トップページ > 産業・雇用 > 農林水産業担い手育成・就業支援 > TPP協定による府内中小企業及び農林漁業への影響について

更新日:2017年10月31日

ここから本文です。

TPP協定による府内中小企業及び農林漁業への影響について

TPP協定の影響調査(商工関係)の結果について

1 アンケート調査の結果・傾向分析

  •  「プラスの影響あり」:19%、38社
    (内訳:日本酒6、陶磁器5、機械金属加工4、和装・織物4、茶3、食肉2ほか)
    →海外販路の拡大や原材料コストの低下など、販売とコストの両面での期待
    <日本酒、陶磁器>
     今後TPP 域内(米国)への輸出を検討しており、関税撤廃はプラス
    <和装・菓子・食肉>
     輸入原材料のコスト低下が期待できる など
  • 「マイナスの影響あり」:3%、7社
    (内訳:食肉3、日本酒1ほか) 
    →国内市場の過当競争・価格競争による低価格化や売上・収益の減少を懸念
    <食肉>
     安い輸入品との競合により売上減少が懸念される
    <日本酒>
     輸入ワインの関税が撤廃されると、日本酒と競合し、国内需要が低下する など
  • 「ほとんど影響なし」:44%
    →業種としてTPPと無関係、海外との取引がない など
  • 「分からない」:34%
    →部品加工など製造工程の一部を担っているため、自社の影響は不明、
     自社製品がTPPのどの品目に該当するのか分からない など  

2 TPP影響調査等検討会議

調査結果を受けて、専門家等委員4名からなるTPP影響調査等検討会議を開催したところ、今後の府の施策の方向性について、以下のような意見をいただいた。

  • 小規模事業者にとっては書類等手続き面で作業が煩雑になることが想定される。丁寧な情報提供が必要。
  • 伝統工芸品の海外展開は一企業では限界がある。京都ブランドを全面的に押し出し、行政・業界が一体的に取り組むことが必要。

3 今後の対応

  • ジェトロ等とも協力し、業種・分野別での実務面についての説明会の実施や、相談窓口での対応など、TPP協定に関する丁寧な情報提供を引き続き実施。
  • プラスの影響を期待している分野(日本酒、お茶、伝統工芸品など)
    中小企業等の海外展開など、新たな市場開拓のための総合的な支援策を検討するとともに、食品分野については農林水産部とも協働し、輸出を目指す生産農家と流通業者との連携を図る取組を実施するなど、国の対策とも連携した効果的な支援策を検討。特にお茶については、番茶の輸入品との競合が懸念されるものの、抹茶などの輸出によるプラス効果を期待する茶商が多いことから、宇治茶のプレミアム化を進め、ブランド力を強化して輸出拡大を支援
  • マイナスの影響を懸念している分野(食品など)
    それぞれの企業の状況に応じ、中小企業応援隊による伴走支援や専門家派遣などのきめ細かな対応を検討するとともに、食肉分野については、輸入品と競合しない4等級以上の「京都ビーフ」の増産による、京都産和牛の安定供給を進める

 参考:検討過程

アンケート調査
  • 対象      府内の中小企業 約700社
  • 回収数     205社(回収率29%) (内訳)製造業117社、非製造業88社
  • 実施時期   平成28年2月~3月
  • 実施方法   アンケート調査に当たっては、中小企業団体中央会の協力を得て、中央会所属の各役員組
             合を通じて実施。
ヒアリング調査
  • 対象      影響が見込まれると回答した企業を中心に、約30社
             (食品分野については農林水産部と共同で実施)
TPP影響調査等検討会議
  • 委員    大西 辰彦(京都産業大学 副学長)
           竹田 正俊((株)クロスエフェクト 代表取締役)
           西川 加余子((株)西川貞三郎商店 代表取締役)
           石原 賢一(日本貿易振興機構(ジェトロ)京都貿易情報センター 所長)
  • 開催日   平成28年3月22日(火)14:00~15:40
  • 場所     京都平安ホテル1階「金閣の間」

お問い合わせ先

 京都府商工労働観光部海外経済課   
 電話 075-414-4874

 

府農林水産物生産額への独自影響試算結果について

1 府農林水産物生産額への影響

  • (最小値)    ▲ 約 6億円
  • (最大値)    ▲ 約20億円

2 品目別の生産額への影響

  1. 最小値は国の考え方に基づき試算(野菜等、国試算にはない品目を追加)
    【試算の基本的考え方(国準拠)】
      ・輸入品と競合する部分は関税削減相当分(国対策のある品目はその1/2)
      ・競合しない部分は競合する部分の1/2相当分
                                                                                             の価格低下  など
  2. 最大値は国試算では勘案されていない品目間の価格相関関係などを加味
■国試算をベースに輸入品との競合可能性を幅広く勘案  

試算品目(H25府生産額)

影響額

最小値

最大値

牛肉                   (19億円)

▲約0.8億円

▲約2.5億円

豚肉                      (11億円)

▲約0.4億円

▲約2.2億円

牛乳・乳製品                  (34億円)

▲微減

▲約0.8億円

鶏肉                       (8億円)

▲微減

▲約0.4億円

鶏卵(加工)                     (10億円)

▲約0.3億円

▲約1.8億円

鶏卵(加工以外)               (44億円)

0

▲約3.6億円

小豆                        (3億円)

0

0

茶                       (73億円)

0

▲約0.5億円

林産物(合板)                (12億円)

▲約0.7億円

▲約0.7億円

水産物(アジ等4品目)            (7億円)

▲約0.2億円

▲約0.5億円

※野菜                    (262億円)

▲約2.7億円

▲約4.5億円

※果実(ブドウ等6品目)        (12億円)

▲約0.5億円

▲約0.6億円

※水産物(サワラ等4品目)      (12億円)

▲約0.2億円

▲約0.5億円

                                                                   ※ 国試算にはない品目
 

■国対策が効果的に実施されない場合に影響が生じる可能性を勘案

試算品目(H25府生産額)

影響額

最小値

最大値

米                                            (185億円)

                  0

▲約1.4 億円

 

 3 経営モデル別の農業所得への影響額

 【認定農業者がめざす経営体モデル(所得目標概ね500万円)】

品目

農業所得への影響予測

水稲(主食用+京の輝き)
えだまめ+黒大豆+みず菜(施設)
みず菜(施設周年)
ねぎ(施設周年)
乳牛
肥育牛

573万円→573~553万円                    (▲0~20万円)
695万円→695~683万円                    (▲0~12万円)
506万円→506~495万円                    (▲0~11万円)540万円→505万円                                  (▲35万円)
696万円→696~629万円                    (▲0~68万円)
729万円→453~▲99万円            (▲275~828万円)

 

 【青年就農者がめざす経営体モデル(所得目標概ね250万円)】

品目

農業所得への影響予測

水稲(主食用+京の輝き)
えだまめ+黒大豆+みず菜(施設)
みず菜(施設周年)
ねぎ(施設周年)

244万円→244~236万円                     (▲0~8万円)
348万円→348~342万円                     (▲0~6万円)
225万円→225 ~ 220万円                   (▲0~5万円)
270万円→253万円                                 (▲17万円)

 

 4 試算結果を踏まえた課題

  • 中山間地域の中小規模経営体においても影響が懸念されるが、このような経営体は農地集積等規模拡大によるコスト削減が困難。
  • 府内産農畜産物の高品質化やブランド力の強化などにより、儲かる農業を実現し、所得維持を図ることが必要。

5 今後の対応

  •  商工労働観光部とも連携の上、農商工連携や6次産業化、実需者ニーズに合わせた生産(マーケットイン)の推進など、引き続き、府の独自施策による支援を実施するとともに、高付加価値化による所得確保や畜産に係る所得補償制度の実現などの対策を国に提案。

お問い合せ先

京都府農林水産部農政課
電話 075-414-4898

お問い合わせ

農林水産部農政課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-432-6866

nosei@pref.kyoto.lg.jp