴィオラ奏者の豊嶋 泰嗣様、能役者の味方 玄様、美術家の宮永 愛子様、能楽 笛方森田流の森田 保美様、洋画家の山部 泰司様、以上、8名の方を、功労賞として表彰させていただきます。

最後に、奨励賞でございます。この賞は、新進の芸術家等で、文化芸術活動における業績が特に顕著である方を表彰するものです。

漆の美術家の石塚 源太様、洋画家の黒宮 菜菜様、詩人の最果 タヒ様、声楽家の清水 徹太郎様、ロックバンドの10-FEET様、能楽師の 林 宗一郎様、以上、6名の方を奨励賞として表彰させていただきます。

京都には千年の時を越えて様々な文化が受け継がれており、今も生活の中に文化が息づいていることが、京都の魅力の源泉となっています。そして、文化庁が京都に移転して初となる今回は、文化が生活に根付き革新し続ける京都の文化を感じていただきたく、庭園文化からロックミュージックまで、世界の人たちを魅了する、京都の文化の担い手の方々を選ばせていただきました。

なお、授賞式につきましては2月6日(火曜日)午前11時から、京都ブライトンホテルで執り行いますので、当日の取材についてよろしくお願いします。

私からは以上です。

質疑応答

記者

個人の方で支援やボランティアに入っている方がいらっしゃる一方で、道路交通の影響もあるので、そういった個人で北陸に行くことは控えて欲しいという呼びかけをされてる首長さんもいるが、これから京都から行きたいという方が出てくると思うが、知事の考えはどうか。

知事

ボランティアについては、現地の状況を見るとまだ初期対応の救出・救助の段階ですし、何といっても道路交通やライフラインがきちんと確保できていませんので、いわゆる一般的なボランティアの受け付けはされていないと聞いてます。

今御指摘がありましたように、親戚や関係する所からの支援要請や救助要請があり、個別に対応してる個人の方や、自治体同士でも元々対口支援、要するにカウンターパートとしての支援の結びつきがある所もあるので、そういうものについては是非進めて欲しいということです。

ただ一方で、情報が非常にいろいろなところに行っているということで、国の方で、人的な支援については総務省の公務員部が窓口になって、知事会に下ろして各都道府県に流してきますし、物資の支援については内閣府の防災担当が取りまとめて、できる限り的確に支援のニーズとその供給を結びつけていこうという取り組みはされてます。

ただ現地は相当混乱しており、いろんな情報が流れているようですが、個別のそれぞれの支援活動については引き続き続けて欲しいということです。ただ余震もあるので、本当によく準備をして入らないといけませんし、水の供給もできないという中なので是非注意を払いながら、支援活動をしていただければありがたいと思います。

記者

北陸へ行くことを控えて欲しいといったレベルではないということか。

知事

控えて欲しいとまでは言っていません。

ただあまりにたくさんのところに情報が行くと、支援物資も限られており、適確に供給できないので、できる限り国の方で整理をしたいという話が昨日の会議でも出ていました。

記者

リエゾン派遣される職員2名について、まずはこの2名が現地のニーズを聞き取って、その後、追加の支援等を検討するのか。

知事

もともと中部ブロックの県市が最初に支援に入っておられまして、七尾市には名古屋市が担当で割り振られています。そして昨日、関西広域連合の中の調整で京都府と京都市が七尾市の担当となりました。

既に市役所の中に一定のスペースを確保しておられます。そこに合流して、現地の状況把握とニーズを調べ、具体的にどういう支援をしていくかということです。

大きく分けて人的支援と物資の支援があると思います。

ただ、現地は発災から72時間を超えましたけれども、現在も救出・救助の段階にあります。具体的なニーズは水が足りない等いろいろあると思いますが、被災市町村によっても少しずつニーズは違うようなので、まずは七尾市の状況をよく把握して、こちらにつないでいけるようにしたいと考えています。

記者

府営住宅の提供に関して、現時点で問い合わせはあるか。

知事

まだそういう段階ではないのだろうと思いますし、具体の問い合わせは無いと聞いています。

ただ、あらかじめ受け入れ体制を確保しておくことで、本当にニーズが出てきたときに迅速かつ円滑な支援を行うことができますので、あらかじめ情報発信をし、すぐに入居できる住戸として20戸を準備しています。

ニーズがわからないのですが、修繕工事をすれば入居可能な住戸もありますので、申し込みの状況をみながら、必要であれば提供戸数の拡大も検討する必要があると考えています。

記者

京都府は12月に石川県と文化振興をテーマにした連携協定を締結したばかりのタイミングでの被災となった。京都にも北陸ゆかりの方が多くいらっしゃると思うが、支援をどのように考えるか。

知事

今回の被災の状況はつぶさにはわかりませんが、揺れによる建物の倒壊や液状化、また、津波の被害もかなり出ているということです。しかも半島という地形上の制約もあり、なかなか連絡が取れず状況が把握できないということで、かなり厳しい状況にあると認識しています。

ご指摘のとおり、文化振興についてではありますが、石川県との協定を結んでおります。もともと京都発の文化が金沢で武家文化として昇華したということで、同じような基盤がありますし、北陸と関西のつながりは非常に強いということで、今回、支援については我々としても全力で取り組まなければいけないと考えています。

発災した後に石川県の馳知事から直接電話があり、まだどんな状況かわからないが支援をお願いしたいという連絡をいただきました。

今回、関西広域連合の会議でも話がありましたが、まずは隣接する中部ブロックが対応に入られましたが、人的支援や対応がとても中部ブロックだけではできないということから、地理的にも近接していて関係も深い関西広域連合の支援が必要だということになりました。これについては全国知事会からも要請がありました。

福井県、富山県、新潟県でも被災はあるのですが、関西広域連合としては、一番大変な状況にある石川県をカウンターパートとして支援することを昨日決定させていただきました。

記者

馳知事から連絡があったのは1日ですか。

知事

1日の夜に携帯にありました。

記者

状況を把握しながら今後の支援内容を検討したいということだが、現時点でどういったことが必要になると考えているか。

知事

まずは水の供給や支援物資が必要だということもありますし、我々は行政として行きますが、避難所がかなりたくさんあるため、避難所の運営には行政側からも相当の人数が必要になるのではないかと思われます。

生活物資を受け取って流すということに加え、そのうち、医療関係の話も出てきます。これは今の救援・救助に係る医療ということではなく、一般的な医療機関が機能を停止している部分もありますので。それから避難所運営等の人的支援だと思います。

地域の状況にもよりますが、もう少し落ち着いてくれば、建物の応急危険度判定や罹災証明書の発行があります。その他様々な行政の手続きも出てきます。そういうときに地元の自治体のマンパワーだけでは足りない部分が出てくると思います。その辺りは市町村によっても違うと思いますので、それを把握していく必要があります。

大きなところでは道路などのインフラの応急復旧が地元自治体だけでできるのかという話が出てくると思います。一部、馳知事が補助国道についてだと思いますが、県管理の国道について、これは東日本大震災でもやりましたけれども、直轄代行といった話もされていました。幹線道路等については逆に、県でもやりきれない場合は国が代行するといったインフラの話もいずれ出てくると思います。

ただ、京都府は七尾市のカウンターパートとなりましたので、まずは七尾市のニーズをきちっと把握することから始めたいと考えています。

記者

このタイミングで府営住宅の提供を決めた狙いや背景は。

知事

現在、3万人以上の方が避難されていますが、映像だけではありますが状況を見ますと、元の住まいに戻れない人がかなり出ることが想定されます。そうなった場合、過去の災害でも仮設住宅や民間や公的な住宅に入るといった様々な仮住まい確保の手法があるので、その一つとしてすぐに使える公営住宅を提供するということです。

これは京都府・京都市だけでなく、制度上もともとは低所得者向け住宅であるものを、こうした目的で使用することについて国から統一的な方針が示されましたので、京都府としては、すぐに使える20戸を出させていただいたということです。どれくらいニーズがあるかまだわかりませんが、安心してもらうことと、本当にニーズができたときにすぐに動けるようにということで今回、あらかじめ発表させていただいたということです。

記者

もしニーズが高まっていけば追加も考えているか。

知事

私の過去の経験でも、本当に石川県を出て住まうことを選択できる人がいるのかどうかということや、県内で無事だった公営住宅や民間の住宅もありますので、そういったところを選ばれる可能性も高いです。

ただ、京都には東日本大震災の時も比較的たくさんの方が避難されてきた経緯もありますので、一定のニーズがあるのではないかということでまずは20戸として発表いたしました。

記者

どういった方の利用を想定しているか。

知事

例えば、親戚や子どもさんが京都の大学にいるとかで、その近くに住むことはあるかもしれません。また、高齢の方で子ども夫婦が京都にいて、同居は住宅事情が許さない場合はその近くに住めば安心である等、家庭や家族の状況もあると思います。何も伝手がない中で来られるのは大変だと思いますので、京都にゆかりがあったり、面倒を見る人が近くにいるといった方の利用が考えられるのではないかと思います。

記者

京都市も同時に発表されているようだが。

知事

京都市も20戸を用意されています。京都市は京都市内だけですが、府営住宅の場合は地域の広がりがありますので、より幅広いニーズに対応できる意味で、両方合わせて発表いたしました。

記者

京都市との連携をしているのか。

知事

連携するといっても、今すぐ使える空き住戸ということなので、なかなか選ぶことはできません。戸数についてはレベル感として合わせましたが、地域を合わせられるほどフリーハンドにはできません。

記者

府、市にそれぞれ申し込まないといけないのか。

知事

そうです。ただ、府と市の住宅課同士は、特に京都市内にある府営住宅と市営住宅は役割分担をしていますので、本当にそうしたニーズが出てきたときに紹介し合うというようなことは、日頃からやっていることなのでできると考えています。

記者

今後の支援について、例えば物資をもっと運ぶといった支援は考えているか。

知事

まずはどういうものが必要なのかということをリエゾンが把握して、京都府が持っているものがありますし、あるいは、京都府内の市町村も協力するものがありますが、バラバラ七尾市へ行ってもいけませんので、備蓄しているものを集めます。また必要な物資については民間企業の動きもありますので、輸送手段と現地での配布というルートをきちっとしなければいけません。熊本地震でもそうでしたが、行政としてはそうしたことを整えることです。どこに集めた物資を届けていくかは、それぞれのニーズに合わせてやっていくことになります。

記者

民間も含めて支援の動きのとりまとめや仕組みを設けるということか。

知事

京都府が独自に用意することもありますが、支援したいという声もかなり届いています。現に報道では、製パン業界がトラックを現地に入れています。パンは衛生もいいしすぐに食べられますから。ニーズを把握して支援するということであれば、そうした全国の業界団体としてやっている動きもあります。そうした物資の提供も含め、七尾市との関係では、京都府が窓口になってニーズを取りまとめ、また支援もできる限り取りまとめていきたいと考えています。

記者

先ほど、馳知事と連絡を取ったという話があったが、七尾市とのカウンターパートが決定してから、七尾市のトップの方と連絡を取ったことはあるか。

知事

それはありません。既に名古屋市の方がリエゾンとして現地に行っており、我々はそこに追加で行かせていただくので、市長とは直接話していません。いずれそうした必要があれば行いますが、現地は大変なことになっていると思いますので、まずは現地に行った者がやるということが重要ですし、そのためのリエゾンだと考えています。

記者

今回提供する20戸は府営住宅何カ所になるのか。

知事

団地数は10団地です。

記者

府営住宅の提供に関しては現地の被災者に伝わらないと意味が無いと思うが、どのように周知するのか。

知事

これは国土交通省の住宅部局から統一的に府営住宅の被災者への提供と情報提供するようにという指示がありましたので、バラバラにではなく、石川県庁の方に全国の入居可能な公営住宅の一覧表を作られると思います。

ただ、ご指摘もありましたので、我々の方からも情報提供いたしますし、京都府だけ行っても混乱しますので全国の一覧として行うようになるものと思います。

記者

知事は年末年始をどのように過ごされたか。1日の発災時にはどこにおられて、何をされていて、地震をどのように感じられたか。

知事

私は皇居・宮殿で行われた新年祝賀の儀に呼ばれておりまして、午前中に終えて、夕方の発災時にはホテルにおりました。1日に京都を出発して宿泊し、2日の朝に帰ってくる予定でした。発災の連絡を受けて、津波や被災の状況について連絡を取り合っておりました。

記者

京都に戻られたのは2日ですか。

知事

はい、2日です。京都に到着したのは午後で、そのまま府庁に来ました。その時点では支援をどうしようかという態勢になっておりまして、関西広域連合が4日に会議をすることも既に連絡が来ていましたので、その打ち合わせをしました。

記者

東京はかなり揺れたのか。

知事

東京は震度4だったと思いますが、ビルの中にいると揺れを大きく感じるので、平面よりも揺れを感じました。

記者

地震の支援について、市町村の対応状況が記載されているが、それぞれの市がどの市町に支援をしているかは把握しているか。

知事

個別にどのようなことをしているか全てを現時点で把握している訳ではありませんが、我々の方に情報を集約するように努めています。ここに書いてあるのは我々が市町村に問い合わせをして状況を聞いていますので、市町村が行政として対応している内容については基本的には網羅しているつもりですが、民間の動きまでは把握できていません。

できる限り、支援は我々を通してということになっています。ただし、京都府のカウンターパートは七尾市ですが、個別に七尾市以外と日ごろの付き合いで支援をしているところが含まれているのかはわかりません。

これは七尾市だけでなく、市町村で対応した状況の全てを書いています。これからはカウンターパート方式になりましたので、府内市町村で支援の準備やお気持ちがあるところは七尾市に対する支援に振り向けていくようにすることも我々の仕事として努力していかなければいけないと考えています。

記者

その点について市町村に調整をしているのか。

知事

カウンターパートが七尾市に決まったことはその時点で事務方から連絡しておりますし、個別に、何かやれることがあればという声が届いていますので、我々としては七尾市に対して支援していくことはお伝えしています。ただ、現地に入ってどういうものが必要なのか等、的確なニーズを把握したいと考えています。

記者

能登半島地震と万博のあり方について「どうなのか」という話もある。吉村大阪府知事は「別です」と言われていますが、西脇知事はどうか。

知事

これについては大阪府知事の発言の通りだと思います。全く無関係かと言われるとそうではないかもしれませんが、基本的には違うフェーズの問題として捉えるべきだと考えています。

記者

馳知事から電話があった際、西脇知事からはどういった声かけをしたのか。

知事

馳知事が「これから支援をよろしくお願いします」と言われ、私は「全力で支援します」と申し上げました。まだその時点では災害の全容について、私もわかりませんし、馳知事も把握していた訳ではありませんので、具体的なことはありませんでした。

記者

12月に石川県と文化振興に関する協定を結んでいる。今回、石川県で文化財も多く被災しているかもしれないが、その辺りの連携はあり得るのか。

知事

京都府ではそれまで単独の都道府県とは協定を結んだことがなく、馳知事から関係が深いので是非にと話があり、ただ結ぶだけでなく、形のある連携にしようということで、人材育成や文化財の関係、伝統工芸などでできるのではないかということで結んだものです。

要するに、協定では災害を想定していないので、協定に絡めてなにかできるかどうかは考えていません。ただ、もう少し状況が落ち着けば文化財関係のことで協力できることがあるかもしれません。そうした場合は、京都府の持っているノウハウや人材を活かして協力したいです。

熊本地震のときは、県民のシンボルである熊本城について、最終的には国土交通省と文化庁が、公園の舞台も含めて本物の石垣を復元することとしました。そうしたニーズがあるのかどうかは、今の発災直後の厳しい状況を抜けて、もう少し後に明らかになると思いますが、必要があればさせていただきたいと思います。

記者

国立社会保障・人口問題研究所が2050年までの人口推計を発表し、京都府は19.5パーセント減少することとされたが、これについての受け止めや対応の考えはどうか。

知事

12月22日に公表されまして、東京都を除く46道府県で人口が減少し、東京一極集中がさらに進むという内容と、京都府は人口が約2割、約50万人減少し、市町村別に見ても半減以上する市町村が複数存在することが示されています。

2018年の前回推計よりも、理由分かりませんが、人口減少のスピードは若干ゆるやかになっていますが、厳しい状況であることは変わらないと思います。

私も、これまでから我が国が抱える構造的な課題の最大のものは人口減少だと言っています。生産年齢人口や労働力人口が減少するとそれに伴い、産業や文化、医療の担い手が減少しますし、子どもが減りますから子ども同士の交流の機会が減ります。小中学校といった教育機関も減少しますし、地域社会の活力が減少することで、我々が今まで当然だと思っていた社会の在り方を維持することが困難になるということです。

人口減少は非常に様々な課題を惹起するので、強い問題意識を持っております。

これに対しては、自然減の対応は「子育て環境日本一」を掲げて取り組んでいますし、社会減については総合計画を着実に進展し、京都で働きたい、京都で子どもを育てたい方を増やすということです。

それからもう一つ重要なのは、そうは言っても人口減少傾向にありますので、人口減少下においても社会経済システムを的確に維持するための対応をしていかなければいけません。具体のことは申し上げませんが、非常に大きな問題意識を持っていますし、これは国を挙げて対応しなければいけない課題だと思っております。

記者

その中でも東京だけが人口が増加する。東京の一極集中については、コロナ禍でやや収まった感もあったが、改めてまたその傾向が明らかになったことについてどのように考えているか。

知事

確かに、2020年の東京都の人口の全国比率は11.1%で、2050年推計では13.8%になり、相対的に東京の人口が増えるのですが、全体の人口が減る中で少し増えることを「一極集中」と言うのかどうかは私も動的分析をやっていないのでわかりません。

いわゆる高度成長期のように地方からどんどん人が入ってきて人口が増えているのか、社会増を見ないといけません。若い人が多いと当然自然減が少なく、自然増になるということですが、ただ、7月に閣議決定された国土形成計画でも、私も昔携わった計画ですが、東京への過度な集中を是正することが喫緊の国土構造の課題だと言っていますので、これは国土構造の問題であり、2050年に向けて国を挙げて取り組むべき大きな課題であることは間違いないと思います。

記者

一方で高齢者の人口は増えていくが、このことについての考えはどうか。

知事

これは高齢化社会と言われてからずいぶん経っています。

今でも支える人が支えられる人とほとんど同じ比率になるといわれており、大変だと言っています。これは引き続き、高齢者に対してできる限り健康で、自力で活動できる期間を増やして、高齢者の方にもいきいきと生活していただく、しかも住み慣れた地域で生活していただくシステムをどう作っていくかということです。

コロナ禍でもわかったのですが、「医療と介護」と言っていますが、高齢者には何らかの医療的な措置を受けている方が多いので、医療と介護の連携、地域での連携など様々な課題がありますので、社会を挙げて高齢者の方の生活をみていくシステムを作っていくことが重要なのではないかと思っています。そのためにもある程度、社会の活力を維持しないといけませんので、人口減少下でも社会経済のシステムを維持するための方策についても併せて行う必要があると思います。

記者

ダイハツの認証不正問題について、12月28日に緊急対策チームを立ち上げて関連企業を支援する方針が決めたが、その後、企業から相談や問い合わせ等は寄せられているか。

知事

相談窓口に問い合わせは来ていません。年が明けたばかりですし、しかもダイハツでは従業員に対する手当や下請け企業に対する手当も発表されていますので、相談は今のところありません。

ただ、この状況が長引くと、他の受注先を目指して受注競争をされたり、販売店は年明けの初売りなどの貴重な時期での売り上げ不振の心配が出てきます。もう少し経てばいろんな動きが出てくるのではないかと思いますので、まずは関係団体とも相談しながら情報収集に努めてまいります。

記者

日吉ダムの渇水について、少し雨が降ったようだが、今の状況はどうか。

知事

現在の貯水率が5.4%で、12月27日に貯水率が2.2%を下回って、上水道に対する取水制限が35%に引き上げられました。貯水率は戻りましたが、取水制限は念のため35%のままとなっています。

私がダム管理をしているわけではないので確定的には言えないのですが、日吉ダムの構造上、水がそれぞれの流域から毎秒2立方メートル入ってきています。出すのを毎秒2トンに絞ると、急激に貯水率は下がらないとも言われています。

このままの流出の状況であれば、一定の流入の水は日吉ダム流域にはあるようなので、何とか春まで持ちこたえられるのではと言われています。

それから、今は日吉ダムだけの制限であれば広域水運用で市町には影響なく供給できる見込みですので、直ちに府民の暮らしに影響が出るという訳ではありません。

ただ、琵琶湖の水位が下がってきているので、琵琶湖の状況にもよると思いますが、日吉ダムの取水制限だけであれば府民の暮らしにそれほど影響は出ないと考えていますし、日吉ダムの貯水率も急激な低下はすぐにはおこらないと考えています。ただ、これはよく状況を見なければいけないので、引き続き監視を続けてまいります。

記者

渇水対策について、琵琶湖の話もあったが、滋賀県で渇水対策本部が立ち上げられたことを受けて何か対応することはあるか。

知事

琵琶湖の水位が本部設置の目安のマイナス75センチに達したということで、昨日、滋賀県で渇水対策本部が立ち上げられたことは承知しています。ただ、それによって京都の水の供給について何か新しいことが起こった訳ではないと認識しています。

ただ、琵琶湖も複雑で、水位がどれくらい低下するかにもよりますが、琵琶湖で取水制限が行われるかどうかは今のところ全く見通せません。その意味では日吉ダムも含めて降雨の状況や流域の状況を見なければいけません。

本部が立ち上がったからといって直ちに何らかの措置が行われたとは聞いておりません。

記者

改めて新年の抱負は。

知事

まずは、今回の災害に加え、航空機の事故もあった年明けとなりましたので、新年賀詞交歓会でも祝意を述べることは皆さん控えておられます。改めて自然災害が激甚化・頻発化していますし、その対応が大きな役割であることを痛感しています。その意味で、自然災害を含めたあらゆる危機事象に対応できる常設の危機管理センターを今年オープンすることを決めています。そこは引き続きの課題として、コロナ禍は明けましたが、府民の安心・安全を守ることがベースだと感じました。

その上で、昨年4月に総合計画をスタートさせましたので、今年は自然災害もあるし、物価高騰などの様々な社会経済情勢の変化はありますが、それに応じて、総合計画に基づく「あたたかい京都づくり」の歩みを着実に進めていく年にしたいです。

コロナ禍が明けてようやく様々なところで活気が出てきましたので、その活気を増したいと思います。

当面すぐのことであれば、12月に子育て環境日本一推進戦略を改定しましたので、そこに掲げた4つの重点戦略と20の重点プロジェクトを実行に移す重要な年だと考えています。

それから、文化庁の移転についても、スタートはしましたが、今年は文化庁との連携を本格化させる必要がありますし、新たな文化政策を文化庁と連携して作っていこうと思います。

たまたま今年の大河ドラマは「光る君へ」ということで京都が舞台ですし、しかも、源氏物語は千年以上にわたって読み継がれてきた最も有名な古典と言われていますので、変化が多い時だからこそ古典の価値の再認識など、古典の魅力の発信もしたいと思います。

そして、文化ということであれば、そのターゲットである大阪・関西万博が来年に迫ってきました。いよいよ準備を本格化するときだと考えています。2,800万人ともいわれる万博への来場者の方に京都に来ていただけるよう、招致も含めて京都の発展につながるようなものにしたいと考えています。

記者

昨日、岸田総理が記者会見で、自民党のパーティー券問題に関連して自民党内に「政治刷新本部」を立ち上げると発表されたが、評価や受け止めはどうか。

知事

私が評価する立場にはないと思います。ただ、仮称ですが「政治刷新本部」を立ち上げると言われたということは、政治資金の収支報告書への不記載の問題からスタートし、それが全体の政治不信につながっていて、政治の信頼を回復しないと、今回の災害対応もそうですが、春に向けて物価上昇を上回る賃上げによって経済の好循環に持っていくという総理の政策も前に進まないということを認識された、その危機感の表れだと思っています。

本部を立ち上げるだけでなく、そこでの検討によって、国政の停滞を招かないよう、政治に対する国民の信頼回復に努めていただきたいと願っています。

お問い合わせ

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ファックス:075-414-4075

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