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令和6年3月15日定例知事記者会見

学び直しサイト「KYO育tv.」の開設について

本日の発表項目は、学び直しサイト「KYO育tv.」についてです。

京都府では、人生100年時代において、生涯にわたって活躍し続けることができる環境づくりに取り組んでおり、令和3年度に京都府生涯現役クリエイティブセンターを立ち上げ、全世代型のセンターとして、リカレント研修の提供などに取り組んでおります。

一方で、企業の方からは、「北部からは研修に参加できない」とか「研修に派遣するだけの時間的ゆとりがない」、また「育休から復帰する社員に向けた研修がほしい」といった声もいただいております。

そのような御意見も踏まえまして、24時間いつでも、そしてどこからでも学ぶことができるオンラインサイトを3月21日に開設します。

主な特徴としては、ビジネスやスキルアップに役立つ約300講座を完全無料でオンデマンド配信すること、国のデジタルスキル標準に対応したデジタル関係の講座が充実していること、自身の受講履歴などを確認できるマイページ機能やキャリア支援が受けられるコンシェルジュ機能を実装したことなどとなっております。

また、サイトオープンに合わせまして、京都のトップリーダーの皆様に御講演をいただくビジネス講座を順次配信する予定としております。

完全無料で御利用いただけますので、多くの皆様に活用いただけるよう、皆様からの周知をよろしくお願いいたします。

私からは以上です。

質疑応答

記者

今日から始める学び直し「KYO育tv.」サイトについて、こういった学び直しのためのウェブサイトを行政が立ち上げるのは珍しいと思うが、他に全国でこういう事例はあるのか。また、京都府がやらなければならない理由はあるのか。

知事

今回発表したサイトの前に、令和3年度に生涯現役クリエイティブセンターをつくったのは、まさに学び直しやリスキリング、リカレント教育のためでした。一方で人生80年・100年時代で、途中で学び直したいという非常に強いニーズがあるものの、どこに相談に行けばいいかわからない。例えば農業を学びたい人はどこだとか、ボランティアはどうだとか、転職の場合とか、あと社内で部署を変えたいとか、いろいろなニーズがあります。そこでとりあえずこのセンターの門をたたいていただければ、まず仕分けをして、センター直営の講座もあるし、それ以外のところにも紹介するというところで、そういう生涯現役クリエイティブセンターという存在自体が、おそらく全国で唯一のものと思っています。その制度を評価されて、国からの支援も受けてきました。

ちょうどその頃から人材不足とか、世の中の雇用や労働の環境が、途中で職を変わるということについて非常に流動化してきたというような流れもあり、最初はミドル・シニア世代を対象と考えていたのですが、実際に蓋を開けてみると女性とか若い世代からもそういうニーズがあったということがありました。

このセンター自身が全国唯一ということですので、その目的に沿った今回のオンライン教育のコンテンツを提供する取組というのも、正確に調べた訳ではないですが、おそらく全国初の取組ではないかと考えています。

どうして京都府がやるのかというと、誰がやってもいいと思いますけれども、国の雇用政策の中でも、なかなかこういうきめ細かいところまでいってないということと、誰かが乗り出さないと、そういう潜在的なリスキリングのニーズを酌み取れないのではないかと考え、まずはここに来てもらえれば、いろんな形で窓口を紹介しますということです。

誰かがということであれば、私の判断としては、まず、京都府が公的な立場としてやれば単なる職業紹介ではありませんし、信用性も高いです。その後、入口のところでさまざまな紹介先、例えば大学のリカレント教育につなぐとか、そういう部分については、実はセンターだけで教えられることは少ないので、それを的確に関係のところにつないでいくという役割を果たすのであれば、一番網羅的にそういうことに精通している京都府がやるべきではないかということでやらせていただいたということです。そういう意味では、かなりモデル的というか、先進的な取組であることは間違いないと思います。

記者

今回のこの取組を通じて、府民の方に講座を受講していただくことは、どういった思いがあって実施するのか。

知事

1つは、人手不足で担い手の確保が非常に重要になってきているので、この取組をすればより的確に雇用に繋げていけるということがあります。特に北部などでいろいろな話を聞いていると、結構ミドル層でふるさとに戻って来たいというような声もあり、昔であればなかなか働き口がありませんでしたが、今は結構人手不足なので、雇用のニーズの方もありますので、そうした方を雇用に繋げやすいということにもなってきていると考えています。雇用に繋げられることになるのであれば、当然、産業施策としては、人材の確保ができるということです。

それからもう1つは、これはまさにお一人おひとりの生活の中で、「自分は本当はこういうことをしたい」とか、「20年会社に勤めたけれどやっぱり違うことやりたい」とか、そうしたことは結構あると思いますが、今までですと、なかなかそれに踏み切れないまま、最初の職場で定年を迎えられた方もおられたと思います。そういう個人個人のいわゆるライフスタイルに対する要望に合わせたものを提供するということが、それぞれの方の幸せにも繋がるのではないかという意味でも、学び直しの機会を提供するということには意味があるのではないかと考えています。

そうした両方の意味から取組を始めるものです。

記者

新型コロナについて、国が公費支援を今月に終了するが、知事の受け止めと府の対応がどう変わるのか伺いたい。

知事

昨年5月に感染症法上の5類感染症に位置付けられ、それ以降は一定の移行期間ということで公費支援も少し残っています。今回ウイルスの病原性に大きな変化がなく、順調に経過しているということで、4月以降は通常の医療提供体制に戻るということを国が決められたということです。

私としては四年余り続いたコロナとの闘いについて、まずはそういう形でこの4月を迎えるということについては、府民の皆様や事業者の皆様の感染防止への御協力と、何と言っても医療現場の第一線で奮闘いただいた医療従事者の皆様に心から感謝したいというのが私としての一番の感想です。

通常の医療体制に移行するということは、これまで緊急包括支援交付金という国の交付金を使って行っていました医療費の公費支援や入院調整の仕組み、ワクチンの無料接種などがなくなります。我々の方でも「きょうと新型コロナ医療相談センター」や、いわゆる発熱外来の「外来対応医療機関」を府のホームページにリスト掲載していますが、これは3月末をもって終了させたいと考えています。

それから5月に移行した時に円滑な移行の推進や感染の再拡大に備え設置しました「新型コロナウイルス感染症連絡本部」も、結局開いていないですが、3月31日をもって廃止したいと考えています。

この辺りのことについては、特に相談窓口は府民の皆様にも関係が深いので、改めてプレスリリースを一覧表の形で来週早々にもさせていただきたいと考えています。

いずれにしても、4月からは通常の医療提供体制になりますので、これまでコロナ対応で特別に行っていたものについては一区切りをつけさせていただきます。

記者

府として独自の支援は考えているか。

知事

今のところは考えていません。

記者

毎週コロナの発生状況を発表しているが、それはどうなるのか。

知事

これからは、コロナだけの発生状況の発表はやめ、感染症全体については今もホームページ上で公表していますので、他の感染症の中に新型コロナウイルス感染症についても入れるということです。感染症の公表の並びの中に新型コロナウイルスについても盛り込むという形で対応したいと考えています。

その辺りも含めて、来週発表させていただきたいと考えています。

記者

府のホームページにコロナの外来医療機関などが公表されているが、それも全部なくなるのか。

知事 

そうです。それについてはまた分かりやすく発表させていただきます。

記者

アリーナの建設地を昨日の府議会予算特別委員会で表明されたが、改めてこのタイミングでの表明となった理由を伺いたい。

知事

これまでからスポーツ施設のあり方懇話会や、共同体育館整備に係る意見聴取会議、府民の皆様を対象とした意見聴取会において、幅広く意見をもらって検討を進めてきました。現在実施しております屋内スポーツ施設整備検討支援業務で、府立大学と向日町競輪場の両地について、敷地の特性や地盤の状況、防災拠点としての役割などについては大きな差はない旨の報告を受けていましたが、向日町競輪場は、やはりこれまでサイクルスポーツに取り組むなどスポーツに親しむ土壌があるということで、スポーツ振興の観点では屋内スポーツ施設との相乗効果が高められるということと、それからこれまでも大規模イベントの開催の実績があること、地元の向日市の自治会からも地域活性化のために整備を歓迎するという声がありました。

また、競技団体からは従前から要望を聞いていましたが、改めて10万筆を超える署名とともに早期整備の求めがあり、一方、府立大学からは、大学当局の方から大学体育館の規模としての整備を求める声があったところです。

そうした背景があった中で、昨日は議会でしたので質問がなければ答えないのですが、質問がありましたので、このタイミングで整備地についてだけは、まず私の考え方を表明して、今後更に整備内容について詰めていかなければいけませんが、両候補地を並行してというよりも、まず整備地を決めた上で、より詳細な検討に入った方が的確な検討に繋がるのではないかということで、昨日の議会での質問に答えさせていただいたということです。

記者

アリーナについて、向日町競輪場に選定した理由として、最近分かった情報というよりは、大会の開催実績があることや相乗効果が期待できるなど、以前から分かっていたことなのではないかと思う。議会で質問があったから答えたということだが、私たちも会見の場で何度も質問していて、その時はまだ判断材料や検討が足りないということで、検討されているという認識をしていた。

いろいろな条件があって、今回選ばれたとは思うが、今回このタイミングで選定された決め手になったことはあるのか。

知事

やはり検討支援業務を進めていくと、いよいよ本格的に整備内容を検討していくという時に、2ヶ所同時並行でやっても、最終的にはどちらか一方にしかならないということであれば、より的確に検討していくためには、少し遅いかもしれませんが、年度内には業務の結果が出てきますので、年度が明けた時にそれに基づいたことをスタートさせるということで、その前に早い段階で整備地を決めた方がいいし、しかも皆様からも何度も聞かれていましたし、実は内部でここに場所を決めて進めていましたと言うよりも、少なくとも整備地は関心も高いので、私の方から皆様にお知らせするのがいいのではないかと考えたというのが一番です。なぜ昨日だったのかという理由かどうかは別にしても、この段階で整備地を申し上げたということです。

それからもう一つは、府立大学の体育館のところでも大学側から、1月末だったと思いますが、学長から大学の体育館としての規模で整備してほしいという話が正式にあり、府立大学の体育館の共同体育館構想として検討してきましたが、それも今年に入ってからの要素の一つとしてはあります。

それから、検討支援業務の中で、敷地や地盤などの状況は、それほど両方に遜色はないという中間的な検討成果も示してもらいましたので、そういうことであれば、この段階で決めて、次の段階のより詳細な検討に入っていきたいと私が判断したということです。

記者

アリーナについて、府立大学の周辺住民からはアリーナ建設に反対する声も上がっていただが、選定の結果にその影響はあるのか。

知事

元々府民の皆様の意見の中には、当然北山エリア周辺の方の意見も含まれていますので、府民の皆様の施策に対する声を当然聞いて尊重するというのは基本的な姿勢としてはあります。

ただし必要があれば、そうしたいろいろな御意見の方に我々からも当然説明をして、理解を求めるというアプローチをすることによって、いろいろな施策を進めています。

反対の声があったということはもちろん承知していますが、反対の声があったから、府立大学の体育館ではなく向日町競輪場にしたということでは全くなく、向日市の方も例えば交通渋滞の問題など様々な課題の声を上げられている方もおられますから、どちらで整備するにしても、きちんと住民の皆様に理解をしていただく形で整備を進めるのが当然だと思っていますので、それが理由になったということではないです。

記者

整備手法や事業費、開業時期などは、これからの検討になるということだが、今後の進め方について伺いたい。

知事

先ほど言いましたように整備地を決定しましたので、より具体的な検討に移せるようになったと考えています。

屋内スポーツ施設の整備検討支援業務は、年度末にその結果が出てくるということなので、まずはそれを踏まえて、年度が変われば早々にその事業規模や事業費のことなどについて、具体的な作業にかかりたいと考えています。

ただこれは昨日も答えましたが、敷地や機能をどうするかとか、規模など、いろいろ考えなければいけないこともありますし、府民負担はなるべく少なくする必要があると考えているので、整備手法についてもそれに合わせて並行して考えていくことになります。

そうしたことも含めてのことなので、目途はなかなか言えませんが、一方で、Bリーグやハンナリーズからは、Bリーグプレミアムの審査スケジュールなども前提にいろいろ御都合もあるようには聞いていますので、それに引っ張られるということではありませんが、一定秋ぐらいまでには何らかの目途を立てなければいけないということは念頭に置いています。

ただ、今は確定的なスケジュールを申し上げる段階にはありません。

記者

年度明け以降の検討の作業というのは、新年度予算案にはアリーナだけの予算というのはないと思うが、文化施設政策監付の事務費の中から出すということか。

知事

基本的に通常業務というのは、人件費や光熱費も含みますので、検討業務については、特別の予算立てがなくてもできると考えています。

ただし、より財政支出を伴うような検討作業がもし生じてくれば、それはその都度、議会に提案した上で、補正予算編成ということも可能性がないことはないと思います。ただ、まずは整備内容の検討ということであれば、当面はいわゆる一般的な通常業務の中で進めていきたいと考えています。

記者

整備手法も事業費もこれからなのでまだ分からないと思うが、地元負担として向日市の負担が発生する可能性はあるのか。

また、交通渋滞の懸念の声が、地元住民から上がっているが、どう考えているか。

知事

地元負担の話については、まだ全く整備手法が決まっていないので、全国的な他のアリーナの整備の状況などを見ていただければ大体の想像はつくとは思いますが、今、確定的なことは申し上げられません。

交通渋滞については、いろいろなまちづくりや都市計画にとって当然のことですが、一定の集客があり、人が往来するような施設をつくる場合については、その交通をどうやって受け止めるのかという検討が必要ですので、それは当然並行して、どういう流れでそこに人がおられるのかということも含めて検討した上で、それに対して環境整備が必要であれば、これはまさに地元の都市計画であり、まちづくりそのものになるので、御相談しながら進めることになると思います。その前に、まずは施設の規模や収容人員なども含めた形、利用がどれぐらい想定されるかなど、そういう検討をしないと、周辺のまちづくりへの影響についても検討に入れないので、まずは施設整備についての検討を優先させたいと考えています。

記者

明日、北陸新幹線が敦賀まで開業するが、以前知事はこの開業に合わせて北部振興に繋げたいと言っていたが、具体的にどういう形で進めていきたいと考えているのか。

知事

まずは新幹線なので、基本的に人を運ぶという前提に立てば、JRの方も秋から「はなあかり」という日本海側を東西に結ぶような観光列車の運行なども考えておられ、北陸新幹線で敦賀に来られた方をできる限り北部の方の周遊に繋げていくということが、既に一部具体化が発表されている項目なので、そこが一番だと考えています。

北陸新幹線の敦賀開業を活かすということであれば、まずは観光振興だと考えています。

ただ、人の流れができれば、それは観光だけではなくビジネスに繋がる可能性もありますが、すぐにというのはなかなか難しいので、まずは北陸新幹線を使って敦賀に来られた方に京都府北部に来ていただき、できる限り海の京都エリア、森の京都エリアの振興に繋げていくために交通アクセスを改善していくということです。

JRが発表されたのは観光列車だけですが、他の通常の在来線もあり、場合によってバスの運行などもあるので、例えば旅行商品の造成などもやっていかなければならないと考えています。

記者

敦賀開業の式典に知事が出席する予定はあるか。

知事

公務の都合があり、出席する予定ではありません。

記者

敦賀開業によって、「大学進学の際に関東方面を選ぶ学生が増えるのではないか」といったことや、「関西から金沢方面に行く際には敦賀での乗り換えが発生することで関西圏からの観光客が減るのではないか」といった懸念も一部で言われているが、どうか。

知事

大学の進学について、私はそうした声を聞いたことがありませんが、今でも京都府北部の課題は、高等教育機関が福知山公立大学とそこに併設してキャンパスを設けられている京都工芸繊維大学しかなく、その兼ね合いで北部の方が関東に行かれるという話は、北陸新幹線とは関係なく、もともと北部地域の大きな課題でした。

関西地域全体から学生が取られるということであれば、それは一部便利になった方に行くという可能性はありますが、大学には(実家から)通う方だけという訳でもないので、それほどの大きな影響は出ないのではないかと思います。

記者

福井出身の方で京都の大学に進学している方は多いと思うが、実家に帰る時には北陸新幹線があり行き来しやすいので、下宿を前提に関東の大学に進学する人が増えてくるのではないか。

知事

金沢開業の時にも同じような話が北陸の経済圏の関係で出たかもしれません。いろいろな観光誘客のこともあり、そういう議論はありました。結果的にこれは分析していませんが、金沢開業が、京都の大学への進学の分布にどういった影響があったのかを見れば分かると思いますが、今でも京都の大学生は微増しています。その年代の人口はすごく減少傾向にあるにもかかわらずです。

金沢開業の影響がそれほど出なかったということであれば、より西にある敦賀開業で、首都圏の大学への進学による影響が金沢開業の時よりも多く出るということはないと考えています。これは、おそらく資料としてはっきりしていると思います。

それから、敦賀乗り換えの話は前から出ています。サンダーバードが敦賀で止まるということで、特にこれは福井県内、例えば福井市へのアクセスは多いですが、敦賀で乗り換えなければならないということの論点はあります。

ただ今回、私も現地で見ましたが、敦賀駅での北陸新幹線とサンダーバードの乗り換えは、通常の在来線ホームではなく、北陸新幹線のホームの真下に接続特急だけは入れるということで、かなりのアクセス改善をされていますし、エスカレーターで1個上に上がればもう新幹線のホームだということで、JRもかなり努力をされているということなので、もちろん乗り換えは必要になりますが、全体的なアクセスとしては、乗り換えの利便性向上もあり、時間が短縮されるということもあるので、それに期待したいです。

要するに、サンダーバードが敦賀で止まることの不便さをカバーするのに十分な利便性の向上が期待できるのではないかと考えています。

記者

話は戻るが、敦賀開業による京都の大学への進学の影響はそれほど心配していないということか。

知事

はい、そうです。

記者

新大阪に向けた全線開通について、これまでから知事は、国と鉄道運輸機構に対して慎重な調査と丁寧な説明をということを繰り返し言っているが、国に対しては正式に要望する場面があるかと思うが、機構に対してはどういった場面で、この間、要望をしてきたのか。

知事

基本的には機構の幹部の方が、出張等の時に私のところにも来られていますので、具体的な日付は分かりませんが、機構の方に会う時には、当然ながら向こうからも話題にされますので、大体その時にお話をさせていただいています。

要望会のような具体的な形では、私自身はしていませんが、事務方レベルでは当然会う機会がありますので、そうした時に我々の政府に対する提案の中身そのものを、機構の方に事務的には十分伝えていると聞いています。

記者

西田昌司参議院議員が、北陸新幹線の全線開通に向けた費用負担のあり方について、一旦まずは国債を発行して整備した後に、地元の負担分についてはその後時間をかけて負担すればいいというような趣旨のことを仰っていたと思うが、そうした費用負担についての考えに対する知事の考えはどうか。

知事

西田参議院議員の発言について、今御紹介のあったことは私はあまり聞いたことがないので、それについての論評はできませんが、従来から言っているように、受益に見合った負担になるように、いわゆる制度改正も含めて対応してほしいということに尽きます。受益に応じた負担というのは当たり前のことでして、受益以上の負担をしてはいけないということであり、それに尽きると考えています。

そのためにも、全体の事業がどういう事業になるのかということが、ある程度確定しないとその話に入れないと思います。

西田参議院議員が仰ったという今の話も、負担の時期を平準化し、後ろに送ると言っても、最終的に地元が負担する部分があるとすれば、その部分がまさに受益に応じた負担になるかということを考えなければいけないということなので、一定の負担を受け入れる際に、その負担の時期をどうするのかという話だとすれば、先でも後でも、それほど大きな差はないと思います。ただもちろん、一定の負担をもし受け入れた場合でも、平準化してもらえるというような話というのは、当然あるとは思いますが、まだまだそういう話をする段階ではないと考えています。

記者

受益に応じた負担について、府内に新設される予定の駅は、京都駅と松井山手駅の二駅になっていると思う。この現状でいくと受益という部分は、それほど上がらないのではないかと思うが、どうか。

知事

駅や駅周辺などで行われることだけを考えるとそうですが、京都はやはり国内外からたくさんの方を誘客するところなので、その波及効果というのは、おそらく一定程度広いエリアに及んでいるはずです。

駅の数というのも、もちろん波及効果を考える場合には1つの大きな要素ではあると思いますが、2ヶ所だからどうこうということではなく、実際にそこの駅の存在によってどういう効果があるのかということをきちんとはじき出さないと、何とも言えないと考えています。

記者

今回の敦賀への延伸について、改めて、京都府としては京都にどういった影響があると考えているのか。

知事

去年、敦賀駅を視察させていただきましたが、やはり北陸の方は皆さん、特に福井の方は非常に歓迎ムードであり、それに合わせて地域の様々な取組をされていました。それについては、私も共に本当に北陸新幹線の敦賀開業をお祝いしたい気持ちがあります。

先ほどの答えと重なりますが、少なくとも敦賀までは来る訳ですから、その敦賀に来られた方をどうやって京都府内の周遊に繋げていくのかということです。

もちろん、これまでからサンダーバードで京都駅に入って来ていましたが、それ以外のルートとしては、やはり敦賀まで来たということであれば、これは鉄道の場合も、場合によっては自動車交通で入る場合もありますが、北部に直接繋げていく努力をしていくべきだと考えています。

例えばクルーズについても、コロナ前の最盛期においては日本国内を回る3~4泊のクルーズが中京圏も含めて関西圏から舞鶴にかなりお客さんを集めており、舞鶴から出航して舞鶴に帰ってくるというツアーをやっていました。そういう北部でのいろいろな観光ツールに繋げるようなことも、金沢と言うとなかなかイメージしにくいのですが、敦賀であれば一定イメージもできてきます。それはまさにこれから、我々自身もそうですし、福井県とも連携しながら、どんなことができるか考えていきたいです。新幹線なので、人を運ぶということであれば、誘客に繋げていくということを一番にしたいと考えています。

記者

今後、福井県と連携して北部への誘客を後押しするような施策を検討するということか。

知事

それはやはり旅行商品の開発ということになりますが、コロナ前は京都駅から出発するサンダーバードは外国人客でいっぱいで、私が国体(※2018福井県開催)へ行く時など、席が取れないほど混んでいました。そうした京都に行ってから金沢に行くというルートもありました。今までは金沢に行くことが前提だったのですが、より近い敦賀となったことで、当然、京都観光と福井県との観光の周遊なども当然念頭に置くことになっていくのではないかと思います。

記者

小浜・京都ルートについては、大深度地下工事の問題があったり、地元の負担がどのくらいになるのか分からないが、受益が一定程度あればその分の負担があるということだが、現状で小浜・京都ルートの実現可能性はあるのか。

知事

6年以上前になりますが、政府与党のプロジェクトチームで今のルートが正式に決まって、それを前提に鉄道運輸機構が法律に基づく環境アセスメントをされているということが、事実としては唯一のことであり、実現可能性を前提にしながら国や鉄道運輸機構が対応されているというのが大前提だと考えています。

ただし、環境アセスメントですから、その環境上の課題をクリアしないといけないということです。しかも施工上の課題もかなりたくさんあるので、施工上の課題を検討する範囲で調査も進められています。それらのアクションは全て、小浜・京都ルートを実現させることを前提にした取組だと我々は理解をしています。

そのためにも、慎重な調査と丁寧な地元説明をすることと、施工上の課題や環境上の課題をクリアすること自体が早期の整備に繋がるので、しっかりやってほしいとお願いしているということです。

記者

能登半島地震の被災地の方への支援として、北陸新幹線の敦賀開業をきっかけとした取組の予定は何かあるか。

知事

もともと今回の敦賀開業については、地震発生直後から、まずは通常どおり開業できるのかという話もありましたが、そこは路盤も含めて物理的な影響がないということでしたし、地元の石川県等も含めて被災地の方は、北陸新幹線が是非通常どおり開業して、しかもそれが被災地の復旧・復興に繋がることを願っておられますので、その思いは私も同じです。

北陸新幹線の開業がなくても、被災地の復旧・復興についてはできる限り御支援を申し上げるというのは当然でして、その中で観光誘客、こちらから言えば送客にも御協力したいし、是非一緒に石川県なり北陸の復興に協力したいという思いもあります。まだ受け皿の事情もあるので、何ができるのかということや、地元の御要望を踏まえてやらないと、我々の方で勝手に考えても的確な支援にはならないと思いますので、そこはよく意見交換をしないといけません。しかもこれは、すぐにやってすぐに終わるものではなく、息の長い取組になると思っていますので、是非地元の意向も踏まえて支援したいと考えています。

しかも、京都府が行うというだけではなく、京都の経済界、産業界の方からも相談をお受けしています。「支援したいけれども、どういうことができるのか」とか、「誰と相談したらいいのか」というような相談が我々の方にも来ています。その辺りは、こちら側と向こう側のできることをきちんと繋いで、民間企業ベースでの支援についても積極的にコーディネートしていきたいです。

記者

先日、国土交通省から京都市域等についてライドシェアを4月から解禁するという発表があったが、これについての受け止めと対応を伺いたい。

知事

ライドシェアについて、国土交通省が4月から開始する新しい制度は、タクシー業者の管理下で、しかも対象地域、期間、時間帯、車両数を限定した上で、自家用車や一般ドライバーの活用を認めるということなので、制度としても利用者の安心・安全という課題については、ある程度クリアされやすい仕組みになっていると考えています。

まずは、この制度をつくられたことに心から敬意を表したいと思いますし、実施区域として京都市以南の16市町村が選ばれたことについては、私自身は非常に喜ばしいことだと思っています。これに対応して、タクシー事業者の方々が、より的確な仕組みを構築されて、しかもそれが地域の交通状況の改善や観光振興、地域活性化に繋がるようなものになることを願っています。

まだ対象区域が発表されただけですので、一部の事業者の方でも参入意欲を示されていることは承知しておりますが、できる限り的確に、良い事業として進めていただければありがたいです。

記者

今月の27日で文化庁の京都移転から1年を迎えるが、何か成果や課題があれば教えてほしい。

知事 

1年は早いものだと私も思いまして、昨年の3月に移転の式典をして、看板の除幕もやらせていただきました。ただずっと申し上げていますが、コロナ等もあり、移転に向けたプレイベント等もできませんでした。

ただ文化庁の方では、移転を契機に文化観光推進本部と食文化推進本部をつくられ、京都と親和性の高い施策立案に向けた姿勢を示していただきました。現に長官や職員の方は様々な行催事等に参加され、文化庁と地域のいろいろな文化資源との距離が非常に近いということを痛感されており、より実践的に学ぼうとされています。また、京都府や京都市の若手職員と文化庁の方の意見交換会をしたり、文化庁の幹部の方が府内の市町村を回って様々なヒアリングを行うといったことを通して、色々な文化について理解し、それを施策に繋げていこうと、積極的に取り組んでいただいていると考えています。

一部、移転の記念事業などもさせていただきましたが、文化庁の京都移転というのは、まだ「文化の都・京都」の実現に向けた歩みのスタートに立ったばかりと考えており、来年度からはその歩みを本格化させていくことが重要だと考えています。

その中で非常に重要なのは、京都市の松井新市長が仰る、「突き抜ける「世界都市京都」」、しかもそれは「文化の都・京都」と仰っていますが、「文化の都」ということを国内外から本当に実感してもらうためには、今までのレベルにはないような、よりレベルの高い取組を、府市協調だけではなく、移転の誘致をしたオール京都の体制でつくっていくということです。

文化庁との連携のプラットフォームはつくっていますが、そんなに大がかりな事業を展開している訳ではないので、これについてはやはり来年度の非常に大きな課題だと考えています。

「文化の都・京都」と言われるまでの歩みに向けて実質的なスタートを切るのが令和6年度だと思っていますので、これから松井市長との対話を進めながら取り組んでいきたいと考えています。

記者

何か具体的な取組の予定はあるのか。

知事

具体的に予算を組んで進めているのは、音楽祭を2025年の万博に合わせてやろうと言っています。また、文化庁の方では音楽の分野で「日本版グラミー賞」を企画されていて、そのプレイベントを今回するということですが、京都市には京都市交響楽団があって、京都市立芸術大学があって、堀川音楽高校があって、まさに音楽的な基盤を持っておられますので、それをできる限り活かして、文化庁を巻き込んだ大きなものにしたいです。

芸術分野についても、我々はArt Collaboration Kyotoを開催しています。また、京都市立芸術大学が民間企業と進めるアートとテクノロジーの融合がありますが、我々は大山崎にアート&テクノロジー・ヴィレッジ京都を開設しており、府市協調でやれば、より大きくなるような取組は結構あると思っていますので、これから一緒に考えていきたいです。

記者

生活文化や伝統文化の振興についても取り組む予定か。

知事

もちろんそうです。松井市長も「文化を支えているのは町衆の方だ」と言っています。そういう方々の活性化のためにどういうことを行っていくのかかなり幅広い分野にはなりますが、そういうことも一緒に進めていきたいです。

記者

4月から医師や建設業に携わる方々の残業規制が始まるが、その辺りについて知事の考えはどうか。

知事

もともと平成30年の労働基準法の改正により時間外労働の上限規制ができたのですが、建設業や運輸業、医師などの特殊な業務については5年間の猶予があり、いよいよ4月から規制が適用されるということです。

それぞれの事業分野ごとに言うことはいたしませんが、まずは長時間労働の是正については、労働者の健康確保もありますし、ワークライフバランスを改善するという意味でも非常に大きな意義があります。しかも長時間労働を是正することは、誰もが働きやすい職場環境の実現になりますし、結局は企業の労働生産性の向上にも繋がるということで、非常に重要であることは間違いないです。

一方で、例えば今、バスやトラックの運転手が不足していて、物流や人流に影響が出るのではないかと言われています。医師で言えば、時間外の規制が適用されることによって、府民の皆さんの健康管理に影響が出るということが懸念されます。医師にとっても勤務環境の改善は絶対に必要ですが、一方で地域の医療提供体制の確保も必要であり、いずれにしても両立しなければいけないので、様々な工夫が必要だと考えています。

我々も、少ない財源の中で、できる限り勤務環境の改善について支援したいと考えていますが、私自身は、慣行的にやっていた働き方について、使用者も、働いている方も意識を変えないと、いくら制度をつくって支援をするといっても、勤務環境の改善はなかなかできないと考えています。

これが非常に特殊な分野と言われた分野でもようやく始まる訳ですから、より一層の改善に取り組んでもらいたいです。

建設業について言うと、私も長く携わっていましたが、公共事業の工期の設定から始まって、いろいろと改善しないといけません。そうしないと若い人が来ないということもあるので、だいぶ進んではきましたが、そういう意識改革をきちんと進めていただいて、それぞれが魅力ある職場になるように是非努力してもらいたいというのが私の希望です。

記者

物流や人流、医療機能の維持への影響に対して、どうしていくか考えはどうか。

知事

もちろん影響はあります。ただ影響があるからといって、時間外勤務の規制を外すべきだという話ではなくて、それはやはり勤務環境の改善と交通や医療機能の確保を両立していくことに尽きます。

 

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