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(令和7年1月27日 産業振興課 白石)
令和6年度起業支援事業費補助金を活用した濱田さんが、丹後地域の空き家や空店舗の活用に特化し不動産開発を行う、株式会社京都丹後企画を起業されました。
―まず、起業のきっかけを教えてください。
濱田)私は現在、与謝野町でクラフトビールの製造・販売や移住支援等を行う株式会社ローカルフラッグを経営しており、地域課題に関する様々な相談を受けるようになりました。その中で、地域課題の多様化が年々進んでいると感じ、ローカルフラッグとは別に、これらの課題解決に取組む会社を設立しようと考えました。
丹後地域が抱える課題の一つに、人口減少や高齢化率の増加等による、空き家や空き店舗の増加があります。このような課題を解決するためには、不動産を扱うハード面での取組が不可欠だと考え、新会社では、遊休不動産の活用事業を手掛けることにしました。
不動産開発業を営むにあたり、起業を支援している団体の方から株式会社NEWLOCALを紹介いただき、今回NEWLOCALとの合弁で株式会社京都丹後企画を設立しました。現在は、採用活動を行うとともに、NEWLOCALからの出向社員も含め事業を運営しています。
―起業する場所として丹後地域を選択されたのはなぜですか?
濱田)私は与謝野町出身で、高校生の頃から地域課題を解決したいと考えていました。そこで、大学生の時に地方議員の事務所でインターンを経験したほか、アポイントメントを自分で取り、約20の自治体を視察しました。例えば、宮崎県日南市の市長に「首長の仕事を学ばせてください!」とお願いし、かばん持ちをさせていただきました。その中で、地域活性化のためには、政治や自治体が対策をするだけではなく、民間企業がリスクを取ってチャレンジすること、またそのプレイヤーを増やすことが必要だと感じ、大学在学中に起業したのです。私は、ローカルフラッグを経営する中で得た知見やノウハウ、人との繋がりを活かし、多様化する丹後地域の地域課題に対しスピードをもって対応できるよう、2社目も丹後で起業しました。
―京都丹後企画として、どのような効果を目指されていますか?
濱田)今後、京都丹後企画として様々な不動産のプロデュースや運用を実施し、丹後の各地に賑わいを創出したいと考えています。
ローカルフラッグとして、2023年7月に与謝野駅前にビール醸造所併設のパブ&カフェを開店しました。これにより、醸造所の周辺にケーキ屋やパン屋等の出店が検討されているほか、与謝野駅のリノベーションが計画されている等、地域が変わってきていると感じています。
私は、地域に点を打つように旗を立てる、つまり新たなお店や事業所をつくることで、それに続いて新たなお店が2~3箇所、そこからさらに10箇所に増えるといったように、一つのきっかけをもとに地域が変化していくと考えています。私たちはその1本目の旗を丹後地域に立て、旗振り役となることを目指しています。今回立ち上げた京都丹後企画では、ビール醸造所のように、地域の賑わいの拠点となる店舗や宿泊施設を地域の事業者とともにプロデュースし、丹後地域を地域の内外から人が集まる場所としていきたいです。
与謝野駅前のビール醸造所
醸造所併設のブリューパブ「TANGOYA」
―地域の事業者コミュニティも運営されているそうですね。
濱田)丹後地域の若手事業者を集め月に1回持ち回りでのプレゼンをし、その後ビールを飲みながら話す会をしています。時には有名企業の元社長など、メンターとなる先輩起業家に来てもらうこともあり、毎回とても盛り上がる会になっています。
一方で、地元だけでなく東京など地域外の方と話したりプログラムに参加することで、外からお金や人を地域内に引き込むことも重視しています。
―今回手掛けられた「HASHIGOYA」は元々軽食を売るお店だったそうですね。
濱田)以前は、「えとせとら松屋」という、黒ちくわと焼き栗が主力商品のお店で、同じエリア内にある松屋さんが支店として営業されていました。しかし、オーナーご夫婦の体調不良や後継者不足で閉店されるとの噂を聞き、昔から知り合いだった店主の方にお話を聞きに行きました。その中で、私が引き継いで再オープンしたいという意志を伝えたところ、「濱田君なら任せられる」と店主の方にも応援いただき、場所をお借りすることになったのです。
HAHIGOYAと代表の濱田氏
―「HASHIGOYA」にはどのようなお客様がいらっしゃいますか?
濱田)9月に場所をお借りし、10月にオープンしました。HASHIGOYAは天橋立傘松公園に向かうケーブルカー乗り場の真下にあるため、オープン後から主に国内・海外からの観光客の方にご来店いただいています。
お店では、ローカルフラッグで製造しているクラフトビールや、丹後の地酒、そして地元の青果屋さんから仕入れた地元産の生姜やこんにゃく、宮津ちくわを使用したおでんを提供しています。また、丹後の事業者が作ったお土産を多数販売していますが、いずれもストーリーを語れるものばかりで、中には特約店並みに品ぞろえのある商品もあります。このように、お店を立ち飲みもできるお土産屋さんにすることで、ご来店いただいたお客様に丹後を知ってもらいたい、丹後から各地へはしごをかけていきたいと思い、「HASHIGOYA」という名前をつけました。
お土産品の数々
地元食材を使用したおでん
―最後に、今後の展望について教えてください。
濱田)まず、HASHIGOYAでは、現在2名で運営しているところを3名体制にし、お客様にお土産のストーリーをお伝えする等、お土産の販売を通じて丹後の魅力をより伝えていきたいです。また、今後、2025年の4月には宮津で宿泊施設を、7月には与謝野町で一棟貸の宿泊施設を運営する予定をしています。いずれも、地域の事業者さんと連携し、宿泊者の方に地域を体験してもらえる施設としていきたいと考えています。
このように、同時多発的に丹後地域を開発していくことで、地域をより発展させ、地域に賑わいを生み出していきたいです。
―丹後地域の未来が楽しみですね!
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