ここから本文です。

令和6年8月23日定例知事記者会見

京都国際高等学校硬式野球部への京都府スポーツ賞の授与について

1点目は、京都国際高等学校硬式野球部に対する京都府スポーツ賞「優秀賞」の授与についてです。

本日、第106回全国高等学校野球選手権大会の決勝が行われ、京都国際高等学校が見事に優勝を果たされました。

京都府にとって夏の甲子園優勝は、1956年の平安高校の優勝以来、実に68年ぶりの快挙です。

開場100周年を迎えた甲子園という大舞台で、全国の強豪校相手に気概あふれる全力プレーで、次々と勝利を重ねられる姿は、我々京都府民に感動と勇気を与えてくださいました。

京都府としても、この度の栄誉をたたえまして、京都府スポーツ賞「優秀賞」を贈ることといたしました。

私も決勝戦を現地で観戦させていただきましたが、私自身、高校球児でもありましたので、ついつい応援に力が入りましたけれども、非常に白熱したゲームだったので、感動を与えていただきました。

授与式の日程については、決まり次第お知らせしますが、京都国際高等学校硬式野球部の皆さんが、「深紅の大優勝旗」を持って来庁されることを楽しみにしています。

第33回オリンピック競技大会(パリ2024)に係る京都府スポーツ賞の授与について

2点目は、第33回オリンピック競技大会(パリ2024大会)において活躍された京都府ゆかりの選手に対する京都府スポーツ賞の授与についてです。

去る7月26日から8月11日にパリで開催された第33回オリンピック競技大会におきまして、日本選手団は、海外開催では最多となる45個のメダルを受賞されました。

メダル受賞者や入賞者の中には、京都府ゆかりの選手も多数おられまして、オリンピックという大舞台での活躍を通じて、京都府民に大きな感動を与えてくださいました。

京都府として、この度の功績に対して栄誉をたたえるため、メダル受賞者3名に対して京都府スポーツ賞「特別栄誉賞」を、4位から8位までの入賞者8名に対して京都府スポーツ賞「優秀賞」を贈ることといたしました。

授与式については、それぞれの選手ごとに開催する予定であり、日程が決まりましたら改めてお知らせいたします。

また、来週の28日からはパリ2024パラリンピック競技大会が始まります。引き続き、日本選手団及び京都府ゆかりの選手の皆さんのご活躍を期待しております。

「ナリワイKYOTO」-大学生の職場体験を通じた京都企業の魅力発信について

3点目は、大学生の職場体験を通じた京都企業の魅力発信に関する取組「ナリワイKYOTO」についてです。

京都府では、「働くこと」や「京都企業」への学生の理解を促進するため、職場体験やリクルートフェアの開催などを通じて、学生に対して京都企業の魅力発信に取り組んでいます。

このたび、企業の人材確保と若者の府内就職を促進するために、学生、企業、行政が一体となり、京都企業で働く魅力の新たな発信手法を研究する初めての試みとして、題して「ナリワイKYOTO」を、8月27日から6泊7日の合宿形式で実施いたします。

この事業では、首都圏や関西圏の大学に通う1、2年生30人が、3日間にわたって京都企業を訪問し、職場体験や社員の皆さんとの交流を行います。

学生の皆さんには、そうした中で発見した京都企業で働く魅力を、どのように同世代の若者に対して発信していくのか、その発信手法を研究課題としてグループワークを行っていただき、最終日の9月2日に研究成果として発表していただきます。

京都府では、この研究成果をヒントに、京都企業を就職先として選んでもらうための効果的な訴求方法の検討を進め、今後の労働施策、雇用施策に活かしてまいりたいと考えておりますので、当日の取材についてもよろしくお願いいたします。

私からは以上です。

質疑応答

記者

本日の発表項目である「ナリワイKYOTO」については、様々な企業が受け入れを決めているが、受け入れ企業は、「うちで受け入れていいですよ」と手を挙げたところなのか。

知事

もちろん、受け入れを了承してもらわないといけないので、事業についてご理解を得ている企業になります。

ただ今回は、企業と学生とのマッチングという側面もありますが、どちらかというと、参加学生に京都企業の魅力をどう発信すればいいのかについて研究をしてもらって、それをこれからの訴求方法に活かそうということなので、そうした観点から、企業としてはどういった魅力があるかとか、学生の受け入れもさることながら、企業の魅力を発信することだとか、京都企業としての特徴を語れるとか、そうした京都らしさを前提にしています。また、業種に偏りのないようにということで、ものづくりだけではなく、サービス業や農業等、様々に分野を分けています。

30人の学生が京都企業の魅力発信を研究してもらうために必要なことなので、職種が偏らないことが第一と、受け入れてもらえることと、比較的京都らしさをもっている企業ということです。ただ、受け入れは3日間という限度もありましたので、ご理解いただくのに苦労したと思います。

記者

受け入れ先に京都府庁や京都市役所も入っていてもよかったと思うが、どうか。

知事

それは別の形でやった方がいいかもしれません。京都府庁では9月に行います。

今回の取組は、どちらかというと京都企業への就職や学生の府内定着が低いという問題意識があってやらせていただきました。このマッチングで学生が京都企業に就職したいと思ってもらえると、それは一つの効果ですが、どちらかというと、京都企業の魅力発信について研究してもらうために、バラエティに富んだ企業を選びました。

記者

知事は、今日の甲子園の決勝を現地で観戦されたということだが、球場のどのあたりで観戦されたのか。

知事

アルプス席で、応援される生徒さんの少し右側です。

記者

どなたと一緒に観戦したのか。

知事

周りには沢山人がいましたが、隣には駐大阪の韓国総領事、逆側の隣には駐日韓国大使がおられました。あと周りには、学校の関係者の方もおられました。

記者

駐日韓国大使と大阪総領事に囲まれて真ん中に知事がいたということか。

知事

アルプス席なので何か囲われているという訳ではなく、長い列になっている訳ですが、両隣におられました。

記者

話はしたのか。また、したのであれば、どのような内容か。

知事

日本語が堪能でしたので、話はしましたが、ほとんどが野球の話でした。

「ここは送りバントじゃないですか?」などと私が言ったり、京都国際のエースの中崎選手は、いつもは9回まで投げないので、「今日は調子がいいですよね」といった話もしましたし、内野手の守備が非常に固いという話などをしていました。

記者

優勝が決まった瞬間は、立ち上がってワーっとなったりしたか。

知事

それはもちろん全員が立ち上がりまして、大阪総領事が記念に自撮りされていました。

記者

今日の甲子園の決勝を観戦されて、印象深いシーンはあるか。

知事

それを話すと長くなりますので簡潔に申し上げますと、どうしても自分がピッチャーだったので、ピッチャーに感情移入してしまうのですが、やはり最終回(9回)と10回のツーアウト満塁を乗り切ったシーンです。

あそこはピッチャーにとって一番緊張する場面だったと思います。満塁でしたから、デッドボールやフォアボールでも押し出しで1点になりますし、内野手の立場からすると少し落球しただけで1点になります。両方とも非常に緊迫した場面だったので、感動するというよりも非常にスリリングな感じで、結構興奮しました。

記者

京都国際高校を巡っては、一部ネット上で侮辱や地域社会から排除するようなヘイトスピーチと見受けられる投稿が目立つが、これについての対応と、知事からのメッセージがあればお願いしたい。

知事

インターネット上で、民族差別と見られるような悪質なコメントが見受けられます。2021年にベスト4に進出された際にも多数投稿がありましたが、こうした差別的な投稿はあってはならないと考えています。

京都府では、担当部局でモニタリングを行っているところですが、やはり誹謗中傷が散見されています。こうした投稿については内容を精査の上で、特に悪質なものについては、法務局やプラットフォーム事業者に対して順次削除要請を行っているところです。どちらにしても、許されない行為ですので是非慎んでいただきたいですし、我々もモニタリングしながら対応していきたいと考えています。

記者

現時点で削除要請の申し立てをしているのか。

知事

昨日時点で4件の削除要請を行ったところです。なお、2021年に京都国際高校がベスト4に進出した時には、13件の削除要請を実施したと報告を受けています。

(差別的な投稿が)まだ終わった訳ではないので、しばらくはモニタリングを続けていきたいと考えていますが、いずれにしても、こうした行為は是非やめていただきたいです。

記者

削除要請を行った4件はどういった内容なのか。

知事

具体的な内容についてまでは報告を受けていません。

記者

削除要請は、法務局に対して行ったのか。

知事

法務局とプラットフォーム事業者の両方に対して行っています。

記者

プラットフォーム事業者に対する削除要請については、差別的な投稿がXで行われたのであれば、X社に対して行うということか。

知事

そういうことです。

知事

京都国際高校は、韓国にルーツを持つ方が多くいらっしゃる学校だと思うが、知事の考えはどうか。

知事

高校球児の皆さんは、非常に厳しい日頃の練習を乗り越えられて、しかも夏の高校野球は一度負けたら頂点まで行けないので、そうした緊迫感、緊張感の中で必死に戦っています。そうしたプレーの姿とそれを見ている人や仲間たちに感動を呼ぶということに尽きると考えています。どういう選手がということではなく、高校球児お一人お一人にエールを送りたいです。

記者

68年ぶりの京都勢の優勝ということだが、京都府にとって今回の優勝にはどのような意味があるか。

知事

68年前は私も生まれたばかりの頃ですが、68年ぶりに京都の高校が優勝した場面に立ち会えたことは、私自身にとっても非常に嬉しかったです。相手校との関係もありますし、なかなかそう簡単に優勝できるものではありません。

最終的にはタイブレークで2対1となりましたが、0対0で延長に入ったということで、とても守りがしっかりしたチームでした。今大会では、守りに強いチームが上に残ってきたという印象を持っています。逆に言えば、ミスが許されないという緊張感の中で試合を続けられたことが、68年ぶりの優勝に繋がったのではないかと思います。

めったにないことなので、改めて京都府民に勇気と感動を与えていただいたと思います。

記者

京都国際高校は、前身が京都韓国学園ということで、外国人学校にルーツを持つ学校だが、そうした学校が全国の大会で活躍することの意味をどのように考えているか。

知事

前身は京都韓国学園ですが、2003年には学校教育法の一条校として認可しており、それ以後は学校教育法や学習指導要領に基づき教育を行っておられます。他の全ての高校と同じ形で認可を受けて、教育に取り組まれている学校なので、そこに特別な意味があるということではないと思っています。

そうした(外国人学校の)前身があることに関係なく、今の京都国際高校の野球部がされている指導方法や練習等については、監督も含めて改めて敬意を表します。

記者

京都国際高校の校歌については、韓国語であることや歌詞の内容の一部に色々な意見を持たれる方がいるようである。知事は今日、実際に聞かれたと思うが、どのように思うか。

知事

教育については、学校教育法と学習指導要領に基づいて実施されています。

ただ、校歌は法令に定められている訳でもないですし、基本的には学校が独自の判断で使用できるものですので、その学校の判断について知事の立場でコメントすることは差し控えたいと思います。

学校の判断として使用されているということに尽きると思います。

記者

実際に試合後に校歌を聞いてどうだったか。

知事

試合後は、観客席が非常に盛り上がっており、私にも喜びを伝える方がおられたりして、私が「校歌が始まりましたよ」と言ってたくらいの感じでしたので、きちんと聞けていません。どちらかというと喜びの声でスタンドがあふれていた感じでした。

記者

スタンドの皆さんは校歌を歌っていなかったのか。

知事

もちろん、生徒さんの中で歌っておられる方もおられたかもしれませんが、私の周りはそうした感じではなく、喜びを爆発させていたという感じでした。

記者

校歌を聞かれているという感じではなかったということか。

知事

私の周りはそうでしたが、生徒さんの席は若干離れていたので、そこは分からないです。

記者

本日、甲子園に行かれる決意をされたのは、準決勝の結果を見てからか。

知事

準決勝に進出したので、決勝に進むのであれば行こうかと考えました。

ただ、公務の日程を変更しなければいけないこともあるので、この記者会見も後ろ倒しになり、ご迷惑をお掛けしました。

記者

昨日の関西広域連合委員会でも話題になっていたかと思うが、南海トラフ地震臨時情報

が発表されたことへの対応について、見直すべきことなどはどうか。

知事

委員同士の打ち合わせも含めて、昨日の関西広域連合委員会でもかなり活発に意見交換しました。まずは、今回の南海トラフ地震臨時情報で巨大地震注意が発表されたことで、改めて防災の体制などが確認できたこと、地震への備えが確認できたことは、よかったのではないかというのが、ほとんどの方のご意見でした。

ただし、特に和歌山では、白浜だけでも宿泊客のキャンセルが出ており、どういう形で情報発信をすればいいのかということについては、様々な課題が出たのではないかと考えています。

基本的には、日常の社会経済活動を維持するということですが、一方で、JRが鉄道を一部運休したり、減速をしたりしたということもありました。その辺りも含めて、やはり社会経済活動に影響が出ています。これは国も初めてのことだったので、内閣府の方で振り返りをするということですので、そこはよく振り返っていただきたいと思います。

我々も国の動きを見ながら我々がやったことがどうだったのか、京都府や市町村で改めて点検してどうだったか、府民の皆さんがどのような行動をされたのかということも見て、今後のあり方についての検討につなげていきたいと考えています。

初めてのことだったので、様々な課題があることは仕方ないというふうに思っていますので、これを次の時に活かしていくべきだと考えています。

その中で一つ話題となったこととして、今回は「注意」でしたが、その一段上の「警戒」があり、避難なども勧告できるようになっているのですが、その「警戒」との関係も含めて、今回のことを検証してもらいたいという声がありましたので、ぜひそれは国の方で、そういう観点も含めて振り返っていただきたいです。

記者

19日(月曜日)に地震対策専門家会議が開かれ、その中で、京都大学防災研究所の牧教授が「避難時に外国人の方が移動するのが難しい」と仰っていたが、別途、対応などが必要になってくるのか。

知事

外国人の方の避難には二つ論点があって、一つはこれだけ外国人観光客の方がおられますので、観光で京都に滞在している方が災害に遭った時に、いかに的確に安全を確保できるかという点。これについては、様々な取組をしています。

もう一つは、日本で働いておられる外国人の方も、京都府だけではなく、全国的に徐々に増えており、防災という観点で非常に不安に思われている方もおられます。私も八幡市で「行き活きトーク」をした時にベトナムの方がおられたのですが、不安を持っておられて、「行き活きトーク」をきっかけとして、比較的日本語が堪能な方をリーダーに、市の会議に参加していただくことが実現しています。

旅行者の方と住んでいる方との両方とも数が増えていますので、防災においても多文化共生の考え方を入れていくことは当然の流れだと思いますので、様々な計画やプランの見直しにそうしたことを入れていく必要があると考えています。

記者

台風10号が近付いているが、懸念や府民への呼び掛けはあるか。

知事

京都府では、もともと通常ベースで年間を通じて24時間体制で防災の担当者が常駐して災害警戒体制を敷いていますが、今回は特に台風の進路や豪雨等の状況により府内への影響が非常に懸念されるので、既に気象台等を通じての情報収集は始めています。

通常、台風の進路によって被害が発生する恐れが高まった場合には、部局長連絡会議を開催しており、去年も8月14日に部局長連絡会議を開いて、警戒体制や連絡体制、防災体制等について、台風が来る前に確認しております。改めてその時に備えを万全にすることを徹底していますので、今回はもう少し時間かかると思いますが、被害が発生する恐れが高まったということがあれば連絡会議を開催したいと考えていますし、台風が接近したら災害警戒本部の2号配備ということで、本庁だと30人規模の体制で、通常の大雨警報等の場合よりも手厚い体制を取ることとしていますので、そのような形を取りたいと考えています。

もう一つ重要なのは、台風接近時には当然ホームページやLINE、Xを活用して、府民の皆様へ台風の備えについての呼び掛けをしています。

先日の南海トラフ地震臨時情報が発出された時にも、避難場所や避難経路、非常用の持ち出し袋の確認などについてお願いしましたが、日頃の備えは改めて確認してもらいたいです。

また、昨年8月の台風7号では、紀伊半島に上陸する前に福知山市と舞鶴市と綾部市で記録的短時間大雨情報が出たということもありました。台風がまだ上陸してないという状況でもそういうことが起こりましたので、台風接近時には気象庁や地元の市町村が発表する災害情報に注意していただいて、避難が必要だと判断すれば、躊躇なく避難していただきたいです。台風接近前からの大雨もありますので、是非注意をしていただきたいですし、我々もできる限りの警戒体制を敷く必要があると考えています。

記者

北陸新幹線の延伸について、前回の会見で、「いずれ国や機構から丁寧な説明があると想定している」と言われていたが、その後何らかの説明があったのか。

知事

今のところ、前回の記者会見以降、説明についての具体的な申し出はいただいておりません。

記者

松井京都市長が、地下水や財政負担のことを含めて、慎重な姿勢を示しつつあるが、この動きを知事はどう見ているのか。

知事

今言われたことについては、松井市長のインタビューのことだと思いますが、その報道については承知しています。私自身の感想を言うと、松井市長は今回、特段新しいことは言われていないと思っています。

私も環境アセスメントについては、慎重な調査をしていただきたいと言っていますし、その思いがずっとありますので、私の姿勢は変わっていません。松井京都市長が仰っていることについても、報道のされ方は少し変わったかもしれませんが、特段新しいことは発言されていないと思います。

記者

北陸新幹線の延伸について、3つのルート案が出され、より課題も見えやすくなっている状況だと思うが、今の段階で府として新たに検討委員会を立ち上げることや、新たな検討を進めることはあるか。

知事

まずは、沿線自治体に理解してもらうために丁寧に説明すると大臣が仰っていますので、今の段階ではありません。新たな情報といっても、元々の環境アセスメントの幅の中で3ルート案が示されたのと、事業費が示されたくらいであり、これについて詳しく説明があると思っていますので、今の段階で何か検討委員会を作ることはありません。必要がないと言っている訳ではありませんが、今は案についてご説明をいただく段階だと思っています。

記者

どこかの段階に来たら、府としても何かしらの検討に入るのか。

知事

今回、3ルート案が示されていますが、これをどうやって一つの案に絞りこむのかということも含めたプロセスの説明もまだない状態です。

普通、環境アセスメントの法的な枠組みで言えば、関係の知事として関係市町村の意見も踏まえて、意見を言うことがあります。従来の環境アセスメントであれば環境審議会の意見を聞いた上で出すという枠組みがある訳です。ただ、それはルートを選ぶということではなくて、ルートが決まった環境アセスメントについて意見を言うという枠組みの話です。

こういう形で示されたものが、この後どういう形で進んでいくのかについては、国からも鉄道・運輸機構からも説明を受けていない段階なので、今の質問に答えられる程のベースの知識がないということです。

記者

北陸新幹線について、知事は以前から「地元負担は受益に応じた負担を」と言われていて、前回の記者会見では、「制度改正も含めて合理的な負担にしてほしい」と発言されているが、このことは、既に国や鉄道・運輸機構に求めていることなのか、それとも、そうなってほしいという知事の思いか。

知事

「制度改正も含めて」と大臣の前で発言した記憶はありますが、文字にしたものはないと思います。ただ、制度改正も含めてということはそれほど重要なことではなくて、制度改正ができなければ、できない負担はしないという話になります。合理的な負担の範囲に収まるために必要であれば、制度改正が行われるものだと思っているということです。

「制度改正も含めて」ということは、頻繁に言っていますが、要望書にはなっていないかもしれません。広い意味があって、国費の投入もあれば、法律で決まっている負担割合もあります。全線の事業費は出ていますが府県の分担や市町村の分担など、制度の意味は色々とありますので、従来のルールを変えるくらいのつもりでないとできないという意味において申し上げているものです。

記者

少し前の話にはなるが、岸田総理が退陣表明されたが、知事の受け止めはどうか。

知事

突然の退陣表明だったので、大変驚いたことは間違いありません。一連の政治資金問題も含めて、様々なことを踏まえて熟慮を重ねられた上で、大変重い決断をされたのだと思います。

記者

文化庁の京都移転に際して、京都に来られて現場を見学されていたこともあったが、どうか。

知事

京都との関わりで言えば、私は岸田総理が建設政務次官でおられたときから非常に親しくしていただいていますし、インターネットガバナンスフォーラムで京都に来られた時も、ほとんどは昔の思い出話でしたが、昼食を1時間ほど一緒にしました。

京都にも一定の思いを持っていただいていて、今ご指摘のあった文化庁の京都移転については、移転の1年前である令和4年5月に現場を視察され、私も説明をしました。その時に開かれた文化関係の座談会の際に、おそらく想定になかった質問だったと思うのですが、比較的若い世代の文化関係の方から、改めて文化庁移転の意義について聞かれた時に、総理はかなり明確に地方創生との関係をお答えになったことが非常に印象深いです。しかも、こけら落としの前日には、京都市内のホテルで行ったイベントにもわざわざ来ていただきました。

そうした意味において、文化庁移転にもご支援をいただいたと思っています。

記者

自民党総裁選に対して、何か望むことはあるか。

知事

政党のトップを決める総裁選ではありますが、今の国会の構成で言うと、国のリーダーを決める選挙ですので、まずは、様々な国の課題を解決していただける方にリーダーになっていただきたいという思いがあります。そうした意味では、今のところ10人を超える方が立候補に意欲を示されていると報道されていますので、総裁選のプロセスの中で活発に政策論議が行われることを期待したいです。

記者

注目される政策などはあるか。

知事

注目と言えば、短期的には物価高騰やエネルギー価格の高騰が続いていますので、これについては、岸田総理が少し前に、秋の経済対策の可能性に触れながら「対応しなければいけない」と仰っていましたので、そのあたりがどうなるかということです。

もう一つ、本質的なことは、岸田総理は「異次元の少子化対策」と仰っていましたが、人口減少問題は我が国の構造的課題の最大のものだと考えていますので、その対応についてです。

それから、東京一極集中の是正について、私は残念ながら出席できませんでしたが、福井で行われた全国知事会議でも、かなり話題になりましたので、国土政策も含めてどういう形で対応していただけるかについて、非常に注目したいです。

もう一つは、直接京都府とは関係はないかもしれませんが、アメリカの大統領選挙や、ウクライナやパレスチナの件も含めて、国際的な情勢が大きな動きになっています。その中で、日本の外交的なプレゼンスなどをどう発揮するのかということや、日本がどうやって社会、経済を発展させていくのかということについては、当然ながらきちんとしたメッセージを出していただきたいです。

記者

10人を超える方が立候補に意欲を示されているが、具体的に期待される候補者はいるか。

知事

それについては、私は申し上げる立場にありません。

記者

立憲民主党も代表選が行われるが、期待することはどうか。

知事

今の国会の構成で言うと、立憲民主党は野党であり、基本的には国会で様々な論戦をして、政府の政策を鍛えていく役割があるので、政策論争がきちんとかみ合い、政府の政策にもきちんと反映できるような論争ができる方に代表になっていただくのが、国のためにも京都府のためにも良いと思います。

記者

注目される政策分野は、自民党総裁選に関する回答と同じか。

知事

それは同じです。

記者

具体的に気になっている候補者はいないのか。

知事

それも同じです。

記者

PFASの件で、綾部市の犀川の小貝橋で国の定める暫定指針値の超過が確認された。綾部市では2021年度の調査から毎年指針を超える数値が出続けているが、これに対する率直な受け止めはどうか。また、市民の方が血液検査などを求められているが、府としての対策はあるか。

知事

先日発表した犀川小貝橋の河川水質検査については、ご指摘のありましたように、暫定指針値の約1.4倍ということで超過しています。発生源と推察される事業場に対しては、引き続き関係機関と連携しながら指導を継続していきたいと考えています。

またこれは河川の水質ですが、併せて飲料用井戸等の使用停止や井戸における水質検査をしていまして、井戸については基準値を下回っています。

犀川に出てくる発生源と推察される事業場に対しては、引き続き相談に乗りながら、指導は継続したいと考えています。

ただ、PFASの問題は健康被害への影響に係る科学的知見がなかなか充分ではなく、農業に対してどのような影響があるかなど、様々なところで分からないことが多く、国で総合的な対応を検討していただいていますが、できる限り早く統一的な対応策を示すように、引き続き国に対して強く要望していきたいと考えています。

なによりも健康被害防止が最優先なので、そうした観点で対応していきたいです。

記者

住民が求めている血液検査等に対して、PFASの数値が高い地点が存在する岡山県や沖縄県は、県独自で血液検査を実施しているが、今の時点で京都府が実施する予定はあるのか。

知事

今のところ、それは考えていません。血液検査についても、科学的知見がしっかりと確立している訳ではないので、今の段階では、まず犀川については、発生源に対して対応をしていくということです。また、血液検査も含めてですが、国には科学的根拠を含めた統一的な対応方針を出していただくことを求めていきたいと考えています。

独自に血液検査をする予定は今のところありません。

記者

農作物への汚染の可能性から、土壌調査の実施は考えていないのか。

知事

農作物への影響については、その影響を調査するための活動について、農林水産省から協力依頼を受けており、そこに協力していますので、我々がというよりも、農林水産省の方で、どういう影響が出るのか、そもそも影響があるのかないのかも含めて、できる限り的確に調査をしていただきたいです。我々はそこに協力を求められていますので、協力していきたいと考えています。

記者

PFASは最近になって有害性が議論されるようになったので、国の具体的な指針もなく、法的根拠もない中で、犀川の上流の事業場に対する府の指導には強制力がないと思うが、その辺りの難しさを感じるか。

知事

強制力が発揮できない難しさはもちろんありますが、そうした仕組みとなっている根本は、科学的根拠や科学的知見の積み重ねがないことにあります。そうしたものがないにも関わらず、民間の事業者に対して厳しい規制をかけることは、これはこれで大きな問題です。だからこそ科学的知見をきちんと積み重ねて、国に対応方針や対応策を出してもらいたいと言っています。

ただ、発生源と推察される事業場には真摯に対応していただいておりまして、PFASの数値を軽減するための措置をやってみて効果がどうだったかなど対応しながら、少しずつ下がってきています。

ただ、河川の調査は濃度を測っており、流量によって変わるので、分からないところもあります。事業場は極めて真摯に対応していただいていますので、相談しながら、対応方法も様々に変えていきながら、やっていきたいと考えています。

記者

昨年度の綾部市の犀川での水質検査の数字を一昨日に公表され、8月の検査結果も昨日に出していただいた。ただし、府内全体で48箇所ある調査地点のうち、八幡市の大谷川については、昨年度の数値が基準を超えているということだったが、数字を具体的に出してもらえておらず、いつ出すのかを担当課に確認したところ年度末と言われ、それでは遅いと思うが、どう考えているか。

知事

昨年度、私が犀川での調査の話を聞いた時に、調査結果が出れば、即日ということではありませんが、できる限り速やかに出すように言っています。飲用の井戸や上水道についても、環境省と国土交通省の共同で調査していますので、それぞれ主体が異なる部分はありますが、調査結果が出れば、できるだけ速やかに公表するという基本的な方針を指導しています。

PFASについては最近注目され始めましたが、我々は様々な項目の環境調査をやっており、通常であれば、様々な項目をまとめて年度末に数値を公表しているということだと思いますし、それは個別案件についての対応方針に必要な調査についてということではないと思うので、考えさせていただきます。

記者

八幡市のPFASの数値だけを出すかを含めて検討するということか。

知事

PFASに特化して何ができるかということですが、八幡市だけじゃないかもしれませんので、そういうことも含めて検討させてください。

記者

今年6月から年額1,000円の森林環境税が、年額600円の府民税を合わせて徴収されている。北部には森林面積が大きい自治体もあるが、南部には森林面積がゼロの自治体もあり、使用用途が限られてくるので、積み立てに回すなどの差が出ているが、どのように考えるか。

知事

私が知事になって間もない頃に森林環境譲与税ができました。配分する時に森林があるところであれば森林整備をしますが、森林の少ない市町村、例えば久御山町や向日市に住む方も負担されています。その場合、森林環境整備のためということであれば、川下である木材利用や木質化に使えば、それがひいては林業の振興に繋がり、手入れができて森林が蘇るということになりますので、そうした観点で、用途については比較的色々な幅広いメニューがあります。

ただ、配分の基準については、面積割や人口割など、色々な計算方法を考えた上で今の方法があるのですが、使途が限られていることや森林の多い少ないだけではなくて、所有者の意向調査ができていないといった様々な理由があり、執行率が低い市町村があります。今は、サポートセンター等で市町村への支援体制も整ってきましたので、私としては、徐々に執行率が高くなっていくと考えていますが、配分基準については様々な意見がありますので、事業執行の実態や様々な人の意見を聞いた上で、不断の見直しが必要だと思いますので、この次の見直しのタイミングの中では、きちんと見直していきたいと考えています。

記者

国税が新たに導入されたことで、府民税との税金の二重取りになっているのではないかという指摘も府民から出ているが、国税が導入されたので府民税の徴収をやめるという考えはあるか。

知事

そうした考えは持っていませんが、使途が重複することを避ける形で国税を導入されたのですが、どうしても完全に仕分けができない部分が残っていることは間違いないので、次の見直し時には、そうした二重課税の批判が出ないように、きちんと使途についても森林環境譲与税と府民税との住み分けをしたいと考えています。

いずれにしても、森林整備や木質化、木材利用の拡大の需要は非常に多いので、今直ちに負担をやめることは考えておらず、ご批判がある部分はきちんと是正する形で方法を考えていきたいです。

記者

他の都道府県で、市町村に分配せずに都道府県で使い方を決めることをやっているところもあるが、府は市町村への分配をやめて、府だけで使い道を考えることは考えていないのか。

知事

現在も全額を分配している訳ではありません。

市町村にも、森林整備について主体的なプレイヤーとして努力してもらいたいという思いがあるので、それならば一定の財源を付与すべきではないかということになります。現に、市町村の中には森林整備で自ら苦労して事業執行されているところもあります。

全てを府が執行すれば話は非常にすっきりしますが、きめ細かい所有者の特定などは、地元の市町村にしてもらわないといけない部分が大きいので、そこは役割分担で、市町村も役割を果たしていただくための裏打ちとなる財源付与は維持したいと考えていますが、その割合は事業執行やニーズを見ながら柔軟に考えていきたいです。

記者

今の配分率から変える可能性があるということか。

知事

それは当然あります。物理的に執行が難しいところがあれば、変えていく必要があると考えています。ただ、全体のニーズはすごく大きくて、とてもじゃないですが、これだけで森林整備が全部できている訳ではないので、少しでも荒廃を防ぐという意味では、皆さんに負担いただいているものなので、できる限り効率的かつ効果的に活用していきたいです。

記者

府内で22ある断層の内の10断層の見直しを進めているが、既に見直している花折断層と10断層以外について、見直しに至らなかったのはなぜか。

知事

これは元々、被害想定の見直しであり、今回は府内の市町村の中で最大の被害が見込まれる断層について選びました。当初は9つと言っていたのですが、市町村との調整を進めると、南部の木津川市や井手町、宇治田原町、和束町の4つの市町では奈良盆地の遠縁の断層帯で最大災害被害想定が見込まれることが分かりましたので、それを加えて主要10断層で、死者数ベースで最大の被害が見込まれる断層を選んだということです。

元々被害想定と防災対策というのはセットになっていますので、被害想定の見直しはやっていますが、それほど大きく対応が変わることはありません。

例えば、花折断層では火事の想定は増えましたが、想定死者数は人口減少に合わせて減っています。だからといって対応の重要性が減った訳ではありません。

全部やればいいかどうかは分かりませんが、花折断層の見直しだけでは私も少ないと思ったので、検討した結果10断層となりました。まずはこの10断層の見直しをきちんとさせていただきたいと考えています。

記者

費用の面ですべての断層、断層帯の見直しができないのか。

知事

費用の話をすると必要なのにやらないといった話になるのですが、そういうことではなくて、必要性も含めて10に判断したと考えてください。

お問い合わせ

知事直轄組織広報課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4075

koho@pref.kyoto.lg.jp