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幕末風聞書留
「幕末風聞書留」 大國家文書(寄託資料)
新選組が大坂で鴻池(こうのいけ)等豪商を集めて金策したという、浪花での風聞を記したものです。年月日を欠いていますが、長州征伐後、会津藩が財政窮乏に陥った元治元年11〜12月頃のものではないかと推測されます。
「例之押付借ニ而余儀なく(れいのおしつけがりにてよぎなく)」や「公之威光より浪士ノ威ハ盛ナルカナ」「なんと歎息之到ニハ無之候哉」と皮肉な言い回しとなっています。「池田屋事件」「禁門の変」以後、新選組は大いにその勢いを増しますが、一方で庶民には恐ろしい集団という印象が強まったのかもしれません。
<解読文>(関係箇所解読文)
新撰組浪士より当地富家鴻池初二十四家江、金五千両借用
頼ニ相成候処、三十軒ニ而三千両、次ニ十四軒ニ而二千両調達
頼之割、例之押付借ニ而無余儀、夫々共承知ニ相成候由、会津
より賄相渡り不申ニ付借用之趣意也、公辺御用令被仰付候
とも歎願いたし幾何度トナク願出、中々急速ニ御請
不申候へ共、公之威光より浪士ノ威ハ盛ナルカ速ニ調談、一日内ニ
相整候との趣、なんと歎息之到ニハ無之候哉