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株式会社京都テキストラボ(京都企業紹介)

テキストから未来を予測する、テキストの価値を引き出す

(2023年5月8日、ものづくり振興課 生地・木原)

株式会社京都テキストラボ(外部リンク)(京都市左京区)の野村取締役(京都大学大学院教育学研究科准教授)と小泉企画室長にお話をお伺いしました。

心理学、情報科学の融合から生まれた大学発ベンチャー

--まずは、御社の概要・起業の背景を教えてください。

小泉)テキスト深層学習に心理学を融合させながら、最先端の未来予測技術を開発するスタートアップです。主な事業として、テキスト情報の書き手の心理・感情の推定や読み手の心理・感情の予測を行うサービス、金融取引の未来予測サービス、電子カルテでオーダリング情報や要約を自動生成するシステムの開発があります。

野村)京都大学にて感情認識や表現の研究をしてきた私野村が、米国での起業経験も豊富な京都情報大学院大学松尾教授と学会で出会ったことをきっかけに、深層学習を用いた自然言語処理を中心に多くの業績を有する早稲田大学河原教授とともに3人で起業しました。他に先駆けて心理学と情報科学の融合から生みだした本邦初の大学発ベンチャーです。

文章の読み手が抱く感情を7つの指標で予測する

--次に、御社の強みについて教えてください。

野村)心理学と情報科学各分野の最先端の研究の成果を取り入れていることが強みです。心理学的に適切なデザインで心理・感情に関わるデータを取得し、日本語の大規模言語モデルをそのデータでチューニングして独自の深層学習モデルを構築し、それを使って長文テキスト情報の高精度なセンチメント分析を行っています。

--なるほど。テキスト情報のセンチメント分析について、もう少し詳しく教えてください。

野村)従来の一般的な分析では、単語をポジティブ・ネガティブの極性で分類して登録した辞書を使って、単語レベルの分析から文章の極性を判断しています。文章全体の意味合いは単語の前後の文脈により大きく変わるので、正確に判断するのは難しいことがあります。

 一方、弊社の分析では、長い文章を7つの指標(喜び、恐怖、驚き、信頼、曖昧、意図、経済への期待)で評価することが可能です。さらに、従来の分析が文章そのものに内包される感情を推定するだけなのに対し、文章の読み手が抱く感情を予測することが可能になっている点が特徴です。文章の書き手にとって重要なのは、読み手がどう感じるかです。

 分析に深層学習モデルを使うことによって、自由度の高い指標設定が可能になりました。ただし、その深層学習モデルの構築のために人が文章を読んで内容を判断するアノテーションという作業を行っています。一つの指標の開発に数万から数十万の人手によるデータを取ります。

 本分析を活用したウェブアプリ「Text_Assist」ですが、(公財)京都産業21・京都府の「次世代地域産業推進事業補助金」(外部リンク)を活用し開発を行い、2023年1月にサービスを開始しております。

京都テキストラボ

(参考)株式会社京都テキストラボHPより抜粋

--どのような場面での活用を想定されているのでしょうか。

野村)自治体・企業での文章発出の際だけにとどまらず、個人のSNS発信前にも有効です。広報等の専門部署がない小さな会社で文章作成を担当することになった方の助けにもなると思います。

対話型生成AIの普及は追い風!

--現在はやりの対話型生成AIとの関連性はいかがでしょうか。

野村)弊社にとっては競合ではなく追い風になると思っています。弊社の技術は「分類型」AIであるため、対話型AIにより生成された文章を正確かつ細やかに評価することができます。その結果を対話型AIにフィードバックしてより適切な回答を引き出したり、生成された文章を目的に応じてフィルタリングしたりすることが可能になるかもしれません。

--なるほど。最後に今後の展望をお聞かせください。

小泉)センチメント分析を活用したアプリをどんどん生み出していくにとどまらず、大学発ベンチャーとして、学生が参加できる深層学習モデルを使ったアプリの開発コンテストを開催するなど教育的な事業も展開していきたいです。

野村)みんながAIを使っていきいきと生きることができる社会を作っていきたいですね。

--今後の展開が楽しみです!

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

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