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(令和7年1月21日 産業振興課 白石)
令和6年度起業支援事業費補助金を活用して起業された宮下さんが、京田辺市でグルテンフリーのパンやお菓子を販売するお店をオープンされました。
所在地:京都府京田辺市松井ケ丘3-8-19
―まず、お店について教えてください。
宮下)当店は、生米や米粉を使用したグルテンフリーのパンやお菓子を製造・販売しています。小麦や卵、乳等のアレルギーをお持ちの方に安心して食べてもらえるものを作りたいのはもちろんのこと、アレルギーのない方にもお米パンの美味しさを知ってもらいたいと思い、お店を始めました。米粉を使用したものだけではなく生米を使用したパンを販売している点も特徴の一つです。
―そもそも、なぜお米のパンに関心を持たれたのですか?
宮下)私の娘がアレルギー持ちであり、小麦をはじめ様々なものを食べることができなかったことが最初のきっかけです。私はもともと料理が苦手だったのですが、市販品を食べることができない娘のため、試行錯誤しながら食事をつくっていました。
私は、娘の受験をサポートしようと考え、定時で帰りやすい仕事に転職したのですが、そこでたまたまカフェに配属され、調理の仕事に就くようになりました。そこで調理師免許を取ったほか、100人単位の仕込みや、小麦を使わないメニューの開発を行うなど、現在お店を運営する上での基礎を学びました。
このように、小麦を使用しないパンやお菓子、その他メニューを開発する中で、アレルギーのある人だけではなく、アレルギーのない人にも新たな選択肢としてお米のパンを知ってもらいたいと考えるようになりました。
宮下)開業前は、障がい者向け就労支援施設でカフェの担当をしており、そこでもグルテンフリーのパン等を製造していました。私はそこで初めて障がい者の方と働き、福祉現場の現状や、障がい者の方が実際に就職されている職種はまだ多くないことを知りました。
また、それと同時に、障がい者の方が働きやすい環境を整備することで、本来の力を発揮することができると感じ、彼らの就職先の選択肢を増やしたいと考えたことも起業したきっかけの一つです。
―宮下さんは地元である京田辺の食材を使用したパンを作られているそうですね。
宮下)パンに使用するお米は、京田辺の農家さんが生産されたヒノヒカリを使用しています。京田辺市を含む山城地域で生産されたヒノヒカリは、(一財)日本穀物検定協会が実施する「米の食味ランキング」で上位にランクインしており、とてもおいしいお米です。
私は農家さんから直接お米を仕入れているため、地元の方との横のつながりもでき、それが今後の新たな可能性に繋がっていくと考えています。また、地元食材を使用することで味に個性を出すことも可能です。当店では、浸水させたお米をミキサーで粉砕し、そこにヒノヒカリから作った自家製の酵母を入れて発酵させたパンを販売しています。
生米を使用したカンパーニュ
―生米からパンを作れるとは知りませんでした。
宮下)生米を使用したパンは米粉から作ったものとも異なり、よりもっちりとしているうえにお米の味を強く感じることができます。
私は、お米のパンやお菓子を、アレルギーのある人向けの「小麦の代替品」ではなく、新たなお米の食べ方として提案したいと考えています。例えば、小麦や卵を使用しないプラントベースクッキーは、一般的なクッキーとは異なるお菓子として、アレルギーのない方にも人気商品になっています。このように、お米や米粉を使用した商品のよさを多くの方に知っていただくため、パンの他にも、シフォンケーキやクッキー、グラノーラ等、一つでも多く作りたいと考え、新商品も試作しています。
小麦・乳成分不使用のお米のシフォンケーキ
自家製の米粉グラノーラ
―最後に、将来の展望について教えてください。
宮下)今は自社店舗のみでの販売ですが、今後は近隣の小売店や飲食店への販売をしたいと考えています。アレルギーのある方に対しては、「食べるものがない」という寂しさを減らし、またアレルギーのない方に対しては新たな食の提案をすることで、食の選択肢を増やすきっかけを作りたいです。そして、将来的には障がい者の方の雇用や海外輸出を目指しています。
―今後の展開が楽しみです!
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