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令和7年度9月補正予算案が概ね取りまとまりましたので、その概要を御説明します。
まず、予算編成の基本方針ですけれども、記録的な高温・渇水により生じております影響に対しまして緊急対策を講じるほか、厳しい状況に置かれている中小企業者の事業活動を守るための予算を編成しています。
内容は、農業を守る取組、中小企業の事業活動を守る取組、高校無償化への対応等です。
農業を守る取組の一つ目として、「渇水緊急対策事業費」、5千万円規模です。
内容は二つございまして、(一つ目は)農業水利施設の渇水対策ということで、農業水利施設管理者が行う用水対策に要する経費を支援するものです。対象経費はポンプの調達等です。
(二つ目は)農家等の渇水対策への支援ということで、これについては、一部は既決予算により事業着手済みですが、用水が不足する地域に対して給水車による給水活動を実施するとともに、水稲生産者が行うポンプの導入等に要する経費を支援するものです。
農業を守るための取組の二つ目として、「農作物生産確保対策事業費」、9千万円規模です。
この夏も、(高温と渇水で)大変でしたが、これからの備えとして、まずは水田の生産回復に要する経費として土壌改良資材の購入費等の支援や、府の原種農場の機能強化を図ることによって高温耐性品種への転換の取組を実施します。
また、高温への備えを強化するため、スプリンクラー等の設備導入への支援を行うものです。
中小企業の関係です。一つ目が「経営基盤強化推進事業費」、2.8億円規模です。
中小企業者の賃上げが可能となるような経営基盤の強化を支援するもので、経費の削減効果がある設備投資等に要する経費を支援します。例えば、機器設備の導入や経営コンサルティング等です。
なお、補助要件としては、今般決まりました京都府の最低賃金の引き上げ額、64円以上の事業場内最低賃金の引上げを行うことを要件としています。
(資料4ぺージ)下段は、「建設業人材確保対策支援事業費」、1.2億円規模です。
これは、予算を増額するもので、建設業者や測量業者が行う生産性向上や労働者の処遇の改善に繋がる取組を支援するものです。
高校無償化への対応ですが、これは国の制度決定に伴い必要となるものを計上しています。21.8億円規模です。
一つ目は、高校生等臨時支援金で、これは年収910万円未満の世帯の高校生を対象としたものですが、所得制限の撤廃に伴い必要となる経費です。
(資料5ページ)下段の奨学のための給付金については、これまで第1子と第2子の間に差がありましたが、第1子に係る給付金の単価を第2子以降と同額にするために必要な経費です。
その他の施策として、「ツキノワグマ被害防止総合対策事業費」、1千万円規模です。
法律改正により可能となった「緊急銃猟」に係る取組への支援を実施するものです。
(資料6ページ)下段は、「歴史的建造物等保存伝承事業費」、9千万円規模です。
資料には福王子神社や大徳寺の侍真寮、妙法院の庫裏を記載していますが、国宝や重要文化財の保存修理を実施するものです。
内容は以上です。
全体として、令和7年度の現計予算が1兆354億円です。今回の9月補正予算が29億円台ということで、合計しますと補正後予算額は1兆383億円台です。
ちなみに令和6年度の9月補正後と比較しますと103.7%ですので、3.7%増ということです。
私からは以上です。
補正予算について、高温・渇水から農業を守るということだが、補正予算でこのような事業を計上することは珍しいのか。
これは二段階になっていますが、(資料2ページの)上段の農業水利施設については、今後の備えにも役立つということで、用水対策に要する経費を支援しますが、高温が続いているということと、例えば来年度の当初予算で措置したとしても、一定の時間がかかりますので、早めの対応をするということで、措置するということです。そういう意味では、補正予算としては結構早目の対応なのかもしれません。
(資料2ページの)下段は、実は既決予算で一部着手済みです。これは、まさに目の前の用水の不足について対応したものについて、それを引き続き行うための予算でして、そういう意味では補正予算だから特別ということではありません。
ただ、もうひとつの「農産物生産確保対策事業費」については、まさに将来を見据えてということで、水田の生産回復というのはまさにこれからの備えですし、高温耐性品種への転換や高温対策・品質向上に繋がる設備導入というのも今後の備えですが、できる限り早く着手したいということも含めて措置しています。例えば、品種の転換は一定の時間がかかりますので、早めに着手する方がいいのではないかという判断で、今回補正予算として計上させていただきました。
これまでに取り組んでいない事業はあるのか。
品種の転換や高温に備えた設備導入というのは、生産性向上対策としても取り組んでいますので、完全に新しいということではないです。
土壌改良資材の購入支援は、今まで取り組んでいなかったのではないのかと思いますし、農業水利用施設に対する経費支援についても、今回の明らかに異常な高温少雨という気象条件によって、初夏から夏の盛りにかけて、非常に水が不足したというようなことも受けたものでして、これも新しい取組だと考えています。
「高温・渇水から農業を守る取組2」の「農作物生産確保対策事業費」は基本的にはお米が対象なのか。
(資料3ページのポイント一つ目の)「水田の生産を回復に要する経費を支援」の部分は当然お米が対象ですし、(二つ目の)「原種農場の機能強化」についても基本的にはお米を前提にしています。
(三つ目の)スプリンクラー等の導入支援は野菜が対象になるのか。
スプリンクラーは使う対象を限定するものではないと思いますし、三つ目のポイントの補助対象(の例)として、スプリンクラーを挙げているということです。
メインの対象はやはりお米なのか。
米が注目されましたが、今年の夏に入る前、梅雨明けの頃の感じとしては、どちらかといえば高温・少雨の影響は今までのパターンだと野菜の価格高騰に繋がったということでした。それが、今回は出穂期に極端に水が少なかったので、米の栽培と渇水対策がセットになりましたが、原則は、米だけではなく農産物全てについて対応していくのが筋だと考えています。
今年に入ってから特に米不足が大きな課題になっている中での取組だと思うが、改めてどのような必要性があって取り組むのか伺いたい。
まず、今年は6月27日という異例の早さの梅雨明けで、高温・少雨が続きました。これも全国一律ではなく、京都府内でも丹後地域と中丹地域で特に水が少なかったです。
これは気象条件なので仕方ないこともあるのですが、そういうことに対する備えとして、今回、下水の処理水を使ったり、工業用水を活用したり、ポンプで直接河川から水を取るというようなことなどを緊急避難的に行ってきました。そういう形ばかり続けていいのかどうかという問題意識もあり、まずは生産に影響しないように緊急的でもやれることは全てやるつもりでやりましたが、やはりこの気象条件がこれからもある程度続く可能性があると考えれば、中長期的な備えをしていく必要があります。今回の補正予算で中長期的な備えができているかというとまだまだだとは思いますが、政府も米の増産の方針を打ち出されていますし、いろいろな作物に温暖化が影響しているということで、これは京都だけのことではなく政府を挙げて対応していく必要があることですので、その中で、我々としては自治体としてできる限りのことにチャレンジしていきたいと考えています。
補正予算の農業関係対策の中にカメムシの対策は入っているか。
カメムシについては勉強不足のところもありますが、果樹等につくものとお米につくものなどいろいろあって、地域によっても違います。今年、京都市内では、緑色のカメムシはあまり見ないですが、隔年で来るそうです。ただ、お米につくカメムシはいるのではないかということもありまして、その辺りの情勢を我々はまだきちんと聞いていないです。府内でのカメムシによる最近の被害としては、丹後地域の梨があります。カメムシが梨の蜜を吸うとそこがへこむので、品質は別にしても商品として出荷できなくなるという被害がありました。それについては、既決の予算等を使って支援をしたこともあります。
網をかけるなどカメムシを防除されている農家は当然あります。今のところ直接の被害報告を私は受けていないので、今回の予算の中にはカメムシ対策を意識したものは入っていません。もし何か必要性があれば、既決予算の活用も含めて迅速に対応する必要があると考えています。
8月4日に農業渇水緊急対策会議を開催し、その場でいろいろな被害状況を報告されたが、この夏の府内全体の異常の発生と農作物への影響の状況はどうか。
作物によって違いますが、農業渇水緊急対策会議を開催した時は出穂期で、緊急的にできることは何でもしようということで、(揚水)ポンプや下水の処理水、工業用水を活用するなど、やれることをやりました。そのあとに少し降雨があり、ため池に水が貯まり始めたということで、緊急的な状況はとりあえず乗り切れたと考えています。
ただし、最終的に収量や、米の粒の大きさとか色つやなど出来栄えまで見ないと、本当の影響というのは分からないですが、水稲の水不足に対しては、短期的には対応できたと考えています。
ただ、これだけ高温が続いてくると、他の野菜等も含めて農産物はどうかということについては、今すごく厳しい状況や被害が出ているということは聞いていませんが、やはり水は相変わらず少ないので、そこは今回の補正予算も含めて対応していく必要があると考えています。
出来栄えや収量への影響は、今は分からないのか。
どういう影響が出るかが分かるのは恐らくこれからになります。一部の早場米は刈り取りが始まっていますが、どこまで影響があったかはまだ聞いていないです。
京都府の最低賃金を1,122円に引上げる答申が出された。1,100円以上になるのは初めてのことだと思うが、引き上げ幅も含めて知事の受け止めを聞きたい。
今回は、まず全国的な目安が国から各地域別に示された段階で、当然、額も史上最高ですし、引き上げ幅も大きかったので、全体として物価の高騰の状況を受けて、実質賃金のマイナスが続いているという状況もございましたので、まさにそういう社会的ニーズに沿ったものだということです。
骨太方針でも「賃上げこそが成長戦略の要」というような表現もありました。そういう全体の政策方針に従ったものだということですので、私自身はこの引き上げ幅、レベルについても一定妥当だと考えています。
ただし、賃金を引き上げるためには、中小企業者の方が、その引き上げに必要な利益や原資を確保しなければいけないということなので、単に最低賃金だけを引き上げるというのではなく、やはり中小企業者に対して、賃上げができる環境を整備するということも合わせてやらないと、施策としては効果を発揮しないのではないかと考えています。
今回の予算措置はその一環ということか。
そうです。ただ、まだ(答申で)引き上げを決められたばかりですし、全国的に見ても実施時期も最近ばらつきがあったりするということですが、早めに我々としての姿勢を示して、(経営基盤強化推進事業を)活用していただく企業には是非とも活用していただきたいと考えていますし、国の方の業務改善の支援等もあります。実際はまだ景気対策については、(国は)やると言っただけで、それが形としてまだ表れてきてないということがあるので、場合によっては、国の様々な動きがこれから出てくれば、我々が先行して制度を作っていても、それに対して柔軟にフィットするように、工夫していく必要があると考えていますが、とりあえず9月補正のタイミングでは、早めにメッセージを出させていただきたいと考えたところです。
中小企業の負担軽減策として、設備投資に関する支援以外に何か考えているのか。
今までも「生産性向上人手不足対策事業」というものをやってきましたし、様々な観点での事業をやってきていますので、既決の予算の中でも当然対応していきたいと考えていますし、今回はそれに対してもう少し施策のメニューの幅を広げさせていただきたいということです。基本的には、経営基盤の強化をするというのが一番正しい方法だと考えています。
「経営基盤強化推進事業費」について、ねらいや、今実施する理由について改めて教えてほしい。
先程も言いましたけれども、物価が高騰している中で実質賃金のマイナスが続いています。やはり物価上昇を上回る賃上げを行うことが経済の好循環に繋がるという政府全体の動きの中で、今回最低賃金の引き上げ幅や絶対額がかなり高いものになりました。
これについては、ただ最低賃金の引き上げを決めれば、それが守られるということではなく、それを実現するには、中小企業者が賃上げに必要な原資を確保するために経営基盤を強化していくという形にしないと、持続可能なものになりません。ですので、今回9月補正予算という形ではありますけれども、最低賃金の引き上げ幅も決まりましたので、それに合わせて早めにメッセージを出して、できることからやっていくというための予算ということです。
今回、補助要件として、京都府最低賃金の引き上げ額以上の事業場内最低賃金の引き上げを行うということだが、そのメッセージとは、中小企業であっても賃上げを早くしてもらいたいということか。
そうです。最低賃金はルールなので守らなければいけないですが、全ての事業所が最低賃金に近い賃金水準という訳ではありません。それぞれの企業、それぞれの雇用されている方にとっての賃金水準のレベルを全体的に上げていくためには、どの段階であろうと一定の賃上げ幅が確保されることが全体としての賃金水準のアップに繋がると考え、今回はそのような制度設計として、最低賃金付近の賃金水準の事業所だけではなく、賃金の上げ幅に着目して、64円以上上げていただくということであれば、この予算を使って経営基盤強化を支援していきたいということです。
(資料4ページの)取組例には、設備の導入やコンサルティング等が記載されており、対象が幅広いと感じるが、経営基盤の強化であれば必要なものを支援するということか。
取組例に記載しているものに限るものではないですが、賃上げや体力増強に比較的早く効果が出ることや、経費の削減効果が高い取組に使っていただきたいと考えており、企業の方もそう思われると考えましたので例として機器や設備の導入を挙げさせていただきました。
最低賃金の引き上げについて、「経営基盤強化推進事業費」として今回2億8,000万円規模の予算を計上している。物価の高騰はこれからも続いていくと思うが、9月補正予算以降も状況によっては継続して予算計上する可能性はあるか。
京都府の最低賃金の引き上げ額は、国が示した目安の額より1円多かったですが、全国でも最低賃金の引き上げ額が出揃ってきました。先ほど言いましたが、「骨太方針2025」には「賃上げこそが成長戦略の要」とあります。しかも同じタイミングで経済対策についても政府として言及していたので、それが補正予算になるかどうかは分からないですが、いずれ形が作られていくと考えています。一部報道では、今回の最低賃金の大幅な引き上げに伴ってそれを後押ししないといけないのではないかという声も出ているので、そのあたりはこれから国のほうでも動きがあると期待しているところもあるので、それに沿った形ではやりたいと考えています。
京都府が独自で、しかも京都においてのみ実施するとなると財源にも限りがありますので、今回は補正予算において財源との兼ね合いの中で実施することとしました。
これからも中小企業対策は力を入れていかなければいけないと考えていますが、効果的に賃上げに効果的に繋げるためには、本当はオールジャパンといいますか全国制度としてやっていただいた方がより効果が高いのではないかと考えています。
「経営基盤強化事業費」の一社当たりの上限はどれぐらいか。また何社支援することを想定しているのか。
上限額は500万円です。単純計算すると何社分ということは算出できますが、(全ての企業が)500万円全額を使われるかどうか分からないので何社分になるかは分かりません。
「建設業人材確保対策支援事業費」が計上されているが、今回建設業に特化したねらいは何か。
元々当初予算にこの項目があり、非常にニーズが高かったということが一つです。それから、私自身が建設業に携わったからという訳ではありませんが、ものづくりなどの産業分野に比べると比較的現場での業務が多いので、生産性向上や週休2日など労働環境の改善がしにくい業種だということもあります。ニーズが高いということは、ようやくそういうところに踏み出されたのではないかと考えていますので、特化したというよりも、これまで計上した予算のニーズの動向も踏まえて今回補正で対応させていただいたということです。
「高校生等就学支援事業費」について、来年4月から始まる授業料の無償化に伴う取組ということか。
今回の予算措置は、国が制度を決定したことによるもので、例えば(資料5ページ)下段の奨学のための給付金については、私立については既に当初予算で措置済みで、それを国の方針に合わせて国公立でも行うために必要な予算を追加しました。上段は全体として所得制限を撤廃するという対応をしました。
ただ、全体の高校無償化と言われているものが実際どういう形で行われるのかということについてはまだ分からない部分もあります。例えば、私立高校の無償化に伴って公立高校に行く人が減るのではないかということや、私立高校同士でも都市部と地方部を比べると、地方部の生徒が都市部の私立に行くなどといった影響が出るのではないかなど、いろいろな声が全国で出ていますので、高校無償化の全体像については次の課題として対応していきたいと考えています。
今回は、ひとまず国の決定に従って必要な予算を計上させていただいたということです。
補正予算の財源はどうなっているか。
一つは重点支援地方交付金です。重点支援地方交付金の京都府分として一定の額が通知されていまして、総額は11.2億円で、一部を6月補正予算の財源として残りは全額今回の補正予算案の財源としています。
高校授業料の無償化については、国の方針なので財源は国費です。
一部、一般財源として財政調整基金をわずかですが取り崩しています。
財政調整基金の取り崩しは幾らぐらいか。
4,500万円です。
一般財源も一部あるということか。
そうです。農産物生産確保対策事業費や、資料には記載していませんが、既に実施している事業においてインフレスライド条項を適用することにより府債を財源とする事業費が若干増えていて、事業費が増えた分だけ府債の発行額が増えています。
いろいろな財源がありますが、主な政策経費の財源は重点支援地方交付金と考えていただければと思います。
政府が原発の特措法の財政支援対象を半径10キロ圏から半径30キロ圏に拡大するとのことだが、知事の受け止めはどうか。
本日の関係閣僚会議で、「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」による財政支援対象を半径10kmから30kmに拡大することを決定されたということです。また、対象府県についても、いわゆる立地県以外の隣接府県にも(対象を)拡大する方向だと、報道ベースでなっております。
これについては、原発が立地していないものの隣接している府県が全国に7府県あるのですが、今年6月にその7府県知事の連名で政府に対して、原子力発電所の安全対策や防災対策については、もし万が一の事故が起こった場合には立地県以外にも被害が出るので、ぜひとも隣接の府県も含めて原子力防災対策を拡充して欲しいという要望を出しておりましたので、その要望に沿ったものだということで、私自身としては歓迎したいと思います。
ただ、制度の詳細がこれから明らかになってくるということで、そうすればもう少し的確に評価をしたいと考えています。
全国の自治体で、テレビや公用車のカーナビなどにおいてNHKの受信契約を結んでいなかったという問題が相次いで発覚しているが、京都府における状況はどうか。また、全国知事会においてもこの問題について言及があったが、知事の考えはどうか。
京都府では、NHKの受信料算定に向けたテレビの設置状況調査を行っていまして、通常のテレビはもちろん、公用車のテレビ付きのカーナビやテレビ付きのパソコン、テレビ付きの携帯電話など、テレビを受信できる機器についても毎年一回調査を実施して設置状況を把握しており、それに基づいて受信契約をして受信料を払っていますので、京都府は適切に対応していると考えています。
この件については、7月の全国知事会議で、岐阜県の江崎知事から、受信契約に関するルールを整理するなどもう少し議論したほうがいいのではないかという問題提起があり、全国知事会の総務常任委員会で対応を議論することになっています。もしそこで一定の整理がされれば、当然それに対応して京都府も直すべきことがあれば直さないといけないのですが、今のところ京都府では適正に契約して適正に支払っていると確認しています。
岐阜県の江崎知事の考えについて、知事の所見はどうか。
そんなに詳しくは話されておらず、まさに問題提起だと考えています。恐らく契約の中身や、機器によって使用頻度が違うなど、いろいろな問題意識があるのだとは思いますが、その辺りを一回整理しようということになっています。
愛知県の豊明市が、スマートフォンの使用時間を、一日二時間以内を目安にするよう促す条例を議会に提出したが、知事の見解や府の対応を伺いたい。
豊明市が条例案を9月議会に提案されていることは承知しています。
ベースとして、スマートフォンを長時間利用すると寝不足をはじめ生活習慣が乱れたり、視力の低下もありますし、またインターネットトラブルに巻き込まれるケースも出てくるということで子どもたちの健全な育成を推進する立場からは、スマートフォンの長時間利用についての問題意識は持っています。
京都府は、毎年、青少年のインターネット利用状況に関するアンケート調査をして、それに基づいて警察や携帯キャリアとも連携して有害情報のフィルタリングや、ワークショップを開催して青少年への啓発などを行っていますし、教育委員会でもリーフレット作成やPTAへの説明会を実施しています。
京都府の場合は、青少年の健全な育成に関する条例に基づいてそういう対策を実施しています。条例の中でも、保護者や青少年の育成関係者は、子どもたちがインターネットを利用するにあたって適切な利用をするよう努力義務を課していますので、それを基に具体的な施策をすればいいと考えています。
ですので、今のところ利用時間に絞った条例が必要だとは考えていません。スマートフォンの利用については、利用時間の制限に限るのではなく、総合的に対応していく必要があると考えています。
総合的にということは、啓発などを含めてなのか。
そうです。適正に利用していただくというのが大原則だと考えています。
東京都が、高齢者や障害者がエアコンを購入する場合に補助を拡大するということだが、知事の考えはどうか。
東京都の施策についてコメントを求められると、裕福だからできるんだなと言うしかないという実情があります。これは私だけではなく多くの自治体が言っていることで、感想を求められても困るところがあります。
本当は、ナショナルミニマムや、安心・安全の面では財政力によって違いが出るのはよくないと考えています。ただ、こればかりはそれぞれの自治体がそれぞれの政策の重点や方向性に基づいて予算措置をされていますので、それについてはなかなかコメントできないです。
京都府としては、温室効果ガス排出削減の観点に立ち、国の交付金を活用して、省エネ性能が高いエアコンの導入に対して支援したことはありますが、高齢者や障害者に対する熱中症リスクへの対策として、エアコン購入に対する支援を行うまでは今の京都府の財政状況ではなかなか難しいと考えています。
。高齢者の方は室内で熱中症になっている方が多いので(東京都は)エアコンを対象として補助を行うのだと思いますが、京都府としては、もちろん熱中症対策が必要だという認識は同じように十分持っていますので、見守りや啓発などを中心に、東京都とは違った形で努力をしていきたいと考えています。
基本的には国の制度として行ってほしいということか。
それは、国は国でどこに重点を置いて施策を実施するのかということもあります。
万博へ行った人がどれだけ京都へ来ているのかということを、どのように測っていくのかについて、進捗はどうか。
色々と調べているのでかいつまんで説明しますと、まずは、「リアル桃太郎電鉄~ホンマの京都・万博編」を実施していますが、8月25日時点で約4,000人以上の方にご利用いただいています。実際にプレーした人にアプリの中でアンケートをしていますが、そのうち約4割の方が「既に万博に行った」、同じく約4割の方が「今後行く予定」と回答されていまして、それを見てもやはり府域と万博会場の相互に行き来があるのではないかと考えています。
それから、府域周遊の企画として、府内各地に設置したスタンプを集めるスタンプラリーを7月11日から実施したところ、8月1日には用意した景品が全てなくなったので、本日から第2弾を開始しています。第1弾で景品を引き換えた人が331人おられて、そのうちの83人の方が万博会場の関西パビリオンの京都ゾーンで配布した台紙を使用して京都府内でのスタンプラリーをされていました。
他にも、ミクロな例ですけれども、5月5日から一週間、万博会場の京都ゾーンに花山宇宙天文台が出展されました。毎週、花山天文台で施設公開をされていますが、天文台の調べでは、毎回何人かの方は京都ゾーンに行って花山天文台のことを知ったそうです。
マクロ的な視点で何人来たかということはなかなか調査が難しいですが、万博会場の京都ゾーンと府域の周遊については、一定の繋がりや連携ができているのではないかというところまでは把握していますし、さらに調査をしています。
さらに調査というのはどういうことをするのか。
今行っている調査はまだ終わっていないので、引き続き行っていくということです。
万博会場での調査はしているのか。
8月18日から、京都ゾーンの来場者に対して直接アンケート調査を実施させていただき、
24日時点で約15パーセントの方から年内には京都府域にも訪れたいという回答をいただいておりますので、そういうことも含めてきちんとまとめたいと考えています。
各調査では、対象者が府内の人か府外の人かということも把握しているのか。
今手元に資料がないので分かりませんが、「リアル桃太郎電鉄~ホンマの京都・万博編」のアプリ内調査では、個人情報ですが属性は聞いていますので、分かると思います。
府内の方、府外の方どちらも一定の周遊があるということか。
そう考えています。
二期目の任期満了まであと7か月ほどだが、知事選について何か決めたか。
毎回同じことしか言えませんが、今年度は二期目の最終年度なので、「あたたかい京都づくり実感予算」と銘打った当初予算や、成立した6月補正予算、今回概要をご説明して9月議会に提案する9月補正予算案、当面はそうした予算の執行をはじめとする課題解決に全力を挙げていくということで、選挙については一切考えていないです。
全く考えてもいないのか。
全く考えてもいません。
いつ頃までに決めるなども考えていないのか。
それも考えていません。
自民党の総裁選について、前倒して実施することの是非を問う記名投票を実施することが決まったが、知事の所見はどうか。
これはなかなか難しい問題で、いろいろな投票で記名・無記名の話はありますが、もし、記名にすることが問題だという人がいるのであれば、なぜ記名だと問題なのかとは思います。記名であろうと無記名であろうと、同じ意思を表明するという人も当然おられます。
私自身は、無記名ならある意思を表明するけれども、記名だったらしないというのは若干筋が違うのではないかと考えています。
何かの人気投票やアンケート調査ではなく、今の与党の総裁を決める選挙を前倒しするのかしないのかという非常に重大な意思決定なので、ある程度責任を持って意思を表明するという立場に立てば、(投票を)記名とするということも十分考えられると思います。
ただ、記名すれば当然意思表示したことについて説明責任等も出てきます。それなりの覚悟が要るとは思いますので、その投票行為に影響が出るというのも十分分かりますが、私自身は、非常に重大な意思を表明するのであれば、(その表明に)責任を持たれるということもあるのではないかと考えています。
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