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令和6年2月5日定例知事記者会見

令和6年度当初予算案の概要について

令和6年度の当初予算案が概ね取りまとめられましたので、その概要について御説明申し上げます。

昨年成立しました国の補正予算を踏まえた令和5年度2月補正予算と合わせて府議会へ提案することとして編成をしております。

予算編成の基本方針

まず編成の基本方針ですけれども、様々な課題がある中で、総合計画の初年度である令和5年度から成果が出始めているということで、令和6年度は総合計画に基づいて、「安心」「温もり」「ゆめ実現」の3つの視点から「あたたかい京都づくり」を加速化するために必要となる予算を編成しました。

予算の施策体系

施策の体系につきましては総合計画に準拠しておりまして、大きな括りの「安心」と「温もり」と「ゆめ実現」の(項目の)下に8つのジャンルを設けております。そして全体を通じた「基盤づくり」がございまして、順次説明をさせていただきます。

全ての営みの土台となる「安心」

1.安心できる健康・医療・福祉

まず「安心」の中の1番目、「安心できる健康・医療・福祉」の分野ですが、「重度心身障害者への医療助成制度充実」ということで、1.1億円規模です。

従来、精神障害の方は精神疾患以外の医療費で自己負担が発生していましたが、その方々に対して新たに医療助成制度を創設し、身体障害や知的障害、複合障害の方に対する医療助成とほぼ沿う形での医療助成を実施するというものです。今年の8月からの開始を予定して予算を組んでいます。

2つ目は、(資料5ページ)上段の「看護補助者・福祉施設職員処遇改善事業費」14.1億円規模です。

診療報酬や介護報酬の改定前、6月以降は改定により措置されますが、それまでの間、今年の2月から5月分について、処遇改善のために必要な経費を計上しております。

下段の「物価高騰対策緊急生活支援事業費」8,500万円規模ですが、これは物価高騰等の影響を受けて困窮されてる方々を支援するものです。

対象者と内容を記載していますが、特に今回の場合は時期についても支援が行き届きにくいお盆や年末年始に重点的に実施したいと考えています。

一番下は昨年9月から実施した「子育て支援医療助成制度」が令和6年度は通年実施になりますので、その分の予算増です。

2.災害・犯罪等からの安心・安全

次は「災害・犯罪等からの安心・安全」の1番目といたしまして、「住宅・建築物耐震化総合支援事業」3億円規模です。

今回の能登半島地震でも木造住宅に甚大な被害が出ておりますし、お亡くなりなられた方の中にも倒壊した家屋によって亡くなられたという方もおられます。

府内でも今後の地震に備える必要があるということで、耐震化率は令和2年度推計で88%ですが、令和7年で95%とすることを目標としておりまして、2年度間で緊急的に支援をするということで、自己負担額を大幅に軽減して耐震化を加速するもので、補助基本額と補助率を引き上げます。3億円規模です。

次に、同じく災害からの安心・安全では、「きょうと防災・減災力強化事業費」14.1億円規模です。

今年の7月から危機管理センターが本格的に稼働予定でして、このセンターは有事の際にはあらゆる危機事象の司令塔になるということで、迅速な初動体制の確保や情報の一元化、また常設の会議室を設置します。それから、支援にこられる国や他の自治体、自衛隊の方からの受援がきちんとできるようにします。また情報共有能力の向上ということで、映像をリアルタイムで共有するための整備を行います。平時については、地域の防災力・減災力を強化するということで、特に小・中・高校での防災教育を充実します。それから来年度の特徴として、近畿府県で合同防災訓練が実施されますが、これは持ち回りで行っていまして、京都府が来年度当番ということで、それに必要な経費も計上しています。

同じく災害関係では、「被災地支援事業費」で、これは(能登半島地震では)今我々カウンターパートの相手先として七尾市を支援していますが、今後も息の長い支援が必要になるということで、4月以降の活動経費につきまして、5,000万円規模で計上しています。

今年度の執行分につきましては予備費で対応するか、若しくは2月補正で対応するかについて、今精査中ですが、これは令和6年度分として計上しています。

(資料8ページ)下段は災害ボランティアセンターを通じた活動支援ということで、地域公共プロジェクト交付金の中に被災地支援プログラムがございまして、2.5億円の中の内数ですが、ボランティア支援を行います。

一番下の「大規模地震対応力強化事業費」ということで、今、花折断層の地震の被害想定等の見直しを行っていますし、能登半島地震の検証は当然全部済んではいませんが、そうしたことを踏まえまして、「第三次京都府戦略的地震防災対策指針及び推進プラン」の見直しを行うための経費です。更に備蓄の最適化についても、保管場所や保管環境の最適化について検討します。

犯罪からの安心・安全の方では、「左京警察署建設計画費」ということで400万円規模です。

現在左京区には川端署と下鴨署の2署がありますが、統合して下鴨署の場所に新たに左京警察署を整備するための検討経費です。

その際、養正市営住宅の再生も合わせて検討するということで、府市連携にしています。

それから「特殊詐欺等総合対策事業費」3,500万円規模です。

(特殊詐欺の)被害金額は暫定値ですが、前年よりもかなり増えているということもありまして、特に「匿名・流動型犯罪グループ」という新たなジャンルがありまして、SNSなどを通じて連携したり離れたりという、非常に匿名化・秘匿化する犯罪グループの壊滅に向けた捜査機能の強化を行うものです。

子どもたちを育み、絆を守る「温もり」

3.子育て環境日本一・京都

それから2つ目の大きなジャンルの「温もり」ですが、まずは子育ての関係です。

「子育ての楽しさ広げる事業費」ということで、600万円規模です。

これは「京都府子育て環境日本一推進戦略」の中にも書いていますが、ドイツのミュンヘンで行われている、「ミニ・ミュンヘン」という子ども達だけで運営する仮設都市を夏休み中に作るというものがあり、そこまで大規模なものはできないですが、とりあえずモデル的に京都版の「ミニ・ミュンヘン」を実施しようと考えておりまして、場所は商店街がやりやすいのではないかということで想定しています。

令和6年度は1、2ヶ所に留まるかと思いますが、まずはモデル的に実施します。

(資料11ページ)下段は、「子育て楽しテック」の普及ということで、子育て世帯が集まるような施設で、いろいろな器具を体験できるような見本市を開催して、実際にそれに触れてもらおうということです。

それから次は、「子育てにやさしいまちづくり推進交付金」です。

これは12月議会で議決いただきました「子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組の推進に関する条例」に根拠があります。

(市町村が策定する)子育てにやさしいまちづくりの計画の認定制度を創設しましたので、6,500万円規模ということで、計画の策定・認定と、その計画の中身についてのハード・ソフトを含めた支援がセットです。

まずは計画づくりから市町村に任せるだけではなく、京都府でも伴走支援をして計画策定から参画をしまして、その計画に基づく拠点整備やソフトの仕組みを含めて支援するということで、最大3ヵ年程度の支援を想定しています。

それから次は「京都府子育て環境日本一推進戦略」の重点戦略3にある「若者の希望がかなう環境づくり」の一つとして、「誰もが働きやすい職場づくり事業費」として2.8億円規模です。今回新たに、相談者に適切な支援を速やかに案内する窓口として、総合相談窓口を設置しまして、そこからジョブパークや生涯現役クリエイティブセンターにつなげるという求職者側の支援の総合窓口とします。それから企業側については、京都企業人材確保センターを新たに設置し、労働3センターのうちの企業支援部門を統合することで、わかりやすく、ワンストップ支援ができるよう体制を構築するものです。2.8億円規模です。

それから子育て関係の中で婚活につきましては、引き続き実施をしたいと考えていますが、企業等にも行ってもらいたいということで、企業が主体となるような婚活支援についても応援したいと考えていますし、(これまで)スポーツ婚やお寺、神社で行っていますが、「プロジェクト婚」ということで、例えばごみ拾いや清掃などの社会貢献をする活動を入れたようなジャンルを新たに作りたいと考えています。

(資料14ページ)2つ目の、「プレコンセプションケアプロジェクト推進事業費」1,400万円規模ですが、これは妊娠や出産に関する医学的知識とライフデザインを一体的に考える機会を提供するためのプログラムを全国で初めて開発しようと考えていまして、令和6年度はまず高校生を対象にしたプログラムを開発して、教育現場でモデル的に実施したいと考えています。

一番下は予算ではありませんが、「不動産取得税の軽減措置拡充」につきましては、条例の中で(適用対象を)第一子からに拡充したものです。

それから、「私立高等学校あんしん修学支援事業費」34.2億円規模です。

これは以前の記者会見で概念について御説明させていただきましたが、現在国の就学支援が年収590万円のところで段階的な崖のようになっていましたので、授業料支援を拡充することで、年収730万円までは26.4万円の支援を行います。更に同時在学加算を拡充して、同時に2人以上通われている場合は39.6万円の支援を年収730万円まで行います。同時在学加算については、更に年収910万円まで拡充をしまして、その場合は全体として26.4万円を支援するということで、国の年収590万以下の(支援水準の)3分の2程度まで支援を拡充するものです。

なお京都府外の私立高校に通われている方につきましては、現在は兵庫県とのみ相互の支援を実施していまして、その他の府県については現在調整をしています。調整が整い次第、順次拡大をしていきたいと考えています。

次は、「親子通園支援事業費」ということで、これは全国初で、5,100万円規模です。

国の「こども誰でも通園制度」の適用施設(が対象)ではありますが、親も一緒に通園して孤立感の解消や、子育てを学ぶ機会を提供しようということで、新たに「親子誰でも通園制度」というものを独自に実施したいと考えています。

それから(資料16ページ)下段、「未入園児保育支援事業費」です。

私立幼稚園に登園する2歳児の利用料減免支援の拡大ということで、現在第一子については減免がありませんが、新たに3,000円の減免措置を講じるものです。

満3歳以降につきましては、国の制度で無償化されていますので、2歳児までを支援するというものです。

それから、「ドナルド・マクドナルド・ハウス京都整備応援事業費」ということで、整備を始めることについては、先日、東本願寺で記者会見をしましたが、真宗大谷派が寺院跡地を無償提供していただけるということで、そこに整備されるものです。

府立医大病院と京大病院に入院する子どもの家族等が利用可能ということで、子どもが病気で長期入院の場合に、御本人や家族の皆さんの負担軽減のための滞在施設を整備するものです。

この3億円規模につきましては、ふるさと納税を活用して企業等からの寄附により調達ということで令和6年度分として計上しています。

全体では8億円程度と事業費が推定されていまして、(寄附の受入は)令和5年度から始めて、1億円は令和5年度に、令和6年度に3億円を想定し、足して4億円で、全体の半額を寄附によって賄うという前提です。

残りの2分の1(の4億円)は、マクドナルド財団で負担をしていただくということです。いずれにしても、現在13箇所目が静岡で整備中ですが、全国でも14箇所目が京都に、今までなかったのが不思議ではありますが、今回、マクドナルド財団、東本願寺の協力を得て整備するものです。

それから(資料17ページ)下段は「いじめ防止・不登校支援等総合推進事業費」6.4億円規模ということで、子どもへの様々な心のケアが必要ですが、それを総合的に支援しようということで、特に心の健康観察やスクールカウンセラーの派遣を拡充することによって、子ども達が発するSOSをできる限り早期に発見するというものです。

4.誰もが活躍できる生涯現役・共生の京都

それから、「誰もが活躍できる生涯現役・共生の京都」のジャンルですが、「多様な担い手確保支援事業費」ということで2.9億円規模です。

どの業界でも人手不足ではありますが、特に各業界特有の担い手確保の課題を持っている業界の分野について総合的に担い手確保を支援するもので、農林水産業、建設業、観光業、地域交通等に対応するものです。これらは相互に関係しますし、専門的・技術的職業については、特に人手不足が顕著な部分がありますので、生涯現役クリエイティブセンターを活用しながら、人材の確保を図っていくものです。

「京都府生涯現役クリエイティブセンター事業費」につきましては、引き続き9,200万円規模で進めます。

それから、「女性活躍総合支援事業費」につきましても、1.1億円規模で進めます。

それから、(資料19ページ)下段、「障害者活躍応援事業費」につきましては2.4億円規模ですが、特に地域就労支援機関利用者の就業や職場実習の実現の部分が新規になります。

5.共生による環境先進地・京都

それから環境につきましては、「脱炭素行動促進事業費」5.7億円規模です。

家庭向けと事業者向けの2つに分かれていますが、家庭向けにつきましては5.3億円規模ということで、一定以上の省エネ性能を有するエアコンや冷蔵庫の購入時にポイントを還元するということで、省エネ性能に応じて最大2万円相当を還元するものです。

合わせまして、このポイントについては、府内での利用に限定をすることで、地域の活性化にも貢献したいと考えています。

それから事業者向けにつきましては、条例で一定の義務がありますが、それを超えて太陽光発電設備を設置する事業者に対する補助を行います。

それから(資料20ページ右側)下段は、昨年「プラチナ大賞」を受賞した「京都ゼロカーボン・フレームワーク」というものがあります。これは、京都府が脱炭素の取組を認定することにより金融機関からの貸付につきまして金利優遇を受けられるというもので、全国的にも高く評価されたということで、これを支援するものです。

希望や活力の源泉となる「ゆめ実現」

最後の3つ目のジャンル、夢実現です。

最初の産業につきましては、全体としては産業創造リーディングゾーンの推進事業費ということで5.1億円規模でございます。

ここには8つの産業を挙げておりまして、それぞれ拠点を書いていますが、以下、その中で、特に令和6年度に推進するものについて御説明いたします。

6.未来を拓く京都産業

「伝統産業産地振興拠点創出事業費」ということで1億円規模です。

これは、西陣織、京友禅、丹後織物の3産地連携によって世界的なシルクテキスタイルの産地の形成を推進するということで、販路拡大や、国内外のクリエーターを丹後地域に呼び込んで、新たな発想による商品づくりを推進していこうというものです。

また、海外展開を見据えた新商品開発、販路開拓へも支援してまいります。

(資料23ページ)下段、「太秦メディアパーク共創拡大事業費」につきましては800万円規模ということで、これはコンテンツ産業の新展開を推進するもので、コンテンツ関連企業と大学との共同プロジェクト等を進めるものです。

「京都フードテック推進事業費」3.4億円規模です。

これにつきましては3段階ございまして、まずは京都ならではのフードテックに関する研究開発ということで、南部ラボの整備の本格化、それから大学、研究機関、企業等とのネットワークによるシーズとニーズの集積、あとは「京もの」の需要拡大に繋がる取組ということで進めさせていただきます。

「ZET-valley推進事業費」につきましては、1200万円規模ということで、間もなく2回目の「ZET-summit」が行われますが、継続して開催していきたいと考えています。

「アート&テクノロジー・ヴィレッジ推進事業費」2,000万円規模です。

昨年10月にオープンいたしまして以後、順次、入居準備が進んでおりまして、ここでのオープンイノベーションの創出と、商品・サービスの開発を促進してまいります。

(資料25ページ)下段は、「グローバル・スタートアップ・エコシステム構築事業費」1.2億円規模です。

これは昨年開催いたしました国内最大級のスタートアップイベントの「IVS KYOTO」を、来年度も引き続き実施するということや、外国人起業家を支援します長期滞在型の誘致プログラム(の実施)、あとは先日開催いたしましたドバイでの展示交流会、これも来年度につきましても、引き続き開催したいと考えています。

「金融・経営一体型支援体制強化事業費」4.3億円規模です。

これは京都独特の金融と経営支援を一体的に支援するチームによる伴走支援でございます。

中小企業の持続経営支援補助金による経営改善ということで、特に賃金の引き上げに向けた経営改善に取り組む場合は、補助額、また補助率をアップするということで、賃上げに繋げるような制度改革をしたいと考えています。

(資料26ページ)下段は、「生産性向上モデル創出支援事業費」1億円規模です。

これは生産性向上、付加価値向上のために、AIとかロボット等の導入を支援するものです。

それから、「伝統産業事業継続支援事業費」8000万円規模です。

伝統産業の設備の老朽化等もございまして、新たな設備投資を後押しして何とか事業の継続を支援していかなければいけないということで、特に存続危惧工程における生産設備ということで、放っておくと本当に生産できなくなるというところで、蒸水洗等を含めた設備の支援です。

(資料27ページ)真ん中は、「海外市場開拓・展開支援事業費」1.3億円規模ということで、これは海外展開に取り組む中小企業の新商品開発や、展示会出展等について、加工品から農産物まで幅広く支援したいと考えております。

一番下の「地域商業活性化事業費」につきましては2億円規模ということで、商店街のプレミアム付き商品券の発行等を支援してまいます。

農林関係では、上は、「農産物高温対策事業費」2.4億円規模ということで、昨年の夏も非常に高温でしたが、今後の猛暑に備えまして、農業者の高温対策を支援するものでございまして、高温対策に繋がる設備導入の支援とか、あとは高温耐性、要するに高温でも耐えられる品種の導入・実証、食味試験を行うということです。

(資料28ページ)下段は、「有害鳥獣総合対策事業費」ということで8.1億円規模です。

ICTを活用した鳥獣侵入防止柵をモデル地区での導入等を考えております。

7.文化の力で世界に貢献する京都

それから文化のところでは、「文化の力で世界に貢献する京都」です。

「植物園100周年記念事業費」ということで2.4億円規模です。

1月1日から開園100周年に入っていまして、オープニングイベント等を開催しておりますが、通年で様々なイベントを行っていこうということで、記念祭とか、メディアアートプロジェクトの実施とか、また子どもに楽しく遊びながら植物について学んでいただくエリアや、トイレ・授乳室の整備も合わせて行っていきたいと考えています。

「京都文化力世界発信事業費」2.1億円規模です。

令和7年の万博の年に、国際音楽祭を開催したいということで準備をしていますが、令和6年度につきましては、そのプレコンサートということで、特に室内楽等での国内外のプロ奏者や京都ゆかりの奏者によるコンサートをしたいと考えています。

(資料30ページ)下は、若手作家の発掘から国際的に評価されるまでのキャリアアップ支援ということで、新人アーティストの発掘、現代アート市場への挑戦、最後は国際的なアートフェアへの出展ということで、それぞれこれまで実施していますが、引き続き実施をしたいと考えています。

次は、「文化の力を活かした地域創生事業費」2.4億円規模ということで、文化庁にも長官直轄で文化観光の推進本部が置かれていますが、京都ならではの本物の文化の魅力を発信する文化観光、それから丹後郷土資料館につきましてはコンセプト等を発表していますが、令和6年度につきましては、実施設計と収蔵庫の整備に入るということです。

それから当然、リニューアル後の魅力向上に向けた検討ということで、ソフト面での検討を進めたいと考えています。

(資料31ページ)一番下段は、文化財保護事業ということで、特に未指定の文化財等の保存、継承をやっていくためのものです。

次は、子ども達ということで、「京都の文化次世代継承事業費」1億円規模です。特に小中学生が茶道や華道などの生活文化を実体験して、文化の心を学ぶ機会を拡充したいと考えています。

また、これは従来行っていますが、「全国高校生伝統文化フェスティバル」の開催による次代の担い手育成、それから和食文化につきましては、日本料理の技法や歴史、文化等をデジタル化して国内外に発信してまいります。

(資料32ページ)一番下は、「文化連携推進事業費」400万円規模です。

これは府市協調事業で「文化庁連携プラットフォーム」がありますが、本格的に文化の都・京都を目指すということで、令和6年度はこのプラットフォームにおいて、新たな文化施策の検討を進めたいと考えています。

8.交流と連携による活力ある京都

それから、次は大阪・関西万博の関係です。

4.5億円規模ですが、併せて債務負担行為を6.6億円を計上したいと考えています。

一つは、万博はやはり子ども達の五感を刺激するまたとない機会であり、探求学習には最適だと考えていまして、府内の小・中・高生が万博会場での郊外学習ができるよう、この支援を通じて子供ども達が万博を体験できるように、予算を確保するということです。ただ実際の予算は令和7年度ということなので、全額債務負担行為で計上をしております。

それ以外に万博の関係では、関西パビリオンに京都ブースを設置いたしますので、その共同ブースの整備や、プレイベント、キックオフイベントがあります。

(資料33ページ)下段は、けいはんな万博の開催準備ですが、これは0.2億円規模ということで、けいはんな万博については取組が進んでおりまして、それを支援するものでございます。

それから、「大学の知を活かした京都魅力向上事業費」2500万円規模ということで、これは大学の皆さんと京都府が共同して、様々な府政課題を解決するために取り組んでいるプロジェクトですが、その中の特に重点分野ということで、子育てに関するプロジェクトにつきましては、補助額の上乗せをして促進したいと考えています。

それ以外に、大学が集積する京都の魅力を更に高めるためにはどうしたらいいのかということについても、検討会を設置して検討したいと考えています。

それから、「持続可能な観光地域づくり事業費」3.6億円規模ですが、この中で、「川の京都」ブランド構築ということで、これは万博の構想の中にもありましたが、伏見港の整備等もしておりますし、川の魅力を最大限活かそうということで、それを京都観光のコンテンツとして活用したいと考えています。

あと「食の京都」につきましては、従来から進めていますが、「食の京都TABLE」の整備を進めるとともに、食をキーワードとした京都への誘客・周遊を促進したいと考えています。

ここまでが8つの分野です。

人・物・情報・日々の生活の基盤づくり

あとはネットワーク、基盤づくりにつきましては、「道路整備等の公共事業費」598億円規模ということで、交通ネットワークをはじめとする、道路網整備と災害からの安心・安全対策を含め、基盤整備をしたいと考えています。

なお、予算の比較では、16ヶ月ベースで言えば、104.7%の伸びということになっていまして、(国の)補正予算も活用しながら一定の規模を確保しております。

それから、「地域交通総合対策費」20億円規模ということで、これは鉄道施設整備に対する支援ということで、安全性向上のための線路整備、車両更新等の支援です。特に、新たな国制度ができていますので、KTRの軌道施設整備を加速したいと考えています。

それから、公共交通人材の確保ということで、(公共交通事業者が行う運転士の)二種免許の取得の経費とか、採用活動等の支援、それから労働環境改善のためということで、休憩場等の改修や生産性向上に資する機器導入等を支援してまいります。

それから(資料37ページ)一番下のところは、地域モビリティサービスの実証運行支援ということで、交通空白地で自家用車による有償旅客運送や自動運転の実証運行等も、この予算の中で取り組んでまいりたいと考えています。

強固な行財政基盤の構築

それから、強固な行財政基盤の構築ということで、「府庁のスマート化推進事業費」2500万円規模です。

これはスマート化することによりまして、より効率的な行政運営をしていこうということで、その技術検証等も併せて行っていきたいと考えています。

それからふるさと納税制度による歳入確保ということで、4.8億円規模です。

(資料38ページ)下段の行財政改革の取組につきましては、人件費の減、事業の見直し、歳入確保の取組、合わせまして53億円の行財政改革を進めるということです。

なお、行財政運営に係る新たな計画を今年度内に策定いたしまして、取組を推進してまいりたいと考えています。

予算案の規模

予算案の規模ですが、令和5年度2月補正予算が94億円台、令和6年度当初予算が9,950億円台ということで、合わせまして1兆44億円台ということで、コロナ対策を入れると比較ができないので、コロナ対策を除いた伸びとして101.9%ということです。

なお府債残高等については、(資料40ページ)下に書いたとおりです。

感染症対策について

予算の説明は以上ですが、資料は配っていませんが、感染症対策について一言だけ申し上げますと、年明け以降、特に3学期がスタートしたという影響もありましてインフルエンザ、新型コロナとともに、患者の報告数が増加をしております。

インフルエンザの定点当たりの患者報告数は24.3人ということで、前週が19.63人でしたので約24%の増加、新型コロナも定点が10.91人で、前週が9.70人だったので約12%の増加ということです。また学級閉鎖も増加をしてきておりまして、今後の動向に注意が必要です。

我々は、感染状況に応じて医療提供体制を確保してまいりますが、府民の皆様におかれましては、手洗い、場面に応じたマスク着用、こまめな換気ということで、引き続き、感染予防対策の励行を是非ともお願いしたいと思っておりますので、御協力のほどよろしくお願いしたいと思います。

私からは以上です。

質疑応答

記者

知事にとっては、2期目の折り返しに当たるところであり、かなり想いも詰まった予算と思う。

あえて、今回力を入れた分野を挙げるとすればどういった点か。

知事

最初の「予算編成の基本方針」のところでも言いましたが、京都府総合計画を改定した初年度が令和5年度で、子育て支援医療費助成の拡充や、子どもの教育のための総合交付金の創設、またアート&テクノロジー・ヴィレッジ京都のオープンなど、着実に成果が出ています。これを更に推進するということで、今回、「あたたかい京都づくり」を加速するための予算と銘打っています。

総合計画の3つの視点で申し上げますと、まず、すべての営みの土台となる「安心」につきましては、一番最初に説明しました精神障害者の医療助成制度を市町村と連携して新たに創設し、以前からの課題だった精神疾患以外の医療について負担の軽減を図ります。それから、能登半島地震で木造家屋の倒壊がかなりあったということで、京都も当然耐震化の目標値を定めていますが、その達成に向けて加速化したいということで、今回はかなり思い切った制度拡充となっており、近畿圏の中ではおそらくトップクラス、全国的に見ても高知県に次いで高い水準になっています。ただ、2年度間の緊急的な取組ですので、是非とも御活用いただきたいです。

2つ目の、子どもたちを育み、絆を守る「温もり」については、総合計画の改定を受けて、昨年12月1日に子育て環境日本一推進戦略を改定しました。しかも条例も通していただきましたので、まさに令和6年度が発射として重要なスタートだと考えています。その中では、条例にも書いてありました、(まち全体で子どもを見守り支える)まちづくりの計画を進めていきます。これは市町村に取り組んでもらうものですが、我々も計画づくりから伴走支援をして、いいものを作りたいと考えています。

それから、いろんな業界が全体として人手不足ですけれども、先ほど言いました農林水産業、建設業、観光業、地域交通のところは、特に固有の様々な課題も抱えていますので、ここについては、各業界の実態を踏まえた人材確保対策を講じたいと考えています。

例えば農業者の方が、農作物のいわゆる農業の知識だけじゃなくて農業の経営も学びたいとなったら、是非生涯現役クリエイティブセンターを活用して、そこを通じていろんなことを学ぶなど、分野横断的な、人材育成を是非とも行いたいと考えています。

あとは環境です。家庭向けの省エネ性能がいいエアコン・冷蔵庫の購入時へのポイント還元ということで、これは府内で利用できるポイントにするということで、地域経済の活性化にも寄与できるように工夫したつもりです。

3つ目の「夢実現」の中では、産業創造リーディングゾーンを全体として前に進めていくというのが趣旨ですが、ただそれぞれの場所によって熟度が違いますので、これはそれぞれのところについて1歩ずつ前に進めたいと考えています。

特にスタートアップ企業については、昨年開催した「IVS KYOTO」が、かなりいろんなところから評価されていて、京都企業だけではなく京都を舞台として、スタートアップ企業の育成や交流をするということで、また今年も開きたいということを聞いてますので、こういう取組を通じて、スタートアップ企業の育成にも努めていきたいと考えています。

記者

行財政改革のところで厳しい財政状況だと仰っていたが、改めて、現在の財政状況の認識を聞きたい。また、「府民ニーズに即した事業の見直し」について、具体的な事業で挙げられるものはあるか。

知事

まず状況の認識から言うと、社会保障関係経費の累増などの影響もあり、昨年度に引き続き、今回は約155億円の収支不足でした。令和5年度の当初予算では約160億円でしたので、若干改善しておりますが、依然として財政状況が厳しいという認識に変わりはありません。

府民ニーズに即した事業の見直しについては、これまで府が行っていたものを国制度に移行して、できる限り国の財源を使うことや、今まで購入していた設備をリースに変えることなど、細かなものの積み上げです。

それから、予算編成時に「新陳代謝プログラム」として、同じことをずっと行うのではなく必ず一定の年限で見直すなど、そうした積み上げで12億円になるということです。

記者

府民のサービスカットに繋がるようなものではないということか。

知事

当然、それでは意味がないので、府民サービスを維持しながらできるだけ効率的にやっていこうと考えています。

記者

精神障害者への医療助成制度について、全市町村で一斉にスタートできるかが課題だと思うが、システム改修を行うなどした上で、全市町村で令和6年8月から開始できる見込みか。

知事

実行する段階でもう少し精査が必要だと思いますが、今のところは実行性を加味した上で8月と書かせていただいており、何とかなるのではないかと考えています。

記者

「私立高等学校あんしん修学支援事業」の他府県への越境通学者に対する支援の実施については、全ての他府県と調整中なのか。

知事

こちらから他府県に提案をしまして、京都府から一定の通学者がいる府県と調整中ですが、まだ調整が整ったところはありません。

年度当初が近づいた時期で、それぞれの府県も予算編成が進んでいますので、令和6年度当初からということではなく、これは粘り強く調整していきたいと考えています。

なお、和歌山県は独自の制度をお持ちではないため、相互支援の調整の対象外となります。

記者

アリーナ整備については予算に計上していないのか。していない場合は、その理由を教えて欲しい。

知事

アリーナ整備に関する予算については今回含まれておりません。

今、支援業務を委託した事業者と技術的検証を進めていますので、その結果も踏まえた上で総合的に判断したいと考えています。委託の終了時期は3月29日としておりますが、それはたまたま契約の兼ね合いであり、その結果も踏まえて考えていきますが、拙速にならないよう十分検討していきます。整備スキームも併せて検討しなければいけないので、具体に予算化するまでの熟度には達していないと考えています。

別件ではありますが、向日町の競輪場については、昨年の12月に策定した基本構想に基づき、老朽施設の解体や競輪の開催設備の移設、また他の競輪場の借り上げ開催に必要な予算を計上しております。

記者

アリーナ整備は補正予算で対応するということか。

知事

それは結論の出る時期によります。予算なので、実行にあたりハード・ソフトも含めて必要性が出てくれば、その段階で最適な方法で必要な経費を賄うことになると考えています。今の段階から補正予算で対応するといった確定的なことは申し上げられません。

記者

その段階で整備地を決めるということか。

知事

そこはスキームとの兼ね合いになるので、先に候補地を決めた上でということになるか、どういう形になるのかは分かりません。

記者

北陸新幹線関係の予算はないのか。

知事

ここにはないと思います。

記者

予算全体について、「あたたかい京都づくり」と書かれているが、具体的にどういう思いを込めているのか。

知事

根本的には、予算だけでなく制度も含めて、やはり京都府総合計画が府政推進の羅針盤です。それを一昨年の12月に作って、令和5年度からスタートさせましたが、令和5年度はまだ初年度ですので、いろいろなものを初年度に一部計上して次年度に本格的に行くとか、予算にもいろんなパターンがあるのですが、どちらにしても、総合計画に盛り込まれている施策を着実に進めたいというのが令和6年度だと考えています。「あたたかい京都づくり」というのは総合計画のキャッチフレーズですので、それを促進したいということです。

具体の事業としては大きいものから小さいものまでいろんなものが入っていますけれども、その中であえて言えば、子育て環境日本一については、子育て支援医療助成制度の拡充と、子どもの教育のための総合交付金については先行して作ったのですが、京都府子育て環境日本一推進戦略を昨年12月1日に決定しましたので、戦略に基づく施策展開というのは年明けから始まってはいますが、令和6年度がまさにスタートラインだと思っています。それについては、まさに「あたたかい京都」ということなので、力を入れていきたいです。

それともう一つは、人手不足対策もそうですし、例えば文化庁との連携や万博に向けた取組など、今、直面している課題というのがありますので、それについては、きちっと対応するための予算を組んでいかなければいけないという思いはありました。

その一つとして入ってきたのは能登半島地震を受けての耐震化対策です。被害の実態を目の当たりにして、できる限り耐震化を加速したいという思いで、かなり思い切った予算ですが、2年度間の緊急的な支援拡充をさせていただいたというところです。

記者

子育て支援については、来年度に特に力を入れたいということか。

知事

元々、私自身はまちづくり支援というものをやりたくて、最初の頃にも取り組みましたが、どうしても箱ものの整備になりました。箱ものもニーズが高くて利用もありますが、もう少しまち全体に広げたい、ただ、まち全体と言うとぼやけてくるので一定のエリアの中で、子ども達に優しく、子育てに優しいまちを作っていきたいという思いがありました。

今回は条例にも入れて、モデル的に計画も作って、ハードだけでなく、子育て支援をする人やNPOや地域のボランティアや大学生などを巻き込んでまちを作っていこうという制度をスタートさせました。

ただ、いきなり大規模にはできないので、まず令和6年度は、きちんとした形でいいものを作るという前提でスタートさせたいという思いを込めています。それ以外にも子育て支援の予算はたくさん盛り込んでおります。

記者

当初予算に「多様な担い手確保支援事業」があるが、これまで特にバスの運転手不足といった課題に対して対策を考える必要があるとの認識を示されていたが、これが一つの対策ということになるのか。

知事

そうです。地域交通に関しては、二種免許の取得の支援などは過去にも行っていますが、そうしたことをやっていきます。

記者

特に新しい点はどこか。

知事

地域交通の観点で言えば、(資料37ページの)地域モビリティサービスの実証運行支援を行います。

記者

総務省が発表した2023年の人口移動報告では京都府は転出超過となっていたが、知事の受け止めはどうか。

知事

人口移動報告の計算方法は2014年から今の集計方法になったということで、2014年以降は外国人移動者も含むなど、さまざまに変わっているので、そういうことも含めて分析しなければいけないと考えています。

まだ完全に分析した訳ではありませんが、表面だけを見ますと、10代の転入超過が減少し、20・30代は転出超過が増加している一方で、40・50代は転出超過から転入超過に転じています。特に大きなボリュームゾーンとなる20・30代は、大阪府への転出超過数が増加しています。

ただ、要因の分析ができないことと、増減だけを比べた場合に、たまたま大規模なマンションが一つできた時には転入超過になりますが、その後も増え続ける訳ではありません。

市町村別で見ても、例えば宇治市などでもマンションができたことで人口が流入して、転出超過数が減少しています。

何のために分析するのかということにもよりますが、今問題となっている人口流出の問題とも絡めて、その中の一つの統計データとして分析しないといけないと思いますが、動態分析はなかなか難しく、これだけをもって政策に繋がるようなことが言えるかというと、そこまでの分析はまだできていないのが実情です。

記者

東京都への転入数が増加しているが、東京一極集中に対する所感はどうか。

知事

2022年が約3万8000人で、2023年が約6万8000人ということで、かなり大幅な転入超過数の増加になっていますが、いずれにしても東京都の転入超過が常に多いというのは、どう見ても東京一極集中の傾向を表していると思います。

国土形成計画の中でも東京都への過度な集中を是正することが喫緊の課題であると国も昨年7月に閣議決定しています。これは国土構造の問題も関わってきますし、税などさまざまな要因も関わってきますが、今回の災害の状況等、いろいろなことを見ても、東京圏への過度な集中というのは是正されるべきだと考えています。

記者

京都市長選で当選された松井氏は人口減少対策に取り組むと言われているが、その辺りにおける連携はどのようなことを考えているか。

知事

松井さんは人口減少対策というよりも、大学生の定着や若い世代の方が居住地として京都を選んでもらうためにどうするかということを考えていくと仰っています。これについては、私も問題意識は全く同じです。

しかも、京都市というだけでなく、もう少し大きな都市圏エリアの捉え方をされていますし、府市協調でまちづくりの観点から子育て世代を中心とした若い世代、特に転出しようとした人が、どうすれば京都に居住し続けてもらえるかが大きな課題だと考えています。これは総合的なまちづくり施策にも関わってくると思いますので、松井さんと十分に話し合いたいです。

記者

現在、法制審議会で共同親権についての議論が進んでおり、児童相談所への影響もあると思うが所見はどうか。

知事

元々離婚後も両親が共同で子どもを養育できるということについては、お子さんにとってメリットがあるからこそ議論になっています。ただし、元の配偶者からDVや虐待がある場合には、共同親権によって逃げることが難しくなるといったデメリットも存在すると言われています。そうした中で我々としては、どんな環境であっても子ども達が安心・安全に生活できるようにすることが重要だと考えています。

これは審議会の答申であり、いずれ法制化されていくとは思いますが、当然のことですが一定のメリットがあるならそれを確保しながらデメリットをなくした形で運用ができるよう、我々もその努力をしていかなければいけないと考えています。

非常に難しい問題ではありますが、そういうことがあるからこそ審議会で慎重に検討された結果だと思います。

記者

京都市長選挙の結果について、受け止めはどうか。

知事

まず私自身は松井さんを支援しておりましたので、松井孝治さんが初当選を果たされたことには心からお祝いを申し上げたいと思いますし、私自身も大変嬉しく思っております。

選挙の結果については、それぞれの有権者の方の投票の結果だと思いますが、私からすると松井孝治さんがそれまでの経験を活かして、ふるさと京都に恩返しをしたいという熱い思いを持っておられましたし、それはいろいろな所から、松井さんのお話からも、私も十分肌で感じられました。

京都への恩返しを実現するための公約、参議院議員や大学で教鞭を執られた実績や経験、それから人柄も非常に温かく、そうしたことが総合的に京都市民に評価されたことが初当選に繋がったと思っています。

松井新市長には、市民の皆様から託された期待や希望に応えることが必要ですし、公約された施策がありますので、その実現に全力を尽くされることを期待したいです。

全力を尽くされる中で、公約の中でもこれまで積み重ねてきた府市協調を新たなステージに引き上げることを掲げておられ、これは私も全く同じ思いなので、京都府・京都市という行政が府市協調で核となった上に、経済界や文化関係、医療関係、社会福祉、教育など、さまざまなオール京都の皆さんが結集できる形での府市協調ができれば、より一段高い施策が実現していくのではないかと考えていますので、そのことについては期待していますし、逆に言えば私どもも新しい松井市政に対して府市協調という形できちんと連携していかなければならないという思いを強くしています。

記者

選挙期間中、知事はかなり熱心に松井さんの演説会等に参加し、最終日には松井陣営のジャンパーを着て手を振るなどの応援をされていたが、そこまで応援される理由は何か。

知事

実は応援については、4年前の門川市長の4回目の選挙の時とそれほど変わってはいませんので、「そこまで」と言われるほどのことはありません。ジャンパーは、寒かったので着たという部分もあります。

府市協調で取り組まなければいけないことは非常に多くあります。松井さんの公約の中に「突き抜ける世界都市京都」というものがありますが、我々は、これまでから「文化首都・京都」をつくるとずっと言ってきて、文化庁の京都移転でスタートラインに立ったと私は言っています。やはり「首都」ですから、中身がなければ文化首都にはなりません。日本の文化的な首都は京都だと世界からきちんと分かってもらうというのは、松井さんの「世界都市京都」と共通性もあります。国際的に日本の地位が低下気味ではないかという中で、日本の文化についてはかなり評価も高く、それを実現することを公約にされているのであれば、私がしようとしていることと親和性が高いという観点から、できる限り支援をさせていただきました。

記者

演説会でも「新たなステージに府市協調を引き上げる」とか「更なる高みを目指した府市協調」という言葉を使われていたが、それは文化首都・京都を実現するということか。

知事

文化で言えばそういうことです。昨年の記者会見でも文化庁が移転してきて何か変わったことがあるかとよく聞かれますし、「なるほどな」とわかる形での次のステージが絶対に必要です。文化庁が京都に存在するというだけで、京都が文化首都だと思う人はいません。

元々、文化としての京都の魅力はありますが、「なるほど、京都からこんなことが発信されているのか。」というようなことをやっていこうということです。しかも、首都東京は首都圏と言っていますので、やはり京都に文化首都があるとなると関西圏としての文化の存在感を高めなければいけません。しなければいけないことは、結構あります。

それから、昨年改定した子育て環境日本一推進戦略の中には「子育てにやさしいまちづくり」はありますが、人口流出のような都市計画の概念の分野はまた違う分野なので入っていません。ですが、実際はそこも関係してきますし、大学生の卒業後の京都への定着率が17%台と低いことについては私も常々言っていますし、若い世代が京都に住み続けられるまちづくりをしようというところも非常に親和性がありました。

まちづくりは相当根本的にいろいろなことを考えないといけません。もちろん都市計画は京都市の計画ですが、広域自治体の京都府がどのように一緒にやっていけるのか、まだ具体的な施策はありませんが、考えることはたくさんあります。

記者

先ほど松井さんが来庁され、府市協調の取組として、子ども通院医療費の中学生までの拡充を挙げられていた。京都府は支援を拡充したばかりであるがこれに対する対応の考えはどうか。

知事

先ほどの松井さんへの取材は私も聞かせていただきましたが、非常に熱心にそこが重要だと松井さんは仰っているので、それだけを単独で話し合うということではありませんが、それも含めた府市協調をどのような形で、どう進めていくかは意見交換しなければいけないと思っているので、その中で思いを直接聞いた上で、我々がどう応えられるかは考えていきたいです。

記者

新しい京都市政に京都府から求めたいことは何か。

知事

例えば、子育て環境日本一の取組で2040年に全国平均並みの合計特殊出生率とすることを目標にしていますが、圧倒的に京都市の数字が低いので、京都府全体の目標を達成しようと考えると、京都市に頑張っていただかないといけない部分がいろいろとあります。

特に、子育ての話と、合計特殊出生率の分析の中でも結婚や子どもができたことを機に転出している世帯が多いことが分かったのですが、それが統計上、どういうふうに合計特殊出生率に影響しているのかは分析しきれませんでした。ですので、今後のまちづくりの中で、公約で掲げられたような取組をされることについては、都市計画に責任のある京都市に頑張ってもらいたいです。

松井さんは経済産業省の出身ですし、演説でも産業政策についてはいろんなことを語っておらましたし、逆に知恵や人脈を活かし、政策課題に一緒に取り組んでいけることもあると思いますので、そういうところにも是非期待したいです。

財政については両方とも厳しいので、どちらがどうということはないと思います。お互い知恵を出して、どうやって厳しい財政状況の中で効果を出していくかというのはよく話し合いたいと思います。それは楽しみにしています。

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