第3回 行政運営の基本理念・原則となる条例検討委員会の概要
開催日時
平成20年12月1日(月曜) 午前10時30分から午後0時15分
場所
京都府公館 第5会議室
出席者
検討委員
高木光委員(座長)、上村多恵子委員、太田貴美委員、 佐藤満委員、土山希美枝委員、吉田秀子委員
京都府
髙嶋政策企画部長、山田政策企画部副部長ほか
主な議論テーマ及び発言要旨
(議論テーマ)
- 京都府行政の理念・原則を定めるにあたって、その底流・根幹となる組織・自治哲学、行動理念とはどのようなものか
(委員発言要旨)
(上村委員)
- 具体的な施策の中から共通するメッセージを示すのか、無難な表現をしておいて道州制などの課題に対応する中で具体的な政策を示していくのかという、2つの方向性だと思う。
- 人・間中心はよくできていて、意味が深い。制度や法律も手続にこだわりすぎると人・間中心でなくなり、制度のための制度、法律のための法律という誤った形になってしまう。そういったことを再編集し直していく中で、基本条例が意味を持っていくためには、人・間中心のあり方を生み出す京都の背景や肉付けをしていくことが必要。
(太田委員)
- 京都の特殊性は際だっている。伝統・文化の蓄積とともに新しいものが同居している。積み重ねの上で、新たなものを築くということから、革新、創造、柔軟性等のイメージがある。
- 京という字を冠する自治体にも見られるとおり、京都に対する思いは強い。府民として同じ思いになれる、普遍的に府をこういう自治体にしたいという思いが出せればよい。
- あなたがという主語でなく、あなたもという横並びの意識が基本にあるのではないか。
- 一番やっかいなのは、何もかもお任せという意識。私の町でも合併後の総合計画づくりで懇談会を繰り返した。住民の反応を呼ぶ作業が必要。
- 理念がある程度抽象的になっても、そこから具体の施策が見えてくることで住民にも理解できるようになる。必要に応じて条例の改正もしていけばよいのではないか。
(吉田委員)
- 住民本位や住民主役という考え方は違うと思う。府がこうありたいというものを一緒にやっていく。住民を生かすということより、お互いを認め合っていくという方向。人格・人権の尊重、認めあいの考え方は必要。
- 京都市のブランドにまだ頼る部分がある中で、府の何かが欲しい。
(土山委員)
- 基本の理念として府の行政組織をどうするかということと、府の地域の明日をどうするのかということの切り分けが必要。
- 地域の中で府がどうやるかということでは市町村との関係が出てくる。対等・協力の立場で支援というとそぐわないが、公の領域を一緒に担うパートナーと考えれば、お互いの持てるリソースを支援しあうイメージになる。
- 条例において、行政は府民に対する規律を示して信託に応えて行くということ。さらに地域をどうするかということでは、地域の財産を生かすという意味から住民との連携・協力が必要。
- 住民主役という場合に、行政に関わる人とアンチ行政的な人とでは意識が違う。アンチ行政的な人は行政への信用が低く、そもそも行政には住民の思いが解らないという意識がある。
- 簡単に住民が主役といっても行政のシステム上、すぐに受け容れられないこともある。参画といっても行政のフィールドでやるとも限らないといったギャップもある。
(佐藤委員)
- 抽象的な原則でも京都はもう少し書くべきとは思う。知事が替わっても使う普遍的なものとして共有する宣言、前文や目的に示すとすれば、検討過程での共有プロセスがないと無理。
- 京都らしさの定義は難しい課題。
(高木座長)
- 東京と異なる他の極を担うという考え方は強く根底にあるのだろう。
- 議会が基本条例の類は提案してくるものだが、そうでないところから出発しているので、府の地域としてどういうあり方を目指すのかということと、地方政府としての府はどういうものなのかということを、分けて議論していく必要がある。
(議論テーマ)
- 府政運営の基本の中に、ユニバーサルデザインの考え方をどのように盛り込むべきか
(委員発言要旨)
(土山委員)
- ハードの印象が強いが、ソフト的な意味で、例えば情報公開の窓口を一元化するとか、手続やシステムを誰もが利用しやすいものとするなど、より広い意味で捉えることが必要。
- いろいろな人に使いやすいということは、障害のある人にも使いやすいということにつながる。全方位的というか、みんなに使いやすい行政のあり方ということがあると思う。
(高木座長)
- 京都らしさを出すというのであれば、カタカナは使わないということもあるのでは。聞いていて解らないのは不適当で、易しい日本語の概念を示すことも検討が必要。
(佐藤委員)
- ユニバーサルデザインの考え方を広くすくい取るものと、個別的に対応する施策的なものも位置づけるということになるのではないかという印象を持っている。
- ユニバーサルデザインなどの言葉を敢えて使わずに、解りやすい言葉で表現することも可能ではないか。その心としてユニバーサルデザインの考え方を説明すればよい。
(上村委員)
- ユニバーサルデザインは企業でも定着しつつあるという印象。もともとバリアをつくらないという啓発的な意味でも規定すべきではないか。
(太田委員)
- 郡部の方では、まだまだ浸透し切れてていない。お年寄りなども何それといった感じ。
- 心のバリアフリーなどの位置づけも、良いことだと思う。人・間中心の考え方にも通じると思う。
(吉田委員)
- 行政を進める仕組みでバリアがないという理解の方向でよいのではないか。個々人が当たり前に暮らせる京都、地域社会を目指すということ、そのために府という地域でどう取り組んでいくかということを示すことだと思う。
(議論テーマ)
- 府民が条例の価値・意義を共有するとともに、府民から条例のあり方について意見を聴くための取組についてどうあるべきか
(委員発言要旨)
(上村委員)
- 人・間中心ということで進めていくなら、堅い内容より、精神的な講演や心の問題を中心に進めていって、条例に盛り込む内容につなげて行ってほしい。
- 京都ならではということからも、思想や宗教的なものも含めて精神性のところから意見交換をはじめてはどうか。
(佐藤委員)
- 条例の面が強く出過ぎると、府民は引いてしまうかもしれない。ビジョン懇話会などと一緒にやれば話題の幅が拡がり、とりつきやすくなるのではないか。
(太田委員)
- 条例の課題とともに、なぜ必要かということも含めて幅広く、気楽に話ができる内容が相応しい。限られたものだけ取り扱うというのは止めた方がよい。
- セミナー、シンポジウム、フォーラムといった取組の段階別に対象とする府民も拡げるなどの工夫が必要。
- 条文の中身も大切だが、制定に向けた、府民意見の聴取や条例への理解を深める等の策定過程も大切。府民に仕掛けていくこと。大変手間のかかる作業になるだろうが、労力を使っても府民意見を出せる機会を提供して行く必要がある。このことが、できあがった条例の成否に関わる。
(高木座長)
- 府の基本条例であること、住民の意見を反映するということからは、市町村との関わりが必ず出てくるため、市町村の意見をどう聴くかということも検討が必要になる。
(土山委員)
- 取組の目的とあわせて、(聴講型のほかに)参加型などの手法も検討するべき。出てきた意見の取扱いについても検討しておくことが必要。
- シンポジウムなどでのNPOとの共催は検討の価値がある。進行や企画を一緒に取り組んで行くことも、条例への住民理解のために効果が見込めると思う。
(吉田委員)
- NPOとの共同開催などを検討して欲しい。NPOの運営は未だ十分でないところがあるかも知れないが、公共を担っていこうという思いが強い人々との連携は必要。
(議論テーマ)
- 京都府(行政)の基本理念・原則を示す条例はどのような形式が望ましいか
(委員発言要旨)
(佐藤委員)
- 共有できる哲学や理念を府民とどう合意するのか、できるのかというところから、基本条例のコンセプトが導かれるので、先ず、府民との条例の価値や意義の共有プロセスを進めていくことが先だと思う。
(土山委員)
- 我々、検討委員会としての議論はかなり出てきたが、まだ統一的な見解を示すまでには至っていない。そこに府民の意見を入れながら、条例のあるべき形を固めていくということが必要になる。
(太田委員)
- 広く意見を出し合うことは、公共のあり方の議論にも反映する。各地域での知恵比べ、地域の資源や知恵を生かした、地域発の地域づくりを意識して、盛り込んでいくきっかけにもなる。
第3回 資料1( PDFファイル ,1MB)(PDF:1,772KB)
第3回 資料2(PDF:419KB)
第3回 参考1(PDF:338KB)
第3回 参考2(PDF:342KB)
第3回 参考3(PDF:103KB)
第3回 参考4(PDF:55KB)
第3回 参考5(PDF:63KB)