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令和6年9月6日定例知事記者会見

 

京都府立大学の系属高校設置について

本日の発表項目は、京都府立大学の系属高校設置についてです。

京都府では、18歳人口の減少や社会経済情勢の変化を踏まえて、京都府立大学が、地域・産業を担う人材を育成する「知(地)の拠点」としての役割を果たせるように、学部学科再編や教育研究環境の充実・整備に取り組んできたところです。

また一方で、府内には農林業分野に特色を持つ府立高校があり、これまでから、府立大学との高大連携の取組が行われてまいりました。

この度、これらを高度に連携させることで、京都府の農林業や関連産業の振興に資する人材育成を推進するため、令和8年4月から、農芸高校と北桑田高校の府立高校2校を、京都府立大学の系属高校とすることとしました。

農林業に寄与する人材の育成を目的として、地元の公立高校を公立大学の系属高校にする取組は、全国初の試みです。

これによりまして、例えば、高校生が大学の研究室を訪問して高度な研究に触れたり、逆に、大学生が系属高校の圃場などの施設を利用できるようにするなど、専門的な学びの充実や学修意欲の向上、また、研究環境の充実などの効果が期待できます。

進学面では、令和9年度の入試より、府立大学の連携学科それぞれに定員の約1割にあたる系属校枠を設け、長期スパンでの専門人材育成を行います。

今後は、10月下旬に府立大学と府教育委員会との間で、系属高校の設置に関する協定の調印式を開催する予定です。これについては、日程が決まり次第、改めてお知らせしますので、取材についての御協力をお願いいたます。

私からは以上です。

質疑応答

記者

系属校とする判断に至った背景はどうか。府立大学から要望があったのか、府から提案したのか。

知事

端的に言えば両方に、そういうニーズがあったということです。発表資料の2ページにも参考として書いていますが、府立大学では「「新生・京都府立大学」改革プラン」において、連携の対象校として「農林業系など特色ある専門分野をもつ府立高校」や「スーパーサイエンスハイスクール等に指定された高校」とあり、理工系人材の育成に貢献していくことを打ち出しています。

教育委員会が作った「魅力ある府立高校づくり推進基本計画」でも、「中核校を府立大学附属高校とし、大学との相互連携を強化」するとしています。

高大連携として、両方のニーズが合致していることから、今回の系属校とする位置づけが実現したものです。

記者

先ほどの発表の中で18歳人口の減少などと言われていたが、少子化の影響により、府立大学の定員割れや大学経営に影響が出るかもしれないという危惧があったのか。

知事

先ほど言いました18歳人口の減少については、大学の定員の話というよりも、京都府内の産業等を担う人材育成に対する役割を果たせるように、府立大学の色々な整備に取り組んできたという文脈で言ったものです。

別段、定員割れ対策ということではなく、あくまで今回は、教育内容の充実ということに主眼において連携をより強化させていただくということです。

記者

府立大学の定員割れ対策という意味において、系属校を設置する訳ではないということか。

知事

そう考えています。

記者

府内には、京都府立農業大学校もあり、農業分野の専門人材育成ということであれば、府立大学ではなく農業大学校との連携がふさわしいのではないか。

知事

農業大学校は、大学校という名前はついていますが、学校法人上の大学ではありません。

ただ、農業人材の育成という意味においては、極めて重要な役割を果たしていますし、様々な経歴を持った方が農業大学校に入っておられますので、農業人材の育成という意味において、様々なルートがあるのは良いことだと考えています。

ただ今回は、大学で学習や研究をする人材の受け皿となる農業関係の学部が府立大学にあり、そこと府立高校との連携ということなので、農業大学校とは若干趣旨が違います。

両方とも重要な役割を果たしているので、ダブルで人材育成機関があることは、我々にとっては農業人材育成の観点では、受け入れのウイングが広いということなので、ありがたいことだと思っています。

記者

発表資料には、系属校枠は約1割(4~5名)とあるが、それぞれの学校から4~5人を受け入れる枠があるということか。

知事

そうではなく、大学の学科の入学定員の約1割を系属校枠にするということです。

あとは、系属校枠に農芸高校と北桑田高校からどれくらい志望があるのかや、どのように選ぶのかなど、これから具体的に選抜方法も含めて検討しなければいけないと考えています。

今も府立大学には一般入試と推薦入試の枠があり、どちらかというと推薦型の入試の中で系属校枠を作っていこうということですが、具体的にはこれから検討します。

記者

2つの高校からの進学を受け入れる枠ということか。

知事

そうです。その2校を進学において一定の位置づけをして入学しやすくするという意味で、枠を設けるということです。

記者

系属校枠の人数が少ないのではないか。

知事

もちろん、そうした意見もあるかと思いますが、それでも学科定員の約1割なので、それなりのシェアはあります。

それから、両方の高校から農林業系の大学に行く人数、つまりはニーズを加味したところ、1割くらいで需要が満たせるのではないかと考えています。

両方の高校から農林業系の大学に進学する人はそれほど多くありませんので数としては要望に応えられるだけの枠は確保できたと考えています。ただ、これはやってみなければ分かりませんので、まずは約1割としました。そうしたことも含めて、これから具体的に制度設計に入ります。

記者

高校と大学の運営主体が違うため系属高校という名称にしているということだが、実質は、附属高校と同じような位置づけということか。

知事

附属高校は、大学を運営している法人が高校も運営することなので、法的に厳密に言うと、今回のケースは附属とは呼べません。ただ、全国の例を見ると、実態は系属高校ですが、附属高校と呼んでいるところもあります。

連携するということや、枠を設けるという意味においては、まさに附属高校と同じ位置づけです。

先ほど紹介した府教育委員会の「魅力ある府立高校づくり推進基本計画」にも、大きな意味で連携を強化するという意味で「附属高校」と書いています。

厳密に言えば附属と呼べないので、系属高校と言っていますが、位置づけとしては同じと考えてください。

記者

先ほどの全国初の取組と言われたが、どの部分が初なのか。

知事

普通科系の学校では、公立の大学で附属高校を持っているところが全国に今3校ほどあります。ただ、農林業に特化したような、農林業に寄与する人材の育成を目的とした公立高校を、公立大学が系属高校にするのは初めてだという意味です。

記者

これまでは府立高校と府立大学の連携はあったのか。

知事

府立大学と5校の府立高校との間で既に連携協定を締結しており、今回、系属高校になる農芸高校と北桑田高校も、府立大学と既に連携協定を結び、相互訪問などをしています。他に連携している高校は普通科系の3校です。

今回の2校については、その連携をより強めるということで、系属校枠を設けるというのが典型例かもしれません。また、発表資料にも書いていますが、高校生が大学の高度な研究に触れられるとか、大学側も高校の施設が使えるとか、大学と連携すると高校教員の資質の向上にも繋がるということで、連携協定からさらに連携を深め、進化させていこうということで系属高校とさせていただきました。

記者

京都府としてこういった系列校を設置するねらいについて、目指す効果は資料にも記載があるが、一番のねらいは何になるのか。

知事

大きな流れとして、高大連携を進めていこうというのはよく言われていますし、私と京都市の松井市長とのトップミーティングでも高大連携の話が出ていて、できる限り切れ目なく人材育成していこうという思いがあります。

ただ、今回の場合、特に農林業についてはやはり人材の確保や人材の育成というのは非常に重要ですので、高校の時にそういうことに興味を持って、その生徒さんがよりそれを深めたいということであれば、そこをより接続しやすいようにするという意味で、農林業分野について高大連携をやるということにより意味を感じて先行させたということです。また、府立大学に農林業に関連する学部・学科があるというようなことも背景にあります。

高大連携についてもっと幅広いニーズがあるかもしれませんが、府立大学は公立大学法人が設置し、府立高校は京都府が設置していますので、我々が中継ぎになるというのは、高大連携と農林業の人材育成という2つの大きな意味を感じて取り組むということです。

記者

農林業の人手不足、特に若い人の担い手不足が社会問題になっているが、そうした中で、今回の系属校化により、(高校から引き続いて)府立大学で農林業を学ぶ人材が出てくるが、そうした方に将来どのような人材になってほしいか。

知事

京都府全体としては、京都フードテック基本構想を進めており、食に関する高度な研究機能や食関連産業等の集積、一次産業と研究開発機能の強化に合わせて取り組んでいます。

食に関連する分野は、非常に裾野が広いので、どれがということはありませんが、大学でより研究を深めてもらえればと思います。府立大学には和食学科もあり、食については世界的な位置づけも非常に高いのですが、それを一次産業が支えているという面があります。

大学まで行って研究を高めてもらうことで、そうした幅広い食に関連した分野で活躍してもらえる人材になっていただけるのではないかと思います。

記者

ほかに系属校化する可能性のある高校はあるか。

知事

府立大学との関係で言うと、府立大学の学部・学科の特色が農林業系ですので、当面はそうした分野で連携できればと考えています。ただ、「「新生・京都府立大学」改革プラン」には、スーパーサイエンスハイスクールのことも書いていますので、将来、理工系の人材育成について、系属校化を検討していく姿勢はありますが、すぐに具体化することはなかなか難しいと考えています。

もう一つは、これは初めてのことで、系属校枠を作り、運用していくなかで様々な課題も明らかになっていきますので、まずは今回の初の試みを成功させ、実績を上げることが重要かと思います。その結果を見て、さらに広げられるかを考えていきたいです。

記者

系属高校化することとなったプロセスについて聞きたいが、いつ頃から議論が行われていたのか。

知事

事務方でいつから議論がされていたのかは分かりませんが、先ほど言いました府立大学の「「新生・京都府立大学」改革プラン」や「府教育委員会の魅力ある府立高校づくり推進基本計画」を作った時には、系属高校化を念頭に置いていました。府立大学が令和4年、府教育委員会が令和5年に作成したものなので、それほど昔からではないです。

何と言っても、既に連携協定を結んでいたということもあり、一定の連携の基盤があることは大きかったと思います。

記者

農芸高校や北桑田高校の定員割れの状況はどうか。

事務方

少子化の影響で、両校ともなかなか定員に満たない状況が続いているのが実情です。

記者

そうした両校の実情を踏まえて、今回、系属高校化をしたのか。

知事

これは直接的には大学入試に関係することですが、高校に魅力がないと選択していただけないという意味においては、系属高校化することによって、その先に進学できる府立大学への系属校枠が設けられることや、高大連携で研究が深められることは、高校にとっては魅力向上に繋がりますので、何らかの影響はあると考えています。

記者

将来的に京都府の農林業や関連産業の振興に資する人材を育成するということだが、就職先を京都府内に限るなどといった条件を付けることはあるのか。

知事

大学でそのような制限はできないですし、そこまで心を狭く考えている訳ではありません。農林業を担う人材の育成の必要性があるのは、京都府内だけではありませんし、現に京都府内の農林業に従事するために他府県から就職される方もいますので、そうした条件付けはできません。

ただし、京都の高校、大学で学ぶ経験をすれば、京都の食産業やその後の進路の魅力に触れていただけるので、京都府内の就職に繋がるのは間違いないと考えています。

記者

今回の系属高校化に水産業が含まれなかった理由はあるか。

知事

府立大学には農林業関係の学部・学科があり、農芸高校は農業分野で、北桑田高校は森林環境をテーマとして、これまでから高大連携をしており、それぞれ高校・大学の持っているリソースに基づいて決定しました。

もちろん漁業の人材育成も大変ですが、今回は高校側にも大学側にも、水産業についてマッチするようなところがなかったということです。

記者

今回の取組を府立大学だけでなく、京都の他の大学に広げることはあるか。

知事

高大連携は絶対に必要だと考えています。松井市長との初回のトップミーティングにおいても話題に上がっていましたが、小中高大のできる限り早いうちから社会の仕組みに触れることや、実践的な教育をすることは非常に重要だと考えています。せっかく大学がたくさんあるので、それを人材育成に繋げていくという意味においては、高大連携が一つの方法だと考えています。

ただ、今回は両方の設置主体が我々に関係あるので系属高校化をさせていただきましたが、高大連携はできる限り進める必要がありますし、それには色んなやり方があり、系属高校化だけではないということです。

記者

農芸高校や北桑田高校を卒業した人材が、府外に流出してしまっているという現状があるということか。

知事

そこまでは言っていません。

府外に流出しているということではなくて、農林関係の高校で学んでおられたら、その学びを更に大学でも深めてもらうという意味では、系属校化して、大学でも農林関係のことを学べる道があるとすることは、人材育成にとって良いと考えています。

事務方

府外にどれくらい出ていっているのかについて、今、細かな数字はありませんが、就職する方は、地元の企業に就職することが多いです。進学する方は、全国に散らばるので、府内の大学に進学する方が多い訳ではありません。

記者

この前、ホルスタイン(乳牛)の美しさを競うコンテストで全国1位になった農芸高校の生徒に話を聞いたが、京都府は全国に比べて畜産が盛んではないので、高校卒業後の選択肢は例えば北海道などの府外になってしまうとのことだった。そうなると、大学側の努力も必要になると思うが、どうか。

知事

ホルスタインの話は感動することが多かったです。非常に真面目な生徒さんで一頭をずっと長い間世話をして、しかも全国で1位の評価を得られました。

仰られたことは、産業育成とも関わってくるので、本当は受け皿となる産業があれば良いと思いますが、こればかりは簡単に進まないということであれば、全国への人材供給の役割も果たせると思います。

ただし、京都の大学で学びを深められる道があれば、そこに進んでもらうことで、京都で働く気持ちをより強くしてもらうことも出てくるかと思います。

最終的には、産業全体としての受け皿が必要ですし、大学卒業後の府内定着率の話も関係してきますが、それは高校生の場合も同じです。その辺りはきめ細かく取り組まなければいけませんが、例えば京都フードテック基本構想も解決策の一つになると考えています。

記者

松井市長とのトップミーティングにおいても高大連携の話が出たとのことだが、京都市立高校との連携は何か考えているか。

知事

今回は、たまたま公立大学法人の設置者が京都府で、府立高校の設置者も京都府なので、附属高校化するというような意味で、系属高校を設置するということになりました。

京都市立高校とは、既に発表しているように、12月に共同の探求学習をやります。今回は年度途中の取組なので探求学習として実現しますが、もっと深めていくこともできると考えています。

ただ、府立大学とどこまでできるかについては、学部にもよりますし、市立高校のことなので軽々には言えませんが、連携ということであれば可能性はゼロではありませんが、系属高校とするのは難しいかもしれません。

記者

この間、九条ねぎが刈り取られる窃盗被害がおよそ3トン出ているが、知事の受け止めはどうか。また、それぞれの自治体では会議を開いたり、パトロールするなどの取組をしているが、府として対策を考えていたり、指示をしていることはあるか。

知事

農業者は、作物を作るために、相当の手間暇をかけて苦労されています。その収穫を迎えた作物を一夜にして盗む行為は、農業者の苦労や気持ちを踏みにじるものであり、極めて悪質で許されるものではありません。しかも、肥料や資材などが高騰していて、農業経営も非常に厳しい状況の中での事件ですので、誠に遺憾です。

発生状況は、久御山町を中心に、今年の6月以降、9月5日時点で延べ8回発生して、総額では270万円相当の被害だと聞いています。

現場では様々な対応をしていただいており、例えば警察が夜間のパトロールを強化していますし、被害のあった市町村では、農業者や地元警察、JA、それから我々京都府の関係者による対策会議を実施して、農業者への注意喚起や防犯カメラの設置事業の創設などに取り組んでいるところです。

我々の方でも山城北農業改良普及センターから、管内の農業者に対して盗難に対する注意喚起を行っております。また、新たに予算を組まなくても、既決予算の中で、盗難防止に向けた支援ができないかということは、検討しておりまして、結論が出次第、支援をしたいと考えています。

盗難は犯罪行為ですので、是非ともやめてもらいたいです。

(盗難が行われているのは)夜ですので、パトロールも含めて警戒を強化していただきたいです。結構時間がかかって盗難が行われているというようなことも聞きますので、きめ細かに見守りなどをすれば防げる部分もあるのではないのかと思っていますので、大変ではありますが関係者と協力して被害の防止に努めたいと考えています。

記者

先日、農林水産省の会議で、新米の高値が続くだろうという見通しが示されたが、知事の受け止めはどうか。

知事

国の9月4日の会議で、当然生産者側は、コストの増加分が価格に反映されることを望んでおられますし、流通側には、あまり高くなると米離れが進んで需要が減少するという懸念もあります。また、消費者にとってみれば、できる限り安い方がいいというそれぞれの立場があります。原則として、取引価格は需給バランスで決まっていますので、民間の取引環境の中で決まります。今、たまたま品薄の中で出てきた新米が非常に高値になっているということですので、国に対して、できる限り受給動向や流通状況を的確に情報発信してもらい、消費者の方には、落ち着いた消費行動をしていただきたいです。流通の円滑化だけでも価格の引き下げ効果はあると思いますので、そのような効果的な施策を要望していきたいと考えております。

京都府内でも、令和6年産米の生産は順調で、作柄は全国的な傾向と同様に平年並みとなっており、収穫が早かったコシヒカリは既に出回り始めていますので、ある程度新米が出てくれば、それは当然、需給バランスに影響して品薄状況も解消されて、価格も落ち着いてくるのではないかというふうに考えていますので、冷静な消費行動をよろしくお願いしたいです。

記者

公衆浴場入浴料金審議会が開かれ、大人が20円増、中人が10円増とする案がまとまったが、知事の受け止めはどうか。

知事

これは非常に難しい問題です。まずは、今回の審議会の運営にあたっても、公衆浴場としては、物価高騰を受けて非常に厳しい経営状況にあるので、なるべく早急に統制額を引き上げてほしいというのがあります。ただ、利用者にとってみれば、料金が上がると負担増になります。また、あまりに料金が上がりすぎることで、施設側としても需要離れが起きると困るということがあります。そうした両面を考えながら、慎重に御審議をしていただいたと考えています。

ただ、審議会の中でも従来の調査方法ではなかなか実情に合わないということで、補正を行うという新たな試みをしましたが、そこについては様々な御意見があるので、継続審議となりました。

先ほど申し上げた両面があるということと、新しい調査方法を導入して従来の調査結果を超えるような増額をするとなると、根拠を示して皆さまに納得していただかないといけないということがあるので、しっかりともう一度検証して、次の審議に繋がるように、きちんと材料を揃えていきたいと考えています。

ただ当面、この上げ幅だという審議が行われたということなので、答申はまだ出ていませんが、答申をいただいたら、その内容を確認して必要な対応を早急に講じたいと考えています。

記者

継続審議となったもう一案では、大人で60円引き上げるというものがあり、10%以上の増加だが、受け止めはどうか。

知事

それは料金を引き上げる案ということではなく、今までと違う調査方法で、建物の再建築費や人件費など色々なことを考えて補正した額として示されたのが大人550円というものです。これはあくまで補正による計算結果なので、我々が引き上げ案として示した訳ではないことを御理解いただきたいです。

ただ、御指摘の通り、かなりの上げ幅になるので、やはり納得感のある説明や根拠も必要になります。それから、需要離れのこともあるので、施設側からも色々な意見があり、そうしたことを含めて継続で慎重に審議いただいたいということをお願いしたいです。

我々としては、審議の材料を揃えていかなければいけません。例えば、他の都道府県でどのような調査をしているのかなど、そういうことも必要なので、色々な材料も揃えて次の審議に臨んでいきたいです。

記者

8月23日の記者会見で京都国際高校に関する悪質な投稿に削除要請を行っていると言っていたが、新たに削除要請の件数が増えたなどはあるか。

知事

8月23日の会見でお話したようにモニタリングを行っておりまして、8月29日以降はヘイトスピーチに該当するような投稿は見られませんでした。結果的に言うと、削除要請の実績は7件でした。

いずれにしても、こうした差別的な投稿はあってはならないと考えており、これからも適切に削除要請を行いますと共に、インターネット上での人権侵害の被害者にも加害者にもならないような啓発に取り組んで参りたいです。

現時点では7件の削除要請をした後には、削除要請をするような投稿はないと聞いていますが、通常のモニタリングは常時していますので、当然ですが、悪質な投稿が出てくれば対応するということです。

記者

7件の削除要請は、いつまでに行ったものなのか。

知事

1回目は4件の削除要請をしており、2回目は8月28日に3件の削除要請をしています。それ以降は削除要請をするような投稿は見当たらなかったということです。

記者

先日韓国の総領事が京都府庁に来られた時には話が出なかったが、かつては総領事からヘイトスピーチの条例を求められることがあったかと思うが、条例の必要性についてはどのように考えているか。

知事

条例で何を規定するのかということにもよりますが、条例上規定する必要があるものかということと、全国の状況を見ながら検討すべきだと考えています。必要性がないとは思いませんが、ただ作るための条例ではなくて、どこまで条例でできるのかということを合わせて検討する必要があると考えています。

今言ったような削除要請も含めて、ヘイトスピーチ解消法ができていますので、法律の趣旨を実現する努力をすべきだと考えています。

記者

政府において検討していた女性向けの移住婚支援金の導入が撤回されたが、知事の受け止めはどうか。

知事

移住婚支援金の創設が撤回されたことは報道で承知しています。

まず、各地で人口減少や少子高齢化が進んでいますが、その原因や状況・課題は地域によってかなり異なると思います。全国の地方自治体がそれぞれ自分の地域が持つ魅力を活かして様々な移住施策に取り組んでおられるので、政府には、地方が主体的・自主的に取り組めるような地方移住の促進策を推進いただきたいです。

京都府でも3年前に移住促進条例を制定し、多様化する移住の需要に応えることや、移住者と地域住民との交流を促進し、移住された方が地域社会の担い手として活躍できるような環境を整備することを理念として掲げており、我々としては、年齢層や性別を問わず、幅広い年齢層の方に京都府に移住していただきたく取り組んでおります。

今回の政府の移住支援策についての批判は様々にあり、女性だけを対象にしたということもありますが、もう一つは、一極集中是正であれば、国土政策など、もっと違う政策があるのではないかと思います。それぞれの地域が人を呼び込みたいという思いがありますが、一極集中是正であるなら、もっと他に国としてやることがあると考えています。

記者

国土交通省がライドシェアの拡大に向けて官民組織の設置を決めたが、どのように考えるか。

知事

国土交通大臣を本部長とする「交通空白」解消本部の第2回が9月4日に行われ、そこで「交通空白解消・官民連携プラットフォーム(仮称)」の設置が決定されました。人口減少や少子高齢化の傾向がより強い過疎地域を中心に、足の確保というのは医療でも買い物でも、あらゆる生活に関係することなので、交通空白地の解消は、かなり基本的な施策になってきています。国土交通省がそうした本部を作られたことは非常に評価しておりますし、今ライドシェアの話もありましたが、特に、公共ライドシェアと言われる自家用有償旅客運送について、京都府でも京丹後市や伊根町でも「ささえ合い交通」や「伊根タク」などを導入されており、これをより使いやすくするなど、色々な工夫ができる余地はあると思います。ただ、公共交通全体については、鉄道やバス路線も含めた形できちんと計画に基づいて維持される仕組みを作ることが重要です。国土交通省の検討もライドシェアだけでなく、もっと幅広い検討をしていただければとありがたいと思いますし、おそらくそうなると考えています。

記者

関西広域連合が委託しているドクターヘリの不適切な整備事案について、6月から8月にかけて、ヒラタ学園が再発防止策を関西広域連合に示して了承されたが、再発防止策についての知事の評価はどうか。

知事

関西広域連合のドクターヘリが、整備措置事案の対応に伴って一時運行停止を招いたことは、非常に重大な事態だと受け止めていました。

関西広域連合は、今回の事態を受けて広域医療局に再発防止対策チームを6月7日に設置し、第3回再発防止対策チーム会議で、再発防止策の実施状況について報告書の提出や説明を求め、状況聴取を通じて再発防止策の確実な実施を確認するほか、報告システムの導入や予備品の確保状況等について、広域医療局で必要に応じて現地確認を行い、その状況をチームで共有し、再発防止策の実施のフォローアップを行うことを決めまして、8月22日の関西広域連合で、活動状況や再発防止策のフォローアップの状況が報告されました。その時点では、ヒラタ学園が再発防止策を適切かつ確実に実施されていることを確認しました。

また、ドクターヘリが運行停止した場合の連絡のフローや情報共有の基準の明確化、運行停止時の応援態勢の確認も行いました。ただ、現在進行形のところもあるので、引き続き再発防止対策チームで安全な運行管理や整備体制の確認を行って、再発防止については徹底していく必要があると考えていますが、当面、再発防止対策は実施されていると考えています。

記者

京都府は関西広域連合を通じてヒラタ学園に物を言うことになるが、京都府には基地病院がない関係で、強く言いにくいという事情があると聞いたことがあるが、基地病院の検討状況はどうか。

知事

強く物が言えないということはなく、自由に発言させていただいています。

ただ、基地病院がないので、令和4年度に設置した緊急搬送対策のあり方検討委員会でもドクターヘリの導入が必要だという意見が多数出ましたので、その時に医療審議会に報告し、検討しています。なかなか課題が多く、既に3機のドクターヘリを関西広域連合で共同運行していますので、我々が導入するとなった場合に、分担金や既存ヘリの影響などを考慮することや、関係府県や消防との調整も必要となります。それから、基地病院をどこに置くのかということと、基地病院を置いたところにはドクターを含めたマンパワーの必要性も出てきます。その辺りについて、現在検討中として御理解いただきたいです。

必要ということは既に関係者から言われているので、そこについて論はまたないのですが、具体に導入しようとすると様々な課題がありますので、もう少し整理をさせていただきたいです。

記者

先週の記者会見で発表された9月補正予算案の中に、関西・大阪万博の期間中に府立植物園でデジタルアートの演出をする取組を発表された。昨日、それとは別に、今年実施するデジタルアートの発表があったが、これと先週の記者会見で発表されたイベントとは関係があるのか。

知事

先週の記者会見で、今年度のものは9月5日に公表しますと言っておりましたが、それがまさに府立植物園の開園100周年記念事業の最後を飾るイベントとして昨日発表したものです。それと全く同じではありませんが、今回は観覧温室の中でやりますが、来年度は府立植物園全体を使って、もう少し大きな形で万博の関係事業としてできないかと考えています。

今年度の成果や課題等も踏まえて来年度に実施したいと考えており、必要な準備のためには、今年度からかかる経費があるので補正予算に計上しました。来年度は、同種のものをより拡充していこうということです。ただ、どう拡充するかは今年度の成果を見てからということになります。ただ、いずれにしても広い園内で実施するためには、様々な環境整備や準備が必要だということで補正予算に入れました。

記者

今年度のデジタルアートの実施主体は、カナダケベック州のモントリオールに本拠地を置く会社だったが、来年も同じ会社が実施するのか。

知事

それぞれのイベントごとに意思決定をしなければいけないので、来年度の枠組みを完全に決めた訳ではありません。もちろん念頭にはありますが、今年度は今年度のイベントとしてやりたいと考えています。

記者

当日券だと2,500円で、昼に行けば大人200円で入れるので、料金の幅が大きいと思う。デジタルアートという特別なものを実施するので、経費がかかるのは分かるが、料金設定について知事はどのように考えているか。

知事

料金は需要と供給で決まるものですし、ニーズがあり、来られる方が価値を認めれば支払っていただける額の設定だと考えています。ただ、類似のイベントとの比較においては、それほど高額ではないと考えています。収支採算上を考えると、より高い方が良いと思いますが、一定の合理的な範囲の中の価格付けだと思います。それほど高いと思っていません。

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