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青年海外緑と文化の大使レポート(タンザニア)

野川 敦司(出身:木津川市)平成19年度2次隊(職種:自動車整備)

タンザニアの職業訓練校の先生として活動しています。 毎日、教員としての授業と整備工場の運営の二足のわらじを履き、忙しい毎日ですが、楽しんで充実した生活をしています。

 活動期間の4分の1が過ぎ、任地に派遣され約5ヶ月が過ぎました。今まで配属先の職員、生徒とのコミュニケーションを重視して生活してきたこともあって現在の生活はストレス無くとても安定しています。
 忙しい時でも積極的に挨拶をしてスワヒリ語での会話に挑戦してきた事が良かったと思います。

私は、月曜日から土曜日までの朝から夕方までカウンターパートと常に行動を共にしました。私の語学力では、なかなか思ったことが伝わらなかったのですが、任地へ来て2ヶ月が過ぎた頃から、仕草や表情と英語、片言のスワヒリ語で、コミュニケーションをとるのに違和感無く伝わるようになり、カウンターパートが何を言いたいのかも解かる様になりカウンターパートの質問に答えられるようになりました。
整備工場に修理に入ってきた車で、カウンターパートが苦手とする電気系のトラブルを何度か簡単に直して見せた事により私に対する不信感は無く、赴任当初よりも多くの質問を受けるようになり、カウンターパートはそれを書きとめファイルしています。
お互い気になったことは積極的に質問し、絵を描いたり、模型を使ったり、スワヒリ語と英語でお互いが理解するまで、話し合います。

先日、配属先の訓練校の設備を使い、ムトワラ州の県長や校長を集めたJICAのセミナーが行われた時、私とカウンターパートで「JOCVの仕事と受け入れ先との関係について」のプレゼンテーションをしました。このプレゼンテーションの依頼が来た時、私は、正直迷いました。私の語学力では十分な仕事は出来ないのではないかと思ったからです。しかし、挑戦したいと言う気持ちで、この仕事を受けました。
カウンターパートと2人でプレゼンテーションを作り上げていく上でJOCVの仕事とは何か?二人の間にある問題点は何か?共通の問題とは何か?その解決法は?今後の目標は? 1ヶ月間の準備期間でたくさんの話をしてお互いに自分たちの関係を理解しあえる事が出来ました。そして、お互いに、目標が明確にすることが出来た事で、進むべき方向が見え、お互いその目的に向いて進み始めています。
この仕事を通して、一つ大きな壁を越えたように感じています。

この仕事の後、カウンターパートが私の授業を見に来たり、私がカウンターパートの授業を見に行ったりしてお互いに、悪いところを注意しあっています。
カウンターパートもタンザニア人の先生ですから、やはり生徒の前で外国人に意見を言われるのは、辛いことでもあるのでは?と考えての配慮から質問に答える時や、意見を言う時は、出来るだけ生徒の居ない所に連れ出して話しています。 
また、私の授業で、服装が乱れた生徒がいると、カウンターパートが生徒を外に連れ出し、説教するというシーンもありました。
部品庫や工具の整理整頓をしたり、工具や部品の使い方に注意を払ったり、赴任当初よりは慎重に扱うように変わってきました。

問題点として、難しい特殊工具の使い方の授業などは、カウンターパートが一人では出来ない物もあること、整備工場の運営に時間を取られ、カウンターパート授業が出来ない事などがあります。
カウンターパートが現在一人で授業出来ない電子制御型エンジンや特殊工具の使い方、複雑な計測器に関して、二人で授業したり、カウンターパートが生徒と共に席について私の授業を受けて勉強したりしています。
特殊工具や複雑な計測器に関しては、私が帰国した後も続けられるように取扱説明書と教科書を作成しています。

 

生徒とのコミュニケーションは、授業中は厳しく、休憩時間は友達の様に接しています。 
授業を始めだした頃、生徒の集まりも悪く、語学力の無さから、生徒の真剣さが無く、私語も多く、何度か注意しても止めませんでした。 そこで、厳しく叱った所、次の日から、生徒は真剣に聞くようになり、授業の前には黒板を綺麗に拭き、チョークを並べて待っています。
生徒達の椅子、机が人数分無いので、一つの机を二人で使ったり、一つの椅子に二人座ったり、板書するのに、ボールペンを二人で1本使っていたり、なんとか工夫して授業を受けています。
教科書が無い為、授業は、出来るだけ板書をするようにしています。 授業では英語が話せない生徒もいることから出来るだけスワヒリ語を使用して教えています。 また、語学力不足を補う為に模型やジェスチャーを多く使っています。
やはり、見せることが大切に思い、自作で教材を数種類作成しました。最近は、オートマチックトランスミッションを教えていたので、トルクコンバーターーの模型を作りました。
どうしても、英語しか使えないような難しい表現の時は英語を使いますが、英語が話せる生徒が率先して、他の生徒に説明してくれて、生徒同士で話し合って理解度を深めています。この場合、私語とは違うので、生徒同士が話しているのを見守る事にしています。
生徒の気を引く為に、授業の最初5分と最後5分は、世間話や日本の話しをして楽しませています。 男だらけの教室ですから、女の子の話は盛り上がりますね。
この話のお陰で、集まりの悪かったクラスも、『お~い!授業始めるぞ~!』の一声で車の修理をしていた生徒も、すぐに終わらせ走って教室に入ってきます。
授業の終わりの挨拶は、生徒からの申し出で日本式の全員が起立して「ありがとうございました」と生徒が挨拶をするという形をとっています。
授業の終わりに小テストをすることで、生徒の学力を測り、小テストを一人ずつ返すことで名前と顔を覚えることに専念しました。

出勤途中に生徒に会うと、カバンを持ってオフィスまで運んでくれます。 実習授業の教材の準備は、生徒が全員で手伝ってくれる様になりました。



問題点としては、タンザニア全体に言えることですが、工具や部品の使い方が荒く、地べたに工具や部品を置いたり、スパナをハンマーで叩いてボルトを緩めたり、スクリュードライバーをハンマーで叩いて先を潰したりしています。彼らにとっての工具は、自分の物ではないので、大切にしません。
何度も、慎重に取り扱うように言い聞かせていますが、あまり効果は見られません。
注意するだけでは効果が無いので、カウンターパートと共に他の方法を検討中です。

また、生徒のほとんどが卒業後、整備士として就職に就けず、ドライバーになるか、別の職種に就いています。 学校に求人広告なども無いことから、卒業後の生徒のことは関与していないと思われます。 3年間、学んだ技術を無駄にさせたくないと思い、生徒の卒業後の進路も考えていこうと思います。


これまでの間、同僚や生徒とのコミュニケーションや状況を把握することを重視しながら、授業、整備工場の運営、修理の指示をしていました。コミュニケーションがストレス無くとれる様になり、状況や生徒の学力、問題点が見えてきたので、これから問題解決や教育環境を整える様に挑戦していくつもりです。

私が活動するタンザニアという国での生活は、水は雨水を飲み、夜は停電が多いのでローソクの光で生活し、料理をする為には炭をつかっています。他の隊員が活動している国よりもかなり厳しい環境にあるというのがわかってきました。
タンザニアへ来て6ヶ月が経ち、生活の不便さに慣れてくると、挨拶、思いやり、助け合い、ゆとり、笑顔、忘れていた人として大切な事を思い出すことが出来ました。 
ここタンザニアでたくさんの事を学んでいます。
私は、綺麗な星と静かな海に囲まれ、親切な人々が笑顔で生活できる平和なムトワラがとても気に入っています。

 

カウンターパート:同僚。異なる組織や国で、対等関係にある人や立場にある人や役割を指す。

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