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令和6年5月30日定例知事記者会見

令和6年度6月補正予算案の概要について

令和6年度6月補正予算が概ね取りまとまりましたので、その概要を御説明します。

なお、6月10日に予定されている京都府議会定例会開会日に提案する予定です。

予算編成の基本方針

予算編成の基本方針ですが、現在「あたたかい京都づくり」を加速化するために編成した令和6年度の当初予算と、物価高騰対策等を盛り込んだ令和5年度2月補正予算の執行に努めているところですが、今回の6月補正予算は新型コロナウイルス感染症が5類に移行した後、平常モードとして5年ぶりとなる編成ですので、当初予算編成後に生じた国費の内示増など、対応が必要なものに限定して編成しています。

大阪・関西万博開催に向けた取組

まず、「大阪・関西万博開催に向けた取組」ということで、1つ目が「大阪・関西万博きょうとの魅力発信事業費」で、2,000万円規模ですが、別途債務負担行為で6,000万円を計上しています。

これは関西パビリオンに隣接して設置される予定の多目的エリアにおきまして、万博のテーマウィークなどと連携したイベントを実施するための運営計画等を実施するということで、特に開催後すぐの令和7年4月下旬からいろいろなイベントを実施しようと考えていますので、準備のために今年度から必要な経費について計上するものです。

2つ目が、「けいはんな次世代技術基盤整備事業費」、5,000万円規模です。

これにつきましては、けいはんな万博や万博終了後も、ロボットや自動運転等の持続可能な実証環境の構築に向けて、通信環境や安全性を向上させる設備を整備するものです。

けいはんな万博でも当然利用するわけですが、その後のけいはんな学研都市の研究開発機能の向上にも資するものだと考えています。

3つ目が、「伏見港公園整備事業費」です。

これは後で申し上げます公共事業の中の内数ですが、万博までの整備を目指している伏見みなと公園と連携しまして、京阪中書島駅から港をつなぐ園路を整備するものです。

その他の施策

次に、「府市連携周遊観光促進事業費」、1,000万円規模です。

これは、4月に行いました松井京都市長との府市トップミーティングの中での成果として初めて具体的な施策に繋げるもので、周遊観光に着手するものです。

具体的な内容としては、府市の多様なエリアの魅力を活かした周遊観光ツアーの造成と、その周遊効果を高めるための効果検証の実施、旅行事業者向けのファムトリップ等の実施などについて、府市で協調して実施します。

京都市はもう既に記者発表済みですが、5月補正予算で1,000万円、府が6月補正で1,000万、合わせて2,000万円を活用して周遊観光の取組に着手したいと考えています。

これは府市トップミーティングの成果の具体的な取組としての第1弾ですが、この周遊観光については、更に内容をこれからもブラッシュアップしていきたいと考えています。

次が、「地域医療人材確保加速化事業費」、3,000万円規模です。緊急的な医師確保対策を実施することで、中北部地域の医師不足に対応するということで、特に地域医療のあり方を検討する講座の開設を支援するものです。地域の医療ニーズが非常に高い小児科と総合診療科の2講座を開設する予定でして、2講座にそれぞれ3名の研究員ということで、合わせて小児科医等を6名確保するものです。

2つ目が、「脱炭素行動促進事業費」、1億円規模です。

これは京都府の脱炭素の取組が国の方に採択され、5年の計画で実施するものでして、太陽光の発電設備の設置支援により、府内の温室効果ガス排出量を削減するものです。

家庭部門と事業部門について、それぞれ設置の支援を行います。

例えば戸建住宅だと、太陽光発電設備と蓄電池と合わせて、最大で26万円までの支援ができるということで、現行最大13万円ですのでかなりの拡充になると考えています。

(資料4ページの)一番下が「向日街競輪場周辺地域まちづくり協働検討費」、100万円規模です。

これは今検討していますアリーナを核として、周辺地域の活性化やまちづくりを、地元と一体となって検討するための経費でして、経済の振興や地元の活性化、地域ブランドの向上などについて、周辺の市町や地元の関係者等とも意見交換をしながらまちづくりについて検討していきたいと考えています。

人・物・情報・日々の生活の基盤づくり

それから、「道路整備等の公共事業」で、35.2億円規模です。

ここに4箇所の事例を挙げています。

京丹後市の国道312号の大宮峰山インター線における道路築造の着手、国道307号の山城大橋における耐震対策の実施、都市計画道路の並河亀岡停車場線の道路拡幅等による安全性の確保、福知山市の大空川における砂防堰堤の設計に入るなどで、予算化しています。

対前年度予算規模と比較しますと、104%ということで拡充しています。

予算案の規模

最後に予算規模ですが、現計予算が9,950億円で、今回の6月補正予算が37億円台、合わせまして、9,987億円台です。

比較で申し上げますと、今回は5年ぶりの平常モードとしての予算編成ということなので、地方創生臨時交付金やコロナ包括交付金を除いて昨年の6月補正後と比較しますと、99.9%ということで、ほぼ前年度並みの予算を確保したということです。

予算については以上です。

令和6年6月定例会提案予定の主な条例の概要

提案予定の主な条例についてです。「文化が活きる京都の推進に関する条例案」の概要です。

文化庁が京都に来て、国の文化の計画である「文化芸術推進基本計画」の第二期が策定され、文化活動の環境が大きく変わっているということで、これからの京都府の発展のためには、京都の文化に府民の皆さんが誇りと愛着を持って、しかも府民の皆様の様々な活動の中に文化の力を活かしていくというような観点から、今回、文化に関する条例を全面的に見直し、新たに制定をするものです。基本理念や基本指針の策定等を規定し、その他連携協力体制の整備や、新たな審議会の設置等についても規定することとしております。

なお現在の「京都府文化力による未来づくり条例」につきましては、今回の条例の制定に伴い、廃止する予定です。

私からは以上です。

質疑応答

記者

補正予算案について、この間はコロナの臨時交付金を活用して、規模の大きな事業を年度途中に編成することも多かったが、5年ぶりの平常モードの予算ということで今回の編成に当たって念頭においたことは何か。

知事

過去を見ると、6月補正予算に必ずしも政策経費を盛り込んでいないような年度もあったと思いますが、私が知事に就任してからは肉付けやコロナ禍で一定の規模で補正予算を編成してきました。今回は平常モードで、当初予算編成後の国費の内示増など対応が必要なものに限って編成したというところが一番のポイントと考えています。そうした中でも万博の準備や向日町競輪場周辺地域のまちづくりなど、早期に着手をしなければいけないものについては、必要性を考えて計上させていただきました。予算額としては、国費の内示増による対応が大きいです。

記者

大阪・関西万博の関西パビリオンの多目的エリアについては、各構成府県が期間を割り当てて、催しなどを展開するが、この多目的エリアを使ってどのような催しやイベントを展開したいと考えているのか。

知事

割り当て時期が決まってきて、その時に万博全体としてテーマウィークのようなこともやっていますので、それと連動させたいと考えています。面積がかなり広いので、ステージのイベントや展示会など大人数が参加をしたり、出店する企画ができると考えておりますので、これからどういうふうに考えていくのか、早めに準備に着手をしたいということで、予算案を計上させていただいております。

特に、4月28日から5月4日が「未来への文化共創ウィーク」というテーマウィークが設定されているので、それに合わせて連動する形にしたいと考えています。イベントの具体的中身についてはこれから検討させていただきたいと考えています。

記者

けいはんな万博について、ロボット運動会や自動運転の実演などを予定しており、万博会場の夢洲エリアと連動して万博期間中に展開していくと思うが、どのような場所にしていきたいのか。

知事

けいはんな学研都市については、もともと筑波のサイエンスシティと併せて国家プロジェクトとして、関西でサイエンスシティをつくるということですが、筑波は研究開発などに特化したエリアになっていますが、けいはんなはまちづくりと連動し、クラスター方式で、エリアの中に自然環境を残しながら、研究開発機能を高めていくものです。関西文化学術研究都市建設促進法にも文化とあり、建設に関する基本方針にも、明確に設立の理念で科学技術創造立国と文化立国を日本は目指すとされております。そういう意味では、全体として万博のテーマの「いのち輝く未来社会のデザイン」とも似ているように思います。万博は会場の中で、様々な未来への社会課題解決を目指していきますが、けいはんな万博は、まちの中で同じようなことを目指していこうと考えています。それがけいはんなの全体の理念につながっていると思いますので、まちの中で、住民の皆様にも色々参加をしていただきながら、けいはんな万博が進められればいいなと考えています。実施主体が明確に決まっており、他のプログラムに比べれば準備は進んでいると思っておりますので、そのために通信環境も含めて万全にし、安全性も高めたいということで、今回5千万円規模で基盤整備事業に着手するということです。

記者

「向日町競輪場周辺地域まちづくり協働検討費」について、具体的に予算の使い方としては、会議費のようなものか。

知事

何かをどこかに委託するとかではなく、あくまで集まったときの会議費といった検討費のために使うということを考えています。予算額はそれほど大きくないのですが、これをやることによって、向日市はもちろんですが、京都市の南西部や乙訓地域など、拠点性を高めるためには、周辺のまちづくりとの連動が必要ですので、改めてどういうふうに(アリーナを)活用していいただくとか、色々な意見があると思いますので、まずは意見を集めて、いずれはもう少し具体的にまちづくり計画に反映していくのですが、とりあえずまずは、アリーナができた場合のアリーナの存在を前提としたまちづくりを我々としても進めてほしいし、多分地元も、アリーナ整備だけではなく、そういうものができるのであれば、「こういうまちづくりをしたい」といいったことを関係者が集まって話し合うためのプラットフォームを作りたいということで、予算を計上させいただきました。

記者

この予算で具体的に何か事業をやるということでないということか。

知事

そうです。それはまたそれぞれの出てきた構想について、事業化していかなければいけないと考えています。

記者

万博開催に向けた取組について、開催まで1年を切ってようやく具体的に動き出す時期に来たのかなと思うが、万博に向けた取組について知事の所見を伺いたい。

知事

マスコミからも含めて様々な課題が指摘されていますが、それは一つひとつ解決して乗り越えていく必要があります。もう開催1年を切りましたので、だいぶ認知度も上がってきたと思っています。

万博を国の事業、協会の事業として、きちんと進めるということは当然ですが、我々としては、せっかく隣接している大阪で開催されますので、今までも考えてきたことですが、その万博が行われることを京都のためにどうやって活かすのかということを考えていくということです。

その中では、特に1970年の万博は会場に行くことによって世界に触れたり、新しい技術などに触れるということでしたが、今回の万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」ということで、社会課題解決に繋げていくということですので、万博会場に行って学ぶことはもちろんですが、それを関西や京都というフィールドで、どうやって発展させていくのかということが重要だと考えています。我々としては、京都府域全体のフィールドの中で今後の京都の地域づくりやまちづくりの方向性に繋がるような形での様々なプログラムができたらいいなと考えています。

そういう意味では、今我々が取り組んでいる大阪・関西万博きょうと推進委員会では、今まで3回開催してアクションプログラムを出していますので、それをよりブラッシュアップして進化させていくことと、委員会でも出ていましたけれども、府民の皆さんも含めて多くの主体の方がそこに集うような形のものを提案していく必要があると考えています。

これは行政だけではなかなかできないので、多くの方に是非参画していただきたいと考えています。

記者

万博関連で伏見港公園の整備事業について、これは会場の夢洲と伏見港を結ぶ構想の関連なのか。

知事

今、伏見みなと公園を整備しておりまして、万博までに完成させたいと考えております。公園は京阪の中書島駅が一番近いのですが、導線が極めてよくないので港と駅をつなぐ園路を整備する事業です。

記者

舟運の復活を見据えているのか。

知事

それはあります。伏見港もありますし、淀川の一番下流の淀川大堰に船が通るように国土交通省が港を使った活性化をしようとされておられますので、その一環として万博の時に伏見港を活用した川巡りのようなものをできないかということについてはセットとして考えています。

記者

万博会場と直接結ぶようなことも考えているのか。

知事

河川管理との関係でそこまでできるかわかりません。これは大阪・関西万博きょうと推進委員会のフラッグシップアクションに位置づけておりまして、川を活用して活性化していこうとしています。ただ、伏見港から万博会場まで直接行けるかについては、そこまで具体化していないと思います。いずれそうなればいいなと思いますが、伏見港から大阪湾の海上に同じ規模の船で行けるのかなど様々な課題もあります。

園路整備は万博の時だけ使うのではなく、伏見みなと公園は伏見港を内陸の河川港として「みなとオアシス」に全国で唯一指定していただいて整備しておりますので、来園者のための導線を確保するのは公園整備の効果を高める意味でも効果があるので、万博事業に整理していますが、万博の時だけではなくその後の公園の活用にも当然活かしていきたいと考えています。

記者

事業費はいくらくらいを想定しているのか。

知事

公共事業の内数です。ただ公共事業といってもきちんと積み上げておりますので、後で取材いただければと思います。

記者

国の電気代やガス代の補助がなくなる中、今回の補正予算には計上されていないようだが、府として対策を行う考えはあるか。

知事

まず、国の話をすると、これまでやってこられた電気や都市ガスの激変緩和措置については、LNGや石炭の価格がロシアのウクライナ侵攻前の水準に戻ってきたことから5月は支援内容を縮小し、5月末で打ち切ると発表されました。

我々は、その後も状況がどう変わるかわからないので、打ち切り後の状況も注視して今後も迅速かつ機動的に対応していただくことを国に対して要望してまいりたいと考えています。

我々はタイムラグがある措置については令和5年度の2月補正予算で国の経済対策を活用して家庭向け、事業者向けの物価高騰対策を計上していますので、予算に計上して独自にやっている分については引き続き、支援が着実に届くよう執行に努めたいと考えています。

記者

国にはまた支援策を要望するのか。

知事

打ち切り後の状況を注視して、機能的かつ迅速に対応していただきたいということで、すぐに実施するよう要望するつもりはありません。注視してほしいということです。

記者

府としては2月補正予算で対応しているということか。

知事

そうです。例えば、継続的に省エネ効果がある省エネ家電の購入支援もしていますし、色々な形でエネルギー価格高騰の影響を緩和する措置については既に予算に計上しているものを着実に執行したいと考えています。

記者

「文化が活きる京都の推進に関する条例案」について、文化庁の京都移転があって、府として思い入れがある、全国的に珍しいなどの特徴があるのか。

知事

まず、「文化が活きる京都」というのは、文化庁長官も文化による地域活性化や経済成長を言われています。文化庁の京都移転は地方創生の流れで出てきたものです。府民のさまざまな活動に文化の力を活かしていくことが重要だという考えを元にこうした題の条例を制定させていただきたいと考えています。文化の力を活かす京都になりたいという思いをこめています。それに加え、京都市をはじめ関係の市町村、関係団体、文化庁などと連携していきたいと考えています。条例に細かく具体的な施策を書いても機動性に欠けるのと、書き切れないところもあるので、今回は基本指針の策定を明確に位置づけて、この基本指針によってより具体的な政策を規定する構造としております。条例を御議決いただければ条例に基づく基本指針にできる限り早期に着手したいと考えています。

新たに審議会を設置しますが、審議会に最初にお願いすることは基本指針の策定について御意見を賜ることになろうと思います。その中で、できる限り早く着手し、色々なことについて記述したいと考えています。

記者

全国で初のことはあるのか

知事

他の自治体でも条例は結構もっておられます。全国でも44、府内の市町村では6つです。比較はしていませんが、こういう構造にしているところがあるかないかはわかりません。

「京都府文化力による未来づくり条例」では中にいろいろと施策がありますが、今回はシンプルにして、基本理念を書いた上で、具体策については指針に委ねることにしています。

記者

先日、関西広域連合がドクターヘリの運航を委託しているヒラタ学園で航空法に違反する不適切な整備が28件確認され、国交省の大阪航空局が事業改善命令を出した。今後、対策チームが開かれるということだが、広域連合に負担金を払ってヘリを運航している京都府としても独自に聞き取りを行うなどの対応を考えているのか。

知事

ドクターヘリについては、関西広域連合の枠組みの中で運用をしており、その中で京都府もカバーしていただいておりますので、京都府の医療提供体制において不可欠なものです。ドクターヘリに限らずヘリの安全性は航空行政全体として非常に重要なことなので、大阪航空局の指導に従ってなるべく早く改善し、再発防止の取組をしっかりとしていただきたいという思いです。

ただ、航空行政は専門的なことも多いです。既に、大阪航空局が指導に入っていますが、国もこれからこういうことが二度と起こらないようしっかりとした指導なり、対応をしていただきたいと思っております。

記者

知事としての受け止めはどうか。

知事

ドクターヘリに限らず、ヘリを運航する事業者としてはあってはならないことだと思います。飛行機もヘリも同じですが、極めて高い安全性や点検や整備の規定も非常にきめ細かく決められているので、まずはそれをしっかりと守っていただく必要があります。私は直接お話を聞いていないのでわからないのですが、今回、それが守られていなかった背景として、安全意識についておろそかにしていた実態があるのではないかと思いますので、単に表面上のマニュアル通りにやるということだけではなく、人の命を預かっていますし、ましてやドクターヘリですので、改めてそうした役割を持っていることを自覚してもらうことも必要だと報道を見て思っています。

記者

一義的にはヒラタ学園側の問題だと思うが、広域連合に取材をしても専門的な話なので任せてしまっている感じがある。広域連合は議会やマスコミも含め、都府県側としても委託先との関係の部分でチェックが届いていない部分があるように思うがどうか。

知事

2通りありまして、おっしゃるように関西広域連合という自治体と単独の都道府県の違いがあります。ただ、単独の都道府県であっても、航空行政やヘリの運航について直接責任ある点検や指導体制が組めるかというと、それはなかなか難しい問題があると思います。だからある程度任せると言いますか、大阪航空局といった航空行政に委ねざるを得ない部分もあり、そこは行政同士なのできちっとやっていくということです。もしも関西広域連合が単独の都道府県よりもシステムにおいて、より直接的に関与できないということであれば介入しなければいけないのですが、私が聞いている限りは、そういうことではなく、あくまでヒラタ学園の対応の問題ではないかということで、いずれ関西広域連合でも話題になると思いますが専門性も高いので、詳細までチェックができるかは現時点では難しいと思います。

記者

ヒラタ学園の発表によると出動要請があったのに出動できなかった事例が9件ある。それが京都府内であったかは把握できていないが、事実関係の確認はどうか。

知事

私に届いている報告では京都府内ではそういう案件はなかったと聞いています。今の段階では確信を持って「ない」とは断言できません。いずれさまざまな調査や指導の過程で明らかになると思います。

ただ、出動要請が叶わなかったかに関わらず、京都府内で医療提供上の問題が起きたとは聞いていないので実態的に影響を受けたという話はないと認識しています。

記者

先日、離婚後の共同親権が可能になる改正民法が成立した。この受け止めと、国に対する要望や、府として何か対応していることがあれば教えてほしい。

知事

色々な課題も言われていましたが、端的に言えば単独親権に加えて共同親権が導入され親権の行使方法に選択肢が増えるので、子どもにとってはより利益が図られるようになったのではないかと認識しております。しかも、共同親権になれば離婚後も両親が共同で養育できるので、子どもにとっても両親と触れ合う機会も増えますし、子どもの利益を守ることにつながります。

ただ、指摘されているように、元配偶者からのDVや虐待がある場合に逃げるのが難しくなる、もめた場合に裁判所が決めきれるかといった懸念点もあります。こうした懸念点はできる限りなくすように努力していただきたいと思います。

それから、養育費については、父母間の取り決めがなくても相手方に請求できる法定養育費制度が創設されました。これは進歩ですが、これまでから取り決めがされていても支払いが履行されないという課題があります。我々としてはこれまでから、取り決めがあれば確実に履行を担保する仕組みについて、国に要望してきましたので、一歩前進かと思います。

あとは、我々がやっている一人親家庭の支援施策がありますが、共同親権の導入によって直接的に影響はないと考えていますが、共同親権の下でも我々の支援が確実に手元に届くようにということについては共同親権導入後にどういう形になるかよく見ながら、京都府の施策についてもこれまで以上に効果が発揮できるよう執行に努めたいと考えています。

記者

育児・介護休業法の改正があり、京都府でも昨年、子育て環境日本一推進戦略を改定したが、法の成立の受け止めや、府としてどのように考えているか。

知事

今回、育児・介護休業法が改正されました。例えば3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関しては、事業主が職場のニーズを把握して柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、労働者が選択できるようにすることが義務付けられました。その中には、就業時間を変更したり、テレワークや短時間勤務といった様々な措置があります。

私が知事就任以来、最初に取り組んだ子育て環境日本一のための具体的な施策は、子育てがしやすい職場づくりということで、「子育て環境日本一に向けた職場行動宣言」の取組をしました。その時の問題意識は、まさに今回の法律改正が行われた問題意識と同じ考えで、これだけ共働きも多い中では、職場環境が子育てに優しくなければだめではないかと考え、子育て環境日本一推進戦略もそのような観点で改定してきましたので、法改正は私たちがやってきた施策と方向が一致しているという意味で評価しています。

ただ、法律で義務付けられているということは、最低限とは言いませんが基本的なことですし、そのような環境がない職場にとっては、法律改正によって少しでも子育てに優しい環境ができればいいと思います。

私も府内の企業をかなり回っていますが、もっと子育てにやさしい新たな取組をしている企業はたくさんありますので、そういう取組を横展開して、義務付けの内容に留まらず、より子育て環境日本一を目指すために子育てに優しい職場づくりがもっと進むようにと考えています。

全体として職場環境を押し上げる効果は期待できますが、我々の戦略からすれば、より高みを目指すことにつながるようにしないといけないと思います。

今回の法改正は、我々が取り組んでいることが、一部、法律によって担保されたという受け止めです。たくさん中小企業があって我々の取組も知らない方もおられるので、今回の制度改正で義務付けられたことについてはできるだけ早く企業に周知することは、政府として努力していただきたいです。

記者

65歳以上の方が2024年から2026年度に払う介護保険料について、府内でも14市町村で値上げとなった。介護サービスを受ける方が増えれば利用料は増える仕組みなのでそれだけ介護保険が利用されているということだが、一方で負担が大きくなっている現状の受け止めと、国の制度ではあるが府として対応を考えているのか。

知事

介護保険制度は、家族の負担を軽減して介護を社会全体で支えるために2000年に創設され、制度自体は地域社会に定着してきていると思います。ただ、高齢化が進展していくと、制度を維持していくためには負担と給付のバランスを取らないと安定的な制度になりませんし、将来にわたってしっかりとした制度として次代に引き継ぐためにも負担と給付のバランスを取るのは非常に大きな課題だと考えています。

御指摘がありましたように、第9期介護保険料は、府内の3つの市町で7,000円を超えることとなり、被保険者や地方公共団体の負担が増加しています。

我々は国に対してこれまでから持続可能な介護保険制度の構築に向けて国の負担割合の増加も含めて積極的かつ抜本的な見直しを行うよう要望しております。これは京都府だけでなく全国の自治体の願いだと思うので、国に対してはきちんとやってもらいたいと考えています。

京都府は介護給付費負担金として令和6年度の当初予算で約380億円を確保して制度を支えてきているところです。人口構成や介護の必要性の状況をみれば、国がもう少し制度を拡充する必要があると考えています。これは強く言っていきます。

記者

子ども医療費について、昨年の9月診療分から府が補助の拡充をした。その後の状況を市町村に聞くと府が補助を拡充している分で浮いた財源で子ども医療費に繋げるとか、もともと高校生世代までを無償にしているところでは他の子育て施策に回すなど、かなり進んでいる。この状況を知事はどう受け止めているか。

知事

元々、昨年9月の拡充については、それによって生まれた財源は子育て関連施策に使ってくださいと言っています。わかりやすいのは同じ子ども医療費の中で拡充することですが、私としてはそれ以外でもいいと考えていたので当然の流れだと思います。

子どもの数が少ない市町村ではたくさんの財源がなくても子ども医療費は拡充できますので、どうしても市町村によってばらつきが出ます。それをどう考えるのかは課題ですし、状況を見てですが、自主的な財源として、地域振興や少子化対策として実行されているところもあるので、これに対して一概に問題だと言うのはこれもできない中での話です。

ただ、子どもの医療費だけに着目するのではなく、他にもかなり子どもに関する行政ニーズはありますので、トータルで考えて各市町村には取り組んでもらいたいです。子ども医療費はわかりやすいので、特化して拡充することは私自身が問題だというつもりはありませんが、できればトータルで考えてもらいたいという思いがあります。

記者

幹線道路沿いにある一定の高さのある建物の耐震診断で、京都府と京都市、宇治市が診断結果を公表され、対象46施設の8割にあたる37施設で倒壊のおそれがあるという結果が出た。府としては建て替えや取り壊しなどを促しているということだが、補助金が最大で2,530万円で十分ではなく、対応が進んでいない状況がある。担当課によると個人の所有物にどこまで支援をするのかという課題もあるようだが、知事の考えはどうか。

知事

緊急輸送道路として指定している道路沿いの三十数棟の施設については、より耐震性を高める取組を支援することにしています。本当は耐震性能が低い建物の耐震化は重要なのですが、全ての建物についてはできないので、指定道路沿いの施設からまず対応していく方針です。

耐震化は、機能が向上して、所有者の方にとってメリットがあるので、今話題になっている危険な建物の全額公費除却とは違うと思います。

個人の所有物に一定の財政の関与が必要だという理屈については、指定道路ということを軸に財政負担の論理を構築しています。補助率10分の10ということはありませんが、どれだけ公費が入るのかということなので、今の制度は公の目的と私有財産のバランスを取った額になっています。地震対策でも個人に対する支援も増えてきているように、そこはよく社会情勢をみて制度のあり方は常に検討しなければいけないと思います。今のところはバランス上に成り立っている財政負担だと考えています。

記者

定額減税の関係で、給与明細に減税額を書かないといけなくなったが、そうした取組についてどのように考えるか。

知事

報道で、色々な声があることは承知しています。もともと消費喚起とはいわなくても減税を実感してもらい、それによってお金が使われていくという前提の中で、より周知を図るためという観点からそういうことをされていると思います。それに係る手間は少ない方がいいと思いますし、税は公平性もありますし、できる限り簡素な仕組みにするのが大原則だと思います。

記者

府庁の職員の給与明細に記載するために、特に経費がかかったりするということはあるか。

知事

通常の経費の中で対応していると思いますが、後ほど確認していただければと思います。

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