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2月の実習では、住建築・リフォーム科でのこの1年間の訓練の集大成である模擬家屋の本格的な施工をしています。
墨付け、加工、組立といった一連の流れをこなし、今月からは内装の施工に移っています。今まで製作してきた小さいサイズのものとは違い、実寸大の家屋だととても迫力があります。身の引き締まる緊張感の中、訓練生一人ひとりが皆、逃げも妥協も許されない「ものづくりのプロ」の顔つきに。
内装の施工に移ってからは、完成後よく人目に触れる部分はより丁寧に仕上げる必要がある一方で、完成時期をイメージしながら進み具合が遅れぬよう多くの作業をスピーディーに行わなくてはいけないので、苦労も多い分、工程を最後までやり遂げ実物の家屋を完成させた際の達成感はひとしおのものがあります。
模擬家屋は来月完成予定ですので、ぜひ一度、京都高等技術専門校へ見学に来てください!
和室天井廻縁の施工
竿縁天井の施工
和室床の間の製作
洋室の壁下地の作成
洋室石こうボードの取り付け
洋室天井の作成
今月は、加工を行った模擬家屋材料の「建て方」を行いました。
「建て方」とは、現場で構造部材を組み立てることです。構造部材とは、今回においては柱や梁(ハリ)・桁(ケタ)といった材料を指します。(注:木造建築物の構造を支える水平方向の部材の内、短辺方向に掛けるのが「梁(ハリ)」、長辺方向に掛けるのが「桁(ケタ)」。)
建て方は危険を伴いますが、一日でこれまで作った部材が形になっていくので、訓練生たちも完成を楽しみにしながら実習をしていました。
土台敷き作業
建て方その1
建て方その2
建て方完成
大工を目指している訓練生の一部は、国家検定「2級建築大工技能検定(大工工事作業)」の受験に挑戦しました。
去年の夏に挑戦した3級と比べると難易度もとても高く、挑戦した訓練生たちは数か月前から空いた時間を見つけてずっと練習してきました。
合格発表は3月になるので、訓練修了のタイミングへ向けて良い報告を心待ちにしています!
展開図作図
大工技能士2級課題
今月は、墨付けを行った模擬家屋材料の加工を行いました。
これまで習得した技術・技能を使って皆で材料を加工していくとともに、まだ使用していない様々な機器の使用方法も習得していきました。
これまでの訓練では、手で加工する場面が多かったのですが、機械の力も使いながら年内に軸組が組めるよう訓練生一人ひとりが協力し合いながら頑張っています。
自分たちで考えた物が少しずつ形になっていき、訓練生たちも完成を楽しみにしながら実習をしていました。
追掛大栓継手の加工
部材の加工風景
加工した材の地組み
今月紹介する機械は、「大入れルーター」という機械です。大入れルーターは、大入れ加工とアリの仕口加工を行う道具で、大入れ用の平行刃と蟻切用の斜め刃の二つの刃が付いています。
かなりの量の木くずが舞うため、サポートの人が横から風を送って木くずが作業者に降りかからないようにしています。
初めて使い出した頃は刃物が至近距離で回るため恐る恐る作業する人が多かったですが、機械操作に慣れてくると、以前とは比べ物にならない作業スピードで進むようになりました。
大入ルーター
大入ルーターの作業風景
大入ルーター側面
機械加工後のバリ取り
今月は、現場でも使用される測量機器を使用し、距離や高さ、角度などを測定する訓練を行いました。
まずは実習場にて、測量機器の据付方法や使用方法を習得しました。これまで使用した大工用工具などとは性質が全く違うため、1から使い方を勉強しながら指定された範囲を測量の後、誤差を算出し、自分たちが正確に測れていたのかまでの確認を行いました。
その後、実習のまとめでは、測量機器を使用し校内の敷地にて「遣り方」実習を行いました。「遣り方」とは、建築物を建てる前に敷地に建築物の中心や壁の位置を出すため行う工程のことを言います。大工や内勤業務を目指す訓練生達は、建物基礎となる測量の授業を真剣に取り組んでくれていました。
遣り方実習
測量実習(オートレベル)
大工実習では、廻り階段の作成を行いました。
図面の展開図を作図しパーツの割り出し方を習得、その後材料を加工しました。
帯のこや溝切カッターなど新しい木工機械も使用しました。木工機械を使用するときは、手工具以上に安全第一に注意して作業を行っており、住建築・フォーム科訓練生は、訓練の作業過程の中で注意力を養い安全な使い方を習得しています。
今回の実習では小型の廻り階段を作成しましたが、これが実際の建築現場では実寸大のサイズになります。部材の大小はありますが、模型も実寸大も加工方法や図面の考え方は一緒になるので、訓練生には今回行った方法をしっかりと覚えておいてもらいたいです。
廻り階段
展開図と階段の模型
8月は2週間の夏休みがあり、夏休み明けには、まず「品質管理」に関するオンライン訓練がありました。「品質管理」というと一見建築に無関係のようにも感じますが、モノづくりを行う上で避けては通れない、とても大切な分野になります。とくにこれまで就労経験の無い訓練生は初めて聞く話ばかりで難解に感じていたようですが、しっかりと学んでくれていました。
7月末から8月にかけては、CAD強化月間として、集中的にCADの操作や図面作図の訓練を行いました。CADは、パソコン上で図面の作図などを行うソフトウェアであり、建築業界ではこれを扱えないと仕事にならない場合もあります。さわり始めのころは操作が苦手な人も多い中、今では訓練のおかげで操作にも慣れ、10月に受験する「建築CAD検定」へ向け試験対策の勉強に励んでいます。
入校から半年が経とうとする中、今後の就職を見据え、住建築・リフォーム科の訓練は、より新しい技術の習得へ重点が移っていきます。9月以降は、機械作業に始まって3DCAD、そして測量と、次々に新たな分野の勉強が待っているので、訓練生には頑張って一つひとつ習得してもらいたいです。
CADの訓練風景
Jw_CADを使用しての図面練習
(注) Jw_CAD・・・・無料で線種を自由にカスタマイズできる2D汎用CADソフト
今月は、いよいよ国家検定「3級建築大工技能検定(大工工事作業)」です。
この試験は、「学科試験」が月初めに、「実技試験」が月末にと、日を分けて実施され、両方に合格しないといけません。住建築・リフォーム科訓練生にとっては、日頃の訓練の成果を試すことのできる大切な機会です。
学科試験へ向けて、過去問題を何度も繰り返し解きながら、間違えた箇所を復習し建築の知識を確かなものにしていきました。実技試験へ向けて、学科試験終了直後から気持ちを切り替え、連日実習課題に取り組みました。最初は丸1日かかっていた課題も、何度も練習を重ねることで試験時間内(試験は2時間45分の長丁場です)に完成できる訓練生が日に日に増えていきました。練習の中で訓練生一人ひとりが、着実にカンやコツを身につけ、他の訓練生と互いに相談し合いながら、1秒でも早くかつ綺麗に課題を完成させられるよう工夫する様子を見て、この4か月間の彼らの成長を感じました。
これまで習った道具の手入れの仕方を日々実践してきたおかげで、各自が使う道具も万全の状態で実技試験当日を迎えました。実技試験でも、訓練生は持てる実力をフルに発揮してくれたことでしょう。試験結果は次回以降の報告となりますが、この試験へ向けて最後までたゆまず努力した住建築・リフォーム科訓練生の皆さん、大いに自信を持ってください!!
大工技能検定合格に向けての練習
3級建築大工技能検定課題
ひたすら反復練習
6月からは、木材に加工の線などを書く「墨付け」、のこやのみを使用した「加工」、玄能や釘を使用した「組立」の練習を始めました。目標は、7月末に行われる国家検定「3級建築大工技能検定(大工工事作業)」の合格です。
まずは、「墨付け」作業です。試験問題の図面を読み取って木材に加工用の線を書く作業ですが、初めての本格的な墨付けに、訓練生はそれぞれに悩みながら取り組んでいます。本番の試験では図面に寸法(長さ)が全て記入されているわけではないので、合格には「図面を読み取る能力」が必須です。この能力は、訓練を通してしっかり身につけてもらいます。
次に、大工用工具を使用した「加工」作業です。「加工」には様々な種類があり、覚えるべき事柄や注意すべき点も多い作業ですが、訓練生は常に手を動かしながら毎日実習を頑張っています。
全ての「加工」が終了すると、いよいよ「組立」作業の工程へと進みます。自分で加工したものを組み立てることで、自分の加工の精度を確認することができ、次回やるときはどこに注意したらいいのかも自分の目で確認することができます。
大工技能検定3級に向けた墨付け作業
検定図面の入念な確認
鉋を使用した材料の加工
6月末には、野外訓練として工場見学を実施し、大阪市住之江区にある、自社工場において住宅資材の製材や木材の機械加工を行うプレテック株式会社様を訪問しました。
現在、世の大半の建築現場では、搬入前に木材の加工を工場で済ませる「プレカット」という方式が主流であり、現場の大工は搬入木材を組み立てるだけの仕事が増えているのが現状です。こうなると一見、加工の勉強は不要であるように感じますが、それは大きな誤解です。加工の素養がない大工は、いざ緊急時になると全く対応できず身動きが取れなくなるのです!
住建築・リフォーム科の訓練生は、日々の訓練の中で自分自身の手で加工の練習を重ね、木材を加工することの大変さを身をもって感じ、理解しています。その上で、木材加工の生の現場に直に接する今回の工場見学を通して、建築業界で必要とされる人材が、「自分の力で図面の読み書きができ、自分の頭で考えて加工ができる大工」であると学び取ることができ、まさにその期待を担う者こそ自分達訓練生なのだという自覚と抱負を一層強くすることができました。この体験は、今後への大きな糧になると思います。今回御協力いただいたプレテック株式会社様、貴重な機会をどうもありがとうございました!
工場内にある柱の全自動加工機
工場長から直接プレカット技術を学んだ
大型の横架材加工機の説明
実習では、先月の鉋(かんな)の刃研ぎに引き続いて今月も、まずは大工道具を自分で手入れできるようになるための訓練を行ってきました。
墨差しや墨ツボ、鉋や鋸など、どんな道具でも準備や手入れを怠ると、その良さを100%発揮することはできません。また、いい加減な道具の扱いを見過ごすと、それが作業の粗さを招き、ひいてはケガや事故へとつながります。
住建築・リフォーム科の訓練では、今後1年間使用していくことになる各自の道具を、自身できちんと手入れができるよう徹底してもらいます。
学科では、建築士試験でも必須となる手書き製図の訓練を行いました。
ドラフターと呼ばれる製図用の器具を使いながら、手書き製図に取り組みました。建築設計で要求される本格的な線を書く作業は、単に紙の上へ定規で線を引くのとは異なり、訓練生も慣れるまでは難しそうでした。
現在の実務ではCAD利用が主流になっていますが、その基礎は手書き製図にあります。訓練生には、基礎から学んでもらいます。決まりや書き方など特有の難しさはありますが、少しずつでも着実に習得していってもらいたいです。
4月14日「入校式」の日、住建築・リフォーム科へは、高校新卒者から50歳代求職者まで17名の訓練生が入校しました。
入校日の「オリエンテーション」では、訓練生同士のチームワーク形成のため、チームビルディングの課題「割り箸タワーゲーム」に取り組みました。全員が協力し同じ目標に挑むことで、各人の「役割分担」や相互の「コミュニケーション」の重要性を学びました。就職を目指し1年間苦楽を共にする者同士、「一緒に悩み、楽しむ」住建築・リフォーム科となるよう期待しています。
「座学」は、建築の一般的な基礎知識を学ぶ「建築基礎科目」の授業です。
本校の強み「短期集中の技能習得」の前提準備として、この基礎知識の仕込みが後々じわりと効いて来ます。建築の分野は一見、取っ付きにくくハードルが高く感じますが、訓練生には一歩一歩積み重ねる中で是非、その面白さと奥深さを実感していってもらえればと希望します。今後の訓練を充実したものにする大変重要なステップですので、不明な点は指導員へバンバン質問を投げ掛けて、トコトン楽しみながら頑張りましょう!
割り箸タワーゲーム(オリエンテーション)
座学(建築基礎科目)
一方、「実技」は、鉋(かんな)等の「刃物研(と)ぎ」の実習です。業界では「研ぎもん」と呼ばれ、建築に携わる際の基本中の基本として、是非とも訓練の初期段階で集中して練習を重ね確実な習得が要求されます。訓練では、練習用の鉋の刃を実際に木材を削れる状態へと仕上げます。
大半の訓練生にとって、大工道具を正確に取扱うのは多分初めてでしょう。訓練では、何よりも安全第一が最優先。慣れない工具に要領がつかめず焦りを覚え、壁に突き当たる訓練生も少なくないと思いますが独断と無理は禁物です。指導員との間で積極的に質疑や確認を行い、また、訓練生同士でコミュニケーションを図りながら、互いに切磋琢磨し、少しずつ腕を磨いていきましょう!
鉋(かんな)手入れの作業
鉋で木材を削る練習
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