○子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組の推進に関する条例

令和5年12月22日

京都府条例第31号

子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組の推進に関する条例をここに公布する。

子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組の推進に関する条例

我が国には、地域の子育て世代同士が集まって悩みを話し合ったり、地域の人にこどもの面倒を見てもらったりするなど、社会全体でこども及び保護者等を温かく見守り、支える文化が存在している。

しかし、近年、核家族化や地域のきずなの希薄化その他の諸情勢の変化により、こどもや子育て世代の孤独化及び孤立化が進んでいるほか、我が国の構造的課題である人口減少及び少子化は、深刻さを増している。

こうした状況において、家庭での養育を基本としつつ、社会全体でこどもを育て、子育てに伴う喜びや苦労、負担を分かち合うという、京都のこどもを育てる新たな文化を創造することにより、こどもや子育て世代をはじめ、全ての人にとって暮らしやすい社会を実現していかなければならない。

このような認識の下に、子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組に関する基本理念を定め、社会を構成する各主体の責務及び役割を明らかにするとともに、それらの主体の一体となった取組により、子育て環境日本一・京都の実現を図るため、この条例を制定する。

(定義)

第1条 この条例において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいう。

 この条例において「保護者等」とは、次に掲げる者をいう。

(1) 父母その他の保護者

(2) 妊産婦又はその配偶者等であって、前号に掲げる者となるもの

 この条例において「子育て世代」とは、18歳以上の者のうち、こどもを養育している者が多い世代の者(その他の者であって、保護者等であるものを含む。)をいう。

 この条例において「子育て環境日本一・京都の実現」とは、京都府域において、社会全体でこども及び保護者等を温かく見守り、支えるとともに、子育ての喜び、苦労及び負担を分かち合うことができる子育ての新たな文化を創造することにより、こども及び子育て世代をはじめとする全ての人にとって暮らしやすい社会が実現することをいう。

 この条例において「学校等」とは、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1項に規定する保育所、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園その他こどもの教育、保育、養護等を行うものをいう。

 この条例において「子育て支援団体等」とは、次に掲げる事業(以下「子育て支援等」という。)を行う法人その他の団体をいう。

(1) 妊娠及び出産並びに子育てに関する相談、情報提供その他の支援を行う事業

(2) 結婚することを望む者に対し、出会い及び結婚に関する相談、情報提供その他の支援を行う事業

 この条例において「子育てにやさしいまちづくり」とは、こども及び保護者等が利用する施設又は設備の整備並びに子育て支援の取組を通じた、子育て世代が安心してこどもを生むこと及びこどもを育てること並びにこどもが健やかに育つことができる地域環境を整備するためのまちづくりをいう。

(基本理念)

第2条 子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組は、こども基本法(令和4年法律第77号)第3条に定める基本理念を踏まえつつ、次に掲げる事項を基本として推進されなければならない。

(1) 全てのこどもが心身ともに健やかに育成されるよう、並びにこども及び子育て世代が孤独・孤立の状態(孤独・孤立対策推進法(令和5年法律第45号)第1条に規定する孤独・孤立の状態をいう。以下同じ。)になることがないよう、社会全体でこども及び子育て世代を温かく見守り、支えること並びに府民、学校等、事業者、子育て支援団体等その他の社会を構成する多様な主体(以下「府民等」という。)による支援の取組が自主的かつ自律的に行われること。

(2) 府民一人ひとりの結婚及びこどもを持つことに対するそれぞれの意思が尊重され、多様な選択肢の中から、その希望が成就されるよう、地域の特性を踏まえつつ、出会い、結婚、妊娠、出産、子育て、こどもの保育及び教育その他の各段階並びにこれらの各段階にある就労の状況(以下「各ライフステージ」という。)に応じた支援が切れ目なく行われること。

(3) 府、国、市町村及び府民等の適切な役割分担並びに効果的な連携及び協働の下に、保健、医療、福祉、雇用、住宅、教育等に関する取組が総合的に行われること。

(府の責務)

第3条 府は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、子育て環境日本一・京都の実現に向けて、総合的かつ積極的に必要な施策を実施するものとする。

 府は、前項の施策の実施に当たっては、国、市町村及び府民等と連携し、及び協働して取り組むものとする。

 府は、子育て環境日本一・京都の実現に向けて、地域の特性に応じた取組を推進するため、市町村に対し必要な情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。

(保護者等の責務)

第4条 保護者等は、基本理念にのっとり、自らが子育てについての第一義的責任を有することを認識するとともに、各ライフステージに応じて府、国、市町村及び府民等による支援を活用しつつ、その養育するこどもを心身ともに健やかに育てるものとする。

(府民の役割)

第5条 府民は、基本理念にのっとり、家庭(家庭における養育環境と同様の養育環境及び良好な家庭的環境を含む。以下同じ。)を築くこと、こどもを生むこと及びこどもを育てることに対する関心と理解を深めるよう努めるとともに、こどもの健やかな育成のための取組並びにこども及び子育て世代に対する各ライフステージに応じた必要な支援を行う取組の実施に、積極的に努めるものとする。

 府民は、前項に定めるもののほか、府が実施する子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組に協力するよう努めるものとする。

(学校等の役割)

第6条 学校等は、基本理念にのっとり、こどもが社会の変化を前向きに捉えて主体的に行動し、より良い社会と幸福な人生を創り出すことができる人となるような取組の実施に、積極的に努めるものとする。

 学校等は、基本理念にのっとり、子育てにおいて家庭の果たす役割及びその重要性並びに医学的知見に基づく妊娠及び出産に関する知識の普及に努めるとともに、こどもが自らの人生設計(自らの夢や希望の実現を図るために各ライフステージを踏まえた計画を立てることをいう。)を考える機会及び乳幼児との触れ合いその他の子育てを体験する機会等の提供の取組を通じて、家庭を築くこと、こどもを生むこと及びこどもを育てることに対する関心と理解を深められるよう努めるものとする。

 学校等は、前2項に定めるもののほか、府が実施する子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第7条 事業者は、基本理念にのっとり、家庭を築くこと、こどもを生むこと及びこどもを育てることに対する関心と理解を深めるよう努めるとともに、こどもの健やかな育成のための取組並びにこども及び子育て世代に対する各ライフステージに応じた必要な支援を行う取組の実施に、積極的に努めるものとする。

 事業者は、基本理念にのっとり、労働者を雇用する事業主として、労働者の職業生活と家庭生活との両立に向け、労働者の希望に応じた多様な働き方の実現に資するよう、必要な雇用環境の整備に努めるものとする。

 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動において、保護者等の子育て及びこどもの健やかな育成を助け、並びにこども及び子育て世代が孤独・孤立の状態になることの防止並びに子育てに関する負担又は不安の緩和に資するものとなるよう、その製品又は役務の開発及び販売又は提供に、積極的に努めるものとする。

 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動のために設置し、又は管理する施設又は設備が、保護者等がこどもとともに利用し、又はこどもだけで利用されるものであるときは、それらの利用の態様及び利用者の特性に応じて、こども及び保護者等の移動上又は施設若しくは設備の利用上の利便性及び安全性を向上させるために必要な措置を講じるよう努めるものとする。

 事業者は、前各項に定めるもののほか、府が実施する子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組に協力するよう努めるものとする。

(子育て支援団体等の役割)

第8条 子育て支援団体等は、基本理念にのっとり、こども及び子育て世代に対し、各ライフステージに応じた子育て支援等について、積極的な実施に努めるものとする。

 子育て支援団体等は、前項の取組の実施に当たっては、府民及び事業者の子育て支援等に対する関心と理解が深められるよう努めるものとする。

 子育て支援団体等は、前2項に定めるもののほか、府が実施する子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組に協力するよう努めるものとする。

(推進体制の整備)

第9条 府は、国、市町村及び府民等と連携し、及び協働して、各ライフステージに応じた必要な支援等、子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組を推進するための体制を整備するものとする。

(子育てにやさしいまちづくり推進計画の認定等)

第10条 知事は、市町村が子育てにやさしいまちづくりの推進を図るための計画を策定した場合において、当該計画が基本理念に適合すると認めるときは、当該市町村の長の申出に基づき、当該計画を子育てにやさしいまちづくり推進計画として認定することができる。

 前項の認定の手続その他必要な事項は、知事が別に定める。

 府は、第1項の認定を受けた計画に基づく子育てにやさしいまちづくりの推進を図るために必要な経費に対して、予算の範囲内において、補助金を交付することができる。

(特例子育て世帯の居住の用に供する家屋等の取得に対する不動産取得税の不均一課税)

第11条 特例子育て世帯(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者が属する世帯(規則で定める世帯に限る。)をいう。以下同じ。)の世帯主その他の特例子育て世帯に属する者のうち規則で定める者が特例適用住宅等(京都府府税条例(昭和25年京都府条例第42号)第43条の2の2第1項若しくは第3項の規定の適用を受ける住宅の取得における当該住宅又は同条例第43条の10第1項若しくは第2項の規定の適用を受ける土地の取得における当該土地をいう。以下同じ。)の取得をした場合において、当該取得(以下この項において「特例適用住宅等取得」という。)の日から1年以内に当該特例子育て世帯に属していた者のうち規則で定める者(以下この項において「特例適用住宅等取得時関係世帯員」という。)の全てが当該特例適用住宅等に居住することとなり、かつ、当該居住の日において当該特例適用住宅等取得をした特例適用住宅等取得時関係世帯員の属する世帯(当該世帯に属する者のうちに特例適用住宅等取得時関係世帯員以外の者があるときは、これらの者は当該世帯に属していないものとみなす。)が特例子育て世帯に該当するときは、当該特例適用住宅等取得に対して課する不動産取得税の税率は、同条例の特例として、同条例第43条の3の規定にかかわらず、同条に定める税率に、2分の1を乗じて得た率とする。

 前項の規定の適用を受けようとする者は、規則で定めるところにより申請し、知事の確認を受けなければならない。

 前項の申請をした者が、次の各号のいずれかに該当するときは、第1項の規定は、適用しない。

(1) 前項の規定による申請がなされた日において、府税を滞納しているとき。

(2) 前項の規定による申請に際して、虚偽の申請をしたとき。

(きょうと育児の日)

第12条 府民等の間に広く子育ての意義、子育てにおいて家庭及び社会が果たす役割並びにその重要性、社会全体でこども及び保護者等を温かく見守り、支えること並びに職業生活と家庭生活との両立を図ることについての認識を深めるとともに、家族との触れ合いを推進するため、きょうと育児の日を設ける。

 きょうと育児の日は、毎月19日とする。

 府は、きょうと育児の日にふさわしい行事の実施をする府民等の支援に努めるものとする。

(調査研究の推進)

第13条 府は、子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組に関する調査研究の推進並びに情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする。

(財政上の措置)

第14条 府は、子育て環境日本一・京都の実現に向けた施策を推進するため、必要な財政上の措置を講じるものとする。

(規則への委任)

第15条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

 抄

(施行期日)

 この条例は、令和6年4月1日から施行する。ただし、附則第3項及び第7項の規定は、公布の日から施行する。

(京都府子育て支援条例及び京都府少子化対策条例の廃止)

 次に掲げる条例は、廃止する。

(少子化対策基本計画の廃止)

 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前に定められた京都府少子化対策条例第11条第1項に規定する少子化対策基本計画であって、その計画期間が施行日以後に終わるものとされたものがあるときは、当該計画は、施行日の前日限り廃止する。

(経過措置)

 次に掲げる規定に規定する実施状況であって施行日前の実施に係るものの公表については、なお従前の例による。

(1) 附則第2項第1号の規定による廃止前の京都府子育て支援条例(以下「旧子育て支援条例」という。)第8条第6項

(2) 附則第2項第2号の規定による廃止前の京都府少子化対策条例(以下「旧少子化対策条例」という。)第11条第6項

 別段の定めがあるものを除き、この条例の規定中不動産取得税に関する部分は、施行日以後の不動産の取得に対して課すべき不動産取得税について適用し、施行日前の不動産の取得に対して課する不動産取得税については、なお従前の例による。

 施行日前に取得された旧少子化対策条例第26条に規定する特例適用住宅等に対して課する不動産取得税については、同条及び旧少子化対策条例附則第2項の規定は、なおその効力を有する。この場合において、同条中「(多子世帯」とあるのは「(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者が3人以上属する世帯」と、同項中「第26条」とあるのは「子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組の推進に関する条例(令和5年京都府条例第31号)附則第6項の規定によりなおその効力を有することとされた同条例附則第2項第2号の規定による廃止前の京都府少子化対策条例第26条」とする。

 前3項に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な経過措置は、規則で定める。

(京都府認定こども園の認定等の要件等に関する条例の一部改正)

 京都府認定こども園の認定等の要件等に関する条例(平成18年京都府条例第46号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組の推進に関する条例

令和5年12月22日 条例第31号

(令和5年12月22日施行)