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令和6年5月10日定例知事記者会見

府立植物園開園100周年記念の取組の実施について

府立植物園の開園100周年を記念する取組についてです。

本年1月1日に開園100周年を迎えた府立植物園では、より多くの府民の皆様に植物園にお越しいただき、お楽しみいただけるよう、資料に記載していますとおり、今年1年を通じて様々な取組を計画しています。

本日はこの中から2つの取組について詳細をお知らせさせていただきます。

 

1つ目は、今月の22日と23日に開催する「ばらフェア」です。

見ごろを迎える春バラに囲まれながら過ごすアフターヌーンティーやバラのワークショップ、大学生などによるミニコンサートなどをお楽しみいただけます。

また、5月22日からは、シヤチハタ株式会社の御協力により、全てのスタンプを押すと植物園の風景が完成するスタンプラリーも開催します。

 

2つ目は、7月19日から開催する「恐竜時代の植物展」です。

これは全国の博物館や民間企業とのコラボレーションにより実現した府立植物園としては初めての取組であり、国立科学博物館などから提供いただく恐竜の化石標本やフィギュアと植物との合体展示やワークショップ、リレー講座などを実施します。

恐竜と植物の関わりを学んでいただくことを通じて、植物園の新しい魅力を提供し、多くの皆様に楽しんでいただける取組となっています。

 

その他の取組の詳細については、後日、その都度改めて発表させていただきますが、10月に開催する100周年記念祭、光や音で植物を彩る催し「メディアアートプロジェクト」など、様々な取組を予定していますので、周知についてご協力をよろしくお願いいたします。

私からは以上です。よろしくお願いします。

府立植物園開園100周年記念の取組の実施について(PDF:3,455KB)

質疑応答

記者

植物園100周年を記念する取組について、子どもたちが大好きな恐竜を展示する企画があるが、なぜ恐竜に着目したのか。また、様々なイベントを通じて来園者数の目標はあるのか。

知事

来園者数について、昨年度は80万人ほどでしたが、今年度は100万人を目標として掲げています。そのためにも、先日、シカが出没し、休日にも関わらず閉園しましたが、そのようなことがないようにしたいと思います。

恐竜展については、恐竜と植物の関わりについても展示します。恐竜は子どもたちに人気が高いので、恐竜を切り口にして植物について興味をもっていいただくきっかけになればと考えています。植物との関わりを通じてということです。また、植物園が持っている博物館機能を強化するということも今後の取組に掲げている中で、この度、国立科学博物館、兵庫県立人と自然の博物館、大阪市立自然史博物館など比較的恐竜との関連が深い博物館との連携が実現しましたので、博物館機能の強化のスタートになればと考えています。また時期が夏休みということもあり、興味をもっていただけなければ来園してもらえないと考えています。恐竜が動く仕掛けはありませんが、連携する博物館からお借りした大型のレプリカの標本などを展示するとともに、植物園所蔵の植物の化石なども展示したいと考えています。

恐竜のフィギュアについては、ドイツのシュライヒの巨大恐竜フィギュアを正門、北山門の付近にも展示を考えており、園内全体で盛り上げていきたいと考えています。

いずれにしましても、子どもたちに人気の高い恐竜を切り口に植物への興味をもってもらうことを目的としています。

記者

植物園開園100周年記念の取組について、「どんぐりの森」とはどのようなイメージなのか。

知事

私たちが子どもの頃、どんぐり拾いは一つの大きなアイテムでした。どんぐりがなるブナ科の落葉樹を集めたエリアに複合遊具などを設置して、子どもたちが拾ったどんぐりをポストに入れるなど、どんぐりを通じて植物や自然に触れてもらいたい。特に未就学児、小さなお子さんの原体験となるような空間を整備したいという思いです。

大手の玩具メーカーから寄附の申し出もあるので、子どもたちが遊べるような遊具も設置して、どんぐりを媒介に、小さい時から自然と触れ合うきっかけをつくりたいと考えています。

記者

どんぐりの森は、植物園の中に新しくつくるのか。

知事

今ある植物を若干整備し、安全のために木の下を整地したりします。

記者

敷地面積はどのぐらいか。

知事

そこまでは分かりませんので、あとで取材をお願いします。

記者

100周年を記念して毎月イベントを開催するのか。

知事

ほぼ毎月開催します。1月にもお知らせしましたが、特にこの「恐竜時代の植物展」は夏休みの開催をイメージしているので、特に夏に向けたイベントについては今回まとめてお知らせしています。

先程申し上げた開園100周年記念式典やメディアアートプロジェクトなどは非常に魅力的なプロジェクトですが、まだ具体的に固まっていないところがあるので、秋に向けて改めてお知らせします。

100周年記念の様々な取組は、本日の記者発表資料に書いているほかにも、100周年記念と称していろいろなことをさせていただきます。

記者

植物園の博物館機能とは今までどんな形で、これからどのように強化していくのか。

知事

もともと100周年に向けて、植物園をこれからどのように整備していこうかとコンセプトを考えた時に、教育学習機能の充実や、若い世代にとっての魅力拡大に取り組むという議論があり、その中で博物館機能の強化というテーマも出てきました。

博物館機能とは、植物にも化石があり、長い間あまり形が変わっていない植物もあれば、進化の歴史もあるので、そういうことも学べるように、博物館としての機能を強化すべきではないかということです。今回、複数の博物館と協力し、恐竜と植物は食糧としての関係性も非常に深かったはずなので、そういう面でも植物と恐竜との関係が分かることで、植物園の博物館機能の強化に繋がるのではないかということから、スタートしようとしているところです。

記者

地方自治法の改正案が衆議院で審議入りした。コロナ禍で生じた課題を踏まえ、非常事態における国の指示権拡大を盛り込んだ内容になっているが、野党からは地方分権の流れを逆行させる懸念が指摘されている。昨年11月、地方制度調査会から答申案が出た段階でも聞いたが、改めて地方分権の改革の成果など、コロナ禍の対応に当たった経験を踏まえて、今回の改正の必要性について知事の考えはどうか。

知事

今回の自治法改正案は、第33次地方制度調査会の答申を踏まえて、国の地方公共団体に対する補充的な指示権の規定が盛り込まれました。様々な議論がありますので、まずは国会において十分に審議していただきたいというのが一つの希望です。

その上で、仕組みを導入するに当たっては、地方自治体の自主性や自立性を十分尊重していただくことが大前提です。国が一方的に指示するのではなく、コミュニケーションをとって、それぞれが理解し合った上で、国と地方公共団体が補完し合えるような制度にすべきではないかと考えています。

法案の中身は、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に限って」ということで、あくまで国と地方公共団体との関係の「特例」の位置付けであり、指示に際しても、閣議決定を経て、必要な限度において行使すること、あらかじめ地方公共団体の意見を求めるなど、適切な措置を講ずることが定められていますので、国と地方の関係については一定の配慮がなされていると考えています。

国会審議や制度説明はこれからだと思いますが、本日、全国知事会の村井会長から、事前に適切な協議・調整を行うこと、地方自治の本旨に則り、目的達成のために必要最小限の範囲とすることを、国に要請すると聞いています。これは京都府だけの問題ではなく、全国の都道府県が同じ方向を向いて取り組んでいきたいと考えています。

経験を踏まえてということで言えば、どんな場合があるのかはなかなか分からないところもありますが、いろいろな状況の中で各都道府県が一定の方向に向かって対応していく場合が、コロナ禍の時にもありました。そういった場合など極めて限定的な範囲で、国民の安心・安全を確保するという観点に立って、国と地方が協力できるような場面で使っていただくということに尽きると考えています。

まだ法案の段階なので、国会審議を通じて様々な課題や問題点を全て出した上で、適切な制度にしていただきたいです。

記者

現時点の法案の内容を見る限り、国の指示権拡大の必要性について理解するということか。

知事

具体的に、「こういう場面でこういうことを」ということが分かれば、もっと分かりやすくなると思います。法で定められたことについては、今も国からの指示は行えるのですが、そういう規定がない場合で、しかも「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」とありますので、やはり国会の審議だけではなく、一般の国民の方々や我々地方公共団体の立場から、「なるほどそういう場合は必要だ」ということが分かるような形で議論が行われれば、より深まった、いい制度になるのではないかと思います。

記者

非常事態が何かは国が判断するということか。

知事

そうです。国でいろいろ議論はされていると思うので、それをもう少し分かりやすく示してもらえればいいと考えています。

記者

自治体にあらかじめ意見を求めるとか、閣議決定を経た上で決めるといった手続きが踏まれることを適切な措置と言われたが、今、政府が用意しているこのやり方はある程度適切だと思うか。

知事

もともと法案を作成される過程で、地方の意見も聞いていただき、全国知事会としてもこういう形でやってほしいという要望を出し、それを踏まえた形で制度が組まれているので、一定の配慮はいただいていると考えています。

ただ、具体的に運用する段階でさらなる課題が出てくる可能性もあるので、そこは法案審議の過程で明らかにしていただいた上で、法律レベル以外のことも含めて、運用レベルでの課題を明らかにしてもらえればと思います。

記者

現状の法案では少し分かりにくいということか。

知事

いいえ、法案が分かりにくいというよりも、運用のイメージが少し分かりにくいのではないかと私自身は思っているということです。ただ、先程も言いましたように、これも京都府だけの問題ではなく、全国の都道府県の問題として1つの方向を向いて対応していかないと国を動かすことはできないと思うので、意見を集約する必要があると考えています。

記者

地方自治法の改正について、非常事態において「必要最小限の範囲で」という話があったが、これは村井会長の言葉か、それとも知事の見解なのか。

知事

村井会長が、本日、そういう観点で要請されると聞いております。我々は全国知事会で議論をしているので、私も同じ意見ですが、村井会長が代表して要請されるということです。

記者

コロナ対応の振り返りについて、死亡者の中で高齢者施設や自宅で亡くなった方が291人。そのうちの85%は看取り、または医療が提供されている高齢者施設にいたので、「医療の提供を求めていない」という判断があった。

私は、取材当時、施設側から医療の提供を求めていたのに入院できなかったという事例を聞いているので、医療を求めていたが提供されなかった人は1人もいなかったと言えるかどうかは疑問があるが、どうか。

知事

医療を求めるというのは、あくまで入院したいという希望であって、一方で入院が必要かどうかの医療的な判断や患者の状況等も踏まえて入院医療コントロールセンターが適切に調整していました。そもそも高齢者施設で一定の介護やケアを受けられている方を違う環境に置くことで影響が出るのかどうかも含めた総合判断の上で入院の必要性を判断されたと思います。

入院できなくても状況に応じ診察する場合や、医療従事者の常駐はなくても高齢者施設が医療施設等と提携している場合など、各論で言えばいろいろなケースがあると思いますので、我々としては必要な医療や入院措置は適切に行われたということで、それぞれの各論について分析しています。

記者

新型コロナについて、5月8日で5類に移行して1年を迎えたが、それに対する受け止めはどうか。また、5類に移行はしたが、医療機関や高齢者施設では引き続き感染対策が求められる。今後の対策について考えを伺いたい。

知事

5類に位置付けられて以降も、ウイルスの病原性について大きな変化はなく、今年4月に医療も通常の体制に移行し、今のところは順調に経過していると考えています。

長い間にわたり感染防止対策に御協力いただいた府民の皆様、事業者の皆様、そして今も引き続き医療現場の第一線で御奮闘いただいています医療従事者の皆様に感謝を申し上げます。

医療提供体制について一言申し上げますと、外来診療は一部混み合った時期もありましたが、第7波や第8波のような感染拡大は見られませんでしたので、全体として外来が逼迫する状況ではありませんでした。

入院も、昨年5月から確保病床ではなく通常の入院体制で対応してきまして、それもそれほど混乱もなく済みました。

入院調整については、入院支援センターを本年3月まで残しましたが、あまり持ち込まれることもなく、移行期間において通常の医療体制へ円滑に移行できたと考えています。

5類になったからといってウイルスが消失したわけではなく、あくまで5類になったということなので、引き続き手洗いや換気のような、その状況に応じた感染対策には是非とも取り組んでいただきたいと考えています。

記者

医療機関や高齢者施設に対する支援は行うのか。

知事

5類移行後、この3月末までの移行期間の中で、通常医療の中でコロナ患者についても対応してきました。その上で4月から通常体制に移行しましたので、改めての支援は考えていません。

ただ、繰り返しになりますが、ウイルスが消失したわけではなくて、医療機関では、引き続き5類の感染症であることは十分念頭において対応していただいていると思っています。

記者

花折断層帯地震の被害想定について、昨日、市町村別の被害想定を出されたが、例えばブロック塀の倒壊による人的被害や文化財の被害件数やエレベーターの閉じ込め件数など、内閣府の算定手法に基づいて一律で算定している内容で公表されていないものがある。想定を出す以上、対策とセットにしないといけないからかもしれないが、可能なら持っている情報は公表したほうがいいのではないか。

知事

今回は被害想定の見直しが論点となっていて、元々の被害想定は出ているけれども、見直した項目については公表されていないとおっしゃっているのですか。

記者

元々2008年にはなかった項目で、今回、新規で想定した数字なので、前回との比較はできないが、算定した以上は公表してもいいのではないか。

知事

そのとおりだと思います。公表されていない項目があることを私は把握していませんが、数字の信憑性について精査しているのか、比較できるものだけを公表したということかもしれません。

既に被害を想定している項目については、見直して数字が少し動いても、地震対策でやるべきことはそんなに変わらないのですが、新しい項目があるのであれば、新たな対策へつながる可能性もあるので、セットで検討する必要があるということであれば公表すべきではないかと思います。

記者

向日町競輪場の整備費用について、前回の会見で、府が単独で整備する場合は340億円かかると言われたが、今回のプロポーザルで府の負担をどの程度まで減らすことを目指すのか。

知事

今、公表できる数字はありません。我々としては、はっきり言って少なければ少ないほどいいということしかありません。それは審査の項目でもあるので、あらかじめ目標額を出して、その程度でいいと思われても困ります。できる限り少なくしてもらいたいという中で競っていただければありがたいと思います。

しかも今回は管理運営費も含めてなので、建設費だけよりもさらに複雑で、様々な手法があると思います。我々が想定する以上に画期的な管理運営案が出てくることを期待しておりますので、この場で私が目途となる数字を申し上げるのは控えさせていただきます。

記者

全国各地でアリーナの整備が行われている中で、そんな画期的な手法がプロポーザルで出てくる可能性はあるのか。

知事

仰るように、他のアリーナについては我々も勉強して、屋内スポーツ競技に使うほか、コンサートのようなイベントや、それ以外にもいろいろな行事に使うことなどを前提にしています。

建設費用については、一定の規模で一定の機能を備えるのであれば、おのずとある程度のラインは出てくると思うのですが、使い方についてはバリエーションがあり、いい案を出してもらいたいので、数字を示していないのです。もし、今日その数字を出すのであれば、公募の時に示せばいいのではないかという話にもなりますから、数字を出すことは控えさせていただきます。

記者

鳥取県が6月に選挙で投票立会人のオンライン化を導入することへの所見と、京都府内に導入する可能性について伺いたい。

知事

もともと鳥取県は、2人以上必要とされる投票立会人の確保ができないために、投票所を閉めなければならず、投票所が減少している状況があるということです。これは鳥取県だけではないかもしれません。

投票機会の確保は民主主義の根幹ですから、何とかしなければなりません。ただ一方で、投票立会人は選挙の公正性を担保するために必要です。その中で、オンラインという新たな手法を導入することで、公正な選挙を保てるのではないかというのが今回の措置だと考えます。

総務省から鳥取県に発出された通知の中でも、オンラインでも必要な公正性を担保するための措置についていろいろ示されていますので、鳥取県が適正な運用をされることによって、一つの手法が示されるのではないかと思います。

一方で今後も人口減少が続く中で選挙執行をどうしていくのかは、投票立会人に限らず、全体として考えたほうがいいと思います。過疎地域でも選挙機会と公平性を確保するために、どういう手法があるのかをよく考えるべきではないかということです。

今回のオンラインの投票立会人が一つの手法としてうまくいけばいいと思っていますが、京都府内への導入については、もともと選挙管理委員会の仕事なので、どういう状況があるのかを選挙管理委員会で検討されたほうがいいと考えます。投票立会人の問題だけではないという気もするのですが、これは私の権限外なのであまり踏み込んだことは言えません。

記者

住宅土地統計調査の結果が発表され、空き家が非常に増えているということだが、これに対する受け止めと府としての対応を伺いたい。

知事

令和5年の住宅土地統計調査で、京都府内の空き家率は、平成30年の12.8%から13.1%へと、わずかですが増加しています。空き家戸数も引き続き8,000戸ほど増加していますので、非常に問題です。

しかも、空き家の増加は、犯罪リスクを高め、景観の悪化など周囲に悪影響を及ぼすことから、空き家対策は引き続き非常に重要な課題です。今回の統計調査に限らず、従来からの問題ということです。

空き家対策は、周囲に既に悪影響を及ぼしている空き家の除却と、放っておけばいずれそういう状況になる空き家を適正に管理することです。そして築年数が比較的浅い空き家については、せっかくの資本なのでできる限り有効活用するということで、特に有効活用に焦点を当てた形で、空家等対策の推進に関する特別措置法の改正が行われたと理解しています。

我々も、京都市も、流通を担っておられる業界団体と連携して、先進事例などを市町村へ情報提供しております。また、条例に基づいて移住者の方の空き家改修や、所有者の方が空き家の中の家財を整理する場合の補助など、それほど大きな額ではありませんが、支援制度を設けています。

空き家対策については、いろいろな団体と我々行政が一丸となって対応しなければならないと考えています。

記者

空き家を有効活用することで移住者を増やすこともできると思うが、その辺りはどうか。

知事

空き家バンクへの登録制度もあるのですが、やはり所有者の方がまだ手放したくないとか、仏壇などの家財が入っているとか、いろいろな事情があります。ただ単に所有しておられるわけではなく、その方にとっては非常に貴重な財産であり、思い出の詰まった場所でもあるので、やはり一戸一戸きめ細かくやっていかないといけないのではないかと思います。

市町村によってはかなり細かく空き家情報を出して活用されているところもありますし、流通を担っておられる業界団体でも、最近は結構空き家問題に言及されている方が多いので、そうしたご協力も得ながら、個別にきめ細かく対応しなければいけない課題だと考えています。

記者

先日、厚生労働省の研究班が認知症患者の数を発表し、6人に1人と非常に増えると見込まれている。これについての受け止めと府としての対応を伺いたい。

知事

私は厚生労働省の推計を細かくは見ていないのですが、全国ベースで認知症の数を出されていて、2025年には472万人で、2040年が584万人、2060年には645万人の高齢者が認知症になるということです。認知症の手前の軽度認知障害も2060年には632万人ということで、これはかなり深刻な問題です。

都道府県別に推計されているのではなく、全国ベースでの比率を京都府の総人口数に掛けると自動的に出てくるのですが、いずれにしても非常に増えることは間違いないです。

認知症になられても、個人の尊厳が尊重されて、しかも住み慣れた地域で安心して暮らしていけるようにすることが大事なのですが、そのためにはかなりきめ細かな対応が必要になります。

京都府では比較的先進的な取組を行ってきました。国においては、昨年6月に認知症基本法が成立しましたが、京都府ではその10年前から地域包括ケア推進機構で京都式オレンジプランを策定し、切れ目のない医療・介護の推進はもちろん、一般の方に認知症の理解を深めていただく取組や認知症の方を企業や地域で支える体制づくりなど、独自に様々な取組をしています。

非常にボリュームが大きいだけに、大変な課題ではあるのですが、地域の皆さんが、地域包括ケアの中で、認知症の方に対して寄り添ってケアをしていくために、どうしていくのか。これは地域医療との兼ね合いもあるので、かなり大きな課題ではありますが、関係者一丸となって取り組んでいくしかないと私自身は思っています。

京都らしい取組を一つだけ申し上げると、「京都府認知症応援大使」を任命して、認知症の方が自らの言葉で発信することで啓発活動を行っています。私も「京都府認知症応援大使」の方と意見交換をしたことがありますが、非常に使命感を持って、できる限り社会参加したい、認知症対策にも参画したいという意向を持っておられます。このような取組をきめ細かくやっていきたいと考えています。

記者

大型連休中、京都府内の人出がどれぐらいあったか、数字は出ているか。

知事

人出の数字は把握していませんが、特に京都市内については、京都市観光協会で、ゴールデンウイーク期間中の人流や、ゴールデンウイーク対策向けに実施したSNSによるデジタル広告やライブカメラ映像を活用した観光マナー、手ぶら観光、分散化に係る啓発の効果測定をされています。正確なデータではありませんが、京都市観光協会によると、全国的な傾向として、日本人の旅行動向が比較的鈍く、京都市内の人出も昨年よりも少ない印象だということです。

一般の方からの京都府総合観光案内所への苦情も、去年と同様、例年ほどではなかったと聞いています。皆さんも報道されていましたが、最終日の5月6日はいつも混雑するスポットが空いていたという話も出ていましたので、全体的に国内の方の旅行動向が少し鈍かったのではないかと感じています。海外の方はコロナ前を超える形で来られたと思います。

記者

それを受けて、知事が考える課題はあるか。

知事

今回のゴールデンウイーク期間中の混雑度とは関係なく、やはり京都市内の特定のスポットに、特に訪日外国人観光客を中心に、人が集中していることで様々な課題が生じていることは分かっているので、これをどう分散化していくかは引き続きの課題です。

先日の松井市長とのトップミーティングでは、「とっておきの京都」と「もうひとつの京都」との連携で周遊観光をしていこうと話をしました。

京都市内は特に交通が課題ですので、ライドシェアのスタート式でもありましたが、直通の乗合タクシーや直通バス、それからJRに増便の要望をして嵯峨野線をコロナ前の状況に戻してもらいましたが、そういった交通対策を行っており、また、観光マナーについての呼びかけをやっていこうと考えています。

また、京都府の立場からすれば、「もうひとつの京都」エリアを、より多くの方に周遊していただくことで、より大きく地域の分散化を図っていきたいと考えています。

記者

マナーの呼びかけは今、京都市が独自で行っているが、府も何か始めるのか。

知事

京都市は京都市内に来られる観光客の方に呼びかけておられ、府も同じ立場です。京都市以外の府域については行っていません。

記者

今後やっていく可能性はあるか。

知事

京都府域でオーバーツーリズムが起こっているとしたら、おそらく伊根町ぐらいと思います。伊根町が町としてどんな取組をしているか、私自身は把握していませんが、府がやるというよりも伊根町がスポットでやったほうが効果があるかもしれません。何かしらは実施されていると思うので、取材していただければと思います。

記者

間人ガニの産地偽装の件について、再発防止の検討委員会を開くという話も聞いたが、具体的にそのスケジュール感や、どういったメンバーなのか、どういったことを協議されるのかなど、何か内容について決まっていることがあれば教えていただきたい。

知事

間人ガニの産地偽装の問題については、まずは原因究明と再発防止を早期に検討した上で、産地一丸となって消費者の信頼回復に取り組むことがポイントです。

今御指摘ありましたように、漁協を設置主体とする、「間人ガニのブランド適正化協議会(仮称)」を設立しまして、タグの適正管理と表示の徹底に向けた管理体制づくりを進める予定です。先ほど言いましたようにブランド向上対策が重要なので、もう一度間人ガニのブランド価値を再評価して、PRや販売促進に繋げていくことも検討しています。

具体的には、スケジュールについては今のところ5月22日(水曜日)を目途に協議会を設立し、7月まで全3回ほど開催して検討を行うことにしています。

なるべく早く再発防止対策とブランド価値の再評価を行い、それができればそれ以降は、11月には漁期を迎えますので、再発防止策の実証やPRに繋げていきたいと考えています。

協議会のメンバーですが、まずは実効的な再発防止対策を議論するということであれば、生産や流通、行政の分野に加えて、食品管理の専門家の方や学識経験者にも参加いただきたいですし、またブランド価値の再評価とPRという観点であれば、観光や消費者団体の方にも委員に加わっていきたいということで、5月22日に向けて、メンバーも含めて調整中です。

メンバーや設置の概要が決まれば改めてプレスリリースさせていただきます。

いずれにしても、5月22日に協議会を設立すべく準備を進めているところです。

記者

協議会は7月まで開催して、その後は具体的な取組を進めるということか。

知事

そうです。8月以降は再発防止対策については、まず、決めたことがきちんと回るかどうかという実証をして信頼を勝ち取った上で、今度は積極的にブランド価値のPRなどに努めていきたいと考えています。

記者

先日、ユニコーン企業が京都から出たと発表された。IT企業は東京に集中する傾向がある中で、京都からユニコーン企業が誕生した意義について聞きたい。また、有力な企業を核とした仕掛けづくりを考えているか。

知事

これまで世界に伍するスタートアップをつくるために、京阪神が一体となって内閣府の指定も受けてきましたし、我々自身も次の京都産業を担うスタートアップを育成しようと努力してきました。その成果として今回ユニコーン企業が誕生しました。今までの様々な取組の成果が出たということなので、そうした取組をより進化させ、継続していくことが重要だと考えています。

昨年、スタートアップの国際カンファレンス「IVS2023KYOTO」を開催して、約1万人が参加し、うち2,000人が海外からの参加で、京都の企業だけではなく、全国、世界の企業が参加され、非常に好評でした。これは今年も開催します。

やはり、京都は、京都の企業だけではなく、京都という舞台でスタートアップが成長していく場所なのだと認識してもらえれば情報や人材やお金が集まってくると思うので、取組を続けていきたいと考えています。そうした中で京都からユニコーンが誕生したことによるPR効果は非常に高いので、より積極的に打ち出していきたいと考えています。

IT企業と言えば、昨年のIVS2023のピッチコンテストで一番評価されたのは、千葉県の会社の製品で、介護施設でおむつが汚れるとベッドのセンサーが自動的に知らせるシステムでした。そのほか20ほど最終に残ったうちの8割はIT企業の製品でした。やはりIT企業はスタートアップの中でもかなりの数を占めているので、京都のIT企業からユニコーンが誕生した意味も非常に大きいです。

京都のスタートアップを育成する上で足りないことは幾つかあり、京都大学があるからシーズはいっぱいあるにもかかわらず経営的な感覚や資金がまだまだ足りないことなど、いろいろな課題が指摘されています。その点は、きちんと課題を吸収して対応していきたいと考えています。これは京都市とも一緒にやっていかなければいけないことです。京都からユニコーンが生まれたことで担当者は皆励みになっていますので、さらに積極的に育成を進めていきたいです。

 

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